愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

三菱自動車不正問題にみる資本主義の病理の治療には企業の社会的責任論と民主主義論が不可欠!

2016-05-13 | 企業の社会的責任

堅尾和夫日本大学教授の記事を読んで思ったことは! 

自由と民主主義を標榜して始まった資本主義だが

圧倒的多数の庶民には「自由と民主主義」は

「関係ない」とでも言うのか!

企業・経営者・資本家・株主の

儲けのためだけの「自由と民主主義」か?

違うだろう!

自由競争・優勝劣敗・弱肉強食の資本主義ではなく

「ステークホルダー民主主義」は貫徹しているか!

企業内民主主義・株主民主主義

労働組合民主主義・消費者民主主義

政治と企業の民主主義

以上の「民主主義」が決定的に重要!

この「民主主義」を貫徹させるためには

政治家と企業の腐敗の癒着・連鎖を断つことだ!

だが、ホントに必要不可欠な要素・思想は

全てに「憲法を活かす」論だ!

「企業献金は民主主義のコスト」論の

まやかしを打ち破ることだ!

だが、それを決めるのは

主権者・消費者国民の民主主義観と不断の努力!

そこで憲法記念日の記事を想いつつ

三菱の自動車を買った消費者目線は?

三菱の労働者目線は?

三菱グループと政治の関係目線は?

に注目して読むと・・・!

 三菱自動車

怠慢と不正の連鎖を断ち切れ

日本大学教授 堅尾和夫

読売新聞 2016年05月03日 05時20分

http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160502-OYT8T50167.html?page_no=1

三菱自動車でまたも、不正行為が発覚した。激しい国際競争が続く自動車業界で、同社は技術力やデザイン力、生産性などで先頭集団の 後塵(こうじん) を拝していたと言われる。そうはいっても、発覚すれば市場退場もありうる不正になぜ手を染めてしまったのだろうか。元通産官僚で自動車環境対策にも携わった日本大学の堅尾和夫教授が、どの自動車メーカーでも起きうる不正の発生メカニズムと、形骸化しているという国の指導行政にメスを入れる。

三菱自動車は何をしたのか
記者会見をする三菱自動車・相川哲郎社長(左。4月27日)
記者会見をする三菱自動車・相川哲郎社長(左。4月27日)
 
三菱自動車株式会社の相川哲郎社長が4月20日の記者会見で、実際よりも燃費を良く見せる不正行為をやっていたことを明らかにした。車にそれほど関心がなくても、「またか」という感想を多くの人が抱いたと思う。

伝えられるところによると、燃費不正の対象は軽自動車4車種で、これまでに62万5000台が販売された。もちろん対象車種は直ちに生産販売が中止されたという。

厳しい燃費競争の中で劣後にあったための「焦りの末の不正」、あるいは2000年以降に発覚したリコール隠しを念頭に「相次ぐ不正」と報道されている。

同社が発表した対象となる4車種に限っても、ユーザーに対して余計に消費したであろうガソリン代の補償、エコカー減税の返還、さらには買い取り請求に今後応じるとなると数千億円規模になるとの試算もある。これは同社の15年3月期の最終利益(1181億円)、数年分にも匹敵する。

外部有識者による第三者委員会を新設し、原因究明にあたるといわれているが、続報では他の車種についても規定の方法で計測していない、あるいは机上の計算で済まして申告しているなどの疑惑が浮かんできている。

こうなると、2、3か月程度で全容が解明できるかどうか甚だ疑問で、この問題は長期化することは必至の情勢である。再び三菱自動車の屋台骨を揺るがすことになるかもしれない

不正の対象となった軽自動車は、11年に設立された三菱自動車と日産自動車の合弁会社で企画・開された。開発・生産は三菱側が請け負い、日産側はOEM(相手先ブランドによる生産)を受けて販売するという形態で、販売台数は日産ルートの方が多い。三菱自動車が国土交通省に4月26日に報告したところによると、社内会議において設定された燃費目標値が、14型「eKワゴン」「デイズ」は当初(11年2月)、リッター当たり26.4kmだった。それが短期間に、幾度か段階的に引き上げられ、最終的(13年2月)には同29.2kmにまで引き上げられている。

これから生産・販売しようと計画された車のスペックは、日産も合意のうえで設定されているはずだ。開発は三菱が担ったとはいえ、こうした目標値の短期間の引き上げは、日産サイドの要求や競合他社の開発動向などが背景にあったはずである。

