【社説②】:絶えぬ虐待死 現場力の充実忘れるな
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:絶えぬ虐待死 現場力の充実忘れるな
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年03月03日 07:39:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:絶えぬ虐待死 現場力の充実忘れるな
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:絶えぬ虐待死 現場力の充実忘れるな
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年03月03日 07:39:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:やまぬ児童虐待 幼い命守る体制強化を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:やまぬ児童虐待 幼い命守る体制強化を
救える機会が何度もあったはずの幼い命が失われる児童虐待事件が、依然として続いている。
岡山市で昨年9月、5歳女児が母親と交際相手から虐待を受け、今年1月に低酸素脳症で亡くなった。女児はいすの上に置いた鍋の中に長時間立たされるなど想像を絶する扱いを受けていた。
神奈川県大和市でも2019年に7歳男児を殺害した疑いで母親が逮捕された。母親の子供は他の3人も乳幼児期に死亡し、関係機関は不審な点を認識していた。
二つの痛ましい事件に共通するのは、児童相談所など行政機関が関与したにもかかわらず、虐待死を防げなかったことだ。
捜査による解明に加え、どこに問題があったのか綿密な検証が必要だ。再発防止の体制強化に向けた議論を尽くしてもらいたい。
岡山市の事件は、女児が亡くなる3年前から虐待の疑いが指摘されていた。女児は顔にあざができたり夜間の墓地で叱責(しっせき)されたりと状況の悪化は明らかだった。
ところが児相は女児を一時保護したものの短期間で解除し、虐待リスクも「軽度」と判断していた。判断が甘く、対応が後手に回ったのは否めない。
大和市の事件で児相は男児の安全確保のため一時保護した。だが母親は男児の施設入所を拒み、家庭裁判所も家庭での生活が適当と判断し入所を認めなかった。
家裁の却下にいかなる理由があったにせよ、結果として命を救えなかった以上、判断は誤っていたと言わざるを得ない。
増加の一途をたどる児童虐待の対策強化を目指し、児童福祉法改正案が国会に提出された。対策の柱は、虐待を受けた子供の一時保護について裁判官が判断する司法審査の導入である。
現在は保護期間が2カ月を超える際に審査しているが、親の同意がない場合はすべて家裁が要否を決める。手続きの透明性や客観性の確保が期待される。
とはいえ大和市の例を見るまでもなく、制度を整えるだけでは効果は上がるまい。高度な専門性を持ち、迅速かつ適切に対応できる要員を増やし、判断に生かすことが欠かせない。
19年に2歳女児が虐待死した事件を踏まえ、札幌市は虐待防止対策の強化を進めている。
専門家の提言を受け、市は道警や保育施設など関係機関との連携強化や職員研修の充実を図る。子育ての悩みを抱える女性への支援を含め着実に取り組んでほしい。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年03月09日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説】:岡山女児虐待死 悲劇根絶へ体制整えよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:岡山女児虐待死 悲劇根絶へ体制整えよ
虐待が見過ごされ、幼い命がまたも犠牲になってしまった。岡山市で昨年9月、当時5歳の西田真愛(まお)ちゃんが救急搬送され、4カ月後の今年1月に低酸素脳症で亡くなった。
岡山県警は、母親と交際相手を、椅子の上に置いた鍋の中に真愛ちゃんを長時間立たせたとして強要容疑で逮捕。さらに先週、真愛ちゃんを窒息状態に至るまで布団にぐるぐる巻きにして死亡させたとして、逮捕監禁致死容疑で再逮捕した。
2人による虐待が真愛ちゃんの死に結び付いたことは明らかだ。なぜ防げなかったのか。捜査とは別に、児童相談所など行政側も事実関係を洗いざらい明らかにして、再発防止に向けた道筋を示さねばならない。
母親は2018年12月ごろ、広島市から岡山市に転居した。直後から、真愛ちゃんの虐待通報が近隣住民から児相に何件も寄せられていたという。
19年4月には顔にあざがあるのを児相が確認している。20年9月には交際相手が、夜の墓場で全裸のまま目隠しされた真愛ちゃんを叱っているところを110番通報されている。
明らかに常軌を逸した仕打ちである。その時に刑事事件として処罰されていれば、今回の悲劇にまでは、つながらなかったかもしれない。胸が痛む。
児相は110番の際、真愛ちゃんを一時保護したのに2週間で解除した。虐待リスクの判断は4段階で最も下位の「軽度」のまま。最も深刻な「最重度」への変更は、死につながった救急搬送後だった。なぜ「軽度」を見直さなかったのか。児相は経緯を検証することが必要だ。
児相が交際相手に接触したのは110番から救急搬送までの約1年間、電話による1回だけだった。対応が甘すぎないか。
交際相手による虐待事例が多いとして厚生労働省は特段の注意を呼び掛けている。交際相手には別に家庭があり、同居者でなかった事情があるにしても、今回のケースでの対応には首をかしげざるを得ない。
厚労省によると、18歳未満の虐待で児相が対応した件数は20年度に全国で20万件を超えた。1990年度の200倍近い過去最多の数字で、虐待死も57人に上っている。
虐待対応に当たる児童福祉司などは全国的に不足しており、若いスタッフの経験不足も指摘されている。悲劇が繰り返される背景には子どもを守る体制が追い付いていない面もあろう。
幼い子どもも一人の人間として尊重される社会環境が求められる。実現する責任は、私たちにもあるのではないか。
親権者が「しつけ」を口実に子どもを虐待しないよう、政府の法制審議会が民法の懲戒権の規定を削除する答申をしたのも当然だ。しつけに対する意識改革も進めていく必要がある。
23年度には「こども家庭庁」が創設される。国会に出された法案には虐待に連帯して対応することもうたわれている。ただ掛け声だけでは不十分だ。虐待防止の責任の所在を明確にし、児相や警察、医師などが連携できる「横串」が欠かせない。
子どもが健やかに成長する社会を築くために何が必要か。報告、連絡、相談の徹底という従来の取り組みを繰り返すだけでなく、抜本的な対策を模索、実行していかなくてはならない。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年03月07日 06:46:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【HUNTER2022.02.28】:【速報】伊敷中いじめ問題、被害者側が第三者委調査を辞退|教育界への不信募り
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.02.28】:【速報】伊敷中いじめ問題、被害者側が第三者委調査を辞退|教育界への不信募り
鹿児島の腐った教育界が、いじめの被害者を重ねて苦しめる現状が浮き彫りとなった。
鹿児島市立伊敷中学校で起きた“いじめ”が隠蔽されていた問題を巡り、市教育委員会が設置した第三者委員会(正式名称:鹿児島市いじめ問題等調査委員会)や教委の動きが信頼できないとして、被害者生徒の保護者が同委での調査継続を辞退したことが分かった。
いじめ防止対策推進法の規定に従って設置された第三者委員会の調査を、被害者側が辞退するというケースは極めて異例。伊敷中でのいじめを隠蔽した上、同法が定めた「いじめの重大事態」を認めようとしない鹿児島市教育界に対し強い不信感を抱いた保護者が、結論を待たずに“三くだり半”を突き付けた形だ。
