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チラシの裏

早送りで観る人

2022年06月18日 | 雑日
映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ
――コンテンツ消費の現在形 (光文社新書 稲田豊史著)

早送りで観る人がいるのか、と軽い驚きで読みはじめる。
16ページの円グラフを見ると、早送りをする割合は「する」「よくする」を合わせると
7割から7・5割、
10人のうち、7人か8人は普通のこととして行っていることになります。
でも、「しない」「あまりしない」割合も、2割から3割ある。
つまり、早送りしない人たちもそれくらいの割合で存在している、ということになります。

もしかすると、30年前に同じ質問をしたならば、
7割から7・5割は「まったく映画を観ない人たち」であって、
2割から3割の人が「映画をよく観る人」たちという結果になるのではないか。

思いつきですが、7割の人たちは、ネットと倍速機能を手に入れて、
かつてなら「見ないはず」だった映画を、観るようになったのではないか、ということです。

著者の危惧は、かつてはコアなファンに向けて作品を作ったり、宣伝をしていた制作側が、
いまでは「早送り側」に向けてコンテンツを作り提供せねばならないこと、ではないでしょうか。
それも映像(コンテンツ)文化の変遷の一過程であるとも言っているのですが、
そうなると、東宝怪獣映画や東映時代劇の好きなアナログ人間は途方に暮れるしかありません。

※つけたし
その昔、村上春樹「ノルウェーの森」が出たときに、普段は本など買ったこともない男子大学生が、
彼女へのクリスマスプレゼントに選ぶ、という話を聞いたことがありました。
元版は著者本人の装丁で、上下巻がそれぞれ赤と緑のきれいなカバーだったので、
クリスマスプレゼントには最適、みたいなことだったらしいです。ことの真偽は不明。
作品が質や内容とは関係なく、コミュニケーションツールとして利用されるのはそんなに新規の話でもないし、
「本に縁のない層」に購買行動を起こさせることがヒットにつながったいい例ではないでしょうか。

※つけたし その2
早送りする約7割の人たちのほうが、ネットなどでの発言の声が大きいような気がするんだがなあ。
密林での※の長さにびっくり。
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