【社説②・04.05】:ネットゲーム 子供が犯罪に遭う危険も潜む
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・04.05】:ネットゲーム 子供が犯罪に遭う危険も潜む
インターネット上で世界中のユーザーと楽しめるオンラインゲームを介し、子供がとんでもない犯罪に巻き込まれるケースが相次いでいる。
家庭や学校で、ゲームに潜む危険を子供たちにしっかりと伝えていくことが重要だ。
東京都内の16歳の女子高校生が愛知県内の民家で遺体で見つかり、この家に住む男が死体遺棄容疑で警察に逮捕された。女子高校生は「ネットゲームで知り合った男性の家に泊まりに行く」と家族に話して自宅を出たという。
女子高校生の首や肩には複数の刺し傷があり、男は「ゲームのことで口論になって刺した」と供述しているとされる。
オンラインゲームは面識のない人ともチームを組める。一緒に攻略する過程で仲間意識が生まれ、メッセージ機能を使って実際に会う人もいる。2人の間に何があったのか、解明を急いでほしい。
オンラインゲームを介して犯罪被害に遭った子供は昨年、全国で98人に上った。中高生のほか小学生の被害も目立っている。
今年1月には、男子高校生がオンラインゲームで知り合った男に誘われてミャンマーに渡航し、特殊詐欺に加担させられていたことも判明した。ゲームが重大犯罪の入り口になっている現実を重く受け止めねばならない。
子供が自分の部屋にこもり、何をしているのか分からないという家庭も少なくないのではないか。自主性を尊重して子供にはあまり干渉しないという考え方もあるだろう。学校でも、厳しい指導は難しい時代になってきている。
ネット空間は多くの人との交流を楽しめる一方、危険も潜んでいる。相手が年齢や性別を偽って接近してくることもある。ゲームで使う高価なアイテムを贈ったり、攻略法を教えたりして、犯罪に誘い込む手口もみられる。
子供がどのようなゲームをしているのか、誰と連絡を取り合っているのか、不審な行動はないか、などについて、親は十分に目配りしてもらいたい。
誰彼構わず個人情報を渡すことはしないなど、家庭でゲームを楽しむ際のルールを決めておくことも大切だ。困った時にはすぐ親に相談し、状況によっては親が警察に連絡することも必要になる。
コロナ禍以降、ネットを介した出会いが広がった。親の知らないうちに、子供が犯罪被害に遭う危険は増している。子供の健全な育成に、大人は責任を負っていることを忘れないようにしたい。
元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月05日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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