アラフィフ女のないない日記

独身、財産なし、家族なし。ないないずくしの待ったなし、の50代のホンネを書いてゆきます。

雪食う犬

2011-02-11 09:11:03 | Weblog
「太郎の上に雪ふりつむ
次郎の上に雪ふりつむ」

昔、国語の教科書にこんな詩が載っていたが、今、窓の外は静かに雪が降っている。
実家の「ゆう」のお墓の上にも雪が落ちていることだろう。

「ゆう」は雪が大好きな犬だった。
千葉だから雪が降るのは年に2,3回、5センチ以上積もれば大雪と感じる土地だが、ゆうが我が家にもらわれてきた年に大雪が降った。
勤労感謝の日に生まれ、アイロン箱に入ってもらわれてきたゆうは、5センチの雪では埋まってしまう。
寒くて嫌がるかな、と思いながら外に出してみたら、むしろ嬉しそうにズブズブ雪の中でもがいて、小さなしっぽをくるくるふった。

大きくなってもゆうは雪が好きだった。
今は8面のテニスコートになっている近所の空き地がゆうと仲間たちのドッグランだった。
そこはところどころ小さな穴があいているフェンスでかこまれた、犬たちの聖域。
仲間のいる日は「ズドドドドドド・・・」と地響きがしそうなくらいの、ものすごいかけっことじゃれあいの場になるのだが、雪の日にお友達と会ったことはなかった。

秋までに生い茂ったセイタカアワダチソウとススキが枯て倒れた上に、雪が積もるとスカスカの雪の層になる。
ゆうは、ほとんど足跡のないふかふかの雪の中でビョング、ビョング、と跳びはね、ひとしきり走り、その合間にシャク、シャク、シャク、とおいしそうに雪をかじった。

それをしばらく見ていると、こちらは冷たさが足からあがってきて「ゆう、帰るよー」と何度か声をかける。
するとゆうは、いつも以上に名残惜しそうにそこらをウロウロして、やっともどってくるのだった。

寒い晩は、ゆうにお古のジャンパーを着せてやる。
「ゆう、明日も雪が残っているといいね。おやすみ。」