Andyの日記

不定期更新が自慢の日記でございます。

21世紀のフランス革命

2006-03-24 12:58:01 | ニュース
とまではいきませんけど、フランスでの雇用促進法が原因の暴動はすごい
ことになっているようです。フランスではこの間も、雇用をめぐる差別
待遇で暴動が起きたばかりだというのに、また火に油をそそぐような
法律ができたものだ、と思っていたら、どうも話はそう単純ではない
ことがわかりました。Yahooのニュースには、こう書いてあります。



『若年層の雇用促進法「初就業契約(CPE)」は失業率が約23%と高率の
二十六歳未満を対象に二年間、雇用主に解雇の権利を認める仮契約の形で、
政府が率先して就職を斡旋(あっせん)したり必要な技術を身につけさせる
という内容。フランスでは正規雇用の場合、解雇がほぼ不可能なうえ、
雇用主の社会保障制度(年金、健康保険、失業保険)の負担額が高いことが
高失業率の主因となっているため、仮契約でまず就職を優先させようという
雇用促進策だ。』



この中で、「フランスでは正規雇用の場合、解雇がほぼ不可能」というのが
ミソですね。特に法に触れるようなことでもしないかぎり解雇できない
というのは、言ってみれば社会主義と同じなわけで、こうなってしまうと
社員は「どうせクビにならないんだし」と、仕事をする気をなくしてしまい
がちになり、国際競争力のある産業が育たなくなっても不思議はありません。

最近EU加盟国の間では、持つ国と持たざる国とのギャップが広がってきて、
国を超えた企業の買収活動が活発化しているのだそうです。フランスは
実際のところ「持たざる国」に転落してしまっているようで、こないだも
イタリアからの企業買収騒ぎが起きて、それを国をあげて阻止しようとして
批判をあびたばかりです。

今回の雇用促進法は、フランス版「痛みを伴う改革」ということなのかも
しれません。確かにこの法律を適用すれば仮契約での雇用は促進されるし、
しかも危機感を持って仕事をする人が増えるでしょう。でも、こと人権に
ついては特にうるさいフランス人。特に労働に関する権利の獲得には、
歴史的にうるさかった彼らのこと、一筋縄ではいかないでしょう。

ずっと昔、フランスの工場で、労働者が自分たちの権利を認めさせる争議行動を
しているときに、工場の機械を動かなくさせるために、機械の歯車に木靴を
はさみこんだそうです。その木靴は「サボ」といい、それが「サボタージュ」の
語源になった、という話をきいたことがあります。それくらい、自らの権利に
ついては手段を選ばないフランス人。今回の暴動もそれを考えると当然のこと
なのかもしれませんが、しかし少しは落ち着いて大人の行動を取ろうよ。