つづき
いよいよ本題です。
その前に、安倍首相がモスクワで無名戦士の墓に献花し、「慰霊」した記事について書いておきます。この「無名戦士の墓」に眠るのはどのような戦士であるか。そこが注目です。「東部戦線」で戦った兵士たちということです。モスクワからみた「東部戦線」とは、「対日戦争」を意味するということです。そうです!大東亜戦争で戦った無名戦士です。
大東亜戦争正当化論者の筆頭である安倍首相は、どんな気持ちで献花し、慰霊したのでしょうか?靖国神社に祀られている「ご英霊」は、こうした安倍首相をどのように思ったことでしょうか?
首相、モスクワの日本人墓地に献花 2013/4/29 20:13
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2902E_Z20C13A4PE8000/
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/actions/201304/29russia.html
無名戦士の墓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E5%90%8D%E6%88%A6%E5%A3%AB%E3%81%AE%E5%A2%93
ロシアアレキサンダー庭園 - モスクワ1941-1945年東部戦線の無名戦士の墓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E9%83%A8%E6%88%A6%E7%B7%9A
さて、いよいよ本題の安倍首相が訪問した中東諸国です。
報道された記事を読むと、今回の外遊は、TPP参加を正当化するための成長戦略を前提に、また原発再稼動の正当化の前提づくりとして、次はアメリカのアジア・中東戦略のお先棒を担ぐものだったように思います。それを「成果」として描き、参議院選挙に利用し、憲法改悪のために突き進んでいこうとするものだったように思います。以下、そのことを記事から見ていきたいと思います。
まず、安倍首相に同行した異常・異様とも言える同行団についてです。安倍首相の記者会見の内容をみると、経済団体の大物を同行させていった意味が判ります。財界を儲けさせることが、「アベノミクス」の最大のネライであることが判ります。これも対中包囲網の一貫でしょう。TPP参加を見越して、手を打っていることが良く判ります。この「成果」をもって、TPP参加を正当化し、再稼動を正当化することは確実でしょう。
経済界:GW首相外遊に大規模同行団 商機拡大へ協調 露・中東で資源調達、インフラ整備 毎日2013年04月28日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/news/20130428ddm002020087000c.html
経団連会長「非常に実り多い」 首相同行の意義強調 2013/5/3 20:03 http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS03024_T00C13A5000000/
首相、サウジ皇太子と会談 共同声明発表 <2013年5月1日 9:45>
http://www.news24.jp/articles/2013/05/01/04227794.html
共同声明は、中東地域安定のためテロ対策や災害救援など安全保障分野での対話を強化することや、省エネや原子力など経済分野で協力を促進することなどが柱…会談ではエネルギー分野に加え、文化交流や地域問題での協力など幅広い協力関係を築く方針を確認…安全保障分野や省エネ、インフラ整備などの経済分野での協力関係を深めるなど、重層的な中東外交を展開していく考えをアピールする…安倍首相は最初の訪問国のロシアで…日露両国の経済分野での連携を訴え…「日本が持てる技術や文化を活用して、いかなる貢献をなし得るかを示し、協力、可能性を広める絶好の機会です」…都市環境・日本食・最先端の医療機器の3分野で日本の持つ技術を紹介し、「日本の経済力が日露関係の一層の発展に用いられることを希望する」と強調(引用ここまで)
ロシア・中東訪問中の安倍首相、3つ目の訪問国UAEに到着 (05/02 00:54) (概略)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00245211.html
…安倍首相は「私は、日本とサウジアラビア、日本と中東との、全く新しい関係を、今までと異なる次元の結びつきをつくりたいと思っています」…日本の農産物や医療技術、水道などのインフラ、そして、原発などを積極的に輸出する意向を示し、経済面での連携強化を呼びかけ…「日本は、再生可能エネルギーや、世界一安全な原子力発電の技術をご提供できます」…「わたし自身がトップセールスする、経済外交の第1弾としたい」と…
日本にとって中東最大の石油供給国、サウジアラビアは、人口の増加や経済成長で、国内のエネルギー消費量が増えていて、石油産出国でありながら、エネルギーの確保が課題…中東諸国が目をつけたのが、新エネルギー。マスダールは、現在、日本の大手企業も参入。ビジネスチャンスとして、拡大を狙っている。
日経BPクリーンテック研究所の藤堂安人主席研究員は
