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悪魔と警視庁

2013年03月24日 | ミステリ
300ページ弱の中に濃いプロットが詰め込まれ、最後まであっという間に読了。
失礼な言い方を許してもらえれば、傑作ではないし、
著者は傑作を書こうとしていたわけでもない。
世には誰をも仰天させる傑作が存在しますが、それはピラミッドの頂上のようなもので、
その傑作を支える2段目の作品こそが実は重要のはず。
ロラックには読者を仰天させるトップクラスの傑作は書けなかったかもしれないですが、
ミステリを読む幸せを与えてくれる2段目の作品を量産していたんですね。
それらが傑作に近いものだったり、
もしかしたら3段目の方に近いものだったりしたのでしょうが。
たしか歌舞伎座の3階席に「歌舞伎を育てる3階席」という言葉が掲げられていたような記憶が。
小技なトリックを複雑なプロットに埋め込むことでミスディレクションとしている点が、
最初からミスディレクションとして複雑なプロットを仕込んだのか、
または本来そういう作風なのかこれ1作を読んだかぎりでは判断できないので、
次作「鐘楼の蝙蝠」に期待。

■E・C・R・ロラック 悪魔と警視庁 創元推理文庫
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