伊敷中で問題のいじめが発生したのは令和元年(2019年)。同校の2年生クラスで複数のクラスメートが、ひとりの生徒をターゲットにいじめを繰り返し、学校側が解決できなかったせいで被害生徒が転校を余儀なくされていた。
明らかに「いじめ防止対策推進法」が定める“いじめの重大事態”だったが、伊敷中は学校ごとに作成する「いじめの実態報告」の中で『いじめは解消』と報告。ハンターの調べで、いじめが継続していることを承知していた市教委も、学校側とグルになってこれを容認し、事実上の隠ぺいを図っていたことが分かっている。被害者家族が提出した『いじめが継続していることを示す文書』は、市教委が違法に廃棄した可能性がある。
いじめを訴えた生徒に、市教育界が救いの手を伸ばすことはなかった。いじめ発生当時の担任の女性教師は、被害生徒の親と会おうともせず責任放棄。元県教育次長の寺園伸二校長(当時)も「私に任せなさい」と大言壮語しながら、いじめが継続していることに抗議されると、「こっちは一生懸命やってるんだ」などと被害生徒の親に逆切れしていた。
ハンターが学校と市教委による隠蔽行為の全貌を報じたのが昨年5月。これが引き金となる形で、別の公立校の「重大事態」が次々と発覚する事態となり、昨年まで「0件」だったいじめの重大事態が、ここ9か月で10件を超える状況となっている。
問題は、鹿児島教育界の歪みを顕在化させる嚆矢となった伊敷中のいじめ事案が、隠蔽発覚から9か月経ったいまも「重大事態」として認められていないことだ。伊敷中の事案について第三者委員会がやっているのは、文部科学省が決めた『いじめ重大事態の調査に関するガイドライン』にある「いじめの事実の全容解明、当該いじめの事案への対処及び同種の事案の再発防止」といった目的を持った重大事態を前提とした調査ではなく、“伊敷中のいじめが、重大事態にあたるのか否か”という、入り口部分の議論。信じられないことに、伊敷中のケースだけが、「重大事態」として認知されていない。25日、いじめ問題を所管する鹿児島市教委青少年課を訪ね伊敷中のケースを重大事態として認めたのか確認を求めたが、「検証中」として回答を避けた。
当然、記者があきれるほどの状況は、いじめを受け転校を余儀なくされた子供やその保護者に多大なストレスを与える。遅々として進まぬ調査や、調査の進め方について求めた要請をことごとく無視する市教委や第三者委員会の姿勢に業を煮やした保護者は28日午前、市教委を訪問し、文書をもっていじめ問題調査委員会での調査を打ち切るよう求めた。
伊敷中は、鹿児島大学教育学部の代用附属という格式のある学校だ。さらに、“いじめの隠蔽”を行ったとみられる令和元年当時の寺園伸二校長は、県教委の次長を務めていた人物。元担任も、鹿児島教育界のエリートだという。県教育界として、伊敷中の不祥事は絶対に認めたくないのだろう。いじめを「なかったこと」にして隠蔽を図り失敗した鹿児島の教育界が、今度は「重大事態」の認定に抵抗し、被害者側に二重の苦しみを与えたことになる。
いじめの被害者ではなく、教員マフィアの保身を優先させる鹿児島の教育界を、ハンターは絶対に容認しない。弱者に寄り添うことの大切さを知っているはずの下鶴隆央鹿児島市長は、何をやっていたのか。
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・鹿児島市立伊敷中学校で起きた“いじめ”が隠蔽されていた問題】 2022年02月28日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【HUNTER2021.11.26】:鹿児島市いじめ第三者委、初回調査で「重大事態」否定|ガイドライン無視
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.11.26】:鹿児島市いじめ第三者委、初回調査で「重大事態」否定|ガイドライン無視
鹿児島市内の公立小・中学校で起きた3件の「いじめの重大事態」を学校側や鹿児島市教育委員会が隠蔽していた問題を巡り、市教委が設置した第三者委員会「いじめ問題等調査委員会」の委員長が、新たに検証対象となった4例目のいじめについて、保護者に「病院の診断書が出ても重大事態にはならない」などと、申し渡していたことが分かった。
第三者委員会として当該事案が重大事態にあたるのか否かの調査を行っている最中に、委員長が議論を省いて未確定の方針を主張した形。結論ありきで進んでいるとしか思えない市教委と第三者委員会の姿勢に、関係者の間から不信の声が上がっている。
◇ ◇ ◇
問題のいじめは、鹿児島市内の中学校で起きている、現在進行中の事例。今年8月に子供が受けているいじめについて訴えていた保護者に、市教委から「学校から重大事態の連絡があった。法とガイドラインにのっとり対応していく」との連絡があったことが分かり、ハンターが同月18日の配信記事で概要を報じていた。
(参照記事⇒《鹿児島市公立中で4件目の「いじめ重大事態」|5件目も浮上》)
当該事案は市教委が設置した第三者委員会で調査することになり、10月30日に被害生徒と保護者への聞き取りが実施されたが、思いがけない委員長の発言は、その時に発せられていた。
いじめを受けた被害生徒が、精神的なダメージを受けたため医療機関で受診したことについてやり取りするなか、保護者が診断書が準備できていないことを説明していると、委員長がこれを遮る形でこう言ったという。
「まあ、これから大学病院とかどこか受診したとして何かしらの診断は出るのでしょうが、いずれにしても重大事態にはなりません」
聞いた保護者はあ然となり、言葉も出なかったと話す。
「いきなり重大事態ではないと言われ、ショックでした。言葉が出ませんでした。何のための調査なのか分からなくなりました。それなら、もう結構という感じになりますよね。11月11日に釈明の電話をもらいましたが、ハンターの記者の方が昼間、この件で市教委に事実確認に行かれたのを知っていましたから、『ああ、言い訳なんだな』と分かりました。市教委も第三者委員会も信用できないですね」
保護者がショックを受けた時点で、この第三者委員会は当事者としての資格を失ったといえる。「病院の診断書が出ても重大事態にはならない」と言い放った委員長の対応は、いじめ防止対策推進法が規定する「いじめの重大事態」に関する調査が適切に実施されるよう文部科学省が定めた「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を無視する暴走。ガイドラインは、いじめが起きた場合の対応について、まず学校の設置者(この場合は、鹿児島市教育委員会)及び学校に対し、次のように求めているからだ。
○ 学校の設置者及び学校は、詳細な調査を行わなければ、事案の全容は分からないということを第一に認識し、軽々に「いじめはなかった」、「学校に責任はない」という判断をしないこと。状況を把握できていない中で断片的な情報を発信すると、それが一人歩きしてしまうことに注意すること。また、被害者である児童生徒やその家庭に問題があったと発言するなど、被害児童生徒・保護者の心情を害することは厳に慎むこと。
さらに、重大事態の発生が認められて第三者委員会が設置された場合に被害児童生徒・保護者等に対する調査方針の説明などを行う際の注意点はこうだ。
「いじめはなかった」などと断定的に説明してはならないこと。
第三者委員会の委員長が「重大事態にはならない」という結論を述べた10月30日は、当該事案について初めて聞き取りが行われた日。つまり、いじめの実態を確認するという入り口の段階で、結論が決まっていたことになる。第三者委員会の委員長は、ガイドラインの趣旨とはまるで違う姿勢で被害者側に不信感を与え、精神的な二次被害を招いたことを猛省すべきだろう。
ハンターは今月11日、いじめの問題を所管する鹿児島市教育委員会青少年課を訪ね第三者委員会委員長の問題発言について事実確認を求めたが、同課からは今日に至るまで何の回答もない。鹿児島市教委や第三者委員会は、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」が理解できていないか、あるいは初めからガイドラインを守るつもりがないかのどちらかだ。
