《社説①》:危機下の憲法記念日 平和主義の議論深めたい
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:危機下の憲法記念日 平和主義の議論深めたい
ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、75回目の憲法記念日を迎えた。
独立国の主権と領土を踏みにじる侵略戦争は、日本の憲法が掲げる平和主義への攻撃である。
米欧も国連も蛮行を止められず、国際協調を基盤とする「ポスト冷戦期」に終止符が打たれた。
欧州の安全保障環境は激変した。軍事的中立を保ってきたフィンランドとスウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)加盟に動き、ドイツは従来方針を転換してウクライナに戦車を提供する。
核兵器使用の脅しをかけるプーチン露大統領に国際社会が圧力を強め、抵抗を続けるウクライナの人々を助けるのは当然だ。
軍事力で大国が他国を圧する「弱肉強食の世界」の出現を許してはならない。
◆現実を理想に近づける
日本国憲法は「戦争の惨禍」を繰り返さないとの決意から生まれた。「国際平和」「武力行使禁止」は国連憲章と共通する。
懸念されるのは、侵攻を憲法改正に結びつけようとする動きだ。安倍晋三元首相は「今こそ9条の議論を」と強調し、自民党は、国民の権利制限につながる「緊急事態条項」の新設を目指す。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年05月03日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。