12月16日に山崎育三郎さんのヴォルフガングで二度目の『モーツアルト』観劇でしたが、
井上さんヴォルフガングを思い出しながらもう少し書いてみたいと思います。
観劇の間、ずっと肩に力が入ってしまって緊張していました。
自分自身の混乱の状況から強いられる緊張、住環境からくる緊張、今後への不安・・・
私自身が幾重もの緊張感に包まれながら、葛藤の中で生きるヴォルフガングの姿に
緊迫感を感じたのかもしれません。
幼いころ神童と呼ばれた自分自身の影アマデは、貴族たちの前でピアノを弾いて拍手喝さいを浴びた時の赤いコートを着た姿で羽ペンと楽譜を持ち、ヴァルフガングの傍らにいつもあり続けます。
ヴォルフガングが遊びに身を委ねられそうになる時も、彼を戒めるように一心不乱にペンを走らせ曲を書き続けます。
ヴォルフガングは自分の影から逃れたいともがき続きますが、ヴォルフガングとアマデは二人で一人なので逃れることはできません。
大衆の音楽、「魔笛」を作曲している時の二人は本当に二人で一人。
一幕の終わりのアマデとヴォルフガングの葛藤、曲を書き続けるアマデはヴォルフガングの腕に羽ペンを何度も刺す姿にドキッとしました。二人の対決する姿は緊迫感がありました。
二幕の終わりのアマデとヴォルフガング、「死ぬときはお前も一緒だ」とアマデに言い放つ姿が印象的でした。死期が近づいていることをさとったヴォルフガングは、謎の人物から依頼された「レクイエム」を狂ったように書き続ける道半ばで、自分の胸に羽ペンを指してアマデと共に力尽きていきます。
井上さん演じるヴォルフガングの息が劇場全体を包んでいました。
「神が使わした奇跡の人
命果てる日まで奇跡は終わらない」
二人を大合唱が包み込むラストシーンは、ミュージカルの重厚さを堪能させてくれた作品だとおあらためて思います。
東宝『エリザベート』初演で井上さんを観たとき、なんてかっこいい人なんだろうと思いました。それから14年、長い手足を生かして自由奔放に舞台を動き回る井上さんヴォルフガングはいっそうかっこよかったです。
夏の『ミス・サイゴン』降板から手術を経て無事に舞台復帰された市村正親さん演じる父レオポルトとの葛藤、二人の間に入って影となりヴォルフガングを支えようとする花總まりさん演じる姉ナンネール、ウィーンに旅立ってしまったヴォルフガングを待ち続ける二人のデュエットも本当にせつなくて印象的でした。この物語は、家族の葛藤の物語でもあるのだと思います。
山口祐一郎さん演じるザルツブルグのコロレド大司教の庇護なしでは生きていけない時代、父は息子をその庇護のもとで生きていけるようにと厳しく息子を育てて必死に守ろうとしますが、自由に憧れたヴォルフガングは束縛から逃れたいとザルツブルグを飛び出していきます。
いつも壊れてしまいそうな危うさを秘め、自分自身の才能をもてあましがら自由奔放に生きようとするヴォルフガング。
ヴォルフガングをウィーンに誘いにくる香寿たつきさん演じるヴァルトシュテッテン男爵夫人の「星から降る金」は印象的でした。ヴォルフガングを束縛しようとする父レオポルトを戒めるナンバーです。ヴォルフガングにとって本当にそれがよかったのかどうかと考えるとその是非はわからないところですが、幼い頃のヴォルフガングの才能に目をとめた夫人の存在は彼の人生を大きく左右したことになります。
市村さんの苦悩する父の姿の演技も光っていました。
ラスト近くで、ヴォルフガングに「レクイエム」の作曲を依頼する謎の人物も市村さんが
仮面をつけて演じられていて、『オペラ座の怪人』のファントムを思い起こさせました。
山口祐一郎さん、阿知波悟美さん、吉野圭吾さん、こうでなくちゃといういやらしさを醸し出しながら歌も演技もさすがの安定感で役者がそろった舞台でした。
市村さんと山口さんが同じ舞台に立っている、それだけでも十分すぎるほどぜいたくです。
『エリザベート』のキャストが発表されました。
宝塚初演で一路さんの相手役としてシシイを演じた花總さんがシシィを、東宝初演で一路さんの息子役としてルドルフを演じて『モールアルト』では花總さんの弟を演じている井上さんがトートを、『レディベス』でベスの恋人を演じた山崎育三郎さんがルキーニを・・・。
なんだかえらいこっちゃという感じです。
今日はここまで。
(写真は全て東宝の公式フェイスブックより転用しています。)
井上さんヴォルフガングとアマデ
市村さん演じるレオポルト
山口さん演じるコロレド大司教
香寿たつきさん演じるヴァルトシュテッテン男爵夫人
花總さん演じる姉ナンネール
