年金ふわふわ

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高齢者世帯の所得と年金

2014年08月22日 | 新聞連載記事
平成25年の「国民生活基礎調査」の結果が、先月公表されました。各階層約30万世帯、74万人を対象にした調査です。あくまでも平均値ですが、調査結果の中から高齢者世帯の所得や年金との関わりを見てみましょう。

調査では高齢者世帯を、おおむね65歳以上の者のみで構成される世帯としています。老齢年金を受給する世帯に当たります。高齢者世帯の平均所得金額は309万1000円。その総所得のうち、68.6%が公的年金や恩給、18%が給与や事業所得など、働いて得た所得となっています。平均値で見ると、総所得のほぼ7割を年金が占めているわけです。

また、高齢者世帯のうち年金を受給している世帯の中で、所得の全てが年金という世帯は57.8%、所得の8割以上が年金という世帯を含めると、全体の約70%となります。

一方、貯蓄の状況をみると、児童のいる世帯、母子世帯といった調査対象の全世帯平均が1047万円であるのに対し、高齢者世帯は1268万1000円です。一見余裕があるように思えますが、高齢者世帯の5割近くは貯蓄が減少しており、貯蓄を取り崩して生活費に充てていることがうかがえます。

さらに、生活意識の状況は、高齢者世帯の54.3%が、生活が苦しいと答えています。全世帯で見てもここ10年、生活が苦しいという世帯がじわじわ増えています。

調査結果のとおり、高齢者世帯は所得のほとんどを年金に頼らざるを得ませんが、今後、年金は給付水準が引き下げられます。個人としても、それを踏まえた備えが必要です。