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●最「低」裁の《忖度判決》…<金口木舌>《自治と民主主義は今にも吹き飛ばされそう。誰も気付かないようでは、この国の行く末は危うい》

2023年09月18日 00時00分33秒 | Weblog

[↑ 三上智恵監督/最新作『沖縄、再び戦場 (いくさば) へ(仮)』製作応援のお願い (https://okinawakiroku.com/images/hero_pc_l.png)]


(2023年09月11日[月])
軍隊は住民を守らない》…軍事費倍増・軍事国家化のいま、語られない《歴史上明らかなこの教訓》。《標的の島

   『●6月ジャーナリズム…《戦争について集中的に報道される様を指す。記念
     日までの雄弁さと、対照的にその時期以外は沈黙するメディアへの不信》


【「軍隊は住民を守らない」スパイと言われた沖縄住民 (大城勇一さん)【うりずん通信特別号】】
 (https://www.youtube.com/watch?v=YNnRdK2Sces

 デモクラシータイムスの映像記事【「軍隊は住民を守らない」スパイと言われた沖縄住民 (大城勇一さん)【うりずん通信特別号】】(https://www.youtube.com/watch?v=YNnRdK2Sces)。《うりずん通信MC三宅千晶が1945年の沖縄戦を生き延びた大城勇一さんにききます。いざというとき、軍隊は住民を守るのか、台湾有事に東京が関与を決めた時、戦場となる沖縄で自衛隊は県民を守るのか。もやもやとある疑問に、沖縄戦の経験者は答えます。「戦場では、住民は邪魔者。軍隊は住民を守らなかった」。歴史上明らかなこの教訓は、いま意図的に無視され、国の政策決定に反映されることもありません。沖縄で地上戦が始まった1945年4月から日本軍の組織的抵抗が終わったという6月23日の後、7月初めに米軍の捕虜になるまで、わずか3か月に大城少年が目の当たりにした戦争と、その戦争の兆しであった戦陣訓と日本軍の駐留についてもうかがいました。今、沖縄では、日々の平和に見える生活に並行して、なし崩し的に軍事化が進みます。その雰囲気は、あの沖縄戦前夜に重なります。歴史の教訓を知ることで、戦わずに済む方法を模索することの重要性をあらためて確認しました》。

   『●最「低」裁の政治判断…新基地は決して完成しないし、決して普天間飛行
     場も返還されない。N値ゼロで、工期と費用は∞、血税を日々ドブガネ…

 さて、デタラメなキシダメ首相。N値はゼロで、工期と工費は∞。決して新基地は完成せず、普天間も返還されない。踏んだり蹴ったりな辺野古は、単なる破壊「損」
 山田祐一郎木原育子両記者による、東京新聞の記事【軟弱地盤の沖縄・辺野古 県が未承認でも工事契約なんて…地元で渦巻く怒りが向かう先は】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/273772?rct=tokuhou)。《マイナカード原発処理水で岸田政権の強権ぶりが際立つ中、この問題も見過ごせない。沖縄県名護市辺野古の新基地建設計画。軟弱地盤の改良工事を巡り、国は設計変更の承認を県から得ないうちに、関連工事の契約に踏み切った。29日には県が行政指導を出して強く反発。新基地反対派の間にも「建設ありきの先走り」と憤怒の渦が広まる。(山田祐一郎木原育子)》、《つじつまが合わず、自分たちの言葉を無視。…政権の姿勢を的確に表す。原発処理水も「関係者の理解なしに処分せず」と約束したのに、つじつまが合わない放出強行に踏み切るため、自分たちの約束を無視したまさに何でもあり近代国家とは到底思えない》。

