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旺文社文庫版「半七捕物帳」

2015年03月11日 | 時代
旺文社文庫版「半七捕物帳」では岡本敬一が解説を書いていましたが、
光文社文庫版(旧版)では斯界のいろいろな人が解説を書いていて、こちらも楽しいです。
1巻は都筑道夫、3巻は戸板康二、都筑のミステリ側からの評価と戸板の芝居側の評価が反対とは言わないまでも、
ずいぶん違うところも一筋縄で捉えられない作品ということなのでしょう。
都筑のいう「ホワイダニット」による明日の本格の嚆矢である、というのに対して、
戸板はミステリとしては他愛のないものもあり、それより芝居作者綺堂の芝居関係の地口をまぜた文章が楽しい、
といかにも中村雅楽の作者らしい評でした。
そういえば、先代中村勘三郎が演じた中村雅楽をテレビで観たのはもう何年前になるかなあ。

旺文社文庫版の解説には、綺堂の半七に続いて3、4人が捕物帳を書いたが大正期のものは埋もれてしまった、とあります。
昭和に入って、3年の佐々木味津三「むっつり右門」、6年の野村胡堂「銭形平次」、
13年の正史「人形佐七」、14年の城昌幸の「若さま侍」と続き、
いまではそれらと半七で「五大捕物帳」と呼ばれているとも。
「半七」はキャラクター、ストーリーもリアルな設定で、荒唐無稽な犯人も事件も出てきません。
さらに、半七は犯人が誰か、ということと同じくらいに「なぜ」にこだわっています。
そんなところが都筑道夫に高く評価されていたのではないでしょうか。
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