設備の老朽化や複雑化、若手技術者の不足など構造的な問題を放置してきたのではないのか!
「構造的な問題」ではなく
公共交通機関の社会的責任放棄の問題ではないのか!
日本国憲法
第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
鉄道事業法
(目的)
第一条 この法律は、鉄道事業等の運営を適正かつ合理的なものとすることにより、輸送の安全を確保し、鉄道等の利用者の利益を保護するとともに、鉄道事業等の健全な発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とする。
(事故等の報告)
NHK 新幹線 台車亀裂 JR東海社長 台車亀裂「運行に問題ないと引き継ぎ」12月20日 18時18分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20171220/k10011265691000.html?utm_int=news_contents_news-main_003
博多から東京に向かっていた東海道・山陽新幹線の台車に亀裂が見つかった問題で、JR東海の柘植康英社長が20日、記者会見し、新大阪駅でJR西日本から運行が切り替わった際、「運行に問題ないといった内容の話を引き継いでいた」と述べました。JRは、引き継ぎが適切に行われていたのか、詳しい経緯を調べています。
東海道・山陽新幹線の台車に亀裂が見つかった問題で、JR西日本の来島達夫社長が初めて記者会見し、「皆様の信頼を裏切り、深くおわびします」と陳謝しました。
運転停止までの最新の経緯
午後1時50分に最初の停車駅の小倉駅を出発した際、乗務員から7号車と8号車付近で「焦げたようなにおいがする」との申告がありました。これを受けて車掌が車内を点検し、状況を東京指令所の指令員に報告。
午後2時半ごろ、指令員は車両の保守担当の社員の出動を指示します。
午後3時15分、岡山駅で保守担当の社員3人が乗車し、そのあと新大阪駅へ向かう途中、13号車から14号車でうなるような異音を確認しました。この際、保守担当の社員は「列車を止めて調査する必要があると思った」との認識を示していたということです。
しかし、保守担当の社員や列車の車掌、それに東京の指令所との間でやり取りした結果、走行に支障はないと判断され、運転は継続されました。
新幹線は午後4時1分に新大阪駅に到着すると、車掌や乗務員、東京指令所の指令員が、JR西日本からJR東海の社員に代わり、2分後の午後4時3分に再び東京に向かいます。
次の京都駅付近でも車掌が異臭を感じたため、名古屋駅に到着した午後5時3分、社員が13号車の台車を点検します。
その結果、台車に亀裂や油漏れなどが見つかりました。
JR西日本によりますと、この列車の直前の点検は今月11日の未明に目視で行われ、東京にある車両所でJR東海の社員が担当していたということです。
相次ぐ鉄道トラブル
ことし10月には、JR宇都宮線が埼玉県内で起きた架線トラブルのため停電し、1900人の乗客が、一時、車内に閉じ込められたほか、平常運転に戻るために丸2日かかりました。原因は、架線をつり下げる「がいし」と呼ばれる部品が老朽化によって腐食していたことでした。
また、東京と神奈川を結ぶ東急田園都市線は、10月と先月、朝の通勤・通学の時間帯に長時間、電車が止まるトラブルが相次ぎ、合わせて26万人に影響が出ました。東急電鉄によりますと、原因は、いずれも送電線のケーブルの設置や交換の際に不適切な施工が行われたことだったということです。
そして、今月11日には、東海道・山陽新幹線の台車に亀裂が見つかり、国の運輸安全委員会は、脱線など重大な事故につながるおそれがあったとして、新幹線では初めて、重大インシデントに認定しました。亀裂は縦およそ14センチあり、あと3センチで最上部に達していたということで、JR西日本は、走行中に台車が破断し、重大な事故につながるおそれがあったとしています。
その翌日の12日には、愛知県内のJR東海道線で列車のパンタグラフが折れ、愛知県と岐阜県の間で最大9時間半運転を見合わせました。
そして、今月16日には、横浜市内のJR京浜東北線の架線が切れ、京浜東北線や東海道線などの一部の区間で最大7時間近くにわたって運転できなくなり、およそ22万人に影響が出ました。
相次ぐ鉄道のトラブルについて、石井国土交通大臣は19日の記者会見で、「一連の事故などの背景には、設備の老朽化や複雑化に加え、現場の高齢化に伴う若手技術者の不足など構造的な問題がある」と述べ、有識者による会議を設け、対策を検討する考えを明らかにしています。(引用ここまで)
