たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

月組『エリザベート』思い出し日記

2019年10月06日 22時31分29秒 | 宝塚
 今さらですが今週末はじめての月組宝塚大劇場日帰りバスツアー参加を前に、ようやく2018年10月20日に東京宝塚劇場で観劇したときのことを思い出してみたいと思います。この公演をもって退団した愛希れいかさんの東宝『エリザベート』主演が、退団から一ヶ月後に発表されたことで、東宝エリザのためのヅカエリザということではなかったですよねとモヤモヤしたこともあり観劇当日以降なかなか書けませんでした。ライブビューイングを先に見るという不思議な体験でした。ライブビューイングのみでしたが『夢現無双』を観たあとであらためて振り返ってみると、専科からの出演はなく、年配者の役も若手がこなし、芝居の月組が魅せてくれた、若い『エリザベート』でした。楽曲に十分のりきれていたとは言いがたいところもあったかもしれませんが、新しい『エリザベート』でした。

 愛希れいかさんのシシィは観劇当日のブログにも書いていますが元気印でほんとうに木登りしそうな勢いのあるパワフルシシィでした。シシィではないというご意見もみかけましたがそれぞれのシシィだと思います。「わたしだけに」の歌唱の場面、20年ぶりにヅカエリザを観たという気分にいちばんなりました。ヅカエリザの主役はトート、トートとの恋愛物語の側面が強いのでシシィのエゴイストと自我へのめざめは、東宝をさんざん観たあとだとおさえぎみになっているのかなとも感じました。丁寧な歌唱でした。歌いきったシシィが倒れ込んだところへ盆回りながらトートがせりあがってくるのがヅカエリザ。シシィが内なる存在であるトートと闘いもがき続ける東宝エリザとちがって、トートがシシィを見守り続けながら自分の腕の中に飛び込んでくる最期の時を待っている、そんな場面なんだななと。トートの願いは「生きたおまえに愛され」ることなので、シシィが自分のことなど忘れて目前の現実に必死になっているとプンスカなりますがルドルフ亡きあと死なせてと懇願するシシィを、「死は逃げ場ではない」と言って拒否する。シシィがほんとうに自分を求めてくるまで待っている。ストーリーを十分すぎるほど知っているからですがシシィには最期トートというやすらぎが待っている。わたし、雪組初演を観劇したときには、こんな死神が待っていてくれるなら死ぬのもいいかもと本気で思ったものでした。

 病院訪問はいちばん演出が、上演のたびごとに少しずつ変わる場面でしょうか。ずんこさんトートの宙組エリザで陵あきのちゃん演じるヴィンデッシュ嬢の、破れた扇をもった狂気ぶりが伝説になっている場面。一斉にオペラグラスがあがる場面。今回はシシィがヴィンデッシュ嬢と扇を交換するという演出だったと思います。海乃美月さん、2月の『アンナ・カレーニナ』でも狂気の演技が見事でしたが似合いますね。美しく切ないヴィンデッシュ嬢でした。この場面、一年たった今もかなり印象に残っています。「もしかわれるならかわってもいいのよ」って言うシシィ、すごい失礼よねって毎度思う場面でもあるのですが、自分をエリザベートだと思い込んでいるヴィンデッシュ嬢、もしかしたら幸せなのかもなあ。

 珠城りょうさんのトート、カラコンしてました? 細かい手の動きなど、かなり工夫しながら丁寧に演じていると思いました。東京公演のプログラムに掲載された舞台写真をみながら、トートの衣装が20年前とかなりバリエーションふえたし色目が鮮やかになったなあと。緑や赤が使われているのは珠城さんならではなのかな。長身に映えます。生命力を感じるトートでした。

 
2018年10月20日の東京宝塚劇場。友の会の抽選で土曜日の11時公演、A席当選でした。
これが最後だろうと思いたくさん撮りました。





































まだ書きたいことあるような気がしますが今日はこれぐらいで。

三連休は月組の日帰りバスツアー、そしていよいよ星組のさゆみさん宝塚卒業大千穐楽のライブビューイング。また台風が発生したとのニュースで心配です。どうか無事に完走できますように、大事な時間に雨が降りませんように・・・。

ソプラノ歌手佐藤しのぶさん61歳で急逝の報に、演者も観客もどちらも無事に生きていてこその舞台なのだと思いました。一回一回の観劇が一期一会の出会いで奇跡。自分確実に老いてきています。平日は不眠との闘い。長年にわたり無理し続けてきたリスクで歯はボロボロ、自転車からくる足腰の痛みもひどくてあまり自信がありません。いつ終わりがくるかわからないので、いや終わりがこなくても行けなくなる時はかならずくるわけで、無事に劇場にたどり着いたときは感謝しながら大切に観劇したいとあらためて思います。
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