金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【思い出のレストラン①】 初ボーナスで両親を招待した場所 『南国酒家 原宿本店』!

2022-08-26 05:36:47 | グルメ

 ひょんなことから、原宿の風景を眺める機会があって、1965年に分譲販売された日本初の億ション「コープオリンピア」の1Fにある『南国酒家 原宿本店』を見つけてしまいました。

 

 南国酒家は中国料理の老舗ですが、テナントとして入っている「コープオリンピア」の管理組合が2009年に建替えを決めたことから、この創業の場所から出ていかざるを得ない運命でした。ところが、その後、現在のコープオリンピアが建築基準を満たしていないことが判明して、予定通りの建替えが難しくなって計画が頓挫、その結果、お店は現在に至るまで存続しておりました。

 すでに無くなっているものと思い込んでいただけに、「まだ残っていたのか・・」と、自分の感慨もひとしおでありました。というのも、この南国酒家は、私にとっては「思い出のレストラン」に他ならないからです。

 

 

 もう40年近く前の話になります。

 自分の実家は代々木にありましたので、当時、近くに存在する高級中国料理のお店と言えば、原宿の南国酒家

 大学を卒業したばかりで、それまでは、ずっと親の脛をかじっていた自分にとって、両親にちゃんと「感謝」できるチャンスは、初ボーナスを貰う時だろうと心に決めておりました。そして初ボーナスを貰った直後に、思い切って、両親をこの南国酒家にご招待いたしました。会社に入ったばかりの23歳の春。1984年の6月ですから、バブル景気へ突入する手前の時代。南国酒家のコース料理は今と変わらず、1万円前後だったと思います。

 味はもちろん美味しかったけれど、とにかく量が多くて、ラストに控えていた名物料理の「鯉のから揚げ」に、3人掛かりでも、もう全く手が付けられなかったことを覚えています。(あとでお店の方を掴まえて「従業員の皆さんで召し上がって下さい」と丁寧に謝ったことも忘れられません)

 両親はまだ50歳台でしたから、相応に健啖家だったのですが、さすがに帰りは「お腹いっぱいで動けず」という状態に。店の前でタクシーを拾って、代々木の実家まで連れて帰りました。

 

 よくよく振り返ってみると、自分が両親に対して親孝行らしいことをしたのは、この時の南国酒家ご招待くらい。感謝の言葉を口にしたのも、この時と、父と母がそれぞれ亡くなる直前に、病院で寝ている姿に対して口にした時だけもう少し、きちんと感謝して、ちゃんと親孝行をしておけば良かったと今になって思いますが、後悔は先に立たず。

 

 ちなみに、7年前に父が亡くなったあと、母から聞いたのですが、父は、この時の南国酒家のことが良い思い出だったらしく、酔っぱらうたびに「最後に出てきた鯉の丸揚げをまったく食べれなかった」と、嬉しそうに繰り返し繰り返し、誰ともなくに話していたそうです。

 

 その母も3年前に見送りましたので、あの時のことを覚えているのはもう自分だけになりました。

 いや・・ 原宿の南国酒家がまだ残っているのだったら、お店自身が、あの時の3人のことを覚えてくれていますかね。一度、覗きに行きたくなりました。

 いつまでも、残っていてほしい『思い出の場所』です。


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