アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

ピリオド楽器でショパンコンクール

2018年11月25日 | ピアノ
「ショパン・時の旅人たち 第一回国際ピリオド楽器コンクール」というドキュメンタリーを見ました。

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ピリオド楽器、って、つまりショパン時代のピアノを並べてコンクールやるわけで、やるほうも出るほうもそりゃ大変ですよね。よくやるよ。というか、「第一回」ってことは、今後もやるの?? とちょっと半信半疑だったけど、この番組見て、ほんとだー本気だーすごい!!

ショパンが生涯に縁のあった楽器、ということで、いくつかの楽器から参加者が選んで演奏できるんです。
ピアノ(Graf, Buchholtz, Erard, Broadwood, Pleyel)

このうち、より古いピアノというと、ショパンがポーランドにいたころに弾いていたGrafとBuchholtzということになるけど、さすがにモノホンは使える状態のものがないらしい。このコンクールに登場するのはレプリカです。特にBuchholtzは作りたて(2017)。エラールとプレイエルは、大人になったショパンが弾いていた楽器として有名だよね。体調のいいときはプレイエル、よくないときはエラールとかなんとか。

選ぶのも、一つではなくて、曲によって違うピアノを使ってもいいんです。一つのステージで三つまで選ぶことができて…曲の特徴、作曲年代とかを考えて、より合う楽器を使うというのはちょっと考えるととてもよさそうだけど、現実問題、おうちにあっていつも練習しているのとまったくキャラの違うピアノを、ステージ上でころころ入れ替えながら弾いていると感触の違いから恐ろしいことが起きそうで、それはそれで自信がないとできないことかもしれない。

番組で見る感じでは、このコンクールの参加者の中には、モダンピアノに軸足がある人、フォルテピアノに軸足がある人の両方いて、番組がメインで追いかけてた人(日本人、二位になった川口成彦さん)の場合だとどっぷりフォルテピアノ。それで彼は、めいっぱい三つ選んで使い分けてたりしたんだけど。

彼は子供のころは特に音楽の専門教育を受けたってわけではなくて習い事程度で、中高はふつうに勉強の学校(聖光)、大学はピアノ科でなくて楽理ということで、ピアノの技術そのものについては周りの参加者より遅れをとっていると自認しているらしい(少なくとも番組の中ではそんなふうに)。それで、フォルテピアノをうまく使って表現するってところで良さを出そうとしてるのでしょうね。

ファイナルステージになると、協奏曲を一曲弾くわけで(ふつうのショパンコンクールと同じ)、どれか一つのピアノを選ぶんだけど、さてどれを選ぶのがいいか、という…

もちろん、素直に考えれば音量的に一番で、オケに負けない華やかな演奏ができそうなエラールが第一選択になるわけで、
川口さんのほかはみんなエラール。

川口さんは、ポーランド時代のショパンが使った楽器でポーランド時代のショパンが作った曲(ピアノ協奏曲第二番)を弾きたいということでBuchholtzにかなりこだわったんだけど、これは鍵盤の幅がほかのピリオド楽器よりさらに狭くて軽く、十分この楽器で練習しておけるのでなかったら崩壊の危険がある。川口さんは、前日Buchholtzを借りて練習できないか交渉していて、運営側も検討してくれたんだけど、なにせ大切なオンリーワン楽器で(レプリカといっても本気でやっと作れたやつ)提供できなくて、似た楽器(Graf)なら貸せるとか…

結局、川口さんは土壇場でBuchholtzをあきらめ、より自信の持てるプレイエルに鞍替えしたんですね。

崩壊するにしてもこの特別な場で特別な楽器(Buchholtz)を弾きたいというロマンもものすごく魅力的だったらしいけど、
やはり自分としてベストの演奏をするという責任を果たすほうに傾いた。

実際、よかったんじゃないでしょうか。番組中ではハイライトしかやってなかったので動画を探して全部聞きましたけど。

ファイナルの動画

あんなに迷って悩んでたのが嘘みたいにふっきれた様子で、よい流れを楽しんで演奏していた、ように見えました。

川口さんの場合、ピアニストとしては出遅れた(?)面があり、ふつうにモダン楽器を弾く中では彼でなくてはいけない部分をどうやって出していくか、見えなかったところ、フォルテピアノとの出会いは「突然多彩な絵の具が手に入った画家のように」できることが広がった感触だったみたい。

ショパンコンクール…の、ピリオド楽器バージョンで入賞するためには、単に「ピアノ」がうまいだけではダメで、ショパン時代のピアノとの対話がうまくできてその声を活かせるということがしっかり噛み合うことが必要なのですね。

逆にいえば、そこにいわゆるふつうの「ショパンコンクール」とは違うキャリアパスを見出すチャンスがあるわけで、だからこのコンクールにはモダン楽器で弾くピアノという世界の中で自分の位置付けに迷いがある人というのがさまよって来る構造というのがあって(番組の作りもなんとなくそこらへんに焦点を当てている雰囲気)、それに合わせたのか、年齢制限もちょっと上シフトしている。ピリオド楽器から教えてもらったことを糧に、それぞれのよりよい人生があるといいですね…


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