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Now+here Man's Blog

Surf, Run and Trails / Endurance For Fun

大失速@月例湘南マラソンハーフ

2017-10-02 07:09:47 | ランニング

2017/10/1 月例湘南マラソンにて。

エントリーのハーフマラソンで不思議な現象が起きた。
前日まで痛かった足の甲だが、スタート時点で痛みが消えていたのだ。
しかも走行中も痛くなることはなかった。


前日までワラーチを履いて走っていたのだが、ワラーチの場合、地面かかる力点も反発もすべて足裏にかかる。
1ヶ月半もの間すべてを足裏アーチの反発に頼っていたため甲が悲鳴を上げたというわけである。
ある日から突然甲は熱を持ち、それから半月以上腫れ、普通の歩行さえままならなかったのだ。

そしてレース当日、デサントの非常にテーピング機能の高いソックスを着用。
http://www.descente-onlineshop.jp/dct/goods/index.html?ggcd=DAC-9710

まずソックス単体で痛みが緩和された。

このソックス凄い!

江戸時代に飛脚が長距離を走るために愛用した「足袋」機能を再現したソックス。

これにOn Cloudflashを履く。
ロードでランニングシューズを履くのは2ヶ月振り。
シューズのフィット感とホールド性でもはや完全に痛みを感じない。
本当は痛いはずなんだ。
でもその認識が脳から消えている。
オレの脳は都合がいいのだ。

これにアドレナリンが付加され足は完全にレースモード。

そしてスタート。

久々のシューズの感触に慣れるために、そして痛みを確認するために抑えて走る。
意識しなくてもフォアフットで走れている。
足は軽く、ワラーチ練習の成果がすぐにわかった。
1キロ通過で4分22秒。 正直びっくりした。
抑えてるのにオレとしてはかなり速い。
これで走りきったらサブ3。
心肺も苦しくない。

いつもならスタートして2,3キロ地点でゼイゼイ言い始めるのだ。
(心肺が温まる7キロくらいからは楽になるんだけど)
しかもペース4分40くらいで。

ペースが20秒も速くなってしかも楽ということはこりゃ本当にサブ3は夢じゃない!
そう思った。足も痛くないしね。

気流や血流やアドレナリンや、そういうものが甲に集中して特急治療をしているのだ。
走っているからこそ猛烈な勢いで治癒が始まっているのだ。

足も速度も心肺もすべて順調だった。5キロ地点までは。

そこへ異変が突然やってきた。

汗が目に入り、両目を閉じたとき、左右にふらついたのだ。
あれれ?と思った。えええ???なになに!!
ペースが一気に4分45に落ちた。

すれ違う一般ランナーは男なら上半身裸。
女でもブラにショーツで走っている。
恐らく体感温度が30度くらいになっていたかも。
とにかく暑い。

一気に体温が上がり、どうやら水分バランスの崩れが起こったようだ。

スタート前にしっかり水分を摂ってもそれ以上出た。
ジェルやアミノ酸は気休め。水こそ命。
とはいっても摂り過ぎでは走れなくなる。
たぶん暑さに対して事前摂取の量が足りなかったんだろう。

10キロ地点で棄権を考え始める。
もし棄権したら、初めての棄権になる。
棄権すると、ずっとずっと悔しい思いをするだろう。
それは嫌だ。タイム悪くても完走だけはしよう。
でもきつい。やっぱり棄権しようかなあ。。。

繰り返し正負の思いがやってくる。

15キロ地点、ついにペースが5分30に落ちた。
どんどん、どんどん抜かれる。

そして6分。
とうとう
歩き始める。
そしてまた少し走る。そして歩く。
17キロ地点でペース6分20。

そしてゴール。
1時間41分18。

息は切れていないし、足の痛みはない。
熱中症の際どいところだったかもしれない。
脱水っぽかった。
バッグから取り出したコーラを持つ手が震えていたからね。

前日10キロ、前々日10キロ、そして前夜の飲み会。
疲労溜まってたかも。
それと飲み会だとどうしても食事がツマミ程度だからね。

でもこれは言い訳になる。今が実力。

久々に残念で残念で悔しくて、その夜はなかなか眠れなかったほどだ。

唯一得たものはワラーチ効果で、想像していた通り、
良いシューズに履き替えて走法を改善すればタイムは劇的に良くなる。
がんばらなくても、勝手に身体が前に出る。

最初は硬いと思っていたCloudflashだったが、そのクッション性は最適。
最後の最後まで良きパートナーとして共に走ってくれた。
ヒールに頼ることなく、フォアをアシストしてくれたよ。

