戦災で、漢字、国語の辞書もなくなってしまったが、それも新しく買う気もおこらず、
十数年新聞記者をつとめた。
われながら度胸がよかった。
当時、こそこそと小説まがいのものを書いていたが、ことばというものは
自分の頭の中にあることばを使えばいいという流だったから辞書は使わなかった
直木賞をもらった直後、第一作というものを書かされる。
その小説の中で、わすれた漢字には(辞書をひくこと)と注をつけておいた。
担当者が驚いて、「辞書をおもちではないのですか」という
「ええ、戦災で焼いたものですから」
「センサイ ?」
数日後、古びた辞書一冊と、新品の角川「漢和中辞典」を送ってくれた。
使って見ると、
なるほど便利なものだ。
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とある。
記者や作家は言葉の専門家だとおもうのだが、
辞書なしで、仕事をこなしていたとは
あんぐり、
開いた口も、なかなか閉じませんでした
仕事をするって、
道具じゃないんだなあ
すぐ、形から入る私には考えられないこと
そして、ますます「司馬遼太郎」さんが好きになります
【10/29 夕食 】