愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

5.3屈辱の日に中東で原発・軍事力を売り込む安倍経団連日米軍事同盟深化派はイスラム世界を敵に!その2

2013-05-05 | 日記

つづき

いよいよ本題です。 

その前に、安倍首相がモスクワで無名戦士の墓に献花し、「慰霊」した記事について書いておきます。この「無名戦士の墓」に眠るのはどのような戦士であるか。そこが注目です。「東部戦線」で戦った兵士たちということです。モスクワからみた「東部戦線」とは、「対日戦争」を意味するということです。そうです!大東亜戦争で戦った無名戦士です。

大東亜戦争正当化論者の筆頭である安倍首相は、どんな気持ちで献花し、慰霊したのでしょうか?靖国神社に祀られている「ご英霊」は、こうした安倍首相をどのように思ったことでしょうか?

首相、モスクワの日本人墓地に献花 2013/4/29 20:13

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2902E_Z20C13A4PE8000/

http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/actions/201304/29russia.html

無名戦士の墓

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E5%90%8D%E6%88%A6%E5%A3%AB%E3%81%AE%E5%A2%93

ロシアアレキサンダー庭園 - モスクワ1941-1945年東部戦線の無名戦士の墓

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E9%83%A8%E6%88%A6%E7%B7%9A

 

さて、いよいよ本題の安倍首相が訪問した中東諸国です。

報道された記事を読むと、今回の外遊は、TPP参加を正当化するための成長戦略を前提に、また原発再稼動の正当化の前提づくりとして、次はアメリカのアジア・中東戦略のお先棒を担ぐものだったように思います。それを「成果」として描き、参議院選挙に利用し、憲法改悪のために突き進んでいこうとするものだったように思います。以下、そのことを記事から見ていきたいと思います。

まず、安倍首相に同行した異常・異様とも言える同行団についてです。安倍首相の記者会見の内容をみると、経済団体の大物を同行させていった意味が判ります。財界を儲けさせることが、「アベノミクス」の最大のネライであることが判ります。これも対中包囲網の一貫でしょう。TPP参加を見越して、手を打っていることが良く判ります。この「成果」をもって、TPP参加を正当化し、再稼動を正当化することは確実でしょう。

経済界:GW首相外遊に大規模同行団 商機拡大へ協調 露・中東で資源調達、インフラ整備 毎日2013年04月28日 東京朝刊

http://mainichi.jp/select/news/20130428ddm002020087000c.html

経団連会長「非常に実り多い」 首相同行の意義強調  2013/5/3 20:03 http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS03024_T00C13A5000000/

首相、サウジ皇太子と会談 共同声明発表  <2013年5月1日 9:45>

http://www.news24.jp/articles/2013/05/01/04227794.html

共同声明は、中東地域安定のためテロ対策や災害救援など安全保障分野での対話を強化することや、省エネや原子力など経済分野で協力を促進することなどが柱…会談ではエネルギー分野に加え、文化交流や地域問題での協力など幅広い協力関係を築く方針を確認…安全保障分野や省エネ、インフラ整備などの経済分野での協力関係を深めるなど、重層的な中東外交を展開していく考えをアピールする…安倍首相は最初の訪問国のロシアで…日露両国の経済分野での連携を訴え…「日本が持てる技術や文化を活用して、いかなる貢献をなし得るかを示し、協力、可能性を広める絶好の機会です」…都市環境・日本食・最先端の医療機器の3分野で日本の持つ技術を紹介し、「日本の経済力が日露関係の一層の発展に用いられることを希望する」と強調(引用ここまで

ロシア・中東訪問中の安倍首相、3つ目の訪問国UAEに到着  (05/02 00:54)  (概略)

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00245211.html

…安倍首相は「私は、日本とサウジアラビア、日本と中東との、全く新しい関係を、今までと異なる次元の結びつきをつくりたいと思っています」…日本の農産物や医療技術、水道などのインフラ、そして、原発などを積極的に輸出する意向を示し、経済面での連携強化を呼びかけ…「日本は、再生可能エネルギーや、世界一安全な原子力発電の技術をご提供できます」…「わたし自身がトップセールスする、経済外交の第1弾としたい」と…

