2020年7月4日;星組『鎌足-夢のまほろば、大和し美しー』_思い出し日記(6)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/089f504f74bb861e9d3b82c010bcfe21
有沙瞳ちゃん演じる皇極天皇と華形ひかるさん演じる蘇我入鹿、自分が傀儡に過ぎないのだと知った二人の深い孤独が共鳴し合う場面、これも書き留めておきたい。
皇極天皇が歩く時鈴の音が鳴る、即位を祝う宴で皇極天皇の持つその鈴が震えていることに触れた入鹿は皇極天皇が何かにおびえていることを感じていたのでした。大臣となった入鹿は皇極天皇の寝所を挨拶に訪れました。
入鹿「明日も早くからお勤めがございます。お休みになりませんと」
皇極天皇「ええ、けれど・・・」
入鹿「けれど」
皇極天皇「眠っているうちに、この板葺の宮がおそわれてもう二度とこの目に朝日の映ることがないのではなと思うと休むことができないのです」
入鹿「ご安心ください。この入鹿がいるかぎり帝に危害の及ぶことは決してございません」
皇極天皇「入鹿・・・」
入鹿「よろしければここでわたしが寝ずの番をつとめましょう。お休みください。」
皇極天皇「入鹿、あなたには申し訳ないことになったと思っています。わたくしが不甲斐ないばかりに要らぬ苦労をあなたにかけている。」
入鹿「わたしの方こそ、力及ばぬ我が身を恥じております。」
皇極天皇「即位したあの日、あの日から、わたくしの人生は失われてしまった。帝と祭り上げられ、おとしめられる。わたくしが人であることなどみな忘れてしまったのです。みながみているのは帝という名のわたくしの傀儡(くぐつ)。けれどその傀儡(くぐつ)がこわれればわたくしも生きてはいられない」
入鹿「みかど」
皇極天皇「入鹿、わたくしはこわいのです、知らぬうちにわたくしひとり遠くへと取り残されているようで・・・」
入鹿「いいえ、一人ではありません」「一人で苦しみをお抱えになるのはおやめください」「傀儡(くぐつ)であるのはあなただけではない、わたくしも同じ、傀儡(くぐつ)には傀儡(くぐつ)の苦しみがわかる」「あの日と同じ、あなたはこんなにも震えておられる、誰が知らなくてもわたくしが知っている、帝である前に一人の女だ、あなたが人として生きるためならばわたくしは修羅にもなりましょう」
「あの人を脅かすものは入鹿が断じて許さぬ」
そして入鹿は皇極天皇と対立する勢力を討ち果たしていき、鎌足に討たれるまで止まることはできなくなってしまったのでした。鎌足と入鹿、少年の日、共に歩むと誓い夢見た志はむごいものとなりました。
この場面の振付も歌舞伎界の藤間勘十郎さん。色っぽいですね、この場面も昨年のLVでは見逃したのでオンデマンド配信でようやく視聴することができて嬉しいです。
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/089f504f74bb861e9d3b82c010bcfe21
有沙瞳ちゃん演じる皇極天皇と華形ひかるさん演じる蘇我入鹿、自分が傀儡に過ぎないのだと知った二人の深い孤独が共鳴し合う場面、これも書き留めておきたい。
皇極天皇が歩く時鈴の音が鳴る、即位を祝う宴で皇極天皇の持つその鈴が震えていることに触れた入鹿は皇極天皇が何かにおびえていることを感じていたのでした。大臣となった入鹿は皇極天皇の寝所を挨拶に訪れました。
入鹿「明日も早くからお勤めがございます。お休みになりませんと」
皇極天皇「ええ、けれど・・・」
入鹿「けれど」
皇極天皇「眠っているうちに、この板葺の宮がおそわれてもう二度とこの目に朝日の映ることがないのではなと思うと休むことができないのです」
入鹿「ご安心ください。この入鹿がいるかぎり帝に危害の及ぶことは決してございません」
皇極天皇「入鹿・・・」
入鹿「よろしければここでわたしが寝ずの番をつとめましょう。お休みください。」
皇極天皇「入鹿、あなたには申し訳ないことになったと思っています。わたくしが不甲斐ないばかりに要らぬ苦労をあなたにかけている。」
入鹿「わたしの方こそ、力及ばぬ我が身を恥じております。」
皇極天皇「即位したあの日、あの日から、わたくしの人生は失われてしまった。帝と祭り上げられ、おとしめられる。わたくしが人であることなどみな忘れてしまったのです。みながみているのは帝という名のわたくしの傀儡(くぐつ)。けれどその傀儡(くぐつ)がこわれればわたくしも生きてはいられない」
入鹿「みかど」
皇極天皇「入鹿、わたくしはこわいのです、知らぬうちにわたくしひとり遠くへと取り残されているようで・・・」
入鹿「いいえ、一人ではありません」「一人で苦しみをお抱えになるのはおやめください」「傀儡(くぐつ)であるのはあなただけではない、わたくしも同じ、傀儡(くぐつ)には傀儡(くぐつ)の苦しみがわかる」「あの日と同じ、あなたはこんなにも震えておられる、誰が知らなくてもわたくしが知っている、帝である前に一人の女だ、あなたが人として生きるためならばわたくしは修羅にもなりましょう」
「あの人を脅かすものは入鹿が断じて許さぬ」
そして入鹿は皇極天皇と対立する勢力を討ち果たしていき、鎌足に討たれるまで止まることはできなくなってしまったのでした。鎌足と入鹿、少年の日、共に歩むと誓い夢見た志はむごいものとなりました。
この場面の振付も歌舞伎界の藤間勘十郎さん。色っぽいですね、この場面も昨年のLVでは見逃したのでオンデマンド配信でようやく視聴することができて嬉しいです。