元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【行政・地方自治・鹿児島県・鹿児島市内の公立小・中学校で起きた3件の「いじめの重大事態」】 2021年11月26日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【HUNTER2021.11.05】:鹿児島県教育界への警鐘(5)|「事故報告書」が示す腐敗の実情
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.11.05】:鹿児島県教育界への警鐘(5)|「事故報告書」が示す腐敗の実情
鹿児島市内の公立小・中学校で起きた「重大事態」にあたる3件のいじめが、学校と教育委員会によって隠蔽されていた。ハンターが問題視したのは、いじめが認知された初動の段階において、学校の内部だけで処理し、教育委員会への報告を先送りしようとする教育現場の間違った姿勢だ。
前回の配信記事で述べた通り、福岡市では、いじめが認知された時点で学校が「事故報告書」を作成し、日を置かず市教委に提出するよう決められている。一方、鹿児島市では電話連絡で事を済ませたり、騒ぎが大きくなってから報告に及んだりと、デタラメな対応。両都市のいじめとの向き合い方には大きな違いがある。過去3年間以上、鹿児島市教委にはもちろん、県の教育委員会にも上がってきていないという「いじめの事故報告書」について、再検証した。
◇ ◇ ◇
いわゆる「学校管理規則」は、全国の都道府県・市町村で制定されており、鹿児島市には「鹿児島市立学校管理規則」がある。その中で、《児童について重要と認められる事故(交通事故を除く)が発生したときは、児童生徒事故報告書(様式第27の1)をもつてすみやかに教育長に報告しなければならない》(59条)と定めており、「様式第27の1」というのが下の用紙だ。
報じてきたように、福岡市ではいじめを「事故」とみなして報告書を作成するが、鹿児島市では立派な報告書の様式を定めながら、ほとんど活用されていなかったことが分かっている。ハンターが確認した平成29年から令和2年までの4年間で、鹿児島市教委に提出されたいじめの事故報告は0件。鹿児島市立学校管理規則が規定する『児童について重要と認められる事故』は、発生していないことになっていた。ところが……。
下は、今年6月25日に鹿児島市内にある公立中学校から市教委に提出された「児童生徒事故報告」。いじめが発生したのは「令和2年9月3日」、市教委への第一報は「12月2日」。この中学の校長は、いじめを超えた「暴行」を認知しながら、市教委への報告を3カ月間も怠っていたことになる。この日の記述から分かるように、学校側が市教委に連絡したのは、被害生徒の保護者が検査結果を持って「警察」に相談したからだ。なあなあで済ませるはずの事案が、刑事事件になりそうだと知って、あわてて取り繕った格好である。
さらにお粗末なのは、この事故報告書の作成時期が、いじめの認知から10カ月も経った後だったこと。令和2年9月に発生したいじめなのに、報告書の日付は「令和3年6月25日」なのだ。ここ数年、1件もなかった事故報告書が提出されたわけだが、どうやらこれは、学校がいじめと向き合わなかった証しでしかない。
実は、この報告書に記されたいじめこそ、本シリーズの被害者家族インタビューで、いじめの実態や学校・市教委への思いを訴えた「Cさん」のお子さんの事案。いじめと言うより、下記のように暴行傷害として立件されるべき酷い行為だったことが明らかとなっている。
・首を吊り上げた形で絞める。
・お姫様抱っこして3階の教室から落とそうとする。
・両手で頭を押させて扉に打ち付ける。
・高所恐怖症を知った上での肩車。
・死ね、殺すぞ、きもい、消えろ、臭いといった言葉の暴力――これが日常的に繰り返されていたにもかかわらず、学校も市教委も毅然とした対応を示していなかった。その結果、Cさんの子供は、県外の学校への緊急避難的な転校を余儀なくされている。
10カ月も経って事故報告書が提出されたのは、今年5月に伊敷中学校でいじめの重大事態が隠蔽されていたことを知ったCさんが、市教委に対し個人情報開示請求を行って真相究明に乗り出したからに他ならない。上掲の報告書は、あわてた学校と市教委が、「学校管理規則を守った」という形だけ整えようとした証拠でもある。
事故の[種別]は「いじめ(暴力行為)」、[程度]には「頸部痛、眼底出血、PTSD」とあり、刑事事件にすべき事案であったことがうかがえる。この事案が、なぜ「重大事態」にもならず、報道されるまで表面化しなかったのか?
次に示した横長の文書は、「いじめの実態報告」に記載されたCさんの子供の事案。何度も指摘してきた《いじめの現在の状況》についての記入欄には、
・ア いじめが解消しているもの
・イ 一定の解消が図られたが、継続支援中
・ウ 解消に向けて取組中
・エ 他校への転学、退学等
のなかの「ア(いじめが解消しているもの)」が記入されていた。
暴行が止まず緊急避難的に県外の学校に通うことになったというのに、「いじめが解消」――。報じてきたすべての「重大事態」と同じように、学校と市教委がグルになって事実上の隠蔽が行われ、いじめの被害あった子供と保護者に、二重三重の苦痛を与えていた。
早い段階での「事故報告」を義務付けている福岡市で、いじめの重大事態が隠蔽されていない事実と突き合せれば、鹿児島教育界の腐敗の度合いがわかろうというものだ。鹿児島市教委はもちろん、県内すべての教育委員会の仕事の内容やいじめの実態、さらには教育マフィアによる庇い合いを調査し、「子供のための教育行政」を実現するよう、関係者が話し合いを始めるべきだ。ハッキリ言うが、これは「政治」の責任である。
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【話題・地方自治・鹿児島市・市内の公立小・中学校に通っていた3人の子供たちが、いじめ防止対策推進法が規定した「重大事態」にあたるいじめを受けた事案】 2021年11月05日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【HUNTER2021.11.02】:鹿児島県教育界への警鐘(4)|福岡市との違いが示す「いじめ重大事態」隠蔽の背景
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.11.02】:鹿児島県教育界への警鐘(4)|福岡市との違いが示す「いじめ重大事態」隠蔽の背景
鹿児島市内の公立小・中学校に通っていた3人の子供たちが、いじめ防止対策推進法が規定した「重大事態」にあたるいじめを受け、転校や通学校区の変更を余儀なくされていた。しかし、残されていたのは「いじめは解消」という虚偽の記録。いじめ被害にあった子供たちや保護者を切り捨てて保身を図っていたのは、学校と教育委員会だった。何故こうした事態が起きたのか、改めて背景をさぐった。
◇ ◇ ◇
ハンターは今年3月、鹿児島市教育委員会に対し、2018年度(平成30年度)から2020年度(令和2年度)までの3年間に、市内の小・中学校から提出された「いじめの事故報告書」と、それぞれの事案に対する市教委の対応が分かる文書を開示請求した。市内の小中学校で起きた「いじめ」の内容と件数を確認するための作業だったが、市教委は当初、「校長の公印が捺してある事故報告書はない」などと詭弁を弄し、不開示を決定する。姑息な隠蔽だったことは確かで、その後の追及によって公立の小・中学校が市教委に提出する「いじめの実態調査」というA3版の報告文書が存在することが明らかとなる。(*下が「いじめの実態調査」)
市教委がこの報告文書の存在を隠そうとした理由は一つ。いじめの重大事態が何件もあったことを、知られたくなかったからだ。事実、この文書の存在を確認したいじめ被害者の保護者は、個々に「個人情報開示請求」に踏み切り、記録文書の嘘やでっち上げが次々と暴かれることになる。その結果が、今年になっていきなり表面化した3件もの「重大事態」である。
あわてた市教委は、第三者委員会を設置してそれぞれのいじめの検証をスタートさせたが、初動で「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を無視した対応に終始していたため、真相究明が実現するか否かは不透明な状況だ。
