雪組『フォルティッシッシモ』『シルクロード』-東京宝塚劇場公演(12)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/171f0aee28054ab1e51f8cb81318a12d
2019年雪組『フォルティッシッシモ』、10月1日15時までオンデマンドプレミアムプランにて配信中。
現実にはなかったベートーヴェンとナポレオンの邂逅、
このあと真彩希帆ちゃん演じる謎の女に「死は救いなの」と言わせています。
いちばんわかりづらく、ウエクミ先生の”死は安らぎ”がもっとも表現されている場面。
お正月に宝塚大劇場で観劇したときから一番気になりました。
批判も多いかもしれませんが哲学的でわたしは好きです。ルサンクを購入すれば脚本掲載されていますが、書き起こし。
第13場A 雪原~夢のシンフォニー
「ルートヴィヒはひと時の夢を見るー。気づくとそこはロシアの雪原。多くのフランス兵が雪に埋もれている。たたかいに敗れ疲弊したナポレオンが姿を現し、倒れているルートヴィヒを歩かせようと肩を差し出す。このまま眠りたい・・・人生の炎は全て消えてしまった・・・ナポレオンにそう告げるルートヴィヒ。しかし、あれほど反発していたナポレオンと言葉を交わし互いがかつて抱いた夢を語り合う中で、ルートヴィヒの中に再び音楽の炎が灯る。ルートヴィヒの第五交響曲の中で壮麗に行進するフランス軍の幻影を見る二人。しかし音楽がやむとナポレオンの姿は消え、周囲には再び人々の屍が横たわるのみである。」
ルートヴィヒ
「俺たちはなんのために生きてるんだ?」
ナポレオン
「苦しむためだ」
ルートヴィヒ
「人生に苦しみしかないとしたらなぜ生きてるんだ。俺はなぜ生まれてきたんだ。雪の下の兵隊たちはなぜ生きてたんだ。むなしく死ぬためか」
ナポレオン
「苦しむためじゃなかったら、お前はなんで生きてきた?いいことなんかひとつもなかったろ」
ルートヴィヒ
「幸せになりたかった。人並に妻や子供をもって」
ナポレオン
「お前はばかか」
ルートヴィヒ
「お前はもてたじゃないか、腹が立つ・・・」
ナポレオン
「誰かといたって人は孤独だ。お前の結婚願望はばかげている」
ルートヴィヒ
「うるさい、結婚がだめでもせめて立派に生きたかった」
ナポレオン
「立派に?」
ルートヴィヒ
「人の役に立つ。俺の場合は音楽でみんなを救う」
ナポレオン
「大それたことを。どんな音楽だ?」
ルートヴィヒ
「しらない、何を歌えばこの苦しみの世を救えるのか結局わからなかった」
ナポレオン
「音楽なんぞでは無理だ」
ルートヴィヒ
「音楽は・・・、最後の炎も消えた・・・」
ナポレオン
「音楽家なんぞには、はなから無理だ。わたしが救うはずだった。」
ルートヴィヒ
「御冗談を。平和の敵だ、ボナパルテ・・・」
ナポレオン
「平和・・・」
ルートヴィヒ
「奴らをみろ。王侯貴族の特権をもつ平和な世界」
ナポレオン
「そこでは貧乏人が飢え死にする平和は現状維持だからな。ははあ、ただのばかではないようだな、我が兵士」
ルートヴィヒ
「革命で王がいなくなっても新しい世界で別の誰かが富み、別の誰かが権力を持っただけだったぜ、エセ皇帝」
ナポレオン
「当たり前だ。身分制度などあってもなくてもどうせ人間には差がつく。ただ差があったとしてもヨーロッパ全体が豊かになり、全員がそこそこやっていける新しい方法がある。」
ルートヴィヒ
「そこそこ」
ナポレオン
「そこそこ、それを実現するために変化を拒む古い制度を破壊してわたしがとってかわる必要があった。」
ルートヴィヒ
「新しい方法?なんだそれりゃ?」
ナポレオン
「ヨーロッパの国々をひとつの連合にする。ヨーロッパ諸国連合だ。その中で人々は国境を自由に行きかい、取引をし、どこにいても共通の祖国にいると感じる。世界が豊かになる方法は人と物と情報が自由に遠くまで運ばれ、優れた物が交換されることだ。交流し一つになること。」
ルートヴィヒ
「斬新だな。」
ナポレオン
「天才だからなあ。」
ルートヴィヒ
「全く。うまくいきそうな理論だ。」
ナポレオン
「だろう」
ルートヴィヒ
「それでみんなを幸せにしたかったと?」
ナポレオン
「そうだと言いたいところだがどうかな。」
ナポレオン
「性分だ、今よりも調和した世界のつくり方が頭に浮かんだらそれをどうしてもかたちにしたい。国づくりは芸術みたいなもんだ。その結果みなは幸せになれるかもしれんがな。なにが最も理にかなっているかをとことん考えるのが好きだ。だから戦術が好きだ」
ルートヴィヒ
「音楽みたいだな。音楽も戦術みたいだぜ」
***************
撃たれたナポレオン
「生きることは不幸だ。不幸に敗北するか、それとも不幸にたたかいを挑むか。それとも・・・」
ナポレオンがオーケストラボックスの中に落ちると、ルートヴィヒの前に謎の女が現れる。
今や懐かしいものになっただいもん(望海風斗さん)の男役、
一度の観劇では理解するのが難しい作品でしたが、初めて観劇した時の感動がよみがえってきます。