日本にとって中東最大の石油供給国、サウジアラビアは、人口の増加や経済成長で、国内のエネルギー消費量が増えていて、石油産出国でありながら、エネルギーの確保が課題…中東諸国が目をつけたのが、新エネルギー。マスダールは、現在、日本の大手企業も参入。ビジネスチャンスとして、拡大を狙っている。

 日経BPクリーンテック研究所の藤堂安人主席研究員

「中東というのは、特に太陽エネルギーにあふれた地域ですので。日本が得意な太陽エネルギーを活用した環境技術というものを、中東地域に売り込むという、そういう意図があるというふうに考えます」「例えばUAEには、マスダールという新しい都市開発のプロジェクトが、現在、進行しています。そこでは生活であるとか、生産活動に使うエネルギーを、全て二酸化炭素を出さない、再生可能エネルギーでまかなおうという、非常に野心的な試みです」「今後は、マスダールのような、新興国におけるスマートシティのプロジェクトに、日本の企業も、今以上に出ていかなければいけないというふうに考えます」と…(引用ここまで

首相 中東諸国と重層的関係への転機  5月3日 22時38分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130503/k10014356191000.html

安倍総理大臣は、訪問先のトルコで今回の外国訪問を締めくくる記者会見を行い、中東諸国と資源・エネルギーを中心とする関係を超えた重層的な関係を築く転機になったと成果を強調…「原子力安全の向上に貢献していくことは日本の責務だ」…原発事故の経験と教訓を踏まえ、日本企業による原子力関連技術の輸出を後押ししていく考え…「今回の中東訪問のねらいは、石油の売買といった従来の資源・エネルギーを中心とする関係を超えて幅広い分野での経済協力、さらには政治・安保、文化といった多層的な関係にしていくことにあった。中東地域の高い経済的潜在力は日本の成長に直結する。今回の訪問は、中東諸国との間で重層的な関係を築く転機となった」と…成果を強調…「今回の歴訪は本格的な経済外交のスタートとなった。今回、強化された各国との関係を軸に、農業や医療を含む広範な分野の海外展開を支援し、成長戦略につなげていきたい」…UAE=アラブ首長国連邦、それにトルコとの間で原子力協定の締結で合意したことに関連して「過酷な事故の経験と教訓を世界に共有し、原子力安全の向上に貢献していくことは日本の責務だ」…福島第一原発の事故の経験と教訓を踏まえ、日本企業による原子力関連技術の輸出を後押ししていく考え…原発の運転再開について「安全性を最優先したい。原発の安全性は、原子力規制委員会の判断にゆだね、委員会が新たな安全基準に適合すると認めた場合には、その専門的な判断を尊重し、再稼働を進めていく」と(引用ここまで

もう一つのネライは、アメリカの中東・中央アジア戦略の応援団という位置づけです。これが日本の財界の要求でもある訳です。財界の要求とアメリカの軍事・経済・政治戦略が一致しているということでもある訳です。以下をお読みください。

日・トルコ共同宣言要旨  (2013/05/03-20:52)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013050300469

【アンカラ時事】安倍晋三首相とトルコのエルドアン首相が3日合意した 共同宣言の要旨は次の通り。
一、日・トルコの協力関係を相互利益に基づく戦略的パートナーシップの関係に高めることを決定
一、両国首脳のより頻繁な会談、外相による定期的な対話を通じて、政治面での協力を強化。防衛当局間の協議も促進
一、中東情勢や東アジア、アジア太平洋を含む地域情勢に関する協議により、地域安定への取り組みを推進
一、シリア情勢の深刻化に重大な懸念を表明。可能な限り早期にシリア人主導の政権移行が行われる必要性を強調
一、核の安全保障やテロ対策、核不拡散分野での協力
一、日本・トルコ経済連携協定(EPA)の正式交渉における将来の妥結に向けたプロセスおよび社会保障協定交渉の加速化に努力
一、医療、農業・食品、インフラ整備、通信放送衛星などの分野で、さらなる両国間の協力を推進

