【社説②・03.17】:ネットカジノ 借金かさみ「闇バイト」誘発も
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・03.17】:ネットカジノ 借金かさみ「闇バイト」誘発も
違法なオンラインカジノの利用が国内で急速に広がっている。犯罪であるという認識を社会に浸透させるとともに、賭博を仲介する業者の摘発を強化することが不可欠だ。
日本から海外のオンラインカジノのサイトに接続し、賭博をしたことがある人は337万人と推計されることが、警察庁の初の調査で分かった。賭け金の総額は年間1・2兆円に上る。それだけ巨額の資金が海外に流出している。
国内では、競馬や競輪などの公営ギャンブル以外に賭けをすると賭博罪になり、禁止されている。海外で合法的に運営されているカジノも日本で賭ければ違法だ。
ところが、調査によれば、利用者の4割は「違法だとは知らなかった」と答えている。誤解によって違法賭博が 蔓延 している状況は、衝撃的である。
全国の警察が昨年摘発したオンラインカジノの利用者は160人を超え、前年の3倍に増えた。今年もスポーツ選手やタレントらの利用が次々と判明している。
24時間いつでも賭けができるオンラインカジノは、依存症に陥るリスクが高いとされる。借金を抱えた若者がSNSの「闇バイト」に応募し、特殊詐欺などに加担させられるケースもあるという。
軽い気持ちで始めたカジノが重大犯罪の入り口になっているとすれば極めて深刻だ。利用者は、危うさを肝に銘じる必要がある。
近年は、日本語対応のオンラインカジノサイトが乱立している。「安心・安全」「合法だ」などと宣伝しているケースもある。違法だという認識が薄い日本人を狙って、巧妙にカジノに誘い込もうとしているのだろう。
海外で合法的に運営されているカジノ会社の摘発は難しい。政府や警察は、日本でカジノに手を出せば犯罪になると重ねて周知することが欠かせない。
スポーツ選手らがカジノのCMに出演するなど、「広告塔」になっている。違法行為を助長するような活動は、厳に慎むべきだ。
カジノを利用できないようにすることも大切になる。
海外のカジノ会社への賭け金の送金は、暗号資産などで行われ、その手続きは「決済代行業者」が仲介している。警察は決済代行業者を厳しく取り締まり、送金ルートを断たなければならない。
総務省は、カジノサイトへの接続を遮断する「ブロッキング」の導入に向けて検討を始めるという。課題を洗い出し、効果的な対処法の確立につなげてほしい。
元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月17日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます