(2021年12月31日[金])
飯田樹与記者による、東京新聞の記事【鶴瓶さんの恩返し 生き様描いたドキュメンタリーの収益を映画館側に】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/148974)。
《落語家で俳優の笑福亭鶴瓶さんを追ったドキュメンタリー映画「バケモン」(山根真吾監督)が7月から、入場料を全て映画館の収益とする異例の形で、全国各地のミニシアターで上映されている。コロナ禍で苦しむミニシアターの応援が目的で、鶴瓶さんからの恩返しの意味が込められているという。首都圏の劇場関係者らも喜び、苦境をはね返す励みにしたいと話す。(飯田樹与)》
《映画は鶴瓶さんの所属事務所が製作・配給。鶴瓶さんが昨年、上方落語の最高傑作と名高い「らくだ」を演じた姿を軸に、落語家としての生き様を描く。入場料は通常、映画館が半分、残り半分は製作会社と配給会社に配分されるが、今回は全て劇場に提供する。鶴瓶さんのマネジャー千佐隆智さんは、ミニシアターへの感謝の思いを込めたと明かす》。
《コロナ禍で苦しむミニシアターの応援が目的で、鶴瓶さんからの恩返しの意味が込められている》そうだし、自公政権の無為無策無能さに苦しむ《ミニシアターへの感謝の思いを込めた》そうだ。
【笑福亭鶴瓶ドキュメンタリー映画『バケモン』公式サイト】
(http://bakemon-movie.com/)
《私たちはいま 毎日の暮らしが過酷で、どう楽しんでいけばいいのか不安になることがある。ドキュメンタリー映画「バケモン」には それを解決するヒントが隠されていると思う。…》
【特別映像】(https://youtu.be/_OUvdjf50Qc)
【特別映像】(https://youtu.be/bCY1OgWZ9s8)
『アカン人』達に抗うお一人。アベ様、スカスカオジサン、キシダメ氏…自公お維はアカン人だらけではないか。2021年最後の日、衆院選の結果に打ちのめされ、記憶に新しい赤木雅子さん「ふざけんな!」な認諾事件…思い出すだにまだまだ腹立たしい大晦日。
『●いま、「陰謀論丸出し」でアベ様の取り巻きが攻撃を開始:
吉永小百合さんを断固支持する』
《たしかに吉永は、渡辺謙や笑福亭鶴瓶、樹木希林など安保法制に
反対する芸能人のひとりだったし、今年、山田洋次監督作品
『母と暮らせば』公開時の雑誌のインタビューや鼎談でも
「戦後ではなく戦前のようなニュースを見て、言葉を失います」
「戦後七十年ということなんですけど、今、もう「戦後」という
言葉がなくなってしまいそうな時代になっています」と話し、
現政権への危機感をあらわにしている。そうした吉永の言動を
小川氏は「広告塔」「恥づかしい事」と批判しているわけだ。
どう考えても「女優としてのあり方、人としての信条」をもっている
からこそ、吉永は毅然とした態度で安保法制に反対していたのだ
と思うが、小川氏が吉永を批判する、その論拠を要約すると、
こういうことだ…》
『●「自主規制、政権を忖度、報道の萎縮」なテレビ業界で、
「『よく撮って、知らせてくれた』…お褒めの声」』
《リテラ…【東海テレビ・阿武野プロデューサーを直撃! ヤクザの人権、
犯罪弁護団、安保批判…萎縮状況の中でなぜ東海テレビだけが
踏み込んだドキュメンタリーをつくれるのか】…
今、開催されている特集上映「東海テレビドキュメンタリーの世界」
にも、このシリーズから同局制作の『村と戦争』(第4回)と
『いくさのかけら』(第5回/2005)が組み込まれているが、
第1回であった『父の国 母の国』(関西テレビ制作/2009)では、
ゲストに笑福亭鶴瓶が登場し、政治についてきちっとした主張をした。
当時、国会での強行成立が間近に迫っていた新安全保障関連法、
そして安倍政権による憲法9条の空文化に対して、
こう強い言葉で批判した。
「いま、法律を変えようとしているあの法律も
そうでしょうけど、それも含めて、いまの政府がああいう
方向に行ってしまうっていうね、
これ、止めないと絶対いけないでしょうね」
「こんだけね、憲法をね、変えようとしていることに、
違憲や言うてる人がこんなに多いのにもかかわらず、