一、原子力協定、シノプ原発プロジェクトに関わる政府間協定の署名。同プロジェクトに対する日本への排他的交渉権の付与。原子力の平和利用の分野での新たな協力の構築
一、日・トルコの外交関係樹立90周年となる2014年の意義を強調。「トルコ・日本基金文化センター」などの活動支援を強化。宇宙分野での協力を加速 

安保絡め資源確保=原発輸出には批判も-安倍外交  (2013/05/03-22:36)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013050300367

…安全保障対話の推進を通じて資源大国との関係を強め、エネルギーの安定確保につなげる「安倍外交」の狙いは、一定の成果を上げたと言えそうだ。一方、首相は中東で積極的に日本の原発の売り込みを展開。東京電力福島第1原発事故の影響が続く中、こうした首相の姿勢が国内で論議を呼ぶ可能性もある。 「今回の訪問は(各国と)重層的な関係を築く契機となった。本格的な経済外交のスタートだ。訪問を通じて強化された各国との関係をてこに、成長戦略につなげていきたい」…訪問した4カ国のうち、トルコを除く3カ国は世界有数のエネルギー供給国。日本が輸入する原油のうちサウジアラビア(33%)とUAE(22%)で半分以上を占める。ロシアからも天然ガスの約1割を輸入している。 これら資源供給国との絆を深めるための首相の切り札が「安保」だった。ロシアとの間で外務・防衛担当閣僚による「2プラス2」創設で合意したのを手始めに、サウジ、UAEとはそれぞれ外務・防衛両省幹部による安保対話を新設した。 日本が輸入する原油の8割はペルシャ湾の入り口に当たるホルムズ海峡を通過する。シーレーン(海上交通路)の安全確保のためにもサウジなどとの連携強化は重要だ。プーチン・ロシア大統領と北方領土交渉の再スタートで合意できたことを含め、首相同行筋は「狙い通りの成果が得られた」と手応えを語った。 また、今回訪問したUAE、トルコとはいずれも原子力協定に調印。サウジとも協定締結を視野に事務レベルでの協議を始めることで合意した。 特に、トルコとの間では、三菱重工業などが参加する企業連合が同国内の原発受注に事実上成功。首相自らが「トップセールス」に立ち、東電原発事故で停滞していた日本の原発の海外ビジネスに弾みをつけた。 ただ、原発事故によりいまだに避難を余儀なくされている住民も多い。原子力規制委員会による新規制基準も施行前の段階で、現時点での原発輸出再開には異論もある。「過酷な事故の経験と教訓を世界と共有するのは日本の責務だ」と強調…民主党の海江田万里代表は東京都内で記者団に「規制委が基準を出すわけだから、それを受けてからだ。国内の動きも考えながらやるべきだ」と指摘。原発の海外展開に傾斜する首相を批判した。(引用ここまで

トルコに原発輸出へ 首脳会談で協定合意 防衛協議も促進 共同宣言発表  (共同通信)2013/05/04 12:30

http://www.47news.jp/47topics/e/241074.php

…シノップ原発は総事業費2兆円超で、原子炉4基を建設する計画。三菱重工業とアレバ(フランス)の合弁企業が受注することで日本、トルコ両政府が大筋合意しており、今回の協定署名で建設に向けた環境が整った…。(引用ここまで

日本に負けず劣らぬ地震国であるトルコに、日本の原発を売り込む安倍首相と中東に進出を図る原発利益共同体はどのような企業でしょうか?報道では具体的に、どこの企業が参加したのか、一覧表がありません。三菱重工業は、原発利益共同体の一員であると同時に「死の商人」でもある訳です。このことの意味について、検討していく必要があると思います。

それでは、安倍首相が成果を誇った「安全保障=軍事」について、以下を掲載しておきます。アメリカも中央アジア・中東政策の一翼を担う意図が透けて見えてきます。記者会見の席上、アルジャジーラの記者がイランについて質問していました。安倍首相や「対話と圧力」政策を説明していました。では、安倍首相の中東歴訪はどのように報道されていったのでしょうか?

