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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説②・01.27】:無痛分娩の助成 安全に産める体制あってこそ

2025-01-31 05:00:15 | 【少子化問題・異次元対策・育児休業・生殖医療・不妊治療・無痛分娩・少母化・

【社説②・01.27】:無痛分娩の助成 安全に産める体制あってこそ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.27】:無痛分娩の助成 安全に産める体制あってこそ

 少子化対策の一環として、出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩 ぶんべん への助成を東京都が始める。 

 ただ、麻酔科医の不足など課題は多い。安心して産める体制を整備しなければならない。

 無痛分娩は出産の不安やストレスが少なく、産後の疲労を軽減して体の回復を早めるとされる。

 近年は出産年齢の上昇でニーズが高まり、お産全体の1割を超えた。欧米では普及が進んでおり、米国やフランスは無痛分娩が7~8割に達している。

 都は10月から、都内の医療機関で出産する東京在住の妊婦に最大10万円を支給する方針だ。

 出産費用の全国平均は52万円近くに上り、東京では64万円を超えている。国は出産育児一時金として50万円を負担しているが、足りない場合も多い。無痛分娩を選ぶとさらに10万~15万円かかる。

 年間の出生数が70万人を割ろうかという今、女性の負担を軽減し、出産をサポートしようという取り組みは理解できる。助成制度は、昨年の都知事選で小池百合子知事が公約に掲げていた。それが導入を急ぐ背景にあるのだろう。

 だが、現状では、受け皿となる医療機関の人材確保や安全対策に不安が拭えない。

 2017年には、無痛分娩後に妊産婦が死亡するといった重大事故が各地で次々に判明した。日本は他の先進国と違って診療所での出産が多いのが特徴で、産科医が一人で出産も麻酔も行う体制が事故の背景にあった。

 助成をきっかけに無痛分娩の希望者が急増し、安全対策がおろそかなまま実施する医療機関が増えるのではないかと心配になる。

 都は、麻酔科医か麻酔に習熟した医師がいる医療機関での出産を、助成の条件にするという。安全が保たれるよう、行政がしっかり目配りすべきだ。

 最近は、診療所で無痛分娩を行う場合でも、連携する病院から麻酔科医の派遣を受けている例がある。産科医や助産師への研修など安全対策の強化は欠かせない。

 無痛分娩は、時間が長引きがちで、赤ちゃんを器具で吸引するケースも増える。痛みが緩和されているため、異常に気づきにくいといったリスクも指摘されている。医療関係者の間でそうした情報を共有することが大事だ。

 東京以外でも無痛分娩の希望者はいるし、今後も増えるだろう。安全な産科医療をどう構築し、出産を望む人への支援をいかに拡充するかは全国共通の課題だ。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・01.31》:障害者の逸失利益 未来見据え格差正す判決

2025-01-31 02:01:50 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

《社説①・01.31》:障害者の逸失利益 未来見据え格差正す判決

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・01.31》:障害者の逸失利益 未来見据え格差正す判決 

 「障害者は健常者と同じようには働けない」との固定観念を取り払う画期的な司法判断だ。

大阪高裁判決後、記者会見に臨む、亡くなった井出安優香さんの父努さん(中央)=大阪市北区で2025年1月20日、井手千夏撮影

 聴覚障害があり、2018年に交通事故で亡くなった井出安優香(あゆか)さん(当時11歳)の「逸失利益」について、健常者と同額とする判決を大阪高裁が出した。

 逸失利益は、将来得られたはずの収入のことで、損害賠償額を決める際の重要な要素となる。未成年者は全労働者の平均賃金から算定される。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2025/01/31/20250131ddm005070108000p/9.webp?1" type="image/webp" />1審判決後、記者会見で井出安優香さんの遺影をなでる母さつ美さん=大阪市北区で2023年2月27日午後2時57分、梅田麻衣子撮影</picture>
1審判決後、記者会見で井出安優香さんの遺影をなでる母さつ美さん=大阪市北区で2023年2月27日午後2時57分、梅田麻衣子撮影