今回は完全失敗のレースだったけど、
そこから学ぶことはたくさんあった。

完全に2日空けること。
しっかり栄養バランス考えて食事すること。
そして何より忍耐と攻撃の気持ちを持つこと。

あるランニングトレーナーがマラソンは根性論ではない、と言ったが、それは違う。
気持ちが半分以上占める。
強い精神は強い肉体に宿るというが、その逆も然り。

強い脚は強い精神にしか宿らない。

それからその強い精神は一人で黙々と突き詰めるトレイルランニングと、
目標を持ったロードで養われる。

内なる自分への追い込みがあるので速さへ繋がる達成感が得られる。

結局のところ、闘う相手は自分だったよ。
気持ち入れ替え、目指すは2ヶ月後の湘南国際マラソン!!


その先のRun On Clouds.

2017-09-25 22:40:15 | ランニング

 

ワラーチで走り始めて1ヶ月ちょい。走行150キロ。
まだまだ!まだ初心者っす!
ワラーチはロードだけ。
トレイルでは危ない。6ミリしかないから。
根っこや石を爪先で思い切り蹴飛ばしちゃうし、ソールがツルッツルで危ない。
トレイル用にはトレイル用ワラーチを買うべし!

オイラはロードはワラーチ、トレイルはシューズ。
このスタイルでしばらくやってみようかと。

さて、気持ち慣れてきたのでレビュー、効果などなどを記します。

とにかく、ワラーチは路面の小さな凹凸を拾ってくれる。
路面状況がわかるのはとても良い。
フワンフワンのファミリーカーより、キビキビのスポーツカーが良い。
どっちのクルマがいいかは人それぞれだけどね。
で、6ミリのソールってどういう感じかというと、
尖った小石だと裸足だと怪我するけど、皮膚が破れないレベルの厚さ。
ビーチサンダルが15ミリ位だから相当薄い。
ビーチサンダルが分厚い絨毯のように感じる。

もっと厚いのが欲しかったんだけど、ビブラムソール6ミリって一番安いのね。
これをハサミで切って足の形にして紐やナイロンベルトを通すだけの手作り品。

初めてこのペラペラのゴムを足裏に貼り付けて走ったときはこうだ。
いきなりイテーし!(T_T)
100m走れない!そう思った。
カンカン踵に響く。

はっきりと踵で着地してるのがわかった。
着地で踵の骨にアスファルトの硬さがダイレクトに伝わる。
カツーンと踵をハンマーで叩かれたようだ。

ところが痛いので数歩後には着地位置を変えている自分がいるんだね。
踵から足裏全体、土踏まずから前、拇指球あたりにいろいろ重心を変えてみる。
足裏と脳が緊密に情報交換している。
この感じは、、、、思い出した。スキーだ。
スキーは足裏こそインターフェース。
ランニングで足裏が重要なインターフェースになっていること忘れてました。
シューズメーカーはこぞって接地面のソール構造、材質、クッション性を競ってるからね。
いつのまにかそちらにフォーカスされてた。
シューズのソールはとても重要。
でもそれを活かすのは足裏なんだよね。

着地位置を変える。微調整する。
これは意外と簡単。トレイルランニングをしてるせいかな。
上り下りと足裏の重心が常にあっちこっち移動してるから。

走ってすぐわかったことがあった。
ナゼ踵から着地するのが良くないと言われているのか。。。

こうだ。
人は意識して踵から着地しているのではない。
重心より足が前に出るので必然的に踵から着地してしまうのだ。
特に、日本人に多い骨盤が後傾している場合特に重心の遅れが顕著になる。

ナゼ重心より前に足が出るのだろうか??