お前なにをしとんねん!っていう」
この鶴瓶の痛烈な安保・安倍批判は、スポーツ紙などにも取り上げられ、
大きな反響を呼んだ。テレビ地上波で、それも人気商売の芸能人が
ここまで踏み込んだ政治的発言をするのは、昨今、異例中の異例
と言っていい。プロデューサーとして同シリーズを統括した
阿武野は、反響は織り込み済みだったのかという質問に対し、
静かに頷く。だが実は、その編集には細心の注意が払われていた。…》
『●《「法案の審議のスケジュールにつきましてはですね、これはまさに、
国会でお決めになることでございますから」…この台詞によって…》』
《笑福亭鶴瓶も検察庁法改正案を強く批判した。まず、鶴瓶は
新型コロナ対応の話題になった際、こう切り出した。「たぶんね、
歴史の教科書に『アカン人』て載りますよ。この政権はアカン人が多い
なって出ますわ」「良い政治家と悪い政治家がわかるなあって。
俯瞰で見れない政権がいまやっとんなという感じでね。しばらく
してからは、歴史の教科書のなかにアカン人の名前は出てくるで
しょうねえ。この時代のアカン政治家」「こんなことでね、いま、
法案通したりすんのんって、おかしいんですよ、だいたいが。
井浦新も怒ってますけどね。そら、当然こんなん、
なぜわからないの?と。いませんと、コロナ対策に必死にならないと。
それをしないと、みんなおかしいよと思ってるよね」》
=====================================================
【https://www.tokyo-np.co.jp/article/148974】
鶴瓶さんの恩返し 生き様描いたドキュメンタリーの収益を映画館側に
2021年12月15日 11時08分
落語家で俳優の笑福亭鶴瓶さんを追ったドキュメンタリー映画「バケモン」(山根真吾監督)が7月から、入場料を全て映画館の収益とする異例の形で、全国各地のミニシアターで上映されている。コロナ禍で苦しむミニシアターの応援が目的で、鶴瓶さんからの恩返しの意味が込められているという。首都圏の劇場関係者らも喜び、苦境をはね返す励みにしたいと話す。(飯田樹与)
(映画「バケモン」の一場面=デンナーシステムズ提供)
映画は鶴瓶さんの所属事務所が製作・配給。鶴瓶さんが昨年、上方落語の最高傑作と名高い「らくだ」を演じた姿を軸に、落語家としての生き様を描く。
入場料は通常、映画館が半分、残り半分は製作会社と配給会社に配分されるが、今回は全て劇場に提供する。鶴瓶さんのマネジャー千佐隆智さんは、ミニシアターへの感謝の思いを込めたと明かす。
鶴瓶さんの初主演映画「ディア・ドクター」(西川美和監督、09年)はミニシアターを中心に広まってロングラン上映され、鶴瓶さんは日本アカデミー賞優秀主演男優賞などを受賞。芸能人として幅が広がるターニングポイントになったという。
そうした契機を与えてくれた全国の劇場の窮地を知り、千佐さんは「鶴瓶の新たな評価を作ってくれたミニシアターのために何かできないか」と映画の無償提供を企画。上映済みも含めて74館で公開が決まっている。
(映画「バケモン」の一場面=デンナーシステムズ提供)
埼玉県深谷市のミニシアター「深谷シネマ」の竹石研二館長は3月、テレビ番組のロケで同市を訪れていた鶴瓶さんと遭遇。「映画ができるからプレゼントするよ」と声を掛けられた。「冗談だろう」と思っていたら約束通りに無償で配給されて驚いたという。
深谷シネマも席数制限などでこの2年間は収入が例年から半減。賛助会員の寄付でなんとか運営していた。同館で10月にバケモンを上映した竹石さんは、鶴瓶さんらの厚意に「ありがたいし励みになる」と感謝する。
(「つまずいているところに救いの手を差し伸べてくれて、
現代の渋沢栄一みたい」と深谷出身の偉人に例えて感謝する
深谷シネマの竹石研二館長)
竹石さんが理事長を務めるNPO法人「埼玉映画ネットワーク」は来年1月8日、埼玉会館(さいたま市浦和区)で、バケモンの上映会を開く。併せて、コロナ禍で披露の機会が減っている埼玉大学の落語研究会の寄席を開催する。
