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ウィリアム・アイリッシュ   黒いアリバイ

2009年09月16日 | ミステリ
ウィリアム・アイリッシュ(コーネル・ウールリッチ)の「黒いアリバイ」は、
「幻の女」や「黒衣の花嫁」ほどメジャーな作品ではないし、はっきり言って出来も良くないです。
けれど、1977年の時点で新刊として出たという1点で気に入っています。
ウールリッチの作品を新刊で読んだ、という記憶が、
作品の出来とは関係なく好きになっているんですね

良い作品は戦後すぐから30年代ぐらいまでに翻訳されていて、
昭和50年代に出版されるのは、B級C級という評価だったからでしょう。
(じつは昭和35年に別冊宝石で翻訳されていますが)

アイリッシュに論理的ミステリを期待するのは間違っていますけれど、
やっぱり論理的なミステリとはほど遠く、まるで2時間ドラマサスペンスのよう。
それに、「幻の女」と同じ年に書かれているのに、
名作にあった「意外性」「やるせない詩情」が感じられないのは痛い。

おまけに、訳者(稲葉明雄)解説では「本格ミステリを卒業した人にはアイリッシュ」という文があったりして、
本格マニアとしては一段下に見られている気がしなくもないです。
でも、ねっとりとした南米の夜が描かれているのは、少し変わった趣向で記憶に残りますね。
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