「中東というのは、特に太陽エネルギーにあふれた地域ですので。日本が得意な太陽エネルギーを活用した環境技術というものを、中東地域に売り込むという、そういう意図があるというふうに考えます」「例えばUAEには、マスダールという新しい都市開発のプロジェクトが、現在、進行しています。そこでは生活であるとか、生産活動に使うエネルギーを、全て二酸化炭素を出さない、再生可能エネルギーでまかなおうという、非常に野心的な試みです」「今後は、マスダールのような、新興国におけるスマートシティのプロジェクトに、日本の企業も、今以上に出ていかなければいけないというふうに考えます」と…(引用ここまで)
首相 中東諸国と重層的関係への転機 5月3日 22時38分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130503/k10014356191000.html
安倍総理大臣は、訪問先のトルコで今回の外国訪問を締めくくる記者会見を行い、中東諸国と資源・エネルギーを中心とする関係を超えた重層的な関係を築く転機になったと成果を強調…「原子力安全の向上に貢献していくことは日本の責務だ」…原発事故の経験と教訓を踏まえ、日本企業による原子力関連技術の輸出を後押ししていく考え…「今回の中東訪問のねらいは、石油の売買といった従来の資源・エネルギーを中心とする関係を超えて幅広い分野での経済協力、さらには政治・安保、文化といった多層的な関係にしていくことにあった。中東地域の高い経済的潜在力は日本の成長に直結する。今回の訪問は、中東諸国との間で重層的な関係を築く転機となった」と…成果を強調…「今回の歴訪は本格的な経済外交のスタートとなった。今回、強化された各国との関係を軸に、農業や医療を含む広範な分野の海外展開を支援し、成長戦略につなげていきたい」…UAE=アラブ首長国連邦、それにトルコとの間で原子力協定の締結で合意したことに関連して「過酷な事故の経験と教訓を世界に共有し、原子力安全の向上に貢献していくことは日本の責務だ」…福島第一原発の事故の経験と教訓を踏まえ、日本企業による原子力関連技術の輸出を後押ししていく考え…原発の運転再開について「安全性を最優先したい。原発の安全性は、原子力規制委員会の判断にゆだね、委員会が新たな安全基準に適合すると認めた場合には、その専門的な判断を尊重し、再稼働を進めていく」と(引用ここまで)
もう一つのネライは、アメリカの中東・中央アジア戦略の応援団という位置づけです。これが日本の財界の要求でもある訳です。財界の要求とアメリカの軍事・経済・政治戦略が一致しているということでもある訳です。以下をお読みください。
日・トルコ共同宣言要旨 (2013/05/03-20:52)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013050300469
【アンカラ時事】安倍晋三首相とトルコのエルドアン首相が3日合意した 共同宣言の要旨は次の通り。
一、日・トルコの協力関係を相互利益に基づく戦略的パートナーシップの関係に高めることを決定
一、両国首脳のより頻繁な会談、外相による定期的な対話を通じて、政治面での協力を強化。防衛当局間の協議も促進
一、中東情勢や東アジア、アジア太平洋を含む地域情勢に関する協議により、地域安定への取り組みを推進
一、シリア情勢の深刻化に重大な懸念を表明。可能な限り早期にシリア人主導の政権移行が行われる必要性を強調
一、核の安全保障やテロ対策、核不拡散分野での協力
一、日本・トルコ経済連携協定(EPA)の正式交渉における将来の妥結に向けたプロセスおよび社会保障協定交渉の加速化に努力
一、医療、農業・食品、インフラ整備、通信放送衛星などの分野で、さらなる両国間の協力を推進
一、原子力協定、シノプ原発プロジェクトに関わる政府間協定の署名。同プロジェクトに対する日本への排他的交渉権の付与。原子力の平和利用の分野での新たな協力の構築
一、日・トルコの外交関係樹立90周年となる2014年の意義を強調。「トルコ・日本基金文化センター」などの活動支援を強化。宇宙分野での協力を加速
安保絡め資源確保=原発輸出には批判も-安倍外交 (2013/05/03-22:36)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013050300367
…安全保障対話の推進を通じて資源大国との関係を強め、エネルギーの安定確保につなげる「安倍外交」の狙いは、一定の成果を上げたと言えそうだ。一方、首相は中東で積極的に日本の原発の売り込みを展開。東京電力福島第1原発事故の影響が続く中、こうした首相の姿勢が国内で論議を呼ぶ可能性もある。 「今回の訪問は(各国と)重層的な関係を築く契機となった。本格的な経済外交のスタートだ。訪問を通じて強化された各国との関係をてこに、成長戦略につなげていきたい」…訪問した4カ国のうち、トルコを除く3カ国は世界有数のエネルギー供給国。日本が輸入する原油のうちサウジアラビア(33%)とUAE(22%)で半分以上を占める。ロシアからも天然ガスの約1割を輸入している。 これら資源供給国との絆を深めるための首相の切り札が「安保」だった。ロシアとの間で外務・防衛担当閣僚による「2プラス2」創設で合意したのを手始めに、サウジ、UAEとはそれぞれ外務・防衛両省幹部による安保対話を新設した。 日本が輸入する原油の8割はペルシャ湾の入り口に当たるホルムズ海峡を通過する。シーレーン(海上交通路)の安全確保のためにもサウジなどとの連携強化は重要だ。プーチン・ロシア大統領と北方領土交渉の再スタートで合意できたことを含め、首相同行筋は「狙い通りの成果が得られた」と手応えを語った。 