 しかし、障害がある場合は、労働能力に制約があるとして減額する判断が示されてきた。1審判決も平均賃金の85%とするのが妥当だと認定していた。

 高裁は、井出さんはコミュニケーション能力が高く、将来働く際の支障は少ないと認めた。その上で重視したのが、近年のデジタル技術の進歩と法整備の進展だ。

 人工知能(AI)の活用で補聴器の性能は向上した。音声を文字に変換するアプリが普及し、意思疎通の手段も多様になった。

 障害者差別解消法では、障害者が困る状況を改善するための「合理的配慮」が、行政や民間事業者に義務づけられている。障害者雇用促進法は、働きやすい環境づくりを事業者に求める。

 必要な措置が講じられた職場で、デジタル技術を活用して周囲と意思疎通し、仕事に励む聴覚障害者は少なくない。

 井出さんが就職する頃には、こうした状況になっていることが、事故当時から予想できたと高裁は指摘した。

 社会の変化や未来の可能性を見据え、障害の有無による格差を正した判決と言える。

 23年の厚生労働省の調査では、雇用されている障害者は約110万人で、5年間で25万人あまり増加した。

 一方で国の相談窓口には「事業者から差別的な対応をされた」「配慮を求めたが対応してもらえない」などの声が寄せられている。

 障害者が生活する上で困難があるのは、社会の側に障壁が存在するからだ。高裁の判断は、そうした考え方に基づくものである。

 障害の有無に関わらず権利が保障される社会をつくるため、「壁」を取り除く努力を不断に進めていかなければならない。 

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月31日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・01.31》:中国経済の減速 懸念される世界への影響

2025-01-31 02:01:40 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、残留孤児、国家による抑圧統治】

《社説②・01.31》:中国経済の減速 懸念される世界への影響

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・01.31》:中国経済の減速 懸念される世界への影響

 中国経済の低迷が長引き、回復の兆しが見えない。米国との貿易戦争が再燃する可能性もあり、世界への影響が懸念される。

 2024年の国内総生産(GDP)の成長率は、物価変動を除いた実質で5・0%となった。政府目標の5%前後には届いたが、23年の5・2%から減速した。

建設が止まった状態の巨大ビル=中国・遼寧省瀋陽市で2025年1月12日、松倉佑輔撮影

 物価の影響を反映し、生活実感に近いとされる名目GDPの伸びは4・2%にとどまった。デフレに陥るリスクが高まっている。

 景気減速の主な要因は、不動産不況の長期化と消費の伸び悩みだ。24年の不動産開発投資は前年比10・6%減で3年連続のマイナスとなった。国民の節約志向が強まり、消費者物価指数の上昇率は0・2%とほぼ横ばいだ。

 一方、24年の輸出総額は前年比5・9%増で、貿易黒字は過去最高を記録した。内需の不振を輸出でカバーする構図となっている。

 米欧は、中国企業が政府の補助金で電気自動車(EV)などの価格競争力を高め、輸出攻勢をかけていると批判している。

 トランプ米大統領は中国製品に高関税を課す構えで、頼みの綱の輸出に対する逆風が強まりそうだ。中国が報復関税などで応じれば、1期目のような貿易戦争に発展することは避けられない。

 問われているのは、中国が輸出依存から脱却し、内需主導の成長モデルを確立できるかである。

 習近平指導部は今年の経済運営で内需拡大を重要課題と掲げ、金融緩和と財政出動の方針を示す。

 既に自動車や家電製品の買い替え補助をはじめとする景気刺激策を実施しているが、消費低迷の背景にある国民の不安を解消するものとは言えない。

 不動産不況を克服する道筋を示すとともに、格差の是正や社会保障の拡充といった構造的な問題に取り組む必要がある。いずれも痛みを伴うが、持続的な成長を目指すならば先送りはできない。

 中国の24年末の総人口は14億828万人で、建国以来初めて3年連続の減少となった。16年まで続いた「一人っ子政策」の影響に加え、景気の停滞も少子化に拍車をかけるとみられている。

 習指導部は難題に背を向けるのではなく、実効性のある政策で経済を立て直すべきだ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月31日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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