まずは小倉の北九州記念。勝ったのは、16番人気のロードカナロア産駒ボンボヤージ。好スタートから7番手の内内を追走して脚を溜めます。前半3ハロンは32秒7と流れるペース。直線に入ると、1番内側から馬場の良い中央へスライドして、そこからスパート。距離の無駄がなく、しかも33秒5の上りで突き抜けて、1馬身1/4差で快勝。良馬場の勝ちタイムは1分6秒9。ボンボヤージは嬉しい重賞初勝利。川須栄彦騎手も7年ぶりの重賞制覇。効率良いレース運びを実現した川須騎手のファインプレー騎乗が勝因。
2着は、中団後方から最内を突いて伸びてきた5歳牡馬のタイセイビジョン。短距離重賞ではまたまた惜しい2着。3着は1番人気の3歳牝馬、ミッキーアイル産駒ナムラクレア。一度外へ持ち出そうとして前が塞がり、また内側へ進路を変えて追い込んできての3着ですので、1番強い内容のレースでした。残り600mの位置は、2着のタイセイビジョンとナムラクレアはほぼ同じでしたが、走った距離は相当違うので、実質的な上り最速はナムラクレアの方だったと思います。4着は3歳牝馬のアネゴハダ、5着は4歳牡馬のモントライゼ。
9月のGⅠスプリンターズSに向けて、3着のナムラクレアは、十分に良い試走が出来たのではないでしょうか。また4着のアネゴハダ、逃げて7着のテイエムスパーダも見所はありましたので、この3歳牝馬3頭と2着のタイセイビジョンは、本番に向けては要注目馬と思います。
そして札幌記念。勝ったのは、モーリス産駒の4歳牡馬ジャックドール。好スタートから、逃げるパンサラッサ、2番手のユニコーンライオンの矢作厩舎2頭を見ながらの3番手を選択します。パンサラッサの前半1000mのペースは59秒5と、いつものスピード感がありません。ただし、馬場は見た目よりも重く、後続のスタミナを奪っており、淀みないペースでのレース展開は予想したとおり。逃げるパンサラッサ、それをおいかけるジャックドールは、直線に入っても、馬体を併せて競り合いが続きます。後続の馬もすでに脚を使ってしまっており、3番手にいたウインマリリンだけが2頭を追いかける勢いが残る程度。4番手にいたソダシは完全に脚が上がっています。ラストは、ジャックドールがクビだけ前に出たところがゴール。良馬場の勝ち時計は2分1秒2。激戦のマッチレースを制したジャックドールは重賞2勝目で、天皇賞秋という大目標に向けて好スタートを切りました。また、ジャックドールにとっては好位から差す競馬が出来たことは収穫大だったと思います。
2着のパンサラッサは、馬場が想像よりも重かったせいか、いつものスピード感がありませんでしたが、最後まで粘ったスピードの持続力はさすが。これが東京の軽い芝では、また結果が違うかもしれません。それよりも、この結果をもって、凱旋門賞は断念するのか? そこが気になります。出来れば挑戦してほしい。3着のウインマリリンは、この2頭さえ居なければ最強の逃げ馬であり、それを証明した3着。4着のアラタは芝2000mの適性の高さを見せてくれた4着だったと思います。天皇賞秋では忘れないように致しましょう。
1番人気のソダシは、やはり消耗戦の2000mでは用無しでありました。昨年の秋華賞の時と同じで、脚が上がってしまいました。GⅠならばマイルまでで勝負すべき馬です。また、ステイヤー部門のグローリーヴェイズとユーバーレーベンには、もっとハイペースになってくれないと入着のチャンスもなかったレースでした。
ちなみに、今年も十分に「GⅠ」格付に匹敵するレース内容でした。早く、札幌記念がGⅠに昇格しないかなぁ。