 ホントに最「低」裁だな! 政治判断乱発し、マトモな判決・司法判断無し。
 沖縄タイムスの記事【沖縄の新基地建設巡る裁判 県の敗訴確定 知事に承認義務 国連までに是非判断か 最高裁が上告棄却】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1216747)。《名護市辺野古の新基地建設の防衛省の埋め立て変更申請を巡り、国土交通相が県に承認を迫った「是正指示」は違法な国の関与として県が取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は4日、是正指示を適法とした一審福岡高裁支部判決を維持し、県の上告を棄却した。裁判官5人全員一致の結論県側の主張への判断は示さず、補足意見もなかった。敗訴確定で県側は承認する義務を負った。県関係者によると、玉城デニー知事は9月中旬に出席予定の国連人権理事会までに承認に関し何らかの判断を示す考えだという。(社会部・新垣玲央、政経部・又吉俊充)》。
 沖縄タイムスの【[社説]辺野古 県敗訴確定 自治踏みにじる判決だ】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1216670)。《名護市辺野古の新基地建設に伴う設計変更申請を巡る裁判で、最高裁第1小法廷は、県の上告を棄却した。県の敗訴が確定したことで、民意を背景に反対の姿勢を貫いてきた玉城デニー知事は、重大な決断を迫られることになった。軟弱地盤改良工事のための設計変更申請を不承認とした県に対し、国土交通相は不承認を取り消す「裁決」と、承認するよう求める「是正の指示」を行った。「裁決」は無効だとする訴訟は上告不受理が決定しており、今回の辺野古訴訟は「是正の指示」を違法な国の関与だとして県が取り消しを求めていたものである。最高裁の判決は、県がこれまでさまざまな場で主張し、司法の場でも問題にしてきた辺野古埋め立てを巡る重要な論点がまったくと言っていいほど取り上げられていない。取り上げているのは、本来国の業務である法定受託事務の審査請求に関する法解釈などの問題である。判決は、県の不承認を取り消す裁決が出された場合、県知事は「裁決の趣旨に従った処分をする義務を負う」と指摘する。裁決後も同じ理由で申請を認めないと「紛争の解決が困難になる」というのが最高裁の言い分だ。国の関与について地方自治法は「必要最小限度のものとし、普通地方公共団体の自主性、自立性に配慮しなければならない」と規定する。最高裁判決は、反対する地元の民意を切り捨て、地方自治の視点を著しく欠いた内容だ》。

 最「低」裁、もはや沖縄イジメ沖縄差別。司法がそれに加担してどうする。
 琉球新報の【<社説>設計変更敗訴確定 沖縄の不条理を直視せよ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1778556.html)。《2000年施行の地方分権一括法による地方分権改革の意義は失われてしまったのか。辺野古新基地建設の設計変更申請に対する玉城デニー知事の不承認に対する国交相の「是正の指示」取り消しを求めた訴訟で、最高裁は県の主張を退け、県敗訴が確定した。沖縄の基地集中を考慮しない形式的判断に終わった》。

 川内博史さんのつぶやき:

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https://twitter.com/kawauchihiroshi/status/1698606887430914343

川内 博史@kawauchihiroshi

明かな不当判決
県が不承認の理由とした「国の地盤調査の不足」は明らかであり、最高裁の忖度判決
最高裁は後世に恥をかくことになった

【速報】辺野古訴訟、沖縄県の敗訴確定 最高裁判決 - 記事詳細|Infoseekニュース
………
午後5:00  2023年9月4日
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 琉球新報のコラム【<金口木舌>むちゃな話なのに】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1779846.html)。《暦の上では既に秋。秋と夏の空気の境目となる秋雨前線が南下する時季を迎えた。北から冷たい空気がやってくる。そんな“冷たい空気”が沖縄に向かっていきなり南下してきた ▼最高裁判所は4日、辺野古の新基地に関わる軟弱地盤の改良工事を巡る県の訴えを退けた。「マヨネーズ並み」の粘土層の上に新基地を建設するのだから危ない。工事の設計変更を県は認めなかったが、最高裁は認めろという ▼環境面を含む危うさの審査には踏み込まず、国に従えでは乱暴に過ぎよう。自治の否定だ。危険を回避できるのかも不明なのに予算を軟弱地盤に埋没させ続けるとは ▼風をまともに受けた沖縄。玉城デニー知事は「憲法が定める地方自治の本旨をもないがしろにしかねない」と語った。日本本土の人々は沖縄に吹きつける風の強さと冷たさ想像できるだろうか ▼国は相変わらず公金を散財しむちゃな工事を続ける。そんな中、おかしな風にあおられ、自治と民主主義は今にも吹き飛ばされそう誰も気付かないようでは、この国の行く末は危うい》。

