ラン

史上最悪のテロ:NY世界貿易センター旅客機による体当たり攻撃

【事件の経過 】アメリカの繁栄と力の象徴を狙った、乗っ取り旅客機による体当たり攻撃は、史上最悪のテロとなった。犯人グループが乗っ取った4機の機上では何が起きていたのか。犠牲者は数千人規模とされるニューヨークの世界貿易センターで生死の分かれ目はどこにあったのか。あやうく難を逃れた人々の証言、米メディアの報道、そして現場に居合わせた本紙記者の取材などから、「悪夢の9月11日」を再現し、検証した。読売新聞ニュースより。
(時間は米東部時間、日本との時差はマイナス13時間)

【9月11日】
8・45 ニューヨーク・マンハッタンの世界貿易センターの北側タワーにアメリカン航空11便が突っ込む
9・03 南側タワーにユナイテッド航空175便が突っ込む
9・20 ブッシュ大統領が「事件はテロ」と声明
9・40 航空当局が国内の航空機全機の離陸を禁止
9・45 ワシントン郊外の国防総省にアメリカン航空77便が突っ込むマンハッタン島は封鎖状態。証券取引所は閉鎖
10・00 世界貿易センター南側タワーが倒壊
10・10 ユナイテッド航空93便がピッツバーグ郊外に墜落
10・30 世界貿易センター北側タワーが倒壊
12・40 ブッシュ大統領がルイジアナ州の空軍基地でテロ行為への報復を宣言
13・00 ワシントンに非常事態宣言全米で大リーグの試合が中止。その他のイベントも次々と中止を決める。
会社から帰ってきてTVを見ていた。突如として衝撃の映像がまるで映画である。暫らくのあいだTVに夜中1時頃までクギ付けの状態となった。

【9月12日】ブッシュ大統領が、ブレア英首相、シラク仏大統領、シュレーダー独首相、プーチン露大統領、江沢民・中国国家主席らと電話会談、テロ対策で共闘を合意。
10・05 ニューヨークのジュリアーニ市長が行方不明者は4763人と発表。ブッシュ大統領が今回のテロは「戦争行為」と非難。上下両院が「テロ根絶の戦い」を政府に求める決議案を全会一致で採択。北大西洋条約機構(NATO)が、米の支援要請があれば集団的自衛権を行使することで合意。

【9月13日】
11・00 ブッシュ大統領が今回のテロを「21世紀最初の戦争」と言明
11・00 全米各空港の旅客機の運航禁止が解除
13・15 司法当局が実行犯は少なくとも18人と発表
13・20 パウエル国務長官がイスラム原理主義指導者ウサマ・ビンラーディンの関与の可能性を認める。

【機上】 
◇アメリカン航空11便(ボストン発ロサンゼルス行き、乗員・乗客92人)「乗客刺された」震える声
定時の午前7時59分、米北東部のボストン・ローガン国際空港を飛び立った。順調な離陸だった。乗客はテレビプロデューサー、ダンサー、ビジネスマン、女優と多彩な顔ぶれだった。ロサンゼルスに住む日本人の青山世磨さん(48)(創価学会インタナショナル本部勤務)もいた。16分後の8時15分、機体は針路を大きく外れた。異変が起きていた。
「高度を2万9000フィートから3万1000フィートに上げて下さい」管制官の指示に応答はない。便名、速度、高度などを自動発信するトランスポンダーが突然切れた。操縦席では、ジョン・オゴノウスキー機長(50)が機転を利かし、犯人に気づかれないよう音声装置ボタンを押していた。「バカなまねはするな。痛い目には遭わせない。ほかにも飛行機はある」強いなまりのある英語が管制官の耳に入ってきた。アメリカン航空の運航センターには、乗務員から一報が入ってきた。「乗客が刺されました」その声は震えていた。
ニューヨークに接近すると、高度を約280メートルに落とした。保険会社副社長のクライド・バンクスさんは世界貿易センターの北側タワー103階で会議中だった。上司が突然、大声をあげた。
「あれを見ろ!」
8時45分。ジェット燃料をふんだんに残し、巨大な爆弾と化したボーイング767型機が、ガラス張りのタワーに突入した。大惨事の始まりだった。

◇ユナイテッド航空175便(ボストン発ロサンゼルス行き、乗員・乗客65人)携帯で最後に「墜落する」
アメリカン航空11便の離陸15分後、ボストンを飛び立った。乗っ取られた4機の中で、機内の情報は最も少ないが、それでも、携帯電話で地上にメッセージを送りつづけた乗客がいた。
妻と2歳の娘と搭乗していた32歳の男性は、叔父に「ナイフの男たちが乗務員を刺し、操縦席のドアを開けるよう要求している」と伝えた。最後の言葉は「墜落する」だった。38歳の男性は、自宅の留守番電話に妻あてのメッセージを残した。「だめらしい。愛している。幸せに生きてくれ」
アメリカン航空11便に続いて、世界貿易センターに突入したのは、離陸から約50分後だった。

◇アメリカン航空77便(ワシントン発 ロサンゼルス行き、乗員・乗客64人)
「ハイジャックよ」バーバラ・オルソンさん(46)は、携帯電話で、夫の勤務する司法省に一報を入れた。元検察官で、評論家のオルソンさんはテレビでもおなじみの顔だった。「複数の犯人が刃物をちらつかせ、(機長を含む)乗員と乗客に客室後部に移動するよう指示した」洗面室に閉じこもったオルソンさんは、内部の様子をつぶさに伝えた。Uターンして、首都に引き返してきた77便は、機上からもくっきりと見える五角形(ペンタゴン)の国防総省に急接近した。機体はいったん急上昇、方向を定めるように小さく旋回してから一気に突っ込んだ。米国の軍事力の象徴を粉砕する作戦だったのか。
「連邦議事堂の上空を低い高度で飛んでいた」「ホワイトハウス上空の飛行禁止区域に侵入していた」複数の目撃情報があるが、航跡や犯人の意図は明確でない。77便はビジネスマン、弁護士、学者など首都に住む乗客がほとんど。最年少の犠牲者は3歳児だった。

◇ユナイテッド航空93便(ニューアーク発 サンフランシスコ行き、乗員・乗客45人)3人で抵抗するつもりだ
管制官が異常に気が付いたのは、ニューヨーク郊外を離陸して約1時間半後の9時半過ぎだった。左に急旋回し、低空飛行で逆戻りし始めたのだ。機内では、ナイフなどで武装したアラブ系の男3、4人が次々と客室乗務員3人を刺し、操縦席に侵入しようとした。「爆弾だ」という赤い箱を持っていた。操縦士は「出ていけ」と叫んだが、まもなく流れてきたのはアラビア語なまりの機内放送だった。
「機長です。爆弾が仕掛けられています。空港に戻ります」
乗客は客室の後方に集められた。東京都杉並区の久下季哉さん(20)もいた。数人の男性はひそかに、ある相談をしていた。カリフォルニア州の38歳の男性は妻への2度目の電話で世界貿易センターへのテロ攻撃を聞いた。その後の電話で、「私たちは死ぬだろう。これから3人で抵抗するつもりだ」と話した。
31歳の男性もニュージャージー州の妻に、「テロリストを攻撃する。愛している。電話をつないだままにしておいてくれ。すぐ戻る」と伝えた。その後の連絡はなかった。別の男性からは、何らかの爆発が起きて煙が出ている、という通報もあった。10時過ぎ、93便はピッツバーグ近郊に墜落した。犯人たちの標的は不明だが、地上での巻き添えの犠牲者はなかった。最後の数分間、機内で何が起きたのか。
「地上の被害を食い止めるため、英雄的な行動を起こした人たちがいる」米国では、こんな見方が期待と共に広がっている。

