Andyの日記

不定期更新が自慢の日記でございます。

Kiss me girl, your old one

2006-10-02 13:14:39 | ニュース
先日、君が代斉唱を強制するのは憲法違反、という判決が出た。また、
日本の国家を変えよう、という意見もいろんなところで出ている。
最近では、あの長老・日野原重明先生も、公の場で演奏する国家だけでも
変えたほうがいいのではないか、という意見を述べられている。戦争経験者の
意見なので、割と重みのある意見ではあるけど、しかし、そんなことをして
どんな意味があるのだろうか。

君が代を国歌として歌うことに反対したり違和感を覚える人たちの意見の多くは、
君が代が軍事国家形成に利用された印象が強いので、悪しき歴史の印象を払拭
するためにも、新しい国歌を作ったほうがいい、というもののようだ。その気持ちは
わからないでもないが、冷静に考えてみると「?」と感じられることがある。

まず、悪しき印象ということだが、君が代を聞いて気分を害する世代というのは
いったいいくつくらいの人なのだろう。私の両親は戦争にこそ行かなかったが
戦争は経験している。しかし、君が代を歌うことに何の抵抗もないし、君が代を
歌うことでつらい戦争時代を思い出す、なんて話をしたことはない。もちろん、
私も君が代を聞くことにも歌うことに違和感や嫌悪感はなにもない。

「悪しき印象」というのが対外的、つまり国際社会に対するイメージのことを
言っているのであれば、それは心配しすぎというものではないのか。日本が
君が代を歌わなくなれば、日本が新たに戦争を起こす可能性がなくなると
決まるわけでもなければ、君が代を歌い続けることでまた新たな戦争を引き起こす
可能性が高まるわけでもない。諸外国だって、日本がいまだに君が代を歌って
いるから、また戦争を起こしそうだ、などとはもう考えまい(以前は考えていた
ようだが)。それなら、むしろ政治家の靖国参拝のほうが、対外イメージは
うんと悪いはず。

また、第二次大戦以降も君が代は依然として国歌であったけれども、日本は
戦争に参加したりはしていない。ベトナム戦争にも、湾岸戦争にも、イラク
戦争にも(自衛隊は派遣したが、あれは一応復興支援目的)、参加していない。
ちなみに、我々と同じ敗戦国のドイツでは、ナチスの記憶を消すためにも国歌を
変えようという動きがあり、実際歌詞だけは変えられている。日本もドイツも
同じ敗戦国で、片や国歌を変えた国、片や国歌を変えない国なのだが、両国の
戦後の歩みにそれほど大きな差は見られない。ドイツが戦争に参加したとか
新しく戦争を起こしたということはないし、日本もそんなことはしていない。
これはつまり、戦時中に戦意高揚のために使われた国歌であろうがなかろうが、
国歌自体が国を戦争に駆り立てるわけではない、といういい証拠だ。

少し脱線したので話を戻すが、この「悪しき印象」というのは、なぜ今になって
これほど声高に叫ばれるのだろう?戦時中に実際に苦しんでいた人からは
むしろあまりそのような意見はあがっていないというのに。彼らが君が代に
神経質になっているのは、もしかしたら「君が代は兵士の戦意高揚の目的で
使われたという歴史的事実を、君が代を歌うたびに意識したくない」という
ことなのだろうか。そうだとすれば、それは最近の若い人に顕著な清潔ブーム
みたいなものではないか?

何でもかんでも抗菌グッズで身を固めていて、食堂においてあるプラスチックの
箸は誰が使ったかわからないから使いたくない、みたいな。電車のつり革は
気持ち悪くてつかめないとか、自宅以外のトイレの便座には気持ち悪くて
そのまま座れないとか、そういう人たちと同じようなものではないのだろうか。
そういう神経質で自己中心的な人たちの意見なのだとしたら、残念なことだ。

それとも、彼らは天皇制そのものに反対している人たちなのだろうか?
でも本来、君が代の歌詞の内容は、天皇の世が長続きするように、
という意味の歌詞ではないらしい。これは古今和歌集に収められている
読み人知らずの民謡で、単に誰か身近な人の家内安全・健康第一みたいな
ことを歌った歌にすぎないそうだ。今はもう天皇は人間宣言をしてしまって
いるのだし、本来の意味の歌として解釈すればいいだけではないのかな。