ネットワークの由布隆専務理事は「映画と落語を楽しみ、新春から明るい気分になる会になれば」と願っている。
◇その他の上映予定は次の通り
CINEMANEKO(東京)来年1月7〜20日▽下高井戸シネマ(東京)同8日〜未定▽伊勢進富座本館(三重)同15〜20日
【関連記事】国立駅近くで月に1回「映画館」再び 初回15、16日 「映画好きのためのミニシアターに」
=====================================================
『LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の記事【安倍首相お抱え、NEWS 23岸井攻撃の仕掛け人が今度は吉永小百合を標的に!「共産党の広告塔」と陰謀論丸出し】(http://lite-ra.com/2016/02/post-1973.html)。とにかく内容が凄いです。是非、ご一読下さい。
《現在発売中の「正論」(産経新聞出版)3月号に驚きの論考を発表…そんな人物が今回、発表していた文章のタイトルは「吉永小百合さんへの手紙」。…〈あへて吉永さんに問ひたい、法案の意味や中身を知らずに、後から責任を取れないやうな出鱈目な批判をする事、またさういふ人達の先頭に立つて広告塔になる事は、貴女の女優としてのあり方や人としての信条に照らして、恥づかしい事ではないのですか〉》……。
アベ様の家来として陰謀論を撒き散らすことの方がよほど「恥づかしい事」。吉永さんに向かって、「…あり方や人としての信条」なんて、よく口にできるものである。
「「戦争はだめ、核もだめ」…吉永小百合さんが、戦争の愚かさ、平和の尊さ」をしばしば語っている。「安倍政権への怒りと原発再稼働反対への思い」「憲法改正、特定秘密保護法などに動く安倍政権の危険性」「原子力の平和利用なんてない」「核と人は共存できない」。でも、いま、アベ様の取り巻きが攻撃を開始。ア●、ロクデナシに、吉永さん、負けるな! 吉永小百合さんを断固支持する。
『●吉永小百合氏の原発廃止発言』
『●「「愛国」と戦争 安倍政権の軍事改革徹底批判」
『週刊金曜日』(9月20日、960号)について』
『●「『平成の治安維持法』をつくった総理」の
非常に危険な思い入れ、それに手を貸す責任』
『●吉永小百合さん、「核と人は共存できない」
「ゲームやコミックスで知っている戦争ではないか?」』
『●「安倍政権への怒りと原発再稼働反対への思い」を
語る吉永小百合さんを支持します』
『●「原理原則の無い国」、「死の商人」に堕した国、
原発輸出したい哀しい国・ニッポン』
=====================================================
【http://lite-ra.com/2016/02/post-1973.html】
安倍首相お抱え、NEWS 23岸井攻撃の仕掛け人が今度は吉永小百合を標的に!「共産党の広告塔」と陰謀論丸出し
【この記事のキーワード】圧力, 編集部, 陰謀論 2016.02.13
(またでた例の広告(読売新聞2月13日付朝刊より))
本日の読売新聞全国版朝刊に、またしても「放送法遵守を求める視聴者の会」(以下、視聴者の会)が一面広告を出稿した。既報の通り、安倍応援団を母体とするこの団体は、昨年11月14・15日にも産経と読売に一面広告を出稿、TBS『NEWS23』アンカーの岸井成格氏の発言をやり玉に上げ、番組降板の大きなきっかけになった。
それが、今朝の朝刊でも性懲りもなく「ストップ!“テレビの全体主義”」「誰が国民の「知る権利」を守るの?」などと見出しを立てつつ、安保法制反対などの安倍政権批判の放送内容を“「知る権利」が守られていない!”と標的にしている。
彼らの主張のトンデモぶりについては、改めて指摘するのでそれを待っていただくとして、じつはこの「視聴者の会」の事実上の首謀者が、現在発売中の「正論」(産経新聞出版)3月号に驚きの論考を発表していた。
この人物とは、同会の事務局長をつとめる自称文芸評論家・小川榮太郎氏だ。『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎)という“安倍礼賛本”を書き、安倍事務所に“爆買い”してもらったことで有名な安倍首相お抱え評論家だ。
