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百八人の侍-時代劇と45年

2016年05月03日 | 時代
cold_sleeper氏のブログで八尋不二の著作が紹介されているのを拝見して、
たしかうちにも本があったはず、と探してみたらこれが出てきました。

八尋不二「百八人の侍-時代劇と45年」(朝日新聞社)。

著者が思い出す映画関係者のエピソードを書き綴ったもの。
古くは尾上松之助のことから、昭和30年代あたりまでのことが俎板にあがっています。

中に山中貞雄の鳴滝組時代の話があり、才能を認められて後の才気煥発な山中の姿が描かれています。
竹中労のアラカン聞き書き本では下積み時代のことが中心だったので、
両方揃うとわずかではありますが、山中の姿が見えるような気がします。

また、横溝正史が幼少のころに観て強烈な印象を受けた「紫頭巾」の作者、
寿々喜多呂九平とは晩年実際に仕事をともにした話、天才脚本家山上伊太郎のことなど、
作品ではなくそのキャラクターを描けるのは、実際に出会っているからでしょう。

その山上伊太郎がトーキーになって以前のような傑作を書けなくなった理由として、
文学臭の濃い「しゃべることの難しい台詞」を捨てられなかった、と
実際に山上と山中のシナリオの違いを再現してみせるところは良かった。
こんなに違うのか、と。

山上が原作脚本監督した失敗作「兵学往来髭大名」について具体的には書かれていませんが、
「アラカン」を読むと、編集についてまったく理解していなかった、と主演した嵐寛寿郎が言っていました。
主人公のヒゲがあったり無かったりした、というこの作品、見てみたい。
フィルムは残っていないでしょうけど。
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6 コメント

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Unknown (cold_sleeper)
2016-05-04 12:40:11
ははは、ご無沙汰です。ようやく、コメントができる記事が上がってうれしいです。5年後に刊行された「~50年」と比較しなければいけないなぁ、とは思っているのですが・・・・
河合映画(大都の前身)時代のハナシをもっと読みたかった。

鏡山競艶録がYoutubeにあります
https://www.youtube.com/watch?v=P5ozzHtwVno
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Unknown (spin_out)
2016-05-05 00:12:44
こんばんは。コメントありgがとうございます。

こちらこそご無沙汰しております。
ホントにくだらない話ばかりで、
ドーモスミマセン(三平調で読んでいただければ)。

御ブログで紹介されておられる、「時代映画と50年」は
もしかしたら、「百八人の侍-時代劇と45年」の増補改訂版かもしれませんね。

河合映画については、
「宴会で酔っ払った勢いのまま河合徳三郎社長の背中をどやしつけたら、翌日馘になった」
という話が載ってました。
たしかにもうちょっと書いて欲しかったところです。
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Unknown (cold_sleeper)
2016-05-05 10:43:28
梶原金四郎、金六、金八のエピソードもとても愉しかった。
http://www.jmdb.ne.jp/person/p0063250.htm

ともあれ、私的大発見だったのが、画家岩田専太郎の妹が女優をしていたってこと。
http://www.jmdb.ne.jp/person/p0356380.htm

こうした映画本って、版社が代わると図版も代わったりするので、要注意です。
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Unknown (spin_out)
2016-05-05 22:20:34
>岩田専太郎の妹が女優

この話、この本の中にあったような気がして
当該ページを探したのですが、見つかりませんでした。

記憶の中で朝丘夢路とごっちゃになっているのかな。

あと「日本映画傳」(城戸四郎)もついでに読んでしまいました。
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Unknown (cold_sleeper)
2016-05-06 17:34:01
いやはや、まさかこんな対話ができるとは夢にも思っていませんでした。深く感謝致します。

>日本映画傳
これは読んだことありません。
目次によると、当方の観たい度トップ「天国に結ぶ恋」や斉藤寅次郎に触れた箇所があり、興味津々です。早速借りる手配をしてきます。

湊明子の記事
もう手元にはないので確認不可ですが、鈴木澄子が紹介されていた辺りだったような・・・「狸御殿」が当たり、「狸の次は猫だ」ってんで「化け猫」ものを乱発する下り。ほんのチラっと数行だけ。
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Unknown (spin_out)
2016-05-07 22:41:18
こちらこそ、しつこくてスミマセン。

「日本映画傳」はもし手に入りにくいようでしたら、
うちの本をお送りさせていただいいても構いません。
読まれるべき人のところにあるのが、
本にとって幸せではないかと思いますので。
「メッセージを送る」からその旨お報せいただければ。
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