それは足で走ろうとしているから。腸腰筋を使えていないということだ。
それと腕は振っているけど肩甲骨が可動していない。
骨盤が後継しているのも理由。

フォームを矯正するということは、足よりも重心を先行(骨盤を前傾)させること。

「ははぁ~、なるほどね。
でもいいじゃん、足が前だって。そこそこ速く走れるんで。」

こう答える人は、ナゼ重心より前に足が出てはいけないのか??
という問に置き換えて考えない。考える応用力がない。

問題を文書化した情報にすることで解決に至る場合がある。
話は逸れるが、有能なリーダー、管理職の条件は文書表現力と言われる。
人に伝えるだけではなく、自分で整理合理有利に展開するためには文書化できる能力があるかどうかだ。
だからトップアスリートは例外なく頭が良い。

話を戻し、ナゼ重心より前に足が出てはいけないのかを考える。
これはとても簡単。
いくらもがいても前に進まないからだ。
なぜ、前に進まない? 加速してないからだ。
なぜ、加速していない? ブレーキかけているからだ。
なぜ、ブレーキかけてる? 蹴るときに大腿四頭筋使ってるからだ。
なぜ、大腿四頭筋使ってる? 足を前に出してるからだ。
なぜ、足を前に出す? 骨盤が後継してるからだ。
なぜ、骨盤が後継してる? 上体が開かず、かつ前傾してないからだ。
なぜ、上体が前傾していない? 肩甲骨が可動していないからっだ。
なぜ、肩甲骨が稼働していない?踵着地で肩甲骨可動を必要としていないからだ。

身体機能を考えれば、重心より前に足を出してはいけないという仮説を立てる。
影響として、どんなにがんばってもそれ以上速くならないし、仮に速度が上がっても長くは走れない。
それ、結局は踵着地のために肩甲骨が動いていないというのが原因だ。

改善策は、肩甲骨を動かせばいい。
それを阻害している踵着地をやめてフォアフットにすればヨイ。

踵着地にすると自然に前傾になるのでどんどん速くなる、というのは結論としては性急過ぎてちょっと違う。

踵着地で前傾になると、重心が前になるため、肩甲骨の可動域が広がり、腸腰筋に刺激が入る。
腸腰筋が大腿四頭筋んき変わって足を上げてくれる。
そうなると加速筋のハムストリングが大活躍する。
これが結論だ。

こう考えると踵着地は実に切実な問題なのだ。
多くの市民ランナーは自転車でブレーキかけながら前に進もうと努力しているだけだ。
だからいくら距離を走っても、筋トレしても速くはならない。
いつまでたっても目標タイムを切れない。


などなどなど、、、、机上でも理屈は現場でのフォーム矯正の実践にはなかなか結びつかない。
実際のところ、ちゃんとした理論を持つランニングインストラクターやトレーナーはまだまだ少ない。
実業団選手も全日本選手でも論破できない。
大地選手も腕フレだけだからね。

ワラーチを履くと、そういう理論の裏付けが、勝手に身になっていく。
健脚に磨きがかかり、シャープなすらりとした足になる。
長年ワラーチを履いてる人はそうだね。

重心がどんどん前に出て足が追従する。
ランニングは背中でするものだ、300キロも走れば確信するようになるだろう。


長年、シューズで守られた足がいきなり解放されるので、
初期には怪我をする。
本来使うべきところが使われていなかった証だ。
痛いところは弱点であり、強化すべきところだ。
初心者は数キロでハムやフクラハギが痛くなる。
10キロ超えると甲が痛くなる。
殆ど捻挫状態になる。
これは今までアーチの反発を利用して走っていなかった証になる。
本来アーチの反発が推進力になるのに、それを使わずシューズのクッションに頼っていたということだ。

ワラーチに少し慣れてくると、走りが軽くなっていることに気付く。
重心が前よりになり、足はムダに前に出していない。
小さな力でアーチの反発を最大限引き出す。
ましてやワラーチは100グラムもないから軽いし、風を足の指の間まで感じられる。
快適で速くなる。もう病み付きになること保証付きである。
人はもともと裸足で走っていたんだな、と思えることは幸せなことだ。

 


極力衝撃を減らして走ることは正解である。疲れないし、結果速くなるので。
衝撃を減らすように走るのにシューズは邪魔になる。
裸足で走って力を付けて、それで本番レースでお気に入りのシューズを履けば良い。
必ず速くなっているはず。
シューズを履いて本番のレースに出たとき、
あ!雲の上を走っている!と感じればそれは上達している証拠だろう。


