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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・06.10】:東電株主訴訟/誰が事故の責任負うのか

2025-06-15 06:00:10 | 【原発事故・東電福島第一・放射能汚染・デプリ・東電の再建・処理水の海洋放出

【社説・06.10】:東電株主訴訟/誰が事故の責任負うのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・06.10】:東電株主訴訟/誰が事故の責任負うのか 

 2011年に起きた東京電力福島第1原発事故を巡り、同社の旧経営陣5人が津波対策を怠ったため会社に損害を与えたとして、計約23兆円を東電に賠償するよう求めた株主代表訴訟の控訴審判決で、東京高裁は株主側の請求を棄却した。故・勝俣恒久元会長ら4人に13兆円超の賠償を命じた一審判決を取り消した。

 事故原因の一つとなった巨大津波の到来について、高裁は「予見可能性は認められない」とした。津波は予見できたとし「対策工事をしていれば、重大事故を避けられた可能性があった」と述べた22年の一審判決とは正反対の結論である。

 旧経営陣については業務上過失致死傷罪で強制起訴された裁判で、今年3月に無罪が確定した。株主側逆転敗訴で刑事・民事ともに旧経営陣に責任はないとする判断がそろった。だが事故が住民に被害を与えた事実は変わらず、東電は判決を事故に対する免責と捉えてはならない。

 第1原発事故に関する裁判では、避難した住民が損害賠償を求めた訴訟で、最高裁が22年に国の責任を認めない判決を出した。同種訴訟の下級審でも同様の判決が続いている。国と電力会社の経営陣双方の責任が問えないなら、一体誰が事故の法的責任を負うのか。一連の司法判断には違和感を抱かざるを得ない。

 株主代表訴訟で大きな争点になったのは、政府の地震調査研究推進本部(地震本部)が02年に公表した地震予測「長期評価」の信頼性だ。東電の子会社は評価に基づき、最大15・7メートルの津波が到達するとの試算を得ていた。ところが高裁判決は「実質的根拠があるとは言えず、運転を停止して対策工事を行う根拠としては不十分」と述べた。

 地震本部は阪神・淡路大震災を機に設けられた政府の機関である。地震学などの一線の専門家が議論し、評価をしてきた。「相応の科学的信頼性がある」とした一審判決を覆し「切迫感や現実感を抱かせる内容ではなかった」と結論づけた東京高裁の判断は理解に苦しむ。

 政府は今年改定したエネルギー基本計画で、福島の事故後に明記してきた「可能な限り原発依存度を低減する」との表現を削除した。「原発の最大限活用」を掲げ、世界的にも前例がない60年超の老朽原発も運転可能にした。だが事故に関する責任が曖昧なままで、再稼働の推進に国民の理解を得るのは難しい。

 高裁判決は賠償命令を取り消すと同時に、原発事業者の経営陣に対し「具体的なリスクを広く捉え、一層重い責任を課す方向で検討すべき」と指摘した。再発防止策を徹底するのは当然として、経営陣の法的責任の範囲を明確にする必要がある。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年06月10日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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