《社説①・11.18》:衆院の委員会 「熟議の国会」の再構築を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.18》:衆院の委員会 「熟議の国会」の再構築を
衆院選を受けた特別国会は、衆院の委員長や審査会長の人事などを決定し、閉幕した。
自民党、公明党の与党が衆院選で過半数を得られなかったため、計27あるポストのうち、野党が12を押さえている。衆院選前の4ポストから大幅に増加した。
予算案に加え内政・外交全般を討議する予算委員長や、政治改革特別委員長、憲法審査会長、法務委員長などの主要ポストである。予算委員長を野党が務めるのは30年ぶりになる。
2012年末の第2次安倍晋三内閣の発足以来続いていた「自民党1強」による強硬的な国会運営は様変わりするだろう。
今月28日には、補正予算案や政治資金規正法の再改定などを審議する臨時国会が召集される。議論を尽くして、野党の意見を取り入れながら法案を修正していく姿勢が与党になければ、法案は成立しない。民主主義の基本に回帰する国会にしなければならない。
これまでの国会審議では、政府が提出予定の予算案や法案について、与党が政務調査会の下に置いた各部会などであらかじめ審査し、意見を反映させてきた。
決定は全会一致が原則で、了承された後に閣議決定され、国会に提出される。与党は議員に党議拘束をかけ、修正を求めず賛成してきた。国会審議は野党の意見を聞き置くだけの場になり、形骸化してきたのが実情だ。
こうした事前審査の問題は大きい。まず、各部会などの議論が非公開で行われ、内部でどのような意見が出て、どう法案が修正されたのか分からない点である。議員が業界団体の意見を代弁し、都合よく修正することもできる。
全会一致が原則のため、議員が気に入らない法案を国会提出させないことも可能だ。選択的夫婦別姓の法案は、1996年に法制審議会が導入を答申したのに、保守系議員が強く反対し、法案提出されないままである。
与党が過半数を失ったことで、事前審査を通過しても法案は成立しなくなる。国会審議をないがしろにする密室の事前審査は廃止するべきだ。
臨時国会で焦点になる規正法改定や経済対策などを巡る与野党の思惑は異なる。野党間でも政治改革の企業・団体献金の禁止などで足並みがそろっていない。
各党が意見を出し合って議論を深め、時間をかけ納得できる法案をつくりあげる必要がある。選択的夫婦別姓法案も審議入りさせ、論議を深めなければならない。
元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月18日 09:31:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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