アルジャジーラで報道された安倍総理の記者会見

http://nicoviewer.net/sm20770916

トルコの位置は、北は黒海、南は地中海に面し、西でブルガリアギリシャと、東でグルジアアルメニアイランイラクシリアと接しています。カスピ海とも、遠くはないと言えるでしょうか?そういう視点からみると、また米軍の位置づけをみると、シリア・ロシア・そしてイラク・イラン・黒海・カスピ海がどのような戦略的位置か、見えてきます。

以下検索してみました。

トルコにおける米軍

http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-16

パトリオット配備に向け米兵がトルコに到着 対シリア 2013.01.05 Sat posted at 11:20 JST

http://www.cnn.co.jp/world/35026510.html

トルコの米軍基地に70発の核ミサイ ル:一掃された|危機と活路 - Ameba

http://ameblo.jp/tatsmaki/entry-11386902504.html

トルコに配備されるミサイル複合体「パトリオット」はロシアに向けたものである  1月22日

http://roshianow.jp/news/2013/01/22/41005.html

シリアの体制転覆を狙って米英仏やトルコ、湾岸産油国は傭兵を送り込んだが思惑通りに進まずNATO軍の直接介入を目論むが、露国は新型ミサイルを配備したとの情報も

http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201212090000/

今後、今回の歴訪の事実がどうであったか、検証されることでしょう。安倍首相をはじめとした日米軍事同盟深化派のネライが具体化してくること、これは国民と、世界各地の民衆との矛盾は避けられないこととなるでしょう。そういう意味からも、日米軍事同盟を廃棄し、ロシアとも、アメリカとも非軍事の平和友好条約を結ぶこと、東アジア平和共同体を構築することこそ、民衆の暮らしを、平和を実現することになるでしょう。

テレビや、そうした視点など全くなく、安倍首相の「成果」を垂れ流しています。長島・松井両氏の国民栄誉賞に酔いしれています。二人のファンとしては嬉しい限りですが、安倍首相の魂胆(ナベツネの入れ知恵かも知れません!)が透けて見えてきます。松井さんが「恐縮」していたように、やりすぎかもしれません。そういう意味で、気の毒というか、残念です。あまりに立派な松井さんを見ていると、そう思います。

もう一つあります。それは雅子さんの話題を作りながら、です。これも気の毒なことです。極めて政治的です。麻生副総理がインドで原発を売り込んでいました。今年末、心臓の手術をした高齢の明仁天皇を、ここでも政治的に利用するのでしょう。おそらくパル判事のことも利用することでしょう。

安倍首相と、とりまき連中のしたたかさ、姑息さを観る思いです。利用できるものは、何でも使え!です。

しかし、憲法改悪への道程としての96条改悪問題について、「国民の中に理解ができていない」などという安倍首相の言葉には呆れます。反対が強かったことを見抜けなかったのでしょう。分断とウソを撒き散らしていく対策を図ってくることは明らかです。しかし、道理は国民の側にあることも、この安倍首相の発言で判ります。何としても博物館へ送らねばと思います。

 


5.3屈辱の日に中東で原発・軍事力を売り込む安倍経団連日米軍事同盟深化派はイスラム世界を敵に!その1

2013-05-05 | 日記

安倍政権の外遊が、危惧を表明しながらも、「成功」「成果あり」などというデタラメをそのまま報道するマスコミもありますので、記事を書くことにしました。

安倍自公「内閣の指導と助言」に基づく天皇の参加という政治的利用を謀ったにもかかわらず、「お言葉」もなし。一応「沖縄に思いを致す」とされていたシンボルの心中はどうだったでしょうか?そうした心中を慮った輩が、式次第にない「天皇陛下万歳!を叫ぶと、安倍首相も、パブロフの犬同様に、「万歳三唱」をしたようです。外国ではどのように写ったのでしょうか?お笑いもんです。以下探してみました。

http://www.j-cast.com/2013/05/01174351.html?p=all

http://j.people.com.cn/94640/8024662.html

http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-05-01_48729

http://japan.hani.co.kr/arti/international/14580.html

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0429&f=national_0429_031.shtml