いじめが起きた場合、初動で学校側が間違った対応をとると、収まるはずのいじめがエスカレートし、小さトラブルから「重大事態」にまで発展するケースが少なくない。鹿児島市の場合、いずれの重大事態も、いじめが起きたことを市教委への口頭報告で済ませ、記録文書の作成が後回しになっていたことが分かっている。学校側と市教委の関係に緊張観はまったく感じられず、まさに“なあなあ”という言葉があてはまる現状だ。
じつは、鹿児島市教委に限らず、同県の教育界全体のいじめ対応は、まるでなっていない。そもそも県教委に、過去3年間に県内の公立小・中学校で起きたいじめの重大事態が、1件も報告されていないということ自体が論外。あり得ないことだ。県のある教育関係者は「市町村レベルで(重大事態の認定が)止まっている」と断言する。いじめの隠蔽が報道されたとたん、鹿児島市で3件もの重大事態が認定されたことこそ、その証左だ。他都市と比較すれば、鹿児島県教育界の怠慢は一層明確になる。
福岡市教育委員会への情報公開請求を通じて確認したところ、2018年度(平成30年度)から2020年度(令和2年度)までの3年間に、市内の公立小・中学校で起きた「いじめの重大事態」は疑いも含めて6件。鹿児島県全体で、5年も6年も重大事態が1件も発生しなかったという話が、いかに現実味のないものか分かる。では、いじめの実態を隠蔽し続けてきた鹿児島市と福岡市の違いはどこにあるのか――?ハンターは、鹿児島市教委への最初の情報公開請求でこだわった「いじめの事故報告書」(*下の画像参照)の取り扱いにあるとみている。
福岡市教委への情報公開請求で入手した、市内の公立小・中学校で起きたいじめについての事故報告は、2018年度(平成30年度)から2020年度(令和2年度)までの3年間で95件。1件ごとに、いじめが認知された時点からの出来事が、時系列に沿って詳しく記されている。福岡市では従来から、いじめを「事故」として扱っており、この点が鹿児島と大きく違うところだ。いじめと真剣に向き合う福岡市、形だけの処理で済まそうとする鹿児島市――どちらがまともか、考えるまでもない。
しかも福岡市では、いじめが確認された場合、時間を置かずに市教委に「事故報告」が提出される決まりとなっており、後になって被害者側と学校側が事実関係を巡って争うことがないように工夫されている。事故報告をみれば、学校側の対応がハッキリわかるということだ。
一方、初動の記録や「事故報告書」の作成が義務付けられていない鹿児島では、平気でいじめ対応の真相が捻じ曲げられる。下の文書は、令和元年に鹿児島市立伊敷中学校で起きたいじめに関し、市教委が第三者委員会などに提出するため作成した“後付け”の資料。①令和元年11月12日に、『加害生徒の保護者は、担任にいじめについて相談した。その際、加害生徒への個別指導を行わないよう要望した』。『担任は、学級への全体指導を行った。(指導状況を被害生徒の保護者へ報告した)』という記述や、②『校長は保護者に電話をした。保護者からは、教師からの声掛けがプレッシャーとなっているとのことであった』という記述が、捏造であったことが分かっている。
福岡と鹿児島の最大の違いは、福岡市の事故報告書で明らかなように、「被害者」と「加害者」が明確に区別されていることだろう。これは初動の段階でいじめの実態をしっかりと掴まなければできない。そこに“曖昧さ”はなく、「悪いことは悪い」という最も大切なことを教えようとする教育関係者の覚悟がみてとれる。これに対し、鹿児島市教委に残された記録文書から見えてくるのは、実態をごまかしたり、平気で虚偽を書き連ねる“歪んだ教育者”の姿である。
歪んだ教育者たちが何をやっているのか――。さらに詳しく個々の事例を検証してみたい。(つづく)
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【話題・地方自治・鹿児島市・市内の公立小・中学校に通っていた3人の子供たちが、いじめ防止対策推進法が規定した「重大事態」にあたるいじめを受けた事案】 2021年11月02日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【HUNTER2021.10.27】:鹿児島県教育界への警鐘(3)消えぬいじめの苦しみ 被害者家族インタビュー
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.10.27】:鹿児島県教育界への警鐘(3)消えぬいじめの苦しみ 被害者家族インタビュー
鹿児島市内の公立小・中学校に通っていた3人の子供たちが、いじめ防止対策推進法が規定した「重大事態」にあたるいじめを受けていたにもかかわらず、学校と教育委員会によって真相を歪められ、転校や通学校区の変更を余儀なくされていた。
隠蔽の背景にあるのは、保身に走り、いじめを「解消した」とする虚偽の記録を残した学校と市教委の醜い姿勢。人を教え、導く立場の人間とは思えない悪魔の所業に、被害を受けた子供たちの保護者は怒りと不信を募らせる。では、その市教委が設置した第三者委員会や、地域社会のトップリーダーである市長や知事に何を望むのか――3人の保護者に聞いた。
学校や市教委が信用できないことは、私たちの取材でも明らかになっています。市教委は、存在する文書を屁理屈付けて『ない』などと平気で嘘をつきますし、文書の隠蔽も当たり前のようにやっています。課長をはじめ幹部職員が居留守を使うことは、皆さんも経験されているようです。このとんでもない組織が設置した第三者委員会が、報道を機に「重大事態」となった一連のいじめを検証しているのですが、要望したいことがありますか?また、鹿児島市長や知事に望むことがあれば、教えて下さい。
Bさん:第三者委員会の人たちにはどこを目指すのかを決めて、最終的にどういう風にしたいかという思いをみんなで共有しながら、しっかり手順を追ってやって欲しいなという思いがあります。それから、市や県にお尋ねしたいことは、教育委員会は必要なのかなということ。機能しない組織が必要なのかどうかということです。
広島のある女性が校長先生まで勤められて、自分の現職の時期から“市教委っていらないんじゃないかな”って思っていたそうで、退職後に教育長になられてから自分で学校に足を運んで、ちゃんとこういうことが守られているかとか様々なことを確認しているということでした。現場の学校の先生たちも、市教委も、もっと勉強して欲しいですね。それと、教育委員会には、他の分野の優秀な人を連れてくるべきだと思うようになりました。
いじめ防止対策推進法ができたきっかけの大津のいじめの第三者委員会には、有名な尾木ママ、尾木直樹さんが入っていました。だから、そういう方はどうやったらやってくるのかなって。どういう手法で呼んでいるのかなって。呼べるなら呼んで欲しいって思います。
Cさん:箇条書きみたいになりますが、考えてきたので読み上げますね。
・息子の楽しい人生を返して欲しい。
・息子の将来の人権を守って欲しい。
・子供の笑顔を返して欲しい。
・鹿児島の学校生活に不安を感じることなく、どこの中学校・高校に登校しても安心して笑顔で楽しく過ごせる状態を作って欲しい。
・息子が、学校の教職員に笑顔で会える状況を作って欲しい。
・信頼できる教職員のいる学校を紹介して欲しい。
・娘の楽しい中学生活を返して欲しい。
・加害者親子への責任追及。
・家族全員が、今回の苦しい思いを1日も早く忘れて、心から笑える日が訪れるよう最善を尽くして欲しい。
・重大事態の認定を怠っていた学校の管理職、市教育青少年課課長、教育長の処分を考えて欲しい。
――以上です。Aさん:今の第三者委員会が機能しない場合は、いじめ防止対策推進法の規定に従って市長部局で新たな第三者委員会を設置し、改めて調査してほしいと思います。その上で、いじめが起きた当時の担任、学校、市教委に対して指導を行い、再発防止を図ってほしいですね。これによって、鹿児島市をはじめとする鹿児島県の子どもたちが、安心・安全の環境の中で成長できる環境を作っていただきたいと願っています。
