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チラシの裏

人情裏長屋・ぶらり信兵衛道場やぶり・百萬両の壺

2014年10月30日 | 時代
新聞に舟木一夫名古屋公演の広告が出ていまして、演目がなんと「ぶらり信兵衛道場やぶり」。
よく見ると小さく「原作山本周五郎『人情裏長屋』より」と書いてありました。
そうか「ぶらり信兵衛道場やぶり」(高橋英樹主演のTVドラマも)は山本周五郎が原作だったのか。
さっそく精文館書店で新潮文庫「人情裏長屋」(短編集でした)を買ってきました。
表題作『人情裏長屋』も短編なのですぐ読めます。
おお、例のわざと負ける道場破りもちゃんと書かれている。
でも、その部分は枝葉の筋で、重要な部分はもっと別の筋でした。

スゴ腕の浪人が道場破りをすると思わせておいて、
道場主と斬り結んだときにわざと負けてやるからと礼金をふっかける、
というコントは、山中貞雄監督「丹下左膳余話 百萬両の壺」の最後のほうにあります(1:24:30あたり)。
山本周五郎の「人情裏長屋」は昭和23年に発表されたもの。
「丹下左膳余話 百萬両の壺」が公開された13年後です。
憶測ですけど山本周五郎は「丹下左膳余話 百萬両の壺」を観て、そのやりとりを引用したのでは。


山中貞雄監督「丹下左膳余話 百萬両の壺」




そういえば、山本周五郎の「五瓣の椿」(1959年発表)は
コーネル・ウールリッチの「黒衣の花嫁」を換骨奪胎させたもの、という有名なハナシがあります。
作者が認めているわけではなく、そう言われているだけのようですが、
両方読めば、明らかに「黒衣の花嫁」(1953年早川ポケミス発行)にそっくりです。

吉川英治「牢獄の花嫁」はボアゴベ「ルコック探偵」の翻案
(正確にはそれを翻案した涙香「死美人」のさらに翻案)ということは、
吉川英治文庫「牢獄の花嫁」の解説「謎解き牢獄の花嫁」で指摘されていました(新保博久が担当)。
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