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/04/30/2013043000455.html

しかし、お祝い集会は、内容もなく、ただただ、沖縄への「思いを致す」ことだけを念頭においていたように思います。しかし、腹の中は、全く違っていることは、辺野古・オスプレイ・自民党議員の政策転換という名の公約違反=仕掛けを課して、着々と分断を図っていることで、明らかです。

そうした4.28「完全なる国権回復」日をお祝いし、その足で、5.3「屈辱の日」を逃げるようにして、ロシア・中東を歴訪した安倍首相。まるで計算され尽くした日程調整だったように思います。これが国内にいたら、どうだったでしょうか?4.28を「屈辱の日」とする沖縄をはじめとして、一部マスコミからも、国民からも批判されたことを受けて、日本国憲法施行日である5.3をお祝いしないとは何事か!と言われるのではないかという小心からでしょうか?安倍首相は、「僕は仕事をしています!」というメッセージとパフォーマンスのためでしょうか?ロシア・中東にそそくさと出かけて言ったのでした。

その後の安倍首相のパフォーマンスには呆れるばかりですが、あの得意げな、有頂天は顔つきを見るにつけ、この御仁大丈夫だろうか?と思うのです。首相官邸に引越しができない体調の持ち主であり、小心者ということでしょうか?首相の顔とパフォーマンスを見ていると、そう思わざるを得ません。

さて、国内では憲法記念日=建国記念日である5月3日を中心に、憲法改悪派の思惑を扇動するマスメディアに溢れていましたが、その思惑は、必ずしも貫徹できないようにも思います。地方紙の社説の検討ぶりにアッパレ!と連帯の拍手を贈る一方、NHKや全国紙の社説のアメリカ脳ぶりに、ホトホト呆れます。一体あなたたちはどこの国のテレビ・新聞なんですか?ということです。

そういう前置きはさておき、ロシアについては、千島列島(日本のマスコミは北方領土とゴマカシてしている!)問題を取り上げなければなりません。これについては、ことの本質は沖縄の「屈辱の日」と同じです。しかし、日本政府もマスコミも、その気はいっさいありません。

以下の歌をご覧ください。聖戦としての大東亜戦争の正当性を煽っていた当時の日本の姿が、この歌に良く出ています。しかし、その千島は、放棄してしまったのです。

 昭和10 北の国境線    詞 横沢千秋   曲 細川潤一

http://www.youtube.com/watch?v=SMM2GfCBpbc

古茂田・矢沢・島田・横沢『日本流行歌史』(社会思想社81年1月刊)より

北の国境線    詞 横沢千秋   曲 細川潤一  昭和10 

落葉松ばやし 日が落ちて  空に冷たや 北斗星  風も 他国の想いをのせて  吹くか 広野ひろのの国境くにざかい

冬は 氷の丘越えて  町へ 六里の橇(そり)の鈴  花はいつ咲く オロチョン娘  今日も吹雪に 泣いていた

占守岬(シュムシュみさき)の 波がしら  返しゃ 他国の岸を打つ  護る勇士の 島守り人に  熱く寄せたや 花(はな)だより

白樺ばやしの 夕日映え  夏の谷間の 山ざくら  胸の思いの かなしく燃えて  いとし懐かし 北日本

 

この歌は当時の千島列島北端の国境警備の兵士達に贈ったものだが、終戦後、そこに捕虜として囚われていた部隊の人たちが帰郷。十数人の生き残り元部隊員たちから「この歌によって大いに慰められ鼓舞されました」と、感涙のにじんだ記念の寄せ書きを贈られ、作詞者も思わず熱涙を感じた。歌というものは、そのようにも人に沁みるものであろうか。尚、この歌の第二節四行目の“吹雪に泣いていた”は、うたう上では“泣いている’とされている。この事につき歌手の東海林太郎氏が「詩句の上は当然“た”ですが、歌の発声上このようにした事を許されたい」と、わざわざお詫びと了解を求めてきた。この歌手の良心と礼儀正しさを語るものとして記す。(引用ここまで

