監督:三池崇史
出演:伊藤英明(流れ者ガンマン)
佐藤浩市 (清盛)
伊勢谷友介(義経)
堺雅人(平重盛)
安藤政信 (与一)
小栗旬(アキラ)
石橋貴明 (弁慶)
木村佳乃 (静)
香川照之 (保安官)
桃井かおり (ルリ子)
クエンティン・タランティーノ(ビリンゴ)
2007年、日本
黒澤明監督のその映画人魂は世界を一周して、ここ日本に帰って来た。
予備知識:
日本ではイタリア製西部劇のことを「マカロニ・ウエスタン」と呼ぶのがおなじみ。本作のタイトルは、日本製だからマカロニではなくスキヤキ。そしてジャンゴというのは、1966年に日本公開されたマカロニ・ウエスタンの傑作『続・荒野の用心棒』でフランコ・ネロが演じた主人公の名前が由来。とは言いつつ、本作におけるジャンゴというキャラクターについての意味は、最後の最後まで観ていないとわからない。また、黒澤明監督の『七人の侍』(1954)や『用心棒』(1961)といった日本の時代劇へのオマージュもこめられているほか、古典「源平合戦」の展開も絡められ、果てはシェークスピアの「ヘンリー六世」薔薇戦争まで出てくる始末。笑
粗筋:
壇ノ浦の戦いから数百年、平家の落人が拓いた山あいの寒村“湯田”(ユタ;)は、埋蔵金の噂を聞きつけ押し寄せたよそ者たちに荒らされ放題だった。そして今、平清盛の平家ギャングと源義経率いる源氏ギャングの果て無き抗争の真っ只中に、さすらいのガンマンが流れ着く。清盛も義経も凄腕のガンマンを用心棒にしようと画策するが・・
銃神ビリンゴ(クエンティン・タランティーノ)が「祇園精舎の鐘の声・・」を英語で朗読する冒頭に唖然とするやら、ほ~、英語で言うとこうなるのね、と感心するやら。
すきやきの甘さは砂糖ではなく、白菜のだしで出すものだ・・へ~~!
大きな期待はせず、楽しめればめっけもんと見た映画だから充分楽しめた。
いや、充分以上に面白かった。
こういう荒唐無稽な大作映画ってあまり邦画にはないよね。
そこがいい!
マカロニ・ウエスタンがあって、スキヤキ・ウエスタンがあってなにが悪い。笑
私はフランコ・ネロの映画は未見だけど、クリント・イーストウッドと、リー・バンクリフが過去の悲劇を引きずる大佐を演じた『夕陽のガンマン』は面白いと思う 。
映像の質感が独特で素人の私には驚き。
歌舞伎を思わせる色彩も面白い。
全編、英語(時々、日本語なのがご愛嬌)というプレッシャーのせいか、黒澤監督への思い入れか、俳優さんたちに異様な気迫が感じられる。
みなさん相当な英語のトレーニングを受けたらしく、かなりお上手。(例外さんもいるけれど・・^^)
それに、実に楽しそうに演じている。
書いてて気づいたんだけど、アキラとルリ子って、日活の黄金コンビだった。
今頃きづいた~。
各キャラクターに躍動感がある。
なかでも、佐藤浩市さんなんか、マカロニウエスタンの憎たらしくギトギト人間臭い悪役みたい。
実はシェークスピアを愛する文学青年だったりと、可愛いところもある。
しかし、あのガトリングガン、重そう。。
俺をヘンリーと呼べ!笑
ヘンリーにいつも殴られている堺雅人さんとのコンビは最高です。
ふたりで「ヘンリー六世」を朗読したりして。笑った。
源氏組では伊勢谷友介。
クールな美貌の裏に狂気がひそむ。一番怖そうでもある自称「武士/もののふ」
銃にも刀で対戦。^^
しかし、美しい・・
木村佳乃さんも汚れ役で奮闘!
愛すべきオトコたちよ、欲にかられて死ぬな、てな気になってくるから可笑しい。
ここから結末に触れています。
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そして、最後に、何をかくそう、伝説の桃井さんが締めてくれる。
そりゃあもうカッコいい。胸がすく~~~~。
そして、シェーン、いや、心に傷を負った?名無しのガンマンは去って行く。
ぼうや、いい子でな。
北島三郎の「ジャンゴ」
スキヤキには北島さんの「ジャンゴ」が似合うのだ。
感想書いてるうちに、評価が甘くなっちゃいました。