14型「eKワゴン」「デイズ」は13年6月、合弁事業で最初に開発された軽自動車として世に送り出された。

再建、選択と集中どころか自壊の危機

三菱自動車名古屋製作所・技術センター(愛知県岡崎市)に立ち入り検査に入る国土交通省の担当者(4月22日)
三菱自動車名古屋製作所・技術センター(愛知県岡崎市)に立ち入り検査に入る国土交通省の担当者(4月22日)

三菱自動車は長年のリコール隠しが00年と04年の2回にわたって発覚した。経営陣の刑事責任まで追及されるにおよび、提携先のダイムラーからも支援を断られ、倒産の窮地に立たされたことを覚えておられる方も多いと思う。その倒産の瀬戸際に三菱重工業、東京三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)、三菱商事を中核とする三菱グループが救済に名乗りを上げ、同グループの支援のもと再建に乗り出したのである。

同社の業績は、14年度までの最近3期には過去最高の利益を記録するまでに回復してきていた。これは生産車種の絞り込みや海外事業の再編などのコスト低減の取り組みの効果があったからだと思うが、最近の為替の好転に支えられている側面も多分にある。

15年度は、為替相場の好転による効果はなくなった。それとともに、劣勢となっている日本国内市場の立て直しが急務となっていることや、世界市場、とりわけ同社が今後注力しようとしている東南アジア諸国連合(ASEAN)やロシアの経済低迷によって、同社のかじ取りには暗雲が垂れこめてきていたといってもいいであろう。

その矢先の今回の不正発覚である。

燃費不正の対象車種が今後、SUV(スポーツ用多目的車)や乗用車などに拡大するようであれば、海外のユーザーからも各種の補償要求や、規制当局からの高額のペナルティーが同社に賦課されるといったことも懸念される。

競争環境下で劣後となった焦りなのか?

国内外の自動車メーカーが世界の市場で、燃費性能や排出ガスのクリーン度、衝突安全性などについて激しく競争し、消費者に自社製品の優秀さをアピールしている。政府の規制も年ごとに厳しくなり、規制値を大きく達成した車には税制上の恩典を与え、競争上優位に立つよう支援・誘導している。今回の不正行為は、このように国自らがその製品の普及に関与するという業界特有の事情が生み出したものなのだろうか?

昨年、米国で発覚したドイツの自動車メーカーVW(フォルクスワーゲン)の不正排ガス制御ソフトによる規制逃れも、その悪質さと規模の大きさ、さらにVWの名声から世界に衝撃を与えた。VWのようにトヨタと世界市場で生産台数を競い合う大企業であっても、置かれている市場の競争条件によっては競争劣位になり、不正手段によってしか対処できないほど、社内の開発等の部署に大きな圧力がかかってしまったのだろうか?

三菱自動車は、他社に比して圧倒的優位に立つ技術やデザイン力、生産性などの武器となるものがなく、軽自動車市場でスズキとダイハツの2強に追い詰められたため、こうした圧力ははるかに大きなものとなっている。それゆえ報道にあるように、長年にわたって不正に手を染めて窮地をしのいでいたのであろうか?

調査はこれからで真相は明らかになっていないが、これらの仮説が事実だとすると、競争劣後になっている国内外の他の自動車会社でも同様の不正手段によって、急場をしのごうとする焦りが恒常的に働いているかもしれないのである。

 こうした観点に立ち、これまでに伝えられた三菱自動車の発表から、今回の問題点を考えてみたいと思う。

ガバナンスの欠如だけでは済まない怠慢

三菱自動車、日産自動車が共同開発した三菱「eKワゴン」(右)と日産「デイズ」(2013年5月、岡山県倉敷市の三菱自動車水島製作所で)
三菱自動車、日産自動車が共同開発した三菱「eKワゴン」(右)と日産「デイズ」(2013年5月、岡山県倉敷市の三菱自動車水島製作所で)

三菱自動車の発表では、原因と責任の所在について調査を続けていくとしている。

このような不祥事が明らかになった時、責任の所在は明らかにするものの、「組織ぐるみではない」として、責任を特定の部署、あるいはその責任者に局在化しようとすることが過去多くみられた。今回もそのような意図を感じさせる。

「トップは知らない」「指示していない」「組織ぐるみではない」「ただし監督責任、道義的責任は認める」という具合である。しかしながら、リコール隠し以来、再度の不正を防げなかった、あるいは同時並行で行われていたかもしれない不正を正すための社内の組織、体制、社員教育などが不十分であったということだけでも、社内の経営陣の怠慢は明らかである。

