世界的な株安は、トランプ米政権の高関税政策に対する市場の警鐘である。
7日の東京株式市場の日経平均株価は前週末終値比2644円安と大幅続落した。先週末のニューヨーク株式市場で、ダウ工業株30種平均が前日比2231ドル安と急落した流れを引き継いだ。
日経平均とダウ平均とも、1日としては史上3番目の下げ幅となった。欧州やアジアの主要市場も軒並み大きく下げている。
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トランプ米政権の「相互関税」に対する中国政府の報復措置を受けて、世界同時株安がさらに進行。大幅下落した日経平均株価の終値を示すモニター=東京都中央区で2025年4月7日午後3時48分、滝川大貴撮影
トランプ政権は2日、世界各国からの輸入品に「相互関税」をかけると発表した。中国は米国からの全ての輸入品に同水準の追加関税をかける措置を打ち出した。貿易戦争の激化を懸念した投資家は「報復合戦で世界中の企業の業績が悪化する」とパニックに陥り、株の底値が見えない状況だ。
市場では当初、「株価が暴落すれば、トランプ政権も高関税政策の見直しを余儀なくされるだろう」との見方があった。だが、トランプ氏は、株安を「ちょっとした混乱」などと評し、意に介さないそぶりを見せている。
高関税は外国企業に負担を求めるだけで、米国民には製造業の復活や雇用拡大など恩恵ばかりがもたらされると主張する。関税収入で大規模減税を行い、景気を回復させるという算段だ。
だが、米経済への悪影響はすでに出始めている。信用力の低い企業の資金調達が厳しくなったり、新興企業の上場が延期されたりしている。外国製部品の調達コスト上昇や販売減を見込む米大手自動車メーカーは、従業員のリストラに動いている。
米連邦準備制度理事会のパウエル議長は「失業率とインフレ率の両方が上昇するリスクが高まっている」と述べた。不況と物価高が同時進行するスタグフレーションへの警戒感を示したものだ。
投資家が株式市場から資金を引き揚げているのも、同様の不安を感じているためだ。トランプ流の独善的な貿易政策は、米国にも世界にも「百害あって一利無し」というのが共通認識である。
トランプ氏は市場の声に耳を傾けるべきだ。日本や欧州の政治指導者は、世界経済や市場の崩壊を防ぐため、政策を見直すよう説得し続けなければならない。
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