【決別 金権政治】:辞職を検討、情状酌量期待 「起訴相当」の議員、漏れる声
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【決別 金権政治】:辞職を検討、情状酌量期待 「起訴相当」の議員、漏れる声
2019年の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、東京地検が週明けにも「被買収」の広島県議や広島市議らの再聴取を始める。公職の辞職を一つの線引きとした東京第6検察審査会(検審)の議決公表から一夜明けた29日、「起訴相当」となった県議や市議からは「みそぎの辞職」を検討する声も聞こえ始めた。

▽「起訴されそうなら、その前に…」
「2月上旬に広島地検に来いと言われた。印鑑を持ってきてほしいとも…」。河井克行元法相(58)=実刑確定=から現金を受け取った広島市議は中国新聞の取材にこう話し、2月上旬に再聴取されると明かした。
克行氏の公判では検察側の証人として出廷し、現金受領の違法性を認める証言をした。28日に公表された検審の議決では「起訴相当」とされた。「再聴取でも裁判の時と同じように話す。それで辞めることになっても仕方ない」
一方、同じく再聴取に呼ばれた別の広島市議は取材に「いったん辞職して、みそぎを示そうかとも思う。支持者も理解してくれるだろう」と打ち明けた。
検審の議決書は、地方議員らの現金受領を「悪質で責任は重大」と非難。事件発覚後に公職を辞したかどうかを判断基準の一つに挙げ、「起訴相当」と「不起訴不当」に分類した。
▽公民権停止懸念
「被買収」議員の中には、こうした辞職による「けじめ」が、検察による今後の刑事処分に少なからず影響することを期待する思いがある。再聴取で被買収罪を認めて刑が確定すれば、公民権停止となり、現職の議員は失職する。停止期間は原則5年で、その間は選挙に立候補できないだけに、政治家には切実な問題だ。ある市議は「辞職したら3年に縮まるといううわさもある」と皮算用する。
念頭にあるのが、約1年後に迫った23年春の統一地方選だ。仮に公民権停止が5年であれば「次の次の選挙も出られないかも。8年間の空白は大きい」(広島市議)。辞職による情状酌量を期待する理由でもある。
検審議決の衝撃は大きく、広島市議会と同じく「起訴相当」とされた議員が相次いだ県議会の一部からも辞職をほのめかす声が聞かれ始めた。ある県議は「起訴されそうなら、その前に辞めようと思う」と吐露。別の県議も「はっきり言って、もう辞めてもいいと思っている」と語った。
▽否認する構えも
一方で、再聴取で被買収の容疑を否認する構えを見せ、法廷闘争を見据える議員もいる。裁判中であれば選挙への立候補もできるため、来年の統一地方選にも立つ方針という。
大規模買収事件で「被買収」とされる県内の地方政治家は40人。そのうち辞職したのは8人にとどまる。それぞれ13人が属する県議会と広島市議会で辞職者は一人もいなかった。
いちはやく辞職し検審の議決で「不起訴不当」となった元議員はこう推し量る。「県議会や広島市議会は、お金をもらっている議員さんがたくさんいるから、自分だけ辞めるわけにはいかんのじゃないかね。ある市議さんは『もう疲れた』って言いよっちゃったわ」
■決別 金権政治
2019年夏の参院選で河井克行、案里夫妻が100人に計2901万円を配ったとされる買収事件では、選挙に絡んだお金のやり取りが浮き彫りとなりました。令和の時代も変わらない「金権選挙」。皆さんの地域でも耳にしたこと、目にしたことはありませんか。体験、情報、意見をぜひお寄せください。(中国新聞「決別 金権政治」取材班)
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース コラム・連載・特集 【決別 金権政治】 2022年01月30日 00:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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