■『徒然草2001 法則編』より
テロが発生した。ニューヨークの世界貿易センタービルとワシントンのペンタゴンに乗っ取られた旅客機が突っ込んだ。現在の経済・軍事超大国である米国を象徴する箇所が標的にされた。テロ・グループはホワイトハウスと米大統領専用機「エアフォース・ワン」も狙っていた疑いがあるという。将来ある一般市民の人生を突然、強制的に断ち切る無差別テロは、断じて許されるものではない。まさに言語道断である。
米大統領は、12日の声明で今回の攻撃を「戦争行為だ」と述べ、軍事的報復への強い決意を表明している。北大西洋条約機構(NATO)は緊急臨時総会で、事件を「加盟国全体への攻撃」ととらえ、米政府の要請があれば、集団的自衛権を行使することを初めて決めた。すべての論調が米国は善・正義であり、テロ集団ないしそれを支援するグループは邪悪であると断定している。今回のテロが狂気とも言える邪悪であることは論を待たない。ただ、ここで別の観点からこのテロに光を当ててみよう。まず、当然のことだが、実行犯は自分の命を捨てる覚悟をしていたということだ。まさに特攻隊である。今回のテロの精神的支柱の人物または指導者は、命を捨ててもこのテロが価値のあるのだということを信仰させていたのだ。これはある意味では、すごいことだ。だから、この指導者の力量を侮ってはいけないと思う。単なるテロの指導者と一面的にとらえるのではなく、その力量を冷静に評価するところから出発しなければいけないと思う。こんなことは、おそらく誰も言わないだろうから、集中砲火を浴びるのは覚悟の上である。具体的例を考えてみよう。G7とされるいわゆる先進国の指導者で自らの命を投げ捨てて事を遂行することを命じ、実施させてしまう人がいるだろうか。皆さんはこのような問いを愚問として、一笑に付するだろうか。「先進国は法律に基づき、人権に最大限の配慮をするのだ。テロの組織と比較するのはナンセンスである」と。確かにそうであろう。しかし、彼らは法律、人権などという基準によらないところに価値を置いているのだ。いわゆる先進国側の正義だけで判断できないものがあるはずだ。どのような正義を持ち出すとしても、人の命の価値は同じである。その命を捨てさせるほどの決断をさせられるということは、やっぱりただ者ではないと言わざるを得ない。
さて、今回のテロに関しては、米国は完全な善・正義なのだろうか? このような論調は単純すぎて危険だと感じるのは私だけか。一般的に言って、一方のみが善で、もう一方は悪だなどという図式が成立するとするのは、軽率すぎる。なぜ、米国の経済・軍事の象徴が標的とされたのか。今までの過去において、米国がこの事態を受けざるを得ない原因を作ってきたという側面を、無視するわけにはいかないと思う。やっぱり、どこかで恨みをもたれていたといえる。あえて不謹慎を承知で言えば、「相手方がどのような正義に基づこうと、自国が攻撃された惨状の悲劇、むごたらしさをやっとわかったか」と米国に対して本音で思っているのは、決してイラクだけではない。私の勝手な想像だが、かなりの地位にある人も含めて全世界には相当いるはずだ。そして、今回のテロだって、テロリスト側にすれば、彼らなりの正義とするものがあるはずなのだ。それを米国側の正義に基づいて、軍事的報復をすることは絶対に根本的解決にならない。米国は人類史上の最強の軍事力を誇る。それを報復にまともに用いたら、さらに多くの人命が絶たれる。相手からすれば、それは強力な軍事力を背景にする弾圧・殺戮そのものなのだ。力で一瞬はねじ伏せることが出来るかもしれない。しかし、そこには怨念、恨みが残る。表面的に当面は地下にもぐっても、遺伝子を通じて子孫に受け継がれるのだ。
11日の演説で米大統領は、聖書の詩篇を引用している。そして、最後にこう結んでいる。
God bless  America!
このGodが何を意味するのかはわからない。仮にキリスト的な神としよう。聖書には次の言葉がある。
「汝の敵を愛せ」「剣をもつものは剣にて滅ぶ」~報復することなかれ~

■米国同時多発テロ報道
9月11日のテロ発生から、1週間が経とうとしている。首謀者は誰なのか、米国の軍事報復はいつ始まるのか、行方不明の方の安否はどうなのか、NATOや関連諸国の対応はどうなのか・・ 一刻の予断も許さない状況である。私は、事件発生後、インターネット・新聞・テレビ等を今まで以上に頻繁に参照するようになった。とくにテレビは、朝から報道特集等で集中的に取り上げている。そこで、解説者として学者、評論家、ジャーナリストなどがコメントを求められてしきりに発言をしている。なかには、朝から晩までいろいろな番組に登場する学者、評論家もいる。さて、皆さんはこれらの学者、評論家たちの言動をどのような姿勢で見聞されているであろうか。
「さすが専門家だ。詳しいことをいろいろと知っているな」
「事件の背景に歴史を踏まえて論じているな」
「イスラム原理主義はいまひとつよくわからない」
等々、感想はさまざまであろう。私に言わせれば、彼らは専門家なのだから詳しい知識があるのは当然のことである。それはそうだろう。工場労働者が汗水流して働いているときに、彼らは文献等にあたり専門的知識を吸収し、考えを論文として発表しているのだ。したがって、専門的知識が彼らの頭にたくさん詰まっていることそれ自体に価値があるのではない。工場労働者だって、いまやっている作業のノウハウについて語らせたら、それはそれで私なんかには、さっぱりわからないような専門的なことをいっぱい話すと思うぞ。要は知識の多さに価値があるのではない。知識を背景としたその人の分析力、提言、感化力、さらには行動力がどのようなものであるかが、最も重要なことだ。言葉を変えれば、学者・評論家の研究が「本当に世の中のためになっているか」という観点からすべては判断されるべきなのである。
そのように考えると報道番組に登場している学者・評論家への見方が変わってくるはずだ。われわれは、専門的な知識を彼らからご教示していただくという一面的な立場に置かれるのみではない。彼らの日ごろの研究が本当に使えるものなのかどうかを(又は本物なのかどうかを)、われわれが厳しくチェックする機会なのである。
とくに学者先生は、普段はあまり一般社会で発言することが少ないであろう。自分の専門領域の垣根をつくって、真の意味で世の中に打って出ないというのはいかがなものであろうか。たとえば、経営学者を自認するのだったら、まずはやって見せることだ。実証に勝る説得はない。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

最近の「コラム・つぶやき」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事