2時間余りにわたったインタビューを通じて分かったのは、いじめを受けた子供たちはもちろん、その子らの保護者も悩み苦しみ、時に絶望を感じながら理不尽と戦ってきたという現実だ。「理不尽」とは、いじめを訴えても正面から向き合おうとせず、加害者による形だけの謝罪で事を済ませ、「いじめは解消」と虚偽の記録を残して幕引きを図った教員や市教委の行為や、その結果、被害者が転校や通学校区の変更を余儀なくされたことを指す。何度も述べてきた通り、理不尽を招いているのは、いじめられた子供ではなく自分たちの立場や将来を優先する愚かな教員や教育委員会の職員だ。だから、ハンターの報道が始まるまで、鹿児島市内で起きた何件もの「いじめの重大事態」は隠蔽されていた。
実は、こうしたいじめの隠蔽は、鹿児島市教委に限ったことでなく、県内自治体すべての教育現場で起きていると考えられている。ある県の教育関係者は、「大きな声では言えませんが」と断った上で、こう話す。
「ハンターの県教委への情報公開請求で明らかになっているように、少なくともこの5年間、県にはいじめの重大事態は報告されていませんでした。『0件』ですよね。あり得ないと思っています。ハッキリ言いますが、市町村の教育委員会で、本来首長や県教委に報告すべき事案が、止まっているということです。言葉を変えれば“大規模な隠蔽”。今回のように報道でいじめの実態があぶり出されれば、次から次へと重大事態が出てくるはずです。鹿児島のこうした現状は、「いじめ防止対策推進法」や「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」が求めるいじめ根絶の方向性とは合致していません。ご指摘のように、教員免許を持った者どうしのかばい合いや、教育委員会の機能不全があることは確か。教育界には、新しい風が必要なんです」
“大規模な隠蔽”という教育関係者の話を裏付ける事実がある。福岡市教育委員会への情報公開請求を通じて確認したところ、平成30年度から令和2年度までの3年間に、市内の公立小・中学校で起きた「いじめの重大事態」は疑いも含めて6件。鹿児島県全体で、5年も6年も重大事態が1件も発生しなかったという話が、いかに現実味のないものか分かる。では、鹿児島県のいじめ対応は、どこが間違っているのか――次週の配信記事で、詳しく検証していく。
(以下、次稿)
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【話題・地方自治・鹿児島県・鹿児島市内の公立小・中学校に通っていた3人の子供たちが、いじめ防止対策推進法が規定した「重大事態」にあたるいじめを受けていた問題】 2021年10月27日 08:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【HUNTER2021.10.26】:鹿児島県教育界への警鐘(2)「いじめ解消」は真っ赤な嘘 被害者家族インタビュー
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.10.26】:鹿児島県教育界への警鐘(2)「いじめ解消」は真っ赤な嘘 被害者家族インタビュー
腐敗した鹿児島県教育界の隠蔽体質が、数々の“いじめ”を放置し、被害を拡大する原因になっていた。
今年になって、次々と明らかになった鹿児島市内の公立小・中学校で起きた「いじめの重大事態」が、当該校と鹿児島市教育委員会によって隠されていたことは報じてきた通りだ。
学校や市教委が優先してきたのは、子供ではなく自分たちの立場。市教委が設置した第三者委員会が検証している3件のいじめ事案に共通する、「いじめが解消」したという虚偽の記録こそが、その証拠である。その点について、いずれの被害者家族も怒りを隠そうとしない。
――残されていたいじめの報告書によれば、学校も市教委もきちんと対応したことになっていて「いじめが解消」と記載されていました。本当にいじめは解消していたのですか?
Bさん: とんでもない。解消していません。だからこそ、中学にあがる時点で、学区変更の申し出を余儀なくされたんです。市教委からは、学校が変わったから、いじめがやんだと言われましたが、『それは違うでしょ!』と言いたいですね。
Cさん:県外の学校に転校し、加害者と離れたことで、いじめの行為から逃れられただけで、いじめは解消されていません。よって、いじめの解消の定義は成り立っていない。そもそも、加害者側の言動や行動に、反省した様子は見られませんでしたから。学校や市教委は、ふざけているとしか思えません。
Aさん:いじめが解消しなかったため、やむを得ず転校を申し出たのです。報告書に「解消」とあったのを見て唖然としました。酷いでっち上げです。うちの子供は、転校後にようやく教室で授業を受けられるようになり、今は元気に高校に通っています。しかし、転校後も元級友に街で睨みつけられたりすることがあったため、今でもあまり外出したがらないのです。いじめが解消していれば、そんな思いをすることはなかった。学校や市教委には、憤りを感じます。
各校が学期ごとに市教委に提出している「いじめの実態報告」には《いじめの現在の状況》について記入する欄があり、実情に応じて次のように4つに区分するようになっている。
・ア いじめが解消しているもの
・イ 一定の解消が図られたが、継続支援中
・ウ 解消に向けて取組中
・エ 他校への転学、退学等
3件のいじめはいずれも解消していなかったが、報告書には「ア」(いじめが解消しているもの)と記載されていた。明らかな虚偽だ。特に伊敷中のケースは学期途中で転校を余儀なくされており「エ」(他校への転学、退学等)であったことは疑う余地がない。
継続していた陰湿ないじめを止めることができなかったにもかかわらず、解消したとして「終わったこと」にした学校と市教委――。全国でいじめが事件化する度に繰り返されてきた、教育現場の「隠蔽」と同じ構図だ。
保身に走った学校や鹿児島市教委は、いじめを助長し、被害者を増やしている元凶といえるだろう。では、学校や市教委の不作為によって、いじめの被害を受けた子供たちはどうなったのか――。
――いじめが継続した結果、皆さん方のお子さんは登校できなくなったり、特別教室での自習を余儀なくされるなど大変な事態になっていました。その結果、どうなりましたか?
Bさん:重大事態だと訴えているのに、学校も市教委も無視。何もしてくれない。子供は、卒業まで必死でがまんして、中学校に上がる時点で、学区変更を申し出ました。いじめが続いている以上、加害者と同じ中学には通えませんから。
Cさん: 日常生活はもちろん、将来にわたって支障をきたす可能性が高いけがを負っているというのに、加害者本人やその保護者が誠意を見せることも、自ら謝罪することもありませんでした。うちの子供の精神状態は時間と共に悪化し、恐怖心が増すばかりになっていました。学校や市教委は加害者を指導することもせず、うちの子供に『別の学校に行け』という始末。進級しても「いじめは解消されない!」と確信して、やむを得ず県外の学校に転校しています。
Aさん:いじめが解消しなかったため、学期途中でしたが、やむを得ず転校を申し出ました。転校後は、教室で授業を受けられるようになり、今も高校に元気に通っています。しかし、転校後も元級友に街で睨みつけられたりすることもあったこともあり、今でもあまり外出したがりません。いろいろ気を遣って過ごしているというのが実情です。
3人の保護者の話から見えてくるのは、いじめの加害者が野放し状態になっているため、被害者がびくつきながの暮らしを余儀なくされているという現実だ。学区変更で環境を変えても、いじめの記憶はなくならない。トラウマが長く子供を痛めつけるという事実を、教育関係者は肝に銘じるべきだろう。
そもそも、いじめの加害者が罰も受けずに学校に残り、被害者が本来の通学校を変更させられるというのは理不尽極まりない話だ。いじめが犯罪行為である以上、大人の犯罪者が裁かれて社会から隔離されるように、反省しない子供にこそ別の学校に移すなどの処分を下すべきではないだろうか。
――3つのケースで共通しているのは、いじめの訴えにきちんと向き合わず、場当たり的に解決しようとした学校や市教委の姿勢です。Bさんは、明確に「重大事態」だと申し立てたにもかかわらず、一顧だにされなかった。AさんやCさんのお子さんも、事態が悪化して学区変更や他県の学校への転校という道を選ばざるを得なかった。先ほどの話でも出ましたが、学校や市教委がは「解消した」と虚偽の記録を残していました。彼らに対して言いたいことは?
