面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

残るは1週間

2008年04月28日 | Weblog
 4月2日に開演した新人公演「桃のプリンセス」も、5月4日の千穐楽まで残るは1週間となった。僕は間に九州旅行を挟んだが、劇団の皆は休み無く公演を続けてきた。アトリエ公演としても、1ヶ月公演は初めての試みだった。まだ、振りかえるには早いが、皆良く頑張っている。

 昨日は7月公演で主役を張る予定の塩山嬢が観劇に来てくれた。暮れの野方区民ホールに参加していただいた俳優の高嶋宏行さんや、YMOのアンナ嬢、あかね嬢も見え、終わったあとの面会も華やいだ。皆さん律儀な差し入れ本当にありがとう。

 今日が僕のボス役の千穐楽。水曜日から楽日まで博士を演る予定です。打ち上げの料理作りまで倒れるわけにはいかないが、相当身体はヨレている。気力を振り絞って頑張ります。是非、お越し下さいませ。平日は19時半の開演です。

晴れた日曜日の朝

2008年04月27日 | Weblog
 雨もすっかりあがり、やわらかな陽だまりに優しい風の吹く穏やかな日曜日の朝。携帯電話の着信音で目覚めた。開くと、僕を師匠と呼んでくれるA嬢からのメールだった。今日の公演を観劇に来てくれるらしい。ありがたいことだ。

 12時半の入りなので、そろそろ出かけます。「岩沢、せかいわさわがしいなあ」この駄洒落は、あの緊迫した場面に秀逸だと思うのだが、岩沢は笑ってくれない。切ないが楽しい。桃子と歌うひな祭りの歌も、楽しく切ない。悩もうが悩むまいが、時は流れ、人は去る。記憶だけが、漂いながら残る。出来るなら、鮮烈な記憶をあなたに残したい。

芝居の楽しさと難しさ

2008年04月27日 | Weblog
 当たり前のことだが、仕事は楽しいだけでは済まない。今取り組んでいる舞台は、脚本を書いてから15年、何度も演出してきたが、俳優として出演するのは初めてである。十五期生の司くんや三田嬢と同じ新人だと自覚しながら演じている。上手く出来たと思う芝居を褒めていただけるとホッとするが、同じ個所で意外な指摘を受けると、かなり戸惑ってしまう。芸に確固たる信念がないからだと言われるとそれまでだが、新人は考えこんで迷路に入りこみ、なかなか抜け出せない。

 しかし、今回は出演者、スタッフ共に、自分のことは棚に上げて、言いたい事が言える環境状態なので、幕が降りた後も熱心に稽古を繰り返している。雰囲気は学生演劇部なのだが、内容は高度な演劇技術なので、実に頼もしい。先輩後輩の遠慮なくダメを出し合う光景に、僕がニヤついていると、たちまち矛先がこっちにくる。回数では僕が一番ダメを出されているかもしれない。深く反省を重ねている。

 来週の月曜日までボスを演り、ラストの週は博士を演ります。お見逃し無く!

昼の部終了

2008年04月26日 | Weblog
マチネが終わって解散した客席で、さらなる照明のプランを錬る高倉くん。より素敵な舞台を作り上げようと、頑張っている。さあ、僕もひと休みして、夜の舞台に備えよう。

深夜のアイロンかけ

2008年04月25日 | Weblog
 只今帰宅。今日は観劇いただいたKさんから栄養ドリンクの差し入れをいただいた。司くんのお母様もお友達と見えられ、打ち上げ用にワインをいただいた。お越しいただくだけでも嬉しいのに、お心使いが本当にありがたい。

 明日は急遽、僕がボス役に戻り、安達竹彦が博士を演ることになった。これから衣装の洗濯をして、アイロンをかける。深夜、男がひとりアイロンをかける様は、秋刀魚を焼く姿にも負けず侘びしい感があるが、演技の為と思えばどうということはない。役作りの為に集中出来るアイロンかけは最適である。

 土曜日はマチネが14時半、ソワレが19時半の開演です。中野坂上宝仙寺前のアトリエまでお越しいただけたら幸せです。

雨上がりの新緑と静寂の中で

2008年04月25日 | Weblog
 早朝5時半、迎えの車が来て、お世話になっているKさんのお誘いで、相模湖の奥に在る山に登ってきた。あの大菩薩峠も近く、上がったばかりの雨に濡れた新緑が山肌を覆い尽くし、咲き遅れた桜も水彩絵の具を散らした様に淡く点在していた。お昼に、白身魚をタルタルソースで包み季節の野菜を乗せてオーブンで焼いた、実に美味しい和風フレンチを頂いた。「朝倉が無口だったら、どれほど素敵だろう」と、ため息を吐くT氏の為に暫しの沈黙。水底のような静寂の中で、奥相模の森がいつまでも瑞々しい姿で残るよう祈った。