実走 7th 白馬国際トレイルランニング

2017-09-12 18:20:05 | ランニング
 
7th 白馬国際トレイル

本格的にトレイルを始めて3ヶ月。
トレイルレースに出てみた。
初レースがいきなり50キロ。
フラットな42.195キロではなく山を3つ越えての50キロ。
正直想像できなかった。
ペースもわからないし、どのくらいやっつけられるのか、、、
でも、どうせやるなら大きいやつがいい。
 
ウインドの聖地が御前崎なら
トレイルの聖地は白馬!
っつうことで、白馬国際トレイル ロングコース50キロ。

この大会は前泊が条件。白馬村の振興を兼ねている。
前日に中央道から長野道に分岐し、安曇野で下りる。

ウインドサーフで初めて御前崎に行ったとき、
高速で御前崎の文字が見えて心臓がバクバクしたときと同じく、
白馬の文字は強烈に視界に飛び込んできた。
気持ちにエネルギージェルを突っ込んだような感じになったよ。
 


北アルプスの山々は神々しく雄大で、あまりにも壮大かつ圧倒的。

多くのアルピニストが頂きに臨み、そして命を落とす。
命を落とされた方々の慰霊碑が宿泊先そばにあった。
 


その山々で、朝から夕方まで思う存分、とことん苦しみ抜く。
地元のランニング仲間、6名で参加。
 
 

21時には寝て4時起床。
今回はしっかりカーボローディングできた。
スタート2時間半まえに食事終了。食べたのは米と米と米(^o^)

6時半前、会場に集まる。
そこではフルマラソンのようなカリカリした感じはまったくない。

これから苦しみに行くのに、みんな笑顔笑顔。
女性の多さにびっくり。年配ランナーも多い。オレもだけど。。

オリンピックアスリート、メダリストの紹介、ゲストランナー鏑木毅氏のあいさつ、、、
そしてカウントダウン。 3,2,1 GOOOO!!!!!!!!!!
 
スタート動画 
 
GoPro上空撮影


ホーンとともに選手の歓声でボルテージ最高潮。
ブラックアーチから八方尾根麓の狭い街を駆け抜ける。
沿道には1時間後スタートするミドル選手、地元の人たち、多くのスタッフの人たちのハイタッチ。
いってらっしゃー!の声に送り出されていく。
どっちかというと、このスタートとゴールを経験できれば、ランパートはナシでOK(^o^)

それにしても、なんて素敵な街並みなんだろう。
モンブランの麓のシャモニーはきっとこんな街並みなんだろう。
ホーンとカウベルに送り出され、しばらくフラットな道を走る。
目の前に迫ってくるのは長野オリンピックのジャンプ会場。
巨大なシャンツェが2基。
シャンツェ前、原田が「フナキ~!」と言ったあの広場で
白馬中学のブラスバンド部が演奏エールをしてくれる。
ここを超え、徐々にレースモード。
(初参加、初レース参加のオレとしてはここまで観光客気分でした~)
 


しかし、トップは異常に速い。
フルマラソンとなんの変わりないスピードで飛ばしている。

疲れないように、でも遅れないように、キロ4分50~5分30で調整。
怪我をしている右足の甲の痛みは感じない。アドレナリンがそうさせている。
前日に整体で診てもらい、疲労骨折には至ってないとわかった。
折れてないならもう関係ない。痛みは無視すればいい。今日1日だけ。

フラットなパートはロードも含め10キロくらい。
そこからいよいよトレイルに入っていく。
トレイル入り口のエイドでコーラと塩と梅干しを摂取。
ストックをセットし登り開始。
 

このセットやらエイド補給が経験不足なのでムダな時間を費やしてしまう。
前にいた選手が目の前からあっという間にいなくなる。

たぶんだけど10キロくらいでだいたいの順位は決まってくるんじゃないかな。
抜きつ抜かれつ、追いつ追われつを繰り返すのだ。
 

登りはなんとかなった。
でも下りは最悪だった。
まったくリズムが取れない。右足の甲をかばおうと股関節に負担がかかった。
着地ごとに痛みが走るので下りでストックを突いて負担を軽減する。
そんな走りではまったくスピードを稼げない。
 
下りの焦りとイラツキ、登りの苦しさ。
でも途中途中の絶景ポイントは息を飲むほどの素晴らしさ。
焦りも苦しさも吹っ飛ぶ。
それから、この日は歴代大会で最も晴れたようだ。
この景色、死ぬまで脳裏にしっかり貼り付いてるだろう。
 
 
 

距離は28キロ。半分を超えた。
おかるの穴エイド。ここが第一関門で制限時刻は12:10
トップ通過予測は10:00
ここを10:25に通過。
結構速い。よし、行けるぞ! さあ登りだ!