Aさん:担任と校長、そして市教委のいじめに対する対応は法令に違反しています。担任がいじめに対応しない場合、校長が指導すべきですが、校長も指導しなかった。その場合、市教委が指導すべきですが、市教委も指導しなかった。さっきからの話の通り、個人情報開示請求で分かったことですが、中学校は市教委に「いじめが解消した」という嘘の報告を行っていました。
一方、市教委もいじめが解消していないことを申立書で知っていたにもかかわらず、今年6月の教育委員会定例会や8月の市議会閉会中審査に対して「いじめは解消した」という嘘の報告書を出しています。
私たちは、第三者委員会での調査の様子を確認したくて情報開示請求をしましたが、市教委は現在までのところ、必要以上に黒く塗りつぶされた書類しか開示していません。市教委が、調査を妨害しているとしか思えない。当時の担任、学校、教育委員会は、私たち被害者に寄り添うどころか、さらに痛めつけてきているんです。第三者委員会による調査については、期待している一方で、市教委のつくった委員会であることから、果たして機能するのかという懸念もあります。
Cさん:長くなってもいいでしょうか?(全員同意)
短く言うと、ショック、騙され続けていた、裏切られた、最低な対応、誰も信頼できない――ということです。学校や市教委が、「当たり前のこと」を「当たり前の時期」に「当たり前にしなかった」ことにより、私の子供は大きな傷を負っています。早い時期に「重大事態」であることを認めて学校が動いていたら、被害はもっと少なかった。つまり、いじめ防止対策推進法や重大事態に関するガイドラインは全く守られていないということです。
相談を重ねても、その後の対応は全くなし。つまり相談したこと自体が無駄だったということです。この際、市教委の青少年課の業務内容をすべて公開し、いじめ事案の相談内容等の報告書に押印・決裁した理由や意味を明らかにして欲しいと思います。「いじめが解消」で決裁印が押されている以上、責任は、教育長や青少年課課長が取るべきでしょう。なのに、謝りもしない。
12月2日に市教委から「重大事態に認定するような事案」と報告を受けたのですが、「認定するような」ではなく、「重大事態に認定する」と報告するべきです。市教委はどんな指導をしているのでしょう?
今年の6月14日に開かれた市議会での教育長の答弁「いじめの解消は教職員の力量による」は、鹿児島市教育界のトップの言葉とは思えないお粗末なものでした。自分たちには責任がないという逃げ口上。本当に腹が立ちました。
2018年から2020年にかけて起きたいじめの事案が、2021年になって次々に重大事態と認定されるという異常な事態ですが、それは教育長の責任だと強く言いたい。「いじめが解消できなかったことは、教育長の私の責任が大きい」と答弁して欲しかったですね。本当に残念です。
市議会での教育長の答弁にも呆れました。「特にいじめられている側の生徒、保護者の心情に立った対応がなされていないことを大変遺憾に思う」――。そっくりそのままの言葉を、教育長、青少年課課長に返したいですね。
Bさん:なんか、Cさんが全部言ってくれたという感じです。私はいじめが顕在化した時点で、「重大事態」であることを、学校にも市教委にも訴えていました。それが「解消した」……。いじめ防止対策推進法やガイドラインも必死で勉強しましたが、それを守らなければならない学校や市教委が無視したことが許せません。報道があったとたん、「重大事態でした」……。学校や市教委を信用しろという方が無理でしょう。市長が代わっていなかったら、また隠蔽されていたかもしれませんね。伊敷中の問題で、再検討を指示された下鶴(隆央)鹿児島市長には本当に感謝しています。
(以下、次稿)
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【話題・地方自治・鹿児島県・鹿児島市内の公立小・中学校に通っていた3人の子供たちが、いじめ防止対策推進法が規定した「重大事態」にあたるいじめを受けていた問題】 2021年10月26日 08:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【HUNTER2021.10.25】:鹿児島県教育界への警鐘(1)|被害3家族インタビュー|いじめ隠蔽に募る怒り
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2021.10.25】:鹿児島県教育界への警鐘(1)|被害3家族インタビュー|いじめ隠蔽に募る怒り
滋賀県大津市の中学校でいじめを受けていた2年生の男子生徒が自殺してから10年。2013年には、その事件を契機に成立した「いじめ防止対策推進法」が施行され、17年には同法の実効性を高めるため「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」が策定された。しかし、いじめは一向に無くならない。
背景にあるのは、いじめと向き合わず、学校の体面や教員の保身を優先する教育現場の現状。「うちの学校に、いじめはない」「いじめは起きたが、すぐに解決した」などとして事案を隠蔽するケースが後を絶たない。
腐敗した教育現場の実態を、まざまざと見せつけたのが鹿児島県教育界の対応だ。今年になって、鹿児島市で起きていた何件もの「いじめの重大事態」が、学校と市教育委員会によって隠蔽されていたことが分かった。
最初に明るみに出たのは、2019年(令和元年)に鹿児島市立伊敷中学校で発生した複数のクラスメートによる“いじめ”。同校や鹿児島市教育委員会が共謀し、真相を闇に葬っていたことが判明している。
誰がみても、いじめ防止対策推進法が規定する「重大事態」にあたる事案だったが、被害生徒に寄り添った教員や市教委職員は一人もいなかった。
担任や校長が保身に走ったのは明らかで、被害者である女子生徒が学期途中で転校に追い込まれたのをいいことに、「いじめは解消」したとする虚偽の記録を残して幕引きを図っていたことが明らかになっている。
この件を追及したハンターの報道をきっかけに、次々と市内の小・中学校における重大事態の隠蔽が発覚。被害児童・生徒の保護者が、個人情報開示請求によって入手した文書から、歪む教育現場の実態が浮き彫りとなる。
これまでに、重大事態として認知あるいは認知に向けた調査が必要とされたいじめは4件。このうち、転校や通学校の変更を余儀なくされた過去のケースが3件となっている。
市教委が設置した第三者委員会が関係者の聞き取りなどを進めているが、学校や市教委が保身のためにでっち上げた基礎資料が当たり前のように使われており、真相解明への道筋は見えてこない。
学校や教育委員会に対し、高まる不信感……。ハンターは、いじめにあった子供たちの保護者3人に集まってもらい、ここに至るまでの経緯や、それぞれの胸の内を語ってもらった。
(*本稿では、伊敷中で起きたいじめの被害者家族をAさん、谷山地区の小学校で起きたいじめの被害者家族をBさん、別の中学校で起きた暴行被害者の保護者をCさんと表記する)
――それぞれのケースに違いはあれ、いずれも、「重大事態」を認めないで済むように、「いじめは解消した」として学校や市教委によって事実上の隠蔽が行われていました。今年になって告発しようと決意されたのは何故ですか?
