観自在

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新たな祭り

2009-07-26 23:07:44 | コラム
 故郷があって、そこの祭りに参加できるのはよいですね。顔見知りの中で安心できるし、地域としての一体感が何となく心地よい。あまり濃密すぎるのは考え物ですが、今は地方へ行っても、ご近所づきあいに辟易しているような土地はなくなったでしょう。皆、根無し草のように放浪している、それが現代ではないでしょうか。五木寛之氏はかつてデラシネという語で、その感じを表現なさっていました。
 先週の土曜日、私は、また傭兵として祭りに参加しました。今回は、町内の山車を曳くという仕事。午後から御輿とともに町内を回り、夜、山車を曳いて祭り行列に加わりました。その町内は、若手がいないということで、参加しましたが、知らない土地で初めての参加ですから、勝手もわからず、知る人もいないという状況で、あまり盛り上がることはできませんでした。それでも、太鼓や鉦といった鳴り物が、大人から子供へうまく伝承されており、祭り囃子を聴いているだけで楽しい気分にはなれました。やはり、自分は祭り好きのDNAを持っているのだなあと再認識しました。
 この太鼓ですが、山車の上で三人が横に並んで叩きます。体を左右に振りながら、拍子をとりつつ叩くわけですが、この地区の独特の叩き方なのか、時折、右手を斜め後方に振り上げて、器用にばちを回転させ、少しのけぞった姿勢で止めてから、また叩き始めるという所作があります。女性がやっているのを見ていると、三人三様の味わいがあり、同じ所作でも個性とか、天分というものが出るのだろうと感心しました。
 山車を納めたあとは、近くの酒場で飲むのが恒例とのことでしたが、さすがに参加するのは憚られ、祭りはあっさりと終わってしまいました。そんなことから、これが自分の故郷で、地域の祭りだったらなあと思ったわけです。


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