劇場内に展示されていた刺繍作品。山崎さんと井上さんのモーツアルト。
井上さんヴォルフガングを思い出しながらもう少し書いてみたいと思います。
観劇の間、ずっと肩に力が入ってしまって緊張していました。
自分自身の混乱の状況から強いられる緊張、住環境からくる緊張、今後への不安・・・
私自身が幾重もの緊張感に包まれながら、葛藤の中で生きるヴォルフガングの姿に
緊迫感を感じたのかもしれません。
幼いころ神童と呼ばれた自分自身の影アマデは、貴族たちの前でピアノを弾いて拍手喝さいを浴びた時の赤いコートを着た姿で羽ペンと楽譜を持ち、ヴァルフガングの傍らにいつもあり続けます。
ヴォルフガングが遊びに身を委ねられそうになる時も、彼を戒めるように一心不乱にペンを走らせ曲を書き続けます。
ヴォルフガングは自分の影から逃れたいともがき続きますが、ヴォルフガングとアマデは二人で一人なので逃れることはできません。
大衆の音楽、「魔笛」を作曲している時の二人は本当に二人で一人。
一幕の終わりのアマデとヴォルフガングの葛藤、曲を書き続けるアマデはヴォルフガングの腕に羽ペンを何度も刺す姿にドキッとしました。二人の対決する姿は緊迫感がありました。
二幕の終わりのアマデとヴォルフガング、「死ぬときはお前も一緒だ」とアマデに言い放つ姿が印象的でした。死期が近づいていることをさとったヴォルフガングは、謎の人物から依頼された「レクイエム」を狂ったように書き続ける道半ばで、自分の胸に羽ペンを指してアマデと共に力尽きていきます。
井上さん演じるヴォルフガングの息が劇場全体を包んでいました。
「神が使わした奇跡の人
命果てる日まで奇跡は終わらない」
二人を大合唱が包み込むラストシーンは、ミュージカルの重厚さを堪能させてくれた作品だとおあらためて思います。
東宝『エリザベート』初演で井上さんを観たとき、なんてかっこいい人なんだろうと思いました。それから14年、長い手足を生かして自由奔放に舞台を動き回る井上さんヴォルフガングはいっそうかっこよかったです。
夏の『ミス・サイゴン』降板から手術を経て無事に舞台復帰された市村正親さん演じる父レオポルトとの葛藤、二人の間に入って影となりヴォルフガングを支えようとする花總まりさん演じる姉ナンネール、ウィーンに旅立ってしまったヴォルフガングを待ち続ける二人のデュエットも本当にせつなくて印象的でした。この物語は、家族の葛藤の物語でもあるのだと思います。
山口祐一郎さん演じるザルツブルグのコロレド大司教の庇護なしでは生きていけない時代、父は息子をその庇護のもとで生きていけるようにと厳しく息子を育てて必死に守ろうとしますが、自由に憧れたヴォルフガングは束縛から逃れたいとザルツブルグを飛び出していきます。
いつも壊れてしまいそうな危うさを秘め、自分自身の才能をもてあましがら自由奔放に生きようとするヴォルフガング。
ヴォルフガングをウィーンに誘いにくる香寿たつきさん演じるヴァルトシュテッテン男爵夫人の「星から降る金」は印象的でした。ヴォルフガングを束縛しようとする父レオポルトを戒めるナンバーです。ヴォルフガングにとって本当にそれがよかったのかどうかと考えるとその是非はわからないところですが、幼い頃のヴォルフガングの才能に目をとめた夫人の存在は彼の人生を大きく左右したことになります。
市村さんの苦悩する父の姿の演技も光っていました。
ラスト近くで、ヴォルフガングに「レクイエム」の作曲を依頼する謎の人物も市村さんが
仮面をつけて演じられていて、『オペラ座の怪人』のファントムを思い起こさせました。
山口祐一郎さん、阿知波悟美さん、吉野圭吾さん、こうでなくちゃといういやらしさを醸し出しながら歌も演技もさすがの安定感で役者がそろった舞台でした。
市村さんと山口さんが同じ舞台に立っている、それだけでも十分すぎるほどぜいたくです。
『エリザベート』のキャストが発表されました。
宝塚初演で一路さんの相手役としてシシイを演じた花總さんがシシィを、東宝初演で一路さんの息子役としてルドルフを演じて『モールアルト』では花總さんの弟を演じている井上さんがトートを、『レディベス』でベスの恋人を演じた山崎育三郎さんがルキーニを・・・。
なんだかえらいこっちゃという感じです。
今日はここまで。
(写真は全て東宝の公式フェイスブックより転用しています。)
井上さんヴォルフガングとアマデ
市村さん演じるレオポルト
山口さん演じるコロレド大司教
香寿たつきさん演じるヴァルトシュテッテン男爵夫人
花總さん演じる姉ナンネール
劇場内に展示されていた刺繍作品。山崎さんと井上さんのモーツアルト。