 この沖縄差別、沖縄イジメ。自民県連やその会派「辺野古、人権問題に結びつけないで」!? いうに事欠いて。何故にこんな《釘を刺》されなけらばならぬのか? 「国内政治の場で議論を深めるべき」!? よく言うよなぁ。さんざん「国内法秩序をないがしろ」にしてきたのは自公お維コミじゃないのかね? 自民県連の酷い腐敗具合よ。沖縄の皆さん、こんな自民党議員に絶対に投票してはいけない。
 琉球新報の記事【「辺野古、人権問題に結びつけないで」 沖縄の自民県連が玉城知事にくぎ刺す 国連出席を前に 】(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1779731.html)。《9月後半に予定される玉城デニー知事の国連人権理事会への出席を前に、自民党県連と同会派は6日、県庁で知事と面談し、人権理事会での発言について「辺野古問題を人権問題と結びつけず、冷静な発言をしてほしい」などと申し入れた。自民県連の座波一政調会長が申し入れ書を読み上げた。米軍基地から派生するさまざまな問題について「国際世論ではなく、まず国内政治の場で議論を深めるべきだ」と強調した。名護市辺野古の新基地建設で、軟弱地盤改良工事に伴う沖縄防衛局の設計変更申請を県が不承認とした処分を巡る訴訟で、県敗訴とした最高裁判決についても言及し「行政権の一翼を担う地方行政の長たる知事は(県敗訴の)確定判決に従って承認すべき」とした。その上で、人権理事会において「国内法秩序をないがしろにしかねない言動は慎んでいただきたい」などと述べ、くぎを刺し。知事は「日米安保体制の中で70%もの米軍専用施設面積を(県が)持たされていることについての考え方。人として平穏なあり方を考えて政府、国際社会とも協力していきたいということについて、一定、われわれの考えを述べたい」とした》。

 司法判断できない最「低」裁、政治判断連発の最「低」裁。(川内博史さん)《最高裁の忖度判決》。さすが、泉房穂さん《“裁判”といっても、これは“政治”そのもの》。
 沖縄タイムスの記事【辺野古判決は「裁判といっても、これは政治そのもの」 前明石市長・泉房穂さんがXに投稿】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1218150)。《沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡る最高裁判決で県敗訴が確定したことを受け、前明石市長で弁護士の泉房穂さん(60)=写真=は5日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、「“裁判”といっても、これは“政治”そのもの最高裁の裁判官を決めるのは、ときの政権」と投稿した。泉氏はさらに「政権が許容できる範囲の裁判官しか今は選ばれていない政権が許容できない判決が出ることはなく、結局は“政治”だ」と断じた。泉氏は今年4月まで兵庫県明石市長を務め、子育て政策などで注目を集めた。(社会部・榧場勇太)》。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/273772?rct=tokuhou

こちら特報部
軟弱地盤の沖縄・辺野古 県が未承認でも工事契約なんて…地元で渦巻く怒りが向かう先は
2023年8月31日 12時00分

 マイナカード原発処理水で岸田政権の強権ぶりが際立つ中、この問題も見過ごせない。沖縄県名護市辺野古の新基地建設計画。軟弱地盤の改良工事を巡り、国は設計変更の承認を県から得ないうちに、関連工事の契約に踏み切った。29日には県が行政指導を出して強く反発。新基地反対派の間にも「建設ありきの先走り」と憤怒の渦が広まる。(山田祐一郎木原育子