今月11日、東海道・山陽新幹線の台車に亀裂が見つかった問題で、JR西日本が19日記者会見を開き、亀裂の長さはおよそ14センチに達し、あと3センチで破断するおそれがあったことを明らかにしました。JR西日本は、「走行中に破断すれば、脱線など大きな事故に至った可能性があった」という認識を示し、詳しい原因を調べています。
あと3センチで破断のおそれ
写真のうち、亀裂を撮影したものは、台車を支える「側バリ」と呼ばれる側面の鋼材と、走行時の衝撃を吸収する「軸バネ」と呼ばれる部品との接合部の近くで、亀裂が確認できます。
JR西日本によりますと亀裂の長さは縦およそ14センチあり、側バリの縦方向の長さは17センチだったため、あと3センチで亀裂が最上部まで達し破断するおそれがあったということです。
また、側バリの底の面の長さは16センチで、亀裂はそのすべてに達していたということです。
このほかの写真では、モーターの回転を車輪に伝える「継手」と呼ばれる部品に焦げたような跡が見えるほか、継手と別の部品のつなぎ目が斜めにゆがんでいる様子も確認できます。
JR西日本によりますと、側バリに亀裂が入ったことで台車のバランスが崩れ、ゆがんだ可能性があるということです。
運輸安全委 中橋委員長「全工程を調査」
運輸安全委員会の中橋和博委員長は19日の定例の記者会見で、台車の亀裂の長さはおよそ14センチに達していたことを明らかにしました。
そのうえで、「一般論としては、亀裂は小さな起点が繰り返し使用するうちに広がるもので、1回の走行でゼロから進行することは考えにくい。なぜ亀裂が生じ検査で見つけることができなかったのか、設計、製造、点検のすべての工程について検討を進めていく」と述べました。
また、異常に気付いてからおよそ3時間にわたって運行が続けられたことについて、「少なくとも異音なり異臭がした段階で止めておくべきだったと思う。運行の判断について、安全にかかわる問題点がなかったかもきちんと調査していきたい」と述べました。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/286806.html?utm_int=detail_contents_news-link_001
(略)・・・・今回のトラブルでは、最初に異常に気がついてから運転を取りやめるまで、3時間、距離にして、およそ740キロを走行しています。
注目したいのは、異常に気づいたとき何を根拠に安全であると判断したのかです。中でも、ポイントになるのは、岡山駅で乗ってきた3人の車両保守の担当者です。
この担当者は車両について詳しく、うなり音に気づきましたが、音の大きさなどから運行に支障はないと判断したということで、最終的な決定を行う東京の指令所も運行継続を決めました。しかし、結果的には、ここで、いったん列車を止めて、においや音の異常の原因を突き止めることが必要でした。
なぜ専門的な知識のある担当者が、重大な事態を見過ごしてしまったのか。一連の関係者の判断のどこに問題があったのか明らかにすることが求められます。
もうひとつ、注目したいのは、新大阪駅での引継ぎです。山陽新幹線から東海道新幹線に入る際、運行の担当は新大阪駅でJR西日本からJR東海に替わります。
このため、新大阪駅で、運転士、車掌などは、JR東海の社員に交代します。このとき、運転士同士、車掌同士がそれぞれ引継ぎをしています。ただ、定刻に出発した新大阪での停車時間は、2分です。小倉から新大阪までの状況を踏まえれば、次に何か起きたとき、高い危機感で対処することが必要になると考えられますが、この引継ぎでどういった内容が伝えられたのか、確認することが必要です。
そして、新大阪では車両保守に詳しいJR西日本の担当者が列車から降りています。列車で起きたことは常に東京の指令所に伝えられていて、ここにはJR西日本とJR東海の担当者がいて連絡を取り合っていたといいます。しかし、最も状況を把握しているのは、現場、つまり列車に乗っていた担当者です。いったん運行継続を判断したとしても、においやうなり音の原因が分かっていない以上、その判断が正しかったかどうか、繰り返し確認する慎重さが求められると思います。そして、その慎重さは、JRの会社をまたがる区間であっても続ける必要があります。
台車に亀裂の入った車両は、名古屋駅で運行をやめてからもホームに留まりました。それは、列車に移動させると、亀裂の入った台車が損傷する恐れがあるので動かせなかったといいます。そうしたギリギリの状態の列車に、およそ1000人の乗客を乗せて走らせていたという事実を、重く受け止めなければなりません。亀裂の原因はどこにあるのか、点検のあり方はいまのままでいいのか、そして、異常に気づきながら列車の運行を続けた判断、その問題はどこにあるのか。午前6時になれば、始発の新幹線が走りはじめます。再発防止に向け、これらの点を早急に明らかにしなければなりません。(中村 幸司 解説委員)