 13時半、山を下り、上野原の菓子処「植松」で、劇団員に「あんどうなつ」を買おうとしたら、同行したOさんが差し入れにと買ってくださった。植松のあんどうなつは絶品で、その昔、可愛がっていた劇団員の芸名に付けたことを思い出した。今宵の舞台がハネたら皆で食べよう。

 さあ、熊沢博士、これからアトリエに向かいます。天才と狂気、紙一重の芸をお見せしましょう。生涯でたったひとりの友人、梅さんの希望を叶えて上げる為に。

明日も雨かな…

2008年04月25日 | Weblog
 開場前、佐藤龍星が現れたので、急遽博士を演ってもらう事にして、僕は営業に出た。23時、10年組の片山、樋口と落ち合い、中新の香港屋で遅い晩飯。佐藤の芝居が良かったので是非観て欲しかったと、樋口。24時半、帰宅。明日の準備をしてパソコンに向かっている。

 明日は僕が博士を演ります。1日休みをもらったので、脳が少しは鮮明になった気がする。ぐずついた天気が続いている。ポンコツの肉体を何とか騙しながら生きているが、体力を使う仕事は悔しい思いをすることが多い。日々鍛錬は怠るまい。行けるところまで行って、さらばだ。思いのままに生きた人生、何の未練があろうか。雨なら雨で、晴れたら晴れたで、喜んで迎えよう。

風に踊る庭の木々たち

2008年04月24日 | Weblog
 昨夜のブログには、どうやら現在演じている熊沢博士の感情が入っていたようだ。博士はボスこと武田梅雄と桜子の愛憎劇を見ぬ振りしながらも心配している。心血を注いで造った桃子人形にひとめ惚れしたというこそ泥の守に対しても、微笑ましく思っている。

 三億五千万円のキャッシュを詰めたジュラルミンケースを下げてボスの邸宅を後にした博士が、その後どうなったか物語には描かれていない。急転直下、ボスの幸福は砂糖菓子のように儚く崩れ、岩沢が始末する手はずの守は…。

 運命は誰にも微笑まないが、それでも幸せである。裸月物語から、僕は今も書きつづけている。「ジルバ」の主人公吉村咲は、「歌うこと」を手に入れるために生死の境をさ迷い、大切な恋人、友人全てを失くして生きかえった。「ガラス工場」の小燕は、両親を始め、次々とまわりの人を毒殺し、遂には育ての親であるマダムまで毒殺し、一人ぼっちとなる。どうも、生きる事の意味より、死ぬことの意味を探しているようだ。

 例外もある。7月に上演予定の「ミッドナイトフラワートレイン」は、ひとりも死なず物語の幕が下りる。母と娘の情愛、女の子の友情、かりっと焼きあがったおせんべいのような物語を書いてみた。

 さて、今夜もどうやら僕は熊沢博士を演るらしい。ひたすら人形製作に精力を傾ける博士。唯一の理解者ボス(博士は梅さんと呼ぶ)の為に、今宵も狂気の脳細胞をフル回転させましょう。それにしても、今日は風の強い日だ。緑に繁った庭の木々が踊っている。アンダルシアのメロディに聞こえるのは、僕の感傷であろう。J・R・ヒメネスの「プラテーロ」を懐かしく読んでいる。

「桃のプリンセス」考

2008年04月24日 | Weblog
 外国航路の船が入港する港町横浜は、異国情緒豊かで、物語が浮かぶ。「月光の不安」は、ルーマニア国籍の貨物船「トランシルバニア号」から嵐に紛れて棺が陸揚げされる場面から始まる。「ガラス工場にセレナーデ」は、山下町の娼館「夕陽楼」から始まる。そして、「桃のプリンセス」は、海を見下ろす高台にあるギャングの邸宅に、こそ泥が忍びこんだところから始まる。横浜に住みたいと思いながら、遊びに行くばかりで、一度も暮らしたことはない。憧れは今も続いている。

 こそ泥の守役「司亮」くんは横浜の出身らしい。舞台の合間に、いつか横浜で上演したいね、と、語り合ったりしている。桃子人形役の三田裕子嬢は、何が大変かと言うと、人形なので瞬きが出来ない事だ。最長で三分間は瞬きが出来ない。しかも、母親の桜子役に早替わりがあるので着替えも大変だ。初舞台、初主役、その緊張に負けないで良くやっている。こそ泥と人形の純愛物語、派手な銃撃戦に打ち消されて見えにくいが、二人の新人の微笑ましい演技に僕は袖で涙している。

今日から熊沢博士

2008年04月23日 | Weblog
 先週まで菅原純さんが演っていた熊沢博士を、今週は僕が演じる。機械工学の天才、世界の100年先を行く孤高の科学者、年齢68歳、独身、究極のアンドロイドを完成させ、遂に進化する機械の製作に挑戦しようと決意した矢先…。さあて、どんな博士になりますやら。では、そろそろ行って参ります。