◆「そこまでやるのか。沖縄だからか」

 「何でもあり。あきれて物が言えない」。ため息交じりに吐き出すのは名護市議の東恩納琢磨さん(61)。

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)を移設する名目で進む新基地建設。県の承認を得ないまま国が関連工事を契約したことに「そこまでやるのかと。これも沖縄だからか」と不信を強める。

 今月上旬の台風6号の影響で護岸が壊れ、工事は一時止まっている。国の計画では、米軍キャンプ・シュワブの南側と東側の海域で埋め立てが予定される。

 南側の海域では2018年12月、土砂の搬入が開始された。浜田靖一防衛相は今年4月の衆院安全保障委員会で埋め立ての進捗(しんちょく)率に触れ、3月末時点で92%と説明。まもなく土砂投入は終了するとみられる。


◆国は100万立方メートルの土砂を仮置きへ

 一方、軟弱地盤の存在が問題視されたのが、東側の海域だ。防衛省は20年、地盤改良工事のために設計変更を申請したが、県は翌年に不承認とした。

 防衛省の不服審査請求を受けた国土交通相は22年、不承認を取り消す裁決を下し、承認を求める是正指示を出した。これに対し、県は裁決と是正指示に異を唱えて提訴。今年3月の高裁判決で県側は敗訴となったが、上告を申し立てた。

 県は是正指示に応じていないため、「未承認の状態となっている」(辺野古新基地建設問題対策課の担当者)のだという。

 それでも沖縄防衛局は4月、2件の入札を公告。既に埋め立てが進む南側の区域に土砂を仮置きする方針で、その量は100万立方メートル。今月3日には工事契約を業者と締結した。浜田防衛相はこれまでの会見で「(東側の)埋め立て工事に必要となる土砂を準備しておくもの」「現行の承認処分で可能」と認識を示した。

 県は反発を強め、29日には仮置き工事に着手しないよう、沖縄防衛局に行政指導した。県海岸防災課の与儀(よぎ)喜真副参事は「今の工事の根拠は当初の計画書。これほどの大規模な仮置きは規定されておらず、認められない」と防衛省側の主張を批判する。


◆「国は、県にも市民にも余力がないとみている」

 新基地反対派は司法判断にも懐疑的な見方を示す。

 最高裁は今月24日、設計変更の不承認を取り消した裁決を巡り、不服としていた県の上告を受理しない決定をした。冒頭の東恩納さんは「内容に踏み込まず門前払い」と憤る。

 承認を求める是正指示を巡っては9月4日に最高裁で判決が言い渡されるが、高裁判決の変更に必要な弁論は開かれていないため、県にとって厳しい結果が見込まれる。

     (本紙のインタビューに答える沖縄県の玉城デニー知事)

 「沖縄ドローンプロジェクト」の活動を続ける土木技師の奥間政則さん(57)は「最高裁の判断が全てではない。新基地建設は軟弱地盤だけではなく、耐震設計の問題もあり、徹底的に闘う必要がある」と語る一方、危惧を強める。

 「知事は毅然(きぜん)と対応しているが、土木事務所が仮置き土砂の搬送のためのベルトコンベヤーの使用を許可するなど、対応に矛盾がある。国の方は、県にも市民にも余力がないとみているのでは」


◆工事を認めたとは一言も言っていないのに

 新基地建設の埋め立て工事を巡っては他にも懸念がある。土砂の問題だ。特に重要なのが、岩石以外の砕石や砂などがどれだけ含まれるかを示す「細粒分含有率」になる。

 沖縄防衛局が2013年、県に承認を求める文書で明記していたのは「おおむね10%前後」。だが18年末から始まった南側の海域の埋め立て工事で、国は県に無断で40%以下として業者側に発注した。細粒分の割合が増すほど、土砂を投入した時に濁りが起きやすく、環境に影響を及ぼす懸念がある。