山と山のつなぎに出て来るアスファルトロードの登りも走る。
トレイルの登りもスキをみては追い越す。
登りでは痛みはない。下りではとにかく痛い。
下りでは越される。でも登りでは越させない。かならず抜く。

気持ちがダウンしないように、周囲の選手に話しかけまくる。
「きっついよねー!」
「この先にビールの自販機無いかな?」
「お!同じシューズっすね!」

トレイルで話しかけて嫌がる人はいなかった。
話しかけてもらってありがとう!って言ってくれる人もいた。
とにかく苦しみとつらさと闘っていて自分の殻に閉じこもってしまうので、
会話して双方笑顔になればOK。
気持ちが切り替わる。

とは言っても岩岳山頂へのいじめの登りが延々続く。。。
登っても登っても急坂は終わらない。
粘土質で急なのでちゃんとしたトレイルシューズじゃないとグリップしない。
On VenturePeak シューズへの不安は一切ない。
頼るのはシューズと脚と根性。
根性って好きな言葉ではないけど、ここでは根性がないと登れない。
根性、忍耐、耐久、辛抱、苦痛、そう一言でendurance。

でもいつかは山頂につく。
考えない。何も考えない。自分は機械でただ足を動かすだけ。
つらいのは気のせい。実はそんなに苦しくない。錯覚だ。
根性を出すには、思考回路を止める方法もあるのだ。

岩岳スカイアークに到着。
もう45年近く前、オヤジに連れて来てもらった場所だ。
オヤジが最も好きなスキー場だった。岩岳と八方尾根。
そこをリフトではなく、足で登ってきた。
オレはオヤジの歳を遥かに超えてこの地にやって来た。
昔、この場所でオヤジは小さなオレに北アルプスの山々を観せた。
だからここは来るべくして来た場所だ。
しかも最も困難な方法で来た。
 

360度ぐるり見渡し、しっかりエイド補給をして両頬を叩いて走り出す。
気持ちは距離が増すに連れ昂る。
でももう足が言うことを聞かない。
もはや自分の足ではない。着地のショックが内蔵にまで響く。
この痛みは無視できない。
無視できないくらい痛いので、そうだ!無視できないなら友だちになればいい。
この痛みはもはや親友なのだ。
レースの高揚感と苦痛が年輪のように重ねられていく。
でもとても楽しい。楽しくて仕方がない。
この時間、この場所で、オレは会社員でもなくサーファーでもなく税金滞納者でもなく、
とてもシンプルに、競技者でアスリートだ。そう思うこともとても楽しい。

岩岳を下り切り、そしてもう一つ八方尾根1200mオーバーを目指す。
この痛みという親友は裏切らないだろう。
最後の最後までしつこくオレにつきまとうだろう。
しょうがない。最後まで痛みを味わおうじゃないか。

岩岳の麓に到着する。
中学生、小学生ボランティアがたくさんいて、
「オニギリどーぞー!」
「冷たい水かけますよー!!!」
って本当に元気な大声を出してくれていた。
コーラを飲んで水を頭からかけてもらってオニギリを頂く。
頭から水をかけてもらったのは顔面がグチャグチャになったからだ。
もう汗なのか涙なのかわからなかったからだ。
 


本当に本当に温かい。
この子たちもいつか走るだろう。
でもオレは今走らなくてはいけない。
少年たち、オレの走りを見ろ!
大きな力をもらい、いよいよクライマックスへ。

クライマックスってクライム・マックスなのか?
最大傾斜を最後の最後に登るってことなのか?
上等だね。いくぞ、八方!!!

