路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【天風録】:あじさい忌

2021-06-30 06:50:30 | 【訃報・告別式・通夜・お別れの会・病死・事故死・災害死・被害による死他】

【天風録】:あじさい忌

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:あじさい忌

 70年前のきょう、元教師の家で電話が鳴った。「つたへ来てこゑは受話器にひびけども応へんとして語のととのはず」。作家となった教え子の死の知らせに、声を失ったさまを歌にした。林芙美子の女学校時代の恩師今井篤三郎さんである▲芙美子の命日が巡ってきた。作家の文学的才能は、多感な時期を過ごした尾道で育まれている。歌人だった今井さんから毎日、詩の添削など指導を受けたという。上京後も恩師と慕い、数多くの手紙を書き送っている▲やはり郷土の作家井伏鱒二との講演会を、女学校で開けるように依頼もしたようだ。だが学校側が許可しなかったらしい。「子供が親のところでしゃべりたいのは当り前ぢゃないでせうかね」。役人仕事への憤りをつづった手紙も残る▲「旅が古里であった」「宿命的に旅人である私」。芙美子は「放浪記」に記している。しかし手紙からは恩師や女学校、尾道を「親のところ」、つまり古里と懐かしむ心情もうかがえる▲校庭に生徒らかたよりてあぐるこゑちびすけ芙美子が笑はせしなり―。死去の報が届いた後、今井さんは校庭や生徒らに芙美子の面影を見たようだ。それは今も尾道を歩けば、きっと感じられる。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2021年06月28日  06:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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