そんな人物が今回、発表していた文章のタイトルは「吉永小百合さんへの手紙」。何事かと読んでみると、こんな文章が飛び込んできた。
〈安保法制反対の大合唱の中に、いや、その先頭に貴女の名前が
絶えず持ちだされたのは記憶に新しい〉
〈あへて吉永さんに問ひたい、法案の意味や中身を知らずに、
後から責任を取れないやうな出鱈目な批判をする事、
またさういふ人達の先頭に立つて広告塔になる事は、
貴女の女優としてのあり方や人としての信条に照らして、
恥づかしい事ではないのですか〉
そう、小川氏は、手紙形式で、昨年夏、吉永が安保反対を訴えたことを非難しているのだ。
たしかに吉永は、渡辺謙や笑福亭鶴瓶、樹木希林など安保法制に反対する芸能人のひとりだったし、今年、山田洋次監督作品『母と暮らせば』公開時の雑誌のインタビューや鼎談でも「戦後ではなく戦前のようなニュースを見て、言葉を失います」「戦後七十年ということなんですけど、今、もう「戦後」という言葉がなくなってしまいそうな時代になっています」と話し、現政権への危機感をあらわにしている。そうした吉永の言動を小川氏は「広告塔」「恥づかしい事」と批判しているわけだ。
どう考えても「女優としてのあり方、人としての信条」をもっているからこそ、吉永は毅然とした態度で安保法制に反対していたのだと思うが、小川氏が吉永を批判する、その論拠を要約すると、こういうことだ。
〈冷戦時代の我が国を守つてくれてゐたのはアメリカ〉だったが、いま、アメリカが〈中国と手を組んだ方がよければアメリカはさうするでせう〉という状況で、誰がこの国の平和を守るのか。そうしたことも考えず、ただ「平和」を叫ぶのはいかがなものか。そして〈法案に反対するのであれば、その法案が本当に平和を脅かす根拠と、新たな立法措置を取らずとも我が国の平和が守られ続けるといふ根拠を持たねばならない。これは、俳優とか知名人とかいふ事以前に、人としてのイロハではないでせうか〉というのである。
……上から目線でもっともらしく語っているが、小川サン、中国が脅威というのなら、それは個別的自衛権で対処できるんですけど。しかも、アメリカが中国に寝返りそうだと心配するなら、どうして集団的自衛権が必要なのか。日本がアメリカとともに世界の紛争に参加するようになれば、自衛隊員の命の問題だけでなく、国内がテロのターゲットにされることも考えられる。あきらかに日本のリスクは高まるのだ。このように、あまりに筋の通らない話だから多くの人は安保法制に反対していたはずで、逆に小川氏こそ安保法制によって日本の平和が守られ続けるという根拠を示すべきだろう。
と、吉永に代わって反論してみたが、“安倍命”のこの人に何を言っても無駄だろう。前述したように、小川氏というのは、安倍応援団の自民党総裁選直前の2012年9月に『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎)という“安倍礼賛本”を出版してデビュー。同作はベストセラーとなり、安倍首相の復活のきっかけとなったが、じつは安倍首相の資金管理団体である晋和会がこの本を国民の税金を使って“爆買い”。都内各所の書店で少なくとも370万円以上も買い上げていたことが判明している。文芸評論家なんてもっともらしい看板を掲げているが、なんてことはない、ただの“安倍プロパガンダ”作家なのだ。
しかも、そうした安倍首相への“恩”や心酔ぶりもあって、小川氏は前述の「視聴者の会」を立ち上げ安保法制へ批判的なメディアを集中攻撃、放送法4条を曲解して圧力をかけるという手に出た。すなわち「視聴者の会」はほとんど“安倍政権の別働隊”であり、その急先鋒こそが小川氏だ。
つまり、メディアへの圧力だけでは飽き足らず、小川氏はついには安倍政権に否定的な芸能人の批判まではじめた……という格好なのである。
しかも、自分を棚上げして、この男はとんでもいないことを口走っている。
〈残念ながら、貴女がどう思はうと、貴女の名前は、広告塔の筆頭格の
一人になつてしまつてしまつてゐます。
誰の広告塔か?