ミドルの後半の選手たちを抜いていく。
座り込んでる人、仰向けで放心してる人、もうろうと歩を進めてる人。
がんばれー、がんばれーって声を掛ける。
人に声を掛けることは、オレもがんばれよ!って自分にも言ってるんだよね。

最後のエイドで補給を終え、下りに入る。

スタートしたまるでシャモニーの街が見えてくる。
下りはリーゼンスラロームコース。

下りながら、レースを振り返る。

いやー、楽しかった。
いい天気に恵まれ最高だった。

ドロドロのぬかるみが結構あったなあ。
小学生の手書きの看板はよかったなあ。
私設エイドのオバちゃん楽しかったなあ。
やっぱりコーラほど美味いものはないなあ。
来年も絶対出たいなあ。
仲間たちはみんな楽しんでるかなあ。

麓の街に入る。クランク状のジグザグ道を走る。
沿道の応援が徐々に増える。
みんなハイタッチで迎えてくれる。

最後のホームストレート、ホーンが鳴り止まない。
ハイタッチ花道がゴールアーチにつながる。
ゼッケンと名前がアナウンスされる。

両手を高く上げ、白いテープを切る。

フィニッシュ。 
エンデュランスラン終了。

空は真っ青。
360度見渡す。
360度ぐるーっと走ってきたのだ。
走行51キロ。累積標高2780m。

この大会は白馬の子どもたちが主役だったね。
評判通りの素晴らしい大会だった。

苦痛をとことん楽しんだよ。

Nothing beats a trail
 
 
 
iMovie 
https://youtu.be/r-On4W5AZUU

2017 Hakuba Internationl Trails

2017-08-21 20:00:56 | ランニング

来月、トレイルランレースに初挑戦です。
2017 Hakuba Internationl Trails 、7回目を迎える大会です。

トレイルの大会というのは山で行うわけなので、
その山がある村の協力が必要になってきます。

山を走るというのは世間一般ではないので、
村おこしの起爆剤になるかというとハテナマークが付きます。
しかしながら自然への回帰主義が広がっているのか、
トレイルの大会はだいたい一度では終わらず、何年も繰り返されるようです。

ここがとても重要だと思うのですが、
過疎化の進む山村で、ひとつのイベントに対して村中の人々が結束することこそが、
村おこしになるわけです。
真の活性化になるわけです。

沿道の人々が笑顔で応援してくれる。ハイタッチをしてくれる。
村のおばあちゃんたちが夜なべで作った食事がエイドステーションに並び、
それをおばあちゃんたちが自ら賄ってくれる。

こういう温かさが全国から選手を呼び、協賛メーカーを増やし、
さらにはトレイル整備も完成度を増し、大会の質がどんどん上がっていきます。
おそらくフルマラソンでは見れない光景なんだと思います。


日本の山は素晴らしい。
家も田んぼも、麓にある小学校も、川も、
全部セットになって何とも言えない日本人の郷愁がそこにあります。

そこで村の人々と選手が一体となって大会を盛り上げていく。

ただ走りにいくわけではない。
緑深い日本を楽しみに行くんですね。

特に白馬国際はそういう大会らしく、まさに感動の文字がピッタリの大会のようです。

参加選手は2000人に及びますが、50キロの行程で前後誰もいなくなり、
一人になることもあります。
山と山をつなぐロードではロストする可能性もあります。
でも、そこでこんな標識があったら、とても大きな力になるんだと思います。



あと20日切りました。
笑って耐えるをモットーに。
前に、前に、前に、前に。
そして大きな感動を。

選手の皆さん、日本アルプスで逢いましょう。


市民ランナーからララムリへ、どM変態から玄人へ。

2017-08-03 22:12:52 | ランニング

走り方には、足裏の着地箇所でフォアフット、ミッドフット、ヒールストライクの3通りがある。

Born to run というランニングバイブル的な本でフォアフットを推奨している。
また、過去NHKでフォアフットのアフリカトップランナーと、
ヒールストライクの日本人トップランナーの違いを医学見地で解説した番組があった。

これにより、フォアかヒールかという論争に火が付いた。

ヒールストライクは体重の3倍の荷重がかかるのに対し、フォアフットでは1.5倍。
膝の故障が多いのはヒールストライクというのが数値的に実証された。

フォア、ヒールというのはランナーそれぞれの骨格の問題があり、
日本人がアフリカ人の走りを真似ることはできない。
複合的な身体運動の結果として足裏のポイントがあるわけなので、
ヒールストライクのランナーが無理やりフォアフットにすると怪我をする。

骨格だけでなく、基礎スピードの問題もある。
スローであれば自然に踵から着地するが、100m全力なら踵は着かないだろう。
アフリカンは基礎スピードが速いのでフォアがベースになっているのだろうか。