     (埋め立てが始まった当初の辺野古沿岸部
      =2018年12月14日、沖縄県名護市で)

 元土木技師で「沖縄平和市民連絡会」の北上田毅さん(77)は「とんでもない話だよ」と憤まんやる方ない。30日も県庁で工事をやめさせるよう、担当課との交渉に奔走していた。

 前出の県海岸防災課の与儀副参事は「国側は『40%以下でも護岸に囲まれているため危険性は少ない』との説明だった。県としては工事を認めたとは一言も言っていないが、勝手に進められてしまった」と話す。

 東側の海域の埋め立ての仕様規格も「10%前後」から「40%以下」に変更された。19年当時、防衛局は細かい土が増えても、護岸で外海と遮断されるため、周辺海域への影響はないと主張していた。

 県などによれば、今回は護岸の完成前に埋め立てに着手する。「こちら特報部」は30日、防衛省に確認を求めたが「時間がかかる」と回答するにとどまった。北上田さんは「国は自分たちの弁明のつじつまが合わなくなり、自分たちが主張してきた言葉を無視せざるをえないようになっている」とあきれる。


◆サンゴは、遺骨は…

 東側の海域は砂地や藻場、サンゴ礁など生物および地形に富んだ環境を持つ。国は埋め立て予定海域に生息していた4万群体の小型サンゴ類を既に移植し、さらに小型サンゴ類約8万4000群体などの移植に必要な特別採捕許可を申請。県が不許可とすると、農相が是正指示を出したため、県が提訴している。

 日本自然保護協会の保護・教育部主任の安部真理子さん(57)は「すでに進められている護岸工事で、海の環境は大きくダメージを受けている」と指摘する。「日本生態学会など19の学会から工事の一時停止を求める要望が出るほど、国が実施した環境アセスメントではの海域が持つ生物多様性を把握できていない

 国は埋め立ての土砂採取予定地に本島南部を加えることを計画している。沖縄戦の激戦地だった本島南部で採取した場合、遺骨の混じった土砂が使用される可能性があり、市民団体などが強く反発している。

 「地元の不信も何のそのと強引に進める岸田文雄首相。福島第1原発事故に伴う処理水を巡り、地元の漁業関係者の理解を十分に得ることなく、海洋放出に踏み切ったさまと通底しているようにも見える。


◆岸田首相はいつも結論ありき

 沖縄大の高良沙哉教授(憲法学)は「岸田首相はいつも結論ありきで進める。地元に寄り添う』『丁寧に説明する』『理解を求めていくとおっしゃるが、実現した試しがない。福島も沖縄もよく見ている。これでは信頼関係を築くことはできない。世界を見渡してみても、今の時代、環境への配慮をこれだけ気にしない国も珍しい」とする。

 翁長雄志前知事が亡くなって今夏で5年。「翁長知事だからつなぎとめられていた経済界を中心とした保守層も離れてしまっている。オール沖縄として一枚岩になれていない一面もある」と高良さん。ただ、それにしても「地元の意見を聞かず、歩み寄りさえせず、断行していく国の姿勢は、大変問題だと感じる。政治姿勢を変えなければ、問題が解決するどころか、ねじれたままだ」と指弾する。


◆デスクメモ

 つじつまが合わず、自分たちの言葉を無視。北上田さんの指摘は政権の姿勢を的確に表す。原発処理水も「関係者の理解なしに処分せずと約束したのに、つじつまが合わない放出強行に踏み切るため、自分たちの約束を無視したまさに何でもあり近代国家とは到底思えない。(榊)

【関連記事】「機動隊派遣は違法」の最高裁判決が意味すること 米軍基地問題で蹂躙されてきた「沖縄の意思」
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コメント
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●重大な誤りを含む「腐臭を放つ「判決」」: 「沖縄を弄んだというしかない」異常な辺野古破壊訴訟判決

