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角川文庫版半七捕物帳

2015年03月12日 | 時代
旺文社文庫の解説(岡本経一)によると、文庫では戦前の春陽堂文庫版、戦後の角川文庫版、
それに続いて3代目の旺文社文庫とあります。
すると光文社文庫は4代目ということになります。

それと「捕物帳」という言葉について、
「石燈籠」の冒頭で奉行所で書き留めておくものと、しれっと書いていますが、
岡本経一によると綺堂の「造語」だそうです。
ただし、そういう記録したものがあったことは否定していませんが。

そんな感じで解説を読んでいると楽しいですね。
岡本経一が「お艶殺し」を「おえんゴロシ」と読んで、綺堂翁に怒られたそうです。
江戸弁では名詞のあとは濁らない、「お艶ッ殺し」(おえんッころし)。
実は解説で一番好きな箇所はそういった綺堂の一日を書いた部分です。
朝トーストと紅茶、7時には仕事部屋。
冬でも手あぶりの小火鉢一つ、夏でも正座して膝も崩さない。
追い詰められるのが嫌いなので、締め切り前に書き終える。
原稿はGペンでインクにつけて書き、左肩にノンブル、右肩を元結(もとっゆい)で綴じる。
岡本経一が原稿を郵送してくると、敷居越しに両手を仕えて報告。綺堂はむむ、ご苦労と答える。
綺堂翁の姿が見えて楽しい一文でした。


古本屋回りをしていたころ、半七捕物帳の端本を見つけるととりあえず買っていました。
毎度おなじみの広済堂出版。「地の巻」とあるので、「天の巻」「人の巻」があるのかも。
350円でした(^-^)。



東都書房版。巻末のリストには、捕物シリーズとして佐々木味津三「右門捕物帳」、
野村胡堂「銭形平次捕物帳」、横溝正史「人形佐七捕物帳」、
山手樹一郎「金さん捕物帳」、城昌幸「若さま侍捕物帳」とあります。
山手樹一郎の「金さん捕物帳」が珍品のように思えますが、春陽堂で出ていたものの改題かも。

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