 

そもそも、「北方領土」とは全千島のはず!しかし、自民党はサンフランシスコ条約で、沖縄を生け贄とした天皇メッセージと引き換えに、千島列島そのものをソ連・スターリンに売り渡したのです。これは戦後のアジア戦略を位置づけたアメリカの策略でした。ここでも第二次世界大戦の未解決問題があります。

 冷静な外交交渉こそ唯一の解決の道 外国特派員協会 志位委員長の講演 2012年10月7日(日)「しんぶん赤旗」

http://www.jcp.or.jp/web_tokusyu/2012/08/post-5.html

北方領土問題とヤルタ協定

http://www.canon-igs.org/column/security/20110629_939.html

安倍首相ら大東亜戦争肯定派が、ソ連の対日参戦を非難しますが、これもヤルタ秘密協定によって英米承認ずみでした。これが、サンフランシスコ条約と日米安保条約によって固定化され、現在に至っているという歴史があります。戦後アメリカ寄り・ソ連敵視政策を取ってきた戦後自民党政権は、「反共の防波堤」として本土と沖縄の米軍基地を固定化し「捨て」、「北方領土」を「捨て」てきたのです。この責任を問いただすマスコミは、ほとんど存在しません。これほどの不道徳があるでしょうか?

 

以下、靖国神社の遊就館の「図録」はどのように書かれているか、見ていく中で、問題を検討してみたいと思います。

大東亜戦争概略

終戦

昭和二十年八月六日広島、九日長崎に原爆が投下され、如九日にはソ連軍による満州、朝鮮、樺太への不法侵攻がなされた。ここに八月十日終戦の大詔が渙発せられた。

 終戦後の戦い

ソ連は有利な戦後体制を作為するため、八月九日ヤルタ秘密協定に基づき不法侵攻を開始し、十五日以後もその侵攻を止めず、十八日には占守島に上陸して来た。それに対し日本軍は直ちに体制を整え、ソ連に大打撃を与えた。また占領政策は昭和二十七年4月二十七日まで継続され、その間極東国際軍事裁判、各地軍事裁判が開廷され、多くの日本弱体化政策が施行された。一方大東亜戦争に刺激されたアジア、アフリカの国々は独立の戦いを強め、その独立を達成したいった。

 ソ連仲介の和平努力  昭和二十(1945)年四月七日鈴木内閣成立

昭和二十年四月、ソ連から日ソ中立条約の不延長通告を受けた直後に成立した鈴木内閣の終戦構想は、ソ連仲介の和平交渉であった。この方針は最高戦争指導会議で承認され、日本代表の広田元外相と駐日ソ連大使マリクとの会談が始まった。すでにヤルタで参戦を約束したソ連が、マリクの病気を理由に会談を中断したので、政府は 近衛特使のモスクワ派遣を申し入れた。ソ連は、逆に対日参戦の日程を繰り上げて、占領地域の拡大を図った。

 広田、マリク会談再開  昭和二十(1945)年六月二十二日

鈴木内閣は最高戦争指導会議で、対ソ外交の目的を①対日参戦阻止、②好意的中立の獲得、③戦争終結仲介の三点とすること、代償として南樺太の返還や旅順・大連の租借権の譲渡などを与える決定をした。日本代表には広田元外相が選ばれ、ソ連のマリク大使との折衝が、六月二日から箱根の強羅で始まった。モスクワでも佐藤尚武大使がモロトフ外相に必死にしたが、八月八日の対日宣戦布告がその回答であった。

