旅2日目。
今回の旅の最大の目的地、アウシュビッツを目指し、早朝にワルシャワ
を出発。
飛行機で50分ほどのポーランド、クラクフへ。
ホテルへチェックインした後、バスで1時間半ほど揺られて、ついに
オシフィエンチム(アウシュビッツ)の収容所に到着。
観光客が多く賑わっているせいで和らいではいるが、どこか冷たく暗い
雰囲気が漂って、気が引き締まる感じ。
このアウシュビッツの収容所はは、第2次世界大戦中、ナチス・ドイツ
占領下の土地から、ユダヤ人、ポーランド人、共産主義者、反ナチス活動家
などが捕らえられ、送られて、殺されたり、過酷な労働をさせられたり
した場所。
この収容所では150万人が殺されたそう。
入場料は無料。
日本語のパンフレットだけ購入して入場。
ゲート(冒頭写真)には、日本語で「働けば自由になる」とのドイツ語
の文字。
その中のBのアルファベット(写真では左から3文字目)は上下逆に
なっていて、これは囚人のせめて反抗だったとの説が。
無機質なレンガ造りの同じ構造の建物が続く。
一部の棟は博物館として公開されていて、どのような生活を強いられて
いたかを伝えると共に、収容された囚人から没収された数々の品が展示
されている。
その中には、履いた形跡、着た形跡がそのまま残る靴や衣服、殺される
前に剃られて、その後ラグに編まれたという毛髪も展示されていて、
それがどれも大量に山積みにされているため、圧巻で言葉を失った。。
敷地は2重の有刺鉄線に囲まれている。
毒ガス室や遺体を焼却した部屋も残されていて、見られるように
なっていたが、さすがに足が動かなかった。
広島の原爆ドームを訪れた時も、人の仕業とは思えない非情な行いに、
「どうしてそんなことをしたのか」という疑問と共に怒りを覚えたけれど、
今回はそれに加えて感じたことがあった。
きっと、ヒトラーはとてつもない恐怖に襲われていたのではないかと。
アウシュビッツであった、人間がしたとは思えない非情な行為は、怒り
や支配欲からではない、もっと強烈な、死を意識した強烈な恐怖に駆ら
れないと発せられないくらいの異常な力を感じた。
アウシュビッツを見た後は、専用シャトルバスで5分程のところにある
第2アウシュビッツと呼ばれるビルケナウへ。
ここは、アウシュビッツよりさらに大きい収容所で、
かつては300棟以上の収容棟が並んだという広大な敷地。
中心には、囚人が詰め込まれた電車が到着する引き込み線があり、
その先には収容棟へも収容されず電車からおろされたまま入れられる人
もいたガス室があって、ここでも百数十万人が殺されたという。
まさに殺人工場だった。
正直ちょっと気が進まない旅先だったけど、この世界に生きる同じ
人間として、見ておいてよかったと思う。
生きていることのありがたさ、人間の愚かさ、繰り返してはいけない
という誓い…言葉にすると何だか薄っぺらくなってしまうけど、
あらためていろいろ感じされられた一日だった。