国の監査体制にも問題があることが判明したと思う。こういう場合、監督官庁は決まって、「我々は騙(だま)された」「けしからん」とばかり、自らは「正義のナイト」としてふるまう。

監督官庁として会社に追加情報の報告を求め、時には他社にも同様に調査・報告を指示するのが通例であり、これは至極当然のことであるかもしれないが、国の制度運用そのものに問題はなかったのだろうか。国土交通省は、燃費不正があったとされる4車種について自ら測定に乗り出した。しかし、こんなことでこれまでの制度運用の問題が改善されるのであろうか?

これまでの経緯を振り返ると、以上のような疑念を抱かざるを得ないのである。

燃費実測の現場に直接、検査官を派遣して計測法や実測データの有無、その処理の仕方などを調べれば、もっと早い段階(販売前)に是正できたはずである。メーカーの申告データをそのまま受け取って書類審査だけで済ませているようにも思える。今回の三菱自動車の発表から、型式承認という行政事務がいかに形骸化しているか覗(うかが)い知れるというものである。

間違いに真剣に向き合え

人間が、あるいは人間の集合体である組織が、達成しようとした目標から意図せずに逸脱してしまい、期待に反した行動をとってしまうことを「ヒューマン・エラー」という。

その特徴は、一生懸命やったのに、導かれた結果が間違いになるということである。

この場合、当事者や当事者が属する組織は、「間違ったことをしてしまった」という記憶ではなく、「一生懸命に会社のためにやったのに」という記憶しか残らない。不正に直接関与していない周辺の人間も、同一組織の人間として、こうした認識を無意識に共有する。「努力の仕方にもう一工夫必要だったかもしれない」という反省の仕方をするのである。

不祥事を繰り返してきた三菱自動車は、再び信頼を取り戻すことができるのか
不祥事を繰り返してきた三菱自動車は、再び信頼を取り戻すことができるのか

したがって、責任者を探し出して、あるいは決めつけて処罰しても、再発防止はできない。後から再び、会社のために、あるいは自らの立身出世のために「一生懸命」やる人間が出てくるし、会社も相変わらず、そういう人材を求め、育成し続けているからである。

肝心なことは、間違ったことをした、あるいはそれが組織として通ってしまった背後要因を探求し、それを排除することが必要なのである。

自動車会社各社は、最新の技術を駆使し、高機能を搭載した車の開発にしのぎを削っている。どこの会社も、そういう開発部署や開発を支援する部署には、経験豊富な熟達の技術者や監督者を配置しているはずである。

しかし、こうしたセクションは仕事の性格上、秘匿性が高く、部外者の目がなかなか届かないところでもある。その結果、同じ仕事を長年繰り返していることによる慣れ、仕事の内容をよく知っていることからくる「この程度なら許される」という臆測や思い込み、頻繁な目標数値の上方修正にも期限内にいつもうまく対処してきたという自惚(うぬぼ)れ、独善的に仕事の要不要を断じて「現在の経営幹部が現場にいた昔からやっていたことだ」などといった自己正当化が得てして、組織内に醸成される。

そこから、ヒューマン・エラー発生の連鎖が始まるのである。

組織の失敗は一般的に、監視や設計、製造(製造、組み立て、設置)、オペレーション、保守・点検、危険兆候の見落とし、リスク管理(リスクの把握・評価と低減失敗)、教育訓練(経営方針、目標などを含む)などの各段階で生じる可能性がある。

特に、三菱自動車の長年の不正行為には、監視やオペレーション、危険予知と是正、教育訓練などの段階のチェック機能が不備、または存在していなかったように感じる。

会社が設置するとしている第三者委員会では、単に原因と責任の所在を明らかにするだけでなく、こうした組織エラーを防止するために何が欠けていたのか、再発を防止するための対策はどうあるべきかについて、踏み込んだ分析と提言を期待したい。

提言を受けて、三菱自動車がそれを実行し、信頼を回復するには多くの努力と時間を要するかもしれない。あるいは、もうそうした余裕は残っていないかもしれない。

「市場から退場せよ」という厳しい声も聞かれるが、自動車業界はじめ他の業界各社も、今後の改革に向けた教訓として肝に銘じてもらいたいと、切に願う。(引用ここまで



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