 ソ連の満州、朝鮮、樺太への侵攻  昭和二十(1945)年八月九日

有利な戦後体制を作為するため、ソ連は日本の和平斡旋の依頼を拒否し、九日零時大兵団(兵員百五十七万人、砲迫二万6千門、戦車等約五千五百両)で満州への侵攻を開始した。精鋭部隊を南方に転出させた関東軍は、現地の在留邦人を動員して六十八万人を集めたが、戦力の差は歴然としていた。各地で必死の防戦が続いたが、機甲兵団の進撃を阻止する力はなかった。ソ連軍は、終戦後も進撃を止めず、朝鮮の北緯三十八度線に到達して、初めて停止した。樺太方面では、十一日に攻撃を開始したソ連軍を、日本軍守備隊が国境陣地で阻止した。十五日に終戦の命令を受けて派遣した日本軍の軍使を射撃した。ソ連軍は、その後も攻撃を存続し、二十日には真岡に艦砲射撃を加えて上陸、避難民に猛火を浴びせた。千島方面では、終戦3日目の十八日深夜、濃霧の中を占守島に上陸してきたソ連軍に大打撃を与えた。ソ連軍は停戦後も、南下を続けて南千島にまで進出・占領した。(引用ここまで

 

どうでしょうか?日本の、靖国神社の手前勝手さが溢れていませんか?以下ポイントをまとめてみました。

1.日露戦争後、満州・朝鮮を確保するために日露協商を結び、真珠湾攻撃の大本となった対米対策を取ったことは、靖国神社の歴史には黙殺されています。防衛のために戦ったとされている日露戦争が、大陸への侵略、領土拡大のためであったことは、この日露協商で明らかですが、このことについて、靖国神社は資料にも、図録にもいっさいありません。目を瞑っているのです。大ウソつきであることは明瞭です。

2.日中戦争に行き詰まった天皇政府は、東南アジアへの南下侵略政策推進のために、独ソ不可侵条約(1939年8月)を機に、また張鼓峰事件(1928年7月)・ノモンハン事件(1939年5月)と、ソ連の強さを体験した日本は、日ソ中立条約(1941年4月)を結び、北からの「脅威」を取り除きながら、日米交渉(1941年4月)を開始し、南部仏印に侵略(1941年7月)していくのです。

こうした事実を隠しておきながら、戦争末期には国体護持のためにソ連との和平交渉を行い、ソ連が相手にしてくれなかったことを記事のように表現し非難するのです。その間にどれだけの国民が殺されたか、どれだけのアジア諸国の国民が殺されたか、靖国神社の歴史には、全く想定されていません。

3.ソ連のスターリンの領土拡大野心が問題であることは当然ですが、英米の承認の下におけるヤルタ協定という性格をいっさい不問に付し、英米を免罪、ソ連のみに責任を負わせているのです。これこそ、大東亜戦争正当化を強調しているにもかかわらず、日米軍事同盟容認・深化論にたち、戦後体制を是認する靖国神社の不道徳ぶりの証明となっています。

4.以上のような身勝手な終戦工作と戦争終結時の評価の上に、千島列島を放棄したことを免罪し正当化していることを告発していかなければなりません。安倍・プーチン会談を伝えるマスコミには、こうした視点はいっさいありません。尖閣報道を大きく違っていることが判ります。意図的です。

5.こうした状況を作り出した英米ソ、連合国、とりわけアメリカの極東政策・戦後世界戦略をこそ、再検討していかなければなりません。尖閣・竹島・千島、いずれも、サンフランシスコ条約と日米安保条約の調印と絡んでいるのです。そういう意味で、戦後レジームを問いただすと時がきたように思います。憲法改悪と連動しているからです。

6.そのためにも、考えられることは何か、です。それは、領土不拡大・民族自決・民族平等の国際法に則って、今こそ解決していくべきです。そのためにも、あの大東亜戦争の責任と反省を清算すべきです。そうして日米軍事同盟を廃棄し、ロシアとも、アメリカとも非軍事の平和友好条約を結ぶべきです。こうした作業をとおして非軍事の東アジア平和共同体ができるのではないでしょうか?その際の最大の原則は日本国憲法です。

つづく