驚くべき事に、日本共産党の広告塔です〉
すなわち、小川氏は、吉永氏の平和活動はすべて“共産党の策略によるもの”といっているのだ。こんなところまで安倍首相と同じではないか……。自分の意に沿わない人物はすべて共産党の回し者だ!というのは、陰謀史観ここに極まれり、である。
小川氏は〈最も芸藝家や文化人の政治利用に一番熱心だつたのは、共産党に代表される全体主義国家であり、中でも最も藝術家を政治利用したのは、ナチスとソ連共産党〉ともっともらしく説教しているが、現在の日本において全体主義を敷き、ナチス的な独裁を進めているのは、小川氏が信奉する安倍首相のほうだろう。
さらに、安保法制に対する態度だけではなく、小川氏は吉永の他の活動にまでケチをつけている。それは吉永のライフワークである「原爆詩の朗読」だ。
〈原爆の「記録」ではなく、貴女が原爆の「表現」の伝道者になつた時、
政治の魔手がそこに付け入ります。貴女は、無力な者の声、一方的に
傷つけられた者の声の伝道者である事を通じて、寧ろ、さうした無力さを
政治的に利用する者によつて、政治的な「強者」の立場を演じさせられ
始めます。
何よりも問題になるのは、原爆詩が、弱き者の声といふ形を借りた
特権的な場になつてしまつてゐる事です〉
原爆詩は政治に利用されている、特権的になっている──。被曝者の経験やメッセージを陰謀論のように受け止める感性に恐ろしくなるが、それもそのはず。小川氏は同稿で、核兵器や原発の問題を〈もう発明されてしまつたものはどうしようもないと肚を括ゑるのが第一です〉と書いている。いってみれば原爆詩の存在や、吉永氏による朗読を通じて原爆の悲惨さを訴える活動を“政治的”に捉えているのはむしろ小川氏のほうで、こうした“平和を祈る活動”は自身にとって都合が悪いから非難しているのだ。
もういっそのこと、“ネトウヨ文芸評論家”に肩書き変更したほうがいいのではないだろうか……と思わずにいられないが、小川氏はこれだけではなく、吉永氏がプロデュース・主演した映画『ふしぎな岬の物語』を批評、またしてもネトウヨ史観を全開にして〈美しい「日本」固有の映画世界を、現実に守つてゐるのは何でせう。無論、それは日本の国家であり、国力であり、社会です〉などと述べるのだ。しかも、こんな墓穴さえ掘っている。
〈この映画には、実は、成熟した男性は一人も登場しない。本来、
それを表現すべきなのは阿部寛扮する浩司ですが、彼は、
四十五歳になつても定職に就けない風来坊であり、口よりも先に
手が出てしまふガキ大将のまま中年になつた男として描かれます〉
おいおい、である。小川氏が前出の『約束の日 安倍晋三試論』で作家デビューを果たしたのは、45歳のとき。つまりこの定義では、自分こそ“成熟した男性”とは言えないのでは……。
とまあ、こんな具合でツッコミどころばかりの論考なのだが、小川氏がこんな“手紙”を吉永小百合に公開で書いてしまったのには、安倍政権否定派芸能人への批判という目的のほかに、もうひとつ理由があるはずだ。それは“悔しさ”だろう。
じつはこの論考、吉永を批判しつつも、それ以上に彼女を絶賛しているのである。本人も〈大変評価〉していると述べているのだが、冒頭から〈貴女の女優としての本質を最も深いところで支えてゐるのは、やはりその声なのではないか〉〈とりわけ若き日の貴女の、生命力がそのまま演戯を凌駕してしまふ生きたままの姿の魅力!〉と興奮した調子で、吉永の主演映画『伊豆の踊子』については〈大人と永遠の処女性の同居といふ奇跡が輝いてゐた〉〈川端(康成)は吉永さんの演戯から、『伊豆の踊子』の新たな可能性を教へられたのではなかつたかと思はれます〉と綴っているほど。“サユリスト”といっても差し支えない熱狂ぶりだ。
おそらく、小川氏は歯がゆいのだ。大好きな吉永氏が自分と一緒に、「安倍首相万歳」と言わず、安保法制や戦争反対を訴えていることが。だからこそ、妄想としか思えないような「日本共産党の広告塔」よばわりしているのだろう。ある意味、今回したためた“手紙”は、小川氏の心の鬱憤、そして保守界隈の口惜しさの産物といってもいいかもしれない。
しかし、小川氏に忠告しておくが、いくら嫉妬に狂っても吉永のような知性と教養のある大女優が中身スカスカのネトウヨ思想を支持するわけはない。小川氏はやはり、津川雅彦のような暑苦しいジジイといっしよに、「あの戦争は正しかった」と叫んでいるほうがお似合いだろう。
(編集部)
=====================================================