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/171f0aee28054ab1e51f8cb81318a12d
2019年雪組『フォルティッシッシモ』、10月1日15時までオンデマンドプレミアムプランにて配信中。
現実にはなかったベートーヴェンとナポレオンの邂逅、
このあと真彩希帆ちゃん演じる謎の女に「死は救いなの」と言わせています。
いちばんわかりづらく、ウエクミ先生の”死は安らぎ”がもっとも表現されている場面。
お正月に宝塚大劇場で観劇したときから一番気になりました。
批判も多いかもしれませんが哲学的でわたしは好きです。ルサンクを購入すれば脚本掲載されていますが、書き起こし。
第13場A 雪原~夢のシンフォニー
「ルートヴィヒはひと時の夢を見るー。気づくとそこはロシアの雪原。多くのフランス兵が雪に埋もれている。たたかいに敗れ疲弊したナポレオンが姿を現し、倒れているルートヴィヒを歩かせようと肩を差し出す。このまま眠りたい・・・人生の炎は全て消えてしまった・・・ナポレオンにそう告げるルートヴィヒ。しかし、あれほど反発していたナポレオンと言葉を交わし互いがかつて抱いた夢を語り合う中で、ルートヴィヒの中に再び音楽の炎が灯る。ルートヴィヒの第五交響曲の中で壮麗に行進するフランス軍の幻影を見る二人。しかし音楽がやむとナポレオンの姿は消え、周囲には再び人々の屍が横たわるのみである。」
ルートヴィヒ
「俺たちはなんのために生きてるんだ?」
ナポレオン
「苦しむためだ」
ルートヴィヒ
「人生に苦しみしかないとしたらなぜ生きてるんだ。俺はなぜ生まれてきたんだ。雪の下の兵隊たちはなぜ生きてたんだ。むなしく死ぬためか」
ナポレオン
「苦しむためじゃなかったら、お前はなんで生きてきた?いいことなんかひとつもなかったろ」
ルートヴィヒ
「幸せになりたかった。人並に妻や子供をもって」
ナポレオン
「お前はばかか」
ルートヴィヒ
「お前はもてたじゃないか、腹が立つ・・・」
ナポレオン
「誰かといたって人は孤独だ。お前の結婚願望はばかげている」
ルートヴィヒ
「うるさい、結婚がだめでもせめて立派に生きたかった」
ナポレオン
「立派に?」
ルートヴィヒ
「人の役に立つ。俺の場合は音楽でみんなを救う」
ナポレオン
「大それたことを。どんな音楽だ?」
ルートヴィヒ
「しらない、何を歌えばこの苦しみの世を救えるのか結局わからなかった」
ナポレオン
「音楽なんぞでは無理だ」
ルートヴィヒ
「音楽は・・・、最後の炎も消えた・・・」
ナポレオン
「音楽家なんぞには、はなから無理だ。わたしが救うはずだった。」
ルートヴィヒ
「御冗談を。平和の敵だ、ボナパルテ・・・」
ナポレオン
「平和・・・」
ルートヴィヒ
「奴らをみろ。王侯貴族の特権をもつ平和な世界」
ナポレオン
「そこでは貧乏人が飢え死にする平和は現状維持だからな。ははあ、ただのばかではないようだな、我が兵士」
ルートヴィヒ
「革命で王がいなくなっても新しい世界で別の誰かが富み、別の誰かが権力を持っただけだったぜ、エセ皇帝」
ナポレオン
「当たり前だ。身分制度などあってもなくてもどうせ人間には差がつく。ただ差があったとしてもヨーロッパ全体が豊かになり、全員がそこそこやっていける新しい方法がある。」
ルートヴィヒ
「そこそこ」
ナポレオン
「そこそこ、それを実現するために変化を拒む古い制度を破壊してわたしがとってかわる必要があった。」
ルートヴィヒ
「新しい方法?なんだそれりゃ?」
ナポレオン
「ヨーロッパの国々をひとつの連合にする。ヨーロッパ諸国連合だ。その中で人々は国境を自由に行きかい、取引をし、どこにいても共通の祖国にいると感じる。世界が豊かになる方法は人と物と情報が自由に遠くまで運ばれ、優れた物が交換されることだ。交流し一つになること。」
ルートヴィヒ
「斬新だな。」
ナポレオン
「天才だからなあ。」
ルートヴィヒ
「全く。うまくいきそうな理論だ。」
ナポレオン
「だろう」
ルートヴィヒ
「それでみんなを幸せにしたかったと?」
ナポレオン
「そうだと言いたいところだがどうかな。」
ナポレオン
「性分だ、今よりも調和した世界のつくり方が頭に浮かんだらそれをどうしてもかたちにしたい。国づくりは芸術みたいなもんだ。その結果みなは幸せになれるかもしれんがな。なにが最も理にかなっているかをとことん考えるのが好きだ。だから戦術が好きだ」
ルートヴィヒ
「音楽みたいだな。音楽も戦術みたいだぜ」
***************
撃たれたナポレオン
「生きることは不幸だ。不幸に敗北するか、それとも不幸にたたかいを挑むか。それとも・・・」
ナポレオンがオーケストラボックスの中に落ちると、ルートヴィヒの前に謎の女が現れる。
今や懐かしいものになっただいもん(望海風斗さん)の男役、
一度の観劇では理解するのが難しい作品でしたが、初めて観劇した時の感動がよみがえってきます。