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忘れえぬ想い 忘不了

2006-09-04 10:14:28 | 香港映画 (57)

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監督 イー・トンシン
出演 セシリア・チャン(シウワイ)
      ラウ・チンワン(ファイ)
        原島大地 (ロロ)ルイス・クー (マン)
2003年

忘不了・・忘れられない
忘れることでしか変えることのできない人生がある

イー・トンシン監督があの『尽きせぬ想い』を撮ってから10年も経つんですね。
早いものです。

最近は大女優の貫禄も出た大人のセシリア。

『尽きせぬ』ではカリーナ・ラウに愛される悩めるミュージシャンを演じて思いがけず?(スミマセン)魅力的だった、ラウ・チンワンもすっかり大人の男。

アニタ・ユンはただ今、明るい妊婦さん。彼女の出演作も見たいですよね!

>>ファイは偶然に同業者ミニバスの運転手、マンの最後を看取る。
マンの最後の望みは携帯で、誰かに電話することだった。
ファイの手助けも空しく、果たせぬままマンは力尽きた。

この”偶然”が運命の出会いへとかわります。

マンの心残りは『僕の彼女を紹介します』の方向へ。死んで紹介じゃ困るんですけどね。涙

幸せの絶頂だったマンの婚約者シウワイは呆然自失。
このセシリアの表情は一種、凄絶で怖いくらい。
それでも、かろうじて、彼の忘れ形見ロロの面倒を見る。

壊滅したバスと、ロロ、残された彼の携帯だけがあっけなく逝った彼の温もり、思い出。
だから、無理は承知でマンの連れ子のロロも手放せないのだと思う。

生来の頑固さも手伝って、無謀にも工面したお金で修理したミニバスの仕事をするのも同じ理由。
彼との思い出の詰まったバス。これからも思い出が紡げるはずだった彼のバス。

しかし、私、ミニバスって初めて見ました。
香港の風景に合ってるけど。
あの細い混雑した道をタクシーと並んで走るなんて、曲芸みたい。怖
地元の人しか利用できないな、これは。笑

偶然が結びつけたファイはそんな彼女たちを見ていられず、(これには訳があった)面倒をみる。
道理で子供の扱いのうまさにアレ?とは思ったけど。

犬におびえるロロを犬になつかせるラウ・チンワンはやはりここでもおっとこらしい!
なんという包容力。笑

ラウ・チンワンは『暗戦』の刑事役が私的には一番男くさくて素晴らしかったと思っています。

でも、シウワイはまだファイへの気持ちが確信できない。
不器用に手を繋ごうと、歩きながらシウワイの手を捜すラウ・チンワンが可愛いいのです。

だが、しかし、ファイにも忘れられない過去が あった。

心底、君たちの夫、よきパパになりたいと思った。
でも、それって愛情かな。寂しいだけなんじゃないかな。

シウワイがマンを忘れる決心をして、マンがバスの向こうに消えていく。
そして、そのバスが二重となり、心乱れたファイの乗るバスに変わっていく場面は綺麗だ。
イー・トンシン、匠の腕でしょうか、酔えます。

いつも彼らが寄る露店が夜になると、まるで、魔法のようにぼんやりした優しい赤や、切なく透明な青色に浮き上がる。

その美しさに香港を感じて、胸が締め付けられるのはなぜ。

香港って・・人間と、人間の情の似合う街だとつくづく思う。

ここから結末に触れています。

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ファイは過去を捨てる決心をした。

それで、君はオレを好きなのか?

少しね。  少しか。。

大好きになりそう!

過去を捨てるのは勇気がいるし、心も痛む。
一歩踏み出さないと新しい人生はやってこないということをこの映画は教えてくれる。

色んな形で別れはいつかやってくるのだ。切実に感じるものもあった。
でも、どんな時でも一筋の希望はある。

最後の二人の会話は顔を見て、わざわざ携帯で話している。
面白い演出です。

天国のマンも聞いているのかな、とふと思った。