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怪建築十二段返し

2013年02月28日 | 時代
いま「富士に立つ影」以外の白井喬二作品は読むことができるのでしょうか。
あっと、未知谷から傑作選全5巻が出ていますね。
これは倒産してしまった大陸書房の大陸文庫から出ていたものですが、本棚から発掘してきました。
「江戸天舞教の怪殿」「全土買占の陰謀」「白雷太郎の館」
「怪建築十二段返し」
(wikiの白井喬二のページに載っている作品名が「怪建築『家』十二段返し」になってます)
この4編が収録されています。
「江戸天舞教の怪殿」の書き出しはこんなです。
『魔雅羅風来といえば日本奇術師の元祖、中年にシナに渡ってシナ三百余州を半分ばかり…』
口からでまかせ、というか筆先からでまかせ放題ですが、
不思議にそれがヘンだとは思わない。
これに続いて次々と眉唾な知識を披露していますが、どうせみんなウソっぱち。
でも、講釈師の口上のように気持ちよく読んでいけます。
どの作品も序段は風呂敷を広げるだけひろげておき、
主人公を登場させると行き当たりばったりで物語を展開させ、
「これからどうなる!」というところでバッサリ結末をつけて
「おあとはよろしいようで」と切り上げる。
一応の結末はついているので、国枝史郎ほど無茶なことにはなっていません。

角田喜久雄の「生き埋め」と同じように、
白井喬二は「建物」が共通キーワードで、
どの作品にも奇怪で広大な屋敷が登場します。
ほかの作品も読んでみたいですが、未知谷のは手が出ないなあ。

■怪建築十二段返し 白井喬二 大陸文庫
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6 コメント

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おおっこれは (cold_sleeper)
2013-03-03 12:23:40
帯無しですが持ってます。
解説が縄田一男ですね
すべて大正期に書かれたみたいです。

白井喬二だとほかは「新撰組」くらいしか
手をつけていません。
面白そうな捕物もあるんですけどなかなか・・
映画にもなった剣豪もの「柘榴一角」とか
返信する
白井喬二 (spin_out)
2013-03-08 22:58:14
白井喬二の定本が学芸書林から出ていまして、
端本でいいから、6、7、8、9巻あたりが
古本屋で手に入らないかな、と。
なかなか難しそうです。

「柘榴一角」
この映画は大都映画ですね。
大都映画は1本くらいどこかで観られないものかと。
返信する
Unknown (cold_sleeper)
2013-03-10 11:06:53
「柘榴一角」ならVHSレンタルしてます
http://k-plus.biz/archives/8342

例の「いろはの左近~」も大都だったんですね
http://www.japanese-cinema-db.jp/details/21236
http://www.japanese-cinema-db.jp/details/21264
返信する
レンタル (spin_out)
2013-03-12 21:32:58
ありがとうございます。
VHSテープレンタルというサービスがあるんですね。
初めて知りました。
あと、このパッケージデザインは、
レンタルショップでよく見た記憶があります。
ということは、ビデオレンタル全盛のときには、
レンタルショップの店頭に並んでいたんですね。

「いろは左近」の1作目は「怪異雛人形」ですが、
2作目は大都のオリジナル脚本のようですね。
すごく気になります。
返信する
Unknown (cold_sleeper)
2013-05-12 02:36:56
人形佐七~にも度々登場する駕篭かき
「権三と助十」も追加されました。
観たいな~
http://k-plus.biz/archives/13344
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Unknown (spin_out)
2013-05-23 16:01:52
ありがとうございます。

おっと、これは原作が岡本綺堂ですね。
監督が伊丹万作で。
新藤英太郎は浪人役ですかね?
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