井戸敏三・兵庫県知事は11日、和歌山市で開かれた近畿ブロック知事会議で、東京一極集中に触れ、「関東大震災が起きれば相当ダメージを受けるから、これは(関西経済にとっては)チャンスですね」などと述べた。
この発言を聞いて先ず、「これが知事職にある人間の発言?」と首をかしげた。さらに、発言の主が約14年前にあの未曾有の大地震に見舞われた兵庫県の首長だというのだから開いた口がふさがらなかった。
中には、不振の続く関西経済を心配して出た発言だ。言葉尻を捉えても、という意見もあるという。
だが、発言要旨(朝日新聞の電子版)を何度読み返してもそんな言い訳は許されない内容だ。
「まず、東京一極集中をどうやって打破するかという旗を揚げないといけない。物理的には、関東大震災なんかが起これば相当ダメージを受ける。これはチャンスですね。チャンスを生かす、そのための準備をしておかないといけない。機能的には、金融なんです。金融とマスコミが東京一極集中になっている。東京に行った企業をもう一度、関西に戻せというカムバック作戦を展開していく必要がある。(中略)そういう意味では、防災首都機能を関西が引き受けられるように、あるいは第2首都機能を関西が引き受けられるような準備をしておかないといけない」
TV報道を見ていると、井戸知事が「被災地兵庫」の出身であり、その兵庫県の首長を長期に渡って務めてきた人だから彼の発言の裏には重い意味があったのではなどという意見があったが、あの時辛酸をなめた人であれば、こんな軽はずみな発言をするはずはない。
そう思って調べてみると、彼の出身地は震災の被害はほとんどなかったたつの市だ。それも、小学生の時に他県に転校している。また、発災時には自治省の審議官を務めており、震災後に政府自民党に落下傘人事で副知事のポストに就けられた人物だ。大震災の苦しみを分かっている人とは言い難い。
いったん大地が揺らげば、数万人もの命が奪われるかもしれないと言われている自然災害だ。それを、たとえどんなに苦しい経済事情があろうともビジネスチャンスだなどと考えることだけはやめてもらいたい。
釈明の記者会見を見ていると、同知事に全く反省の色は見られず、逆に開き直っている感さえ伺える。また井戸知事に取材する立場の記者席からは詰め寄るどころか、逆にお愛想笑いがもれたのも気になった。
命の尊さをどう考えるか。人それぞれ考え方は違うだろうが、危機管理を専門にしてきた私には井戸知事の態度も報道陣の緊張感のない姿勢も許せない。
この発言を聞いて先ず、「これが知事職にある人間の発言?」と首をかしげた。さらに、発言の主が約14年前にあの未曾有の大地震に見舞われた兵庫県の首長だというのだから開いた口がふさがらなかった。
中には、不振の続く関西経済を心配して出た発言だ。言葉尻を捉えても、という意見もあるという。
だが、発言要旨(朝日新聞の電子版)を何度読み返してもそんな言い訳は許されない内容だ。
「まず、東京一極集中をどうやって打破するかという旗を揚げないといけない。物理的には、関東大震災なんかが起これば相当ダメージを受ける。これはチャンスですね。チャンスを生かす、そのための準備をしておかないといけない。機能的には、金融なんです。金融とマスコミが東京一極集中になっている。東京に行った企業をもう一度、関西に戻せというカムバック作戦を展開していく必要がある。(中略)そういう意味では、防災首都機能を関西が引き受けられるように、あるいは第2首都機能を関西が引き受けられるような準備をしておかないといけない」
TV報道を見ていると、井戸知事が「被災地兵庫」の出身であり、その兵庫県の首長を長期に渡って務めてきた人だから彼の発言の裏には重い意味があったのではなどという意見があったが、あの時辛酸をなめた人であれば、こんな軽はずみな発言をするはずはない。
そう思って調べてみると、彼の出身地は震災の被害はほとんどなかったたつの市だ。それも、小学生の時に他県に転校している。また、発災時には自治省の審議官を務めており、震災後に政府自民党に落下傘人事で副知事のポストに就けられた人物だ。大震災の苦しみを分かっている人とは言い難い。
いったん大地が揺らげば、数万人もの命が奪われるかもしれないと言われている自然災害だ。それを、たとえどんなに苦しい経済事情があろうともビジネスチャンスだなどと考えることだけはやめてもらいたい。
釈明の記者会見を見ていると、同知事に全く反省の色は見られず、逆に開き直っている感さえ伺える。また井戸知事に取材する立場の記者席からは詰め寄るどころか、逆にお愛想笑いがもれたのも気になった。
命の尊さをどう考えるか。人それぞれ考え方は違うだろうが、危機管理を専門にしてきた私には井戸知事の態度も報道陣の緊張感のない姿勢も許せない。