2016年10月01日 00時00分36秒 | Weblog


『憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。/マガジン9』(http://www.magazine9.jp/)の鈴木耕氏によるコラム【風塵だより 鈴木耕/91 「民意」とは何か? 辺野古訴訟判決のヘリクツ。』(http://www.magazine9.jp/article/hu-jin/30236/)。

 《一読、(はらわた)が煮えくり返った。思わず「ふざけんな!」と吐き捨てた。例えば、その判決要旨には、次のような恐るべき文言がある。翁長知事とともに、沖縄県民が唖然としたのも無理はない。…本件新施設の建設に反対する民意には沿わないとしても、普天間飛行場その他の基地負担の軽減を求める民意に反するとは言えない。…いったい何なんだ、これは!

   『●アベ様らは何が何でも辺野古破壊、「ヒラメ裁判官が、
          よりによってこのタイミングで那覇支部長」に就任
   『●県の敗訴を前提にするアベ様や裁判長という 
      異様な辺野古破壊訴訟…そもそも「違法」を口にする資格は?
   『●「最低裁」のコールが聞こえる…沖縄負担軽減担当相らの
             「辺野古が唯一の解決策」をオウム返しでしょう…
   『●辺野古破壊への「県側の徹底抗戦はこれからだ…
       翁長知事は二の矢、三の矢で巻き返しを図るつもり」
   『●「戦争のためにカメラを回しません。
     戦争のためにペンを持ちません。戦争のために輪転機を回しません」
   『●望月衣塑子東京新聞記者、議論無く「「欧米列強に倣え、進め」
                    と武器輸出推進の道に歩みを進めている」
   『●壊憲反対の不断の声を: 
     「戦後の歴史の岐路かもしれません。不断の努力こそ求められます」
   『●「腐臭を放つ「判決」」と臥薪嘗胆:
     「銃剣とブルドーザー」から「自衛隊と機動隊とヒラメ裁判長」へ

 計画的なヒラメ裁判官の沖縄支部への配属だった訳です。《沖縄を弄んだというしかない》異常な辺野古破壊訴訟判決、記事に指摘されている様に、重大な誤りを含む「腐臭を放つ「判決」」。当然、沖縄県は上告しました。でも、最高裁も、どうせアベ様には逆らえないでしょうから、「腐臭を放つ「判決」」を踏襲して、きっと、「最低裁」とコールされることでしょう。《司法が死ねば、国の在り方が歪む》、逆もまた同様。《国の方向を正すべき司法に「甦ってほしい」と、ぼくは心の底から思う》、全く同感。
 それにしても、三上智恵さんが言うように、「銃剣とブルドーザー」ではなくて、いまや、番犬様のシモベとして「自衛隊と機動隊とヒラメ裁判長」が辺野古や高江を破壊しているのですから、このニッポンの社会ときたら。あっ、そうか、アベ様や「沖縄負担軽減担当相最低の官房長官らは、沖縄はニッポンに含まれない、と考えているんでした…。「沖縄差別」し、「住民分断」し、沖縄を「捨て石」にするアベ様ら。「本土」の皆さんは、自公議員や「癒(着)」党議員に投票して、彼らを支えている訳です、「第二の加害者」として。

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http://www.magazine9.jp/article/hu-jin/30236/

2016年9月21日up
風塵だより 鈴木耕
91
「民意」とは何か? 
辺野古訴訟判決のヘリクツ。

 沖縄県辺野古の米軍新基地建設をめぐる訴訟に、9月16日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)が判決を下した。

 簡単に言えば「仲井真前知事の名護市辺野古海域の埋め立て承認を取り消した翁長現知事の処分は違法である」ということ。つまり、翁長知事側(沖縄県)の主張を、問答無用と斬り捨てた判決だった。