また、今回訪問したUAE、トルコとはいずれも原子力協定に調印。サウジとも協定締結を視野に事務レベルでの協議を始めることで合意した。 特に、トルコとの間では、三菱重工業などが参加する企業連合が同国内の原発受注に事実上成功。首相自らが「トップセールス」に立ち、東電原発事故で停滞していた日本の原発の海外ビジネスに弾みをつけた。 ただ、原発事故によりいまだに避難を余儀なくされている住民も多い。原子力規制委員会による新規制基準も施行前の段階で、現時点での原発輸出再開には異論もある。「過酷な事故の経験と教訓を世界と共有するのは日本の責務だ」と強調…民主党の海江田万里代表は東京都内で記者団に「規制委が基準を出すわけだから、それを受けてからだ。国内の動きも考えながらやるべきだ」と指摘。原発の海外展開に傾斜する首相を批判した。(引用ここまで)
トルコに原発輸出へ 首脳会談で協定合意 防衛協議も促進 共同宣言発表 (共同通信)2013/05/04 12:30
http://www.47news.jp/47topics/e/241074.php
…シノップ原発は総事業費2兆円超で、原子炉4基を建設する計画。三菱重工業とアレバ(フランス)の合弁企業が受注することで日本、トルコ両政府が大筋合意しており、今回の協定署名で建設に向けた環境が整った…。(引用ここまで)
日本に負けず劣らぬ地震国であるトルコに、日本の原発を売り込む安倍首相と中東に進出を図る原発利益共同体はどのような企業でしょうか?報道では具体的に、どこの企業が参加したのか、一覧表がありません。三菱重工業は、原発利益共同体の一員であると同時に「死の商人」でもある訳です。このことの意味について、検討していく必要があると思います。
それでは、安倍首相が成果を誇った「安全保障=軍事」について、以下を掲載しておきます。アメリカも中央アジア・中東政策の一翼を担う意図が透けて見えてきます。記者会見の席上、アルジャジーラの記者がイランについて質問していました。安倍首相や「対話と圧力」政策を説明していました。では、安倍首相の中東歴訪はどのように報道されていったのでしょうか?
http://nicoviewer.net/sm20770916
トルコの位置は、北は黒海、南は地中海に面し、西でブルガリア、ギリシャと、東でグルジア、アルメニア、イラン、イラク、シリアと接しています。カスピ海とも、遠くはないと言えるでしょうか?そういう視点からみると、また米軍の位置づけをみると、シリア・ロシア・そしてイラク・イラン・黒海・カスピ海がどのような戦略的位置か、見えてきます。
以下検索してみました。
トルコにおける米軍
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-16
パトリオット配備に向け米兵がトルコに到着 対シリア 2013.01.05 Sat posted at 11:20 JST
http://www.cnn.co.jp/world/35026510.html
トルコの米軍基地に70発の核ミサイ ル:一掃された|危機と活路 - Ameba
http://ameblo.jp/tatsmaki/entry-11386902504.html
トルコに配備されるミサイル複合体「パトリオット」はロシアに向けたものである 1月22日
http://roshianow.jp/news/2013/01/22/41005.html
シリアの体制転覆を狙って米英仏やトルコ、湾岸産油国は傭兵を送り込んだが思惑通りに進まずNATO軍の直接介入を目論むが、露国は新型ミサイルを配備したとの情報も
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201212090000/
今後、今回の歴訪の事実がどうであったか、検証されることでしょう。安倍首相をはじめとした日米軍事同盟深化派のネライが具体化してくること、これは国民と、世界各地の民衆との矛盾は避けられないこととなるでしょう。そういう意味からも、日米軍事同盟を廃棄し、ロシアとも、アメリカとも非軍事の平和友好条約を結ぶこと、東アジア平和共同体を構築することこそ、民衆の暮らしを、平和を実現することになるでしょう。
テレビや、そうした視点など全くなく、安倍首相の「成果」を垂れ流しています。長島・松井両氏の国民栄誉賞に酔いしれています。二人のファンとしては嬉しい限りですが、安倍首相の魂胆(ナベツネの入れ知恵かも知れません!)が透けて見えてきます。松井さんが「恐縮」していたように、やりすぎかもしれません。そういう意味で、気の毒というか、残念です。あまりに立派な松井さんを見ていると、そう思います。
もう一つあります。それは雅子さんの話題を作りながら、です。これも気の毒なことです。極めて政治的です。麻生副総理がインドで原発を売り込んでいました。今年末、心臓の手術をした高齢の明仁天皇を、ここでも政治的に利用するのでしょう。おそらくパル判事のことも利用することでしょう。
安倍首相と、とりまき連中のしたたかさ、姑息さを観る思いです。利用できるものは、何でも使え!です。
しかし、憲法改悪への道程としての96条改悪問題について、「国民の中に理解ができていない」などという安倍首相の言葉には呆れます。反対が強かったことを見抜けなかったのでしょう。分断とウソを撒き散らしていく対策を図ってくることは明らかです。しかし、道理は国民の側にあることも、この安倍首相の発言で判ります。何としても博物館へ送らねばと思います。