Aさん:うちの子供の場合、担任がいじめに加担していたことでクラスが荒れ、35人中8人が不登校傾向になっていました。たくさんの生徒と家族が苦しんでいた事は、決して看過できない問題だと考え、ハンターに相談しました。特に、当時の担任には、しっかりと指導していただきたいという思いもあります。
Bさん:うちの場合は、いじめを受けた当時に重大事態の申し立てを行っていましたが、学校にも市教委にも相手にしてもらえなかったのです。
いじめを受けて医療機関のお世話になり、不登校日が48日。文科省が定めたガイドライン(「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」)では明らかに重大事態でした。それを学校も市教委も黙殺したんです。
ところが、伊敷中のいじめに関するハンターの報道を子供と見て、やっぱり重大事態だったよねって、一体どんな処理の仕方をされたんだろうと気になって告発することにしました。記者さんに個人情報開示請求をした方がいいと言われて、あれよあれよと1か月もしないうちに、重大事態と認定されました。
Cさん:危険ないじめにあって子供が大変なけがを負っているというのに、学校も市教委も、きちんと向き合ってくれませんでした。告訴・告発をしようにもどうしたいいのか分からず、結局子供と話し合って転校を決意しました。ですが、黙っていることはできなかったのです。今年5月26日に南日本新聞社に掲載された伊敷中のいじめの記事を読んだ友人・知人・親戚から、次々に連絡あったことがきっかけで、告発すべきと思うようになりました。
いずれのケースも同じだが、いじめが表面化した直後に学校がやったのは、加害児童・生徒に“形だけ”の謝罪をさせて事を済ますという弥縫策。根本的な解決にならなかったことから、いじめは継続し、被害を受けた子供たちは肉体的にも精神的にも追い詰められていった。では、具体的にどのようないじめが行われていたのだろうか――。
――いじめの形態は様々です。大人から見てささいなことでも、子供は大きく傷ついてしまうこともあります。いじめというより、明らかな暴行と言った方がよいケースもあります。皆さん方のお子さんが受けたいじめについて、具体的に教えて下さい。
Bさん:暴行、暴言、それから冷やかし。ことさら関わってくるという感じ。「来た、来た、来た」とか、そういうザワザワした感じだったようです。持久走大会の練習をしていると、「こけろ」と声を上げる。うちの子供と一緒に帰ったら罰金2、000円という『条約』を作って、メモを他のクラスの子に渡していたそうです。
Cさん:うち子供に対しては、酷い暴力行為がありました。首を吊り上げた形で絞める。お姫様抱っこして3階の教室から落とそうとする。両手で頭を押させて扉に打ち付ける。高所恐怖症を知った上での肩車。いじめを超えた暴行と言うべきものでした。次が暴言。死ね、殺すぞ、きもい、消えろ、臭い――。これが日常的に繰り返されていました。
Aさん:私の子は、中2の秋(令和元年)に、クラスの中の強い生徒数名によるいじめを受けました。文房具、マスク、教材などを「貸して」と言って無理やり奪い取り、返さない。長女が抗議すると、胸倉をつかんだり、「死ね」と脅したりしていました。担任は相談しても笑って聞き流すだけ。子供は「学校に行きたくない」「死にたい」と追い込まれ、心療内科に通うようになっていったのです。担任もいじめの加害者でした。
いずれのケースも直接的な「暴力」を伴っており、一歩間違うと大変な事態になっていた可能性が否定できない。特にCさんの子供は後遺症で重い障害を負っており、いまも病院通いが続いている状況だという。いじめというより、暴行傷害事件と言った方が妥当だろう。鹿児島県警の不作為で、事件化されていないだけだ。
では、いじめられた子供や保護者が、まず最初に救いを求めたはずの担任や、担任を指導する校長、さらには学校を監督する教育委員会はどうような対応をしていたのだろうか?
――子供さんがいじめられていることを知って、まず初めにどうされましたか。次に、相談を受けた学校や市教委はどう動いたのか、聞かせて下さい。
Aさん:子供からいじめられていることを聞いて、主人が生徒指導主任と警察に電話し、生徒指導主任は加害生徒に事情聴取したようでした。先ほどお話ししたように担任も加害者でしたから、他の先生に相談するしかなかったのです。しかし、その後の対応は極めて杜撰。私たち家族は加害者とその保護者による謝罪の場を設定することを求めましたが、学校は事実上これを拒否しました。形だけのお詫びの手紙と、弁償した一部の物品が来ただけ。学校側にも加害者側にも、誠意のかけらもなかったですね。
Bさん: 早い段階で担任には相談をしていたんですが、いじめは収まりませんでした。担任も学校も信用できなかったですね。仕方なく市教委に相談しましたが、親切そうな言葉だけで、その都度『学校に指導を入れときますね』の繰り返しでした。結局、何も変わらなかった。
Cさん:うちの場合は、隣のクラスの先生が暴行の現場を見て、いじめが発覚しました。すぐに両者に聴き取りがあって、加害者側へ指導があったのですが、加害者の保護者からの謝罪は一切ありませんでした。それどころか、指導を受けた加害者が激高して、『お前のせいで俺が怒られたんだ。先生にチクったら殺すぞ!』と。それと同時に暴力行為が酷くなっていったんです。実情を訴えても、学校側も市教委も動いてくれず、子供は心身を蝕まれるまで追い詰められていきました。
3つのケースで共通して見えてくるのは、現実と向き合わず、目の前で起きているいじめという問題から逃げる担任教師の姿。伊敷中のいじめでは、担任教師が加害者側に加担し、被害の訴えを鼻で笑っていた。
学校長も、解決に向けた動きを見せるのはいじめが発覚してすぐの時点までだったようで、残された記録文書をみても、保護者らの証言通り、いじめの継続を本気で止めるような指導がなされた形跡はない。当時の伊敷中の校長に至っては、逆ギレして被害生徒の保護者を怒鳴りつけるという、教育者にあるまじき態度だったことが分かっている。
教師や市教委への信頼が崩れていく中、いじめは「継続」していた。(以下、次稿)
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【話題・地方自治・鹿児島県・鹿児島市内の公立小・中学校に通っていた3人の子供たちが、いじめ防止対策推進法が規定した「重大事態」にあたるいじめを受けていた問題】 2021年10月25日 08:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【卓上四季】:虐待の連鎖
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:虐待の連鎖
鶴屋南北の東海道四谷怪談に児童を虐げる場面がある。手を上げるのはお熊ばあさん。行商に出た義理の孫の次郎吉の稼ぎが少ないというのがその理由だ
▼「サア銭をどこに隠している、出さないか、この餓鬼出しァがらないか」。五つか六つの子どもをシジミ売りに出す江戸後期のこと。子どもの人権など守られるはずもなかった。次郎吉をつねるお熊の姿は日常の光景だったのだろう
▼児童虐待のニュースに接するたび、子どもを所有物と勘違いするお熊が過去の話ではないことを思い知らされる。岡山市の5歳女児が虐待され、6歳で死亡した事件もそうだ
▼強要容疑で逮捕された母親と内縁の夫は女児の髪の毛を引っ張るなどの暴行や鍋の上に長時間立たせるなどの行為に加え、夜間の墓地に裸で立たせ叱ることもあったという。神奈川県大和市では次男を窒息死させたとして、母親が殺人容疑で逮捕された。救う機会やすべはなかったか。繰り返される後悔である
▼札幌市の部会が虐待防止策について報告書をまとめた。中央区の2歳女児が虐待され衰弱死した事件後の体制改善の取り組みを調査したものだ。専門的知見の充実と不断の検証を求めた提言を生かし、子どもを守る環境を整えたい
▼お岩をいじめ死に追いやった伊右衛門はお熊の息子だった。伊右衛門も虐待を受けていたのかもしれない。悲劇の連鎖を止めるのも社会である。2022・2・24
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】 2022年02月24日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【卓上四季】:この寒空の下で
