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チラシの裏

殺人仮装行列

2018年11月11日 | 雑日
少年探偵春田ものみたいと思ってタカをくくっていたら、
意外に大人向けにミステリしています。
「海浜荘の殺人」は、どことなく正史の「女王蜂」、クイーンの「ガラスの村」を思わせる
論理的推理が展開されます。
「天狗岩の殺人魔」はダイイングメッセージと大がかりな殺人トリックが炸裂する佳作。
「出来ていた青」(1933年)は、正史の戦後作品を連想させるエロ全開で伏字もあり。
しかもギャンブルミステリとしてもクリスティ「開いたトランプ」を思わせます。
残念ながらこちらに花札の知識が皆無なので、ここがいい、という指摘ができませんが。
探偵役の青年が犯人を指摘するも、清廉潔白な探偵キャラとは程遠く、
最後の独白で被害者の娼婦とナニをしてみたかったと言うところは、
戦前エログロナンセンス時代の残り香をかぐ気持ちです。
その7年後に発表した「火の紙票」(1940年)では戦意高揚作品に仕上がっていて、
そういう時代だったわけですね。
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