踵着地のランナーが、42.195キロをフォアフットを意識して走るのは到底無理なことだし、
今のそのフォームこそが、最も楽なポジショニングであるわけだから強引にフォームを変えることもないはず。

だが、それが何かのキッカケで、実はフォアの方が楽で速く遠くへ走れる!となったらそれに越したことはない。

それに怪我がなくなり、痛みを恐れることなく長距離を走れれば、それこそFun to Runなのだ。

今回、フォアフットに興味を持ったのにはこういう経緯がある。

住んでいるところが海にほど近く、サーフィンが盛んなので、
冬以外、仕事以外、ランニング以外はほとんどビーチサンダルの生活をしている。
ビーチサンダルで犬の散歩をするとき、犬と一緒に走ることがよくある。
そのとき全く無意識なのにフォアフット走行をしているのだ。
土踏まずから拇指球にかけての面で地面を捉えている。
いつもそういう走りをしていたのだろうが、それに気づくことはなかった。
無意識だったからだ。
あらためてその走りであることを自覚し、繰り返し数十メーターを何回か走った。
踵は補助的に接地するレベルで、面白いことは脚が身体から前に出ていないということだ。
シューズの場合は身体から前に前に脚が出ているんだね。
これはビーサンが走りづらいからではない。
自分はビーサンのベテランで、ビーサンで全速力で走れる。

不思議だった。

ビーサンの踵部がフリーのためなのか??
ビーサンを脱いで裸足で走ってみた。これで明確になった。
明らかにフォアフットで走れてるのだ。

理由は明らかになった。
原因はシューズだ。
ただしシューズが悪いのではなく、
シューズに頼っている無意識がヒールストライクにしているのだ。

シューズの中にはヒールストライクを強制しているものもある。
ソールが踵より出っ歯になっているもの。
それと踵カップが前傾しているもの。
これらはフォアフットができない構造になっている。
ゲルが入っていてそのクッション性を最大限に活かすためだ。

初心者ランナーは脚が出来ていない、という前提で造られるシューズはこうなる。

ところが、上級、初級関係なく快適なシューズがベストという発想のメーカーは、
カップが直立していて、踵端のクッションを敢えて無くしている。
例えばスイスのメーカーOnのクラウドサーファー、クラウドフラッシュ、クラウドベンチャーだ。

これらシューズはフォアフットの走りにもマッチするはずで、
おそらくシューズ性能を最大限に発揮してくれるだろう、そう思った。

何よりも、長距離での膝の鈍痛は耐え難く、フォアフットにトライする価値はあるだろう。
そういう結論に至ったわけである。

さて、どうやってフォアフットに変えていく?
今後ビーサンでランニングするわけではない。
もちろん、走りながらフォームを矯正するのではない。それは前述したけど怪我をする。
ポイントはこうだ。
フォアフットに無意識にチェンジできる機会を自身に与えることだ。

ということで、強力な武器を手に入れた。
ワラーチである。



メキシコのタラウマラ族が履くランニングサンダル。
古いタイヤ一枚を足裏にくっつけて紐で固定する極シンプルなもの。
最近、湘南でもたまに見かけることがある。

材料費2000円の手作りだ。
手作りだよ。
自作だ。

合わなければやめればいい。
10キロ以下の距離から始める。
タラウマラ族はこれで100キロ走るし、あのスコット・ジュレクを負かす。
世界最強の走る民族 ララムリである。
カラフルなランニングフォームより、遥かに目立つかも。
アースカラーのウエアにワラーチだと物凄く玄人っぽい。
走る職人みたいな。

自分は素人ランナーで、マラソン大会やトレイルレースにも出る。
FUNのためのレースだよ、とわかっていても、1分1秒を争う高速レースに変わりはないし、
ましてやその趣向が高くなっている。
ロンドン世界陸上も今日始まったところだ。

楽しむための走りがあり、少しではありながらレースが人生の華やかな舞台とするためのキッカケになればよい。
走ることが人生の喜びであると同時に、少々マニアックな探求にはなるが、高速レースへのアンチテーゼにもなる。

ワラーチがそのトリガーになるかもしれない。

自分なりに期待している。

ワラーチのクッションは皆無だけど、Run on Cloudsの心がそこにはあるだろう。