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:この寒空の下で
その朝、スニーカーを履いた少年は玄関でためらっているように見えた。母親は「おや」と思った。不安は的中する。少年は翌日、盛岡市の駅ビル地下街のトイレで変わり果てた姿で見つかった。1986年2月1日のことだ
▼このままじゃ「生きジゴク」になっちゃうよ。「葬式ごっこ」などの陰惨ないじめに遭い、悲痛な遺書を残した鹿川裕史君は、どんな思いで東京の自宅から東北へ向かったのだろう。14歳の誕生日は目前だった
▼いじめ自殺の問題を社会に問いかけた事件から36年がたったが、全国の小中学校などが認知したいじめ件数は昨年度も約51万件に達する。その一つ一つに今日に絶望し、明日におびえる辛酸があることを忘れてはなるまい
▼1年前の2月13日。この寒空の下、少女はどんな思いで家を出たのだろう。旭川市の中学2年生だった広瀬爽彩(さあや)さんのことだ。寒かっただろう。怖かったろう。この世界はそんな少女を助けることができなかった
▼傍観する共犯者。事なかれの教育現場。保身に走る行政機関。鹿川君の事件で噴出した醜い構図だ。自分が死んでも他の人がいじめられては意味が無い。だから「もうバカな事をするのはやめてくれ」と願った鹿川君の叫びは届いただろうか
▼凍死した広瀬さんについて旭川市教委が設けた組織がいじめの有無などを調べている。誠実な事実解明が少女を救う最後の機会となる。2022・2・12
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】 2022年02月12日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【北海道】:「いじめ疑い」2度指導 旭川中2死亡で道教委 市教委は調査せず
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【北海道】:「いじめ疑い」2度指導 旭川中2死亡で道教委 市教委は調査せず
【旭川】いじめを受けた疑いのある中学2年の広瀬爽彩(さあや)さん=当時(14)=が旭川市内で昨年凍死して見つかった問題で、道教委が2020年1月に旭川市教委に対し、「客観的にいじめが疑われる」などと再指導していたことが11日分かった。道教委からの指導は19年10月に続き2度目だったが、市教委は「指導とは受け止めていない」として改めて調査はしていなかった。
複数の関係者によると、広瀬さんは他の生徒からわいせつ行為の被害を受けたことなどで19年6月に自殺未遂していた。広瀬さんの母親は20年1月上旬に道教委の北海道子ども相談支援センター(札幌)に「学校がいじめを認めず、対応も納得がいかない」などと相談。これを受け、道教委は「客観的にいじめが疑われる」などと市教委を指導し、口頭でトラブルの概要などの報告を受けたという。
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【社説】:民法「懲戒権」削除へ 子への虐待絶つ一歩に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:民法「懲戒権」削除へ 子への虐待絶つ一歩に
親権者が子どもに行使できる民法の「懲戒権」が削除されることになった。「しつけ」だと言い訳しても体罰は許されない。それをはっきり禁止することで、虐待を根絶するきっかけにしなければならない。
法相の諮問機関である法制審議会の親子法制部会が民法改正の要綱案をまとめた。懲戒権を削除し、体罰禁止を明記している。それを受け、政府は今年秋以降に開かれる臨時国会への民法改正案提出を目指すという。
懲戒権は、1898年に施行された明治民法で定められ、引き継がれてきた。「監護(世話)」と「教育」の範囲内で親権者が子に行使できるとされ、「しつけ」と解釈されてきた。
民法改正は虐待事件の続発で2010年にも議論された。懲戒権については「子の利益のため」との要件を加えて虐待としつけを区別することで決着。翌年の民法改正で削除には踏み込まなかった。「必要なしつけすらできなくなると誤解される」との慎重意見もあったからだ。
それが、あだになったと言えよう。「しつけ」を口実にした虐待が相次ぎ、放置できなくなった。特に18~19年、東京都目黒区の5歳女児と、千葉県野田市の10歳女児らが命を落とし、社会に衝撃を与えた。
二つの事件を受け、児童虐待防止法と児童福祉法が改正された。親権者による子どもへの体罰禁止は明文化されたものの、懲戒権については「民法改正には時間がかかる」などの理由から、見直しは先送りされた。
その間も虐待は増え続けた。警察庁のまとめでは、21年に全国の警察が虐待の恐れがあるとして児童相談所に通告した18歳未満の子どもは、過去最多の10万8050人に上った。
通告は、10年近く前年比20~40%台で増えていたが、20、21年は1桁台にとどまった。新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛などで、家庭内での被害が見えにくくなっている恐れがある、との指摘もある。増加のペースが鈍ったからといって、安心はできない。
親子部会のまとめた要綱案では体罰だけではなく、「その他の心身に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない」とした。従来より踏み込み、精神的な苦痛を与える行為まで禁止した点は評価できる。
「子の人格を尊重する」とも定めた。子どもを独立した人格と位置付け、年齢や発達段階の尊重も義務付けている。一歩前進ではあるが、「権利」の尊重までは盛り込めなかった。「子どもの権利条約」を基にした世界の潮流からは、まだ距離があると言わざるを得ない。
法改正にめどが立った今、最大の課題は人々の意識改革だろう。子どもに厳しくするのは「愛のムチ」と見る人は今も少なくない。厚生労働省が昨年公表した調査結果では、18歳以下の子どもを持つ親ら5千人のうち、「場合により必要」と体罰を容認した人は4割を超えた。
そうした意識を変えていくには何より啓発が欠かせない。法改正と連動した大規模な啓発活動は人々の意識や行動を大きく変化させる―。国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」によると、それは他国の経験で明らかだという。虐待根絶へ、体罰を許さない社会風土づくりが政府に求められる。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年02月05日 06:51:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【野田虐待死3年】:『心愛ちゃんに捧げる詩』歌い続ける、児童養護施設園長「事件風化させない」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【野田虐待死3年】:『心愛ちゃんに捧げる詩』歌い続ける、児童養護施設園長「事件風化させない」
■千葉県野田市女児虐待死事件
千葉県野田市の小学4年栗原心愛さん=当時(10)=が2019年1月24日、自宅浴室で死亡した。心愛さんに冷水のシャワーをかけるなど暴行を加え、十分な食事や睡眠を与えなかったとして、父親の勇一郎受刑者(44)が傷害致死罪などで起訴され、昨年3月に懲役16年の東京高裁判決が確定した。母親(34)も傷害ほう助罪で懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年の判決が確定。心愛さんは学校のアンケートで「お父さんにぼう力を受けています」と訴え、児童相談所に一時保護されたが、翌月に解除されるなど行政の対応が問題となった。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【事件・千葉県野田市の小学4年栗原心愛さん=当時(10)=が父親から虐待を受け、死亡した事件】 2022年01月23日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。