 この「判決文」を入手した。

 判決本文だけでA4で189頁に及ぶ。例によって、素人には分かりにくい、句読点が少なくどこが切れ目なのかよく分からない文章である。しかし、判決文には「判決要旨」(同13頁)と「判決骨子」(同2頁)がついている。まあ、こちらにはぼくのような素人でも、なんとか理解できそう。

 で、読んでみた。一読、(はらわた)が煮えくり返った。思わず「ふざけんな!」と吐き捨てた。

 例えば、その判決要旨には、次のような恐るべき文言がある。翁長知事とともに、沖縄県民が唖然としたのも無理はない。


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第2 当裁判所の判断の5の(2)

 (略)本件新施設の建設に反対する民意には沿わないとしても、普天間飛行場その他の基地負担の軽減を求める民意に反するとは言えない。(略)
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 いったい何なんだ、これは!

 「辺野古新基地建設反対の民意」と「基地負担軽減の民意」を、あたかも別々の概念であるように取り上げる汚いトリック、詐術だ。沖縄県民が、選挙等で繰り返し表明してきた民意を否定し、新たにわけの分からない「民意」をでっち上げた

 そんなことを、いつ沖縄県民が主張したか。沖縄県民は「基地負担軽減」の一環として「辺野古反対」を訴えているのだ。「もうこれ以上、沖縄に新しい米軍基地は造るな。どうしても必要ならば、せめて県外へ」と言っているだけではないか。このふたつは、決して「対立概念」ではない。「辺野古新基地反対」は「基地負担軽減」に含まれるもの。すなわち、ふたつは一体の概念なのだ。多見谷裁判長は、多分、承知の上だろう。こんなひどいヘリクツを駆使してまで、安倍政権に奉仕しようとする司法というものへの信頼を、自ら否定する判決である。

 その感想は、ぼくだけではなかったようだ。むろん、沖縄県民の怒りは、ぼくら本土の人間の理解を越えた凄まじさだったろうけれど、それでも、ぼくと同じように怒った本土の人たちだっていたのだ。

 例えば、TBS「報道特集」(17日)のオープニングで、キャスターの金平茂紀さんはこう言った。

   「『これはもはや、裁判の判決というよりも一方的な恫喝というしかない』。
    これは、昨日出たいわゆる辺野古裁判の判決に対する地元新聞の
    社説です。司法の独立、三権分立が失われれば、今日の特集でお伝えする
    北朝鮮のような国になりかねません」

 また、テレビ朝日「報道ステーション」では、憲法学者の木村草太さんが判決文について「不愉快な言い方です」と吐き捨てるように言った。

 それほど、この判決は異常なのである。

 ぼくは「デモクラTV」という市民ネットTV局で「新沖縄通信」という1時間番組を、沖縄タイムスの東京支局編集部長・宮城栄作さんと弁護士の升味佐江子さんの3人で担当している(毎月最終月曜日の午後8時からオンエア。その後はこのネットTV局のアーカイブでいつでも視聴可能:dmcr.tvで検索してください)。

 番組では、この裁判について、最初からかなり丁寧にウォッチしてきた。だから、この判決の異常さがよく分かるのだ。

 実は、判決を書いた多見谷裁判長は、この裁判に先立ついわゆる「代執行訴訟」で、県と国に対して和解勧告をした時の裁判長でもあった。

 その内容は、おおよそ次の3項目だった。


   ●国交相は代執行訴訟を取り下げ、沖縄防衛局長は埋め立て工事を
     ただちに中止する。同時に、沖縄県知事は関連訴訟を取り下げる。

   ●国と県は、円満解決に向け協議を行う。

   ●仮に訴訟となった場合、判決後は、国と沖縄県は判決内容に沿った
     手続きを実行することを確約する。


 今年の3月4日に、この和解勧告を国と沖縄県双方が受け入れ、この日、中谷防衛相(当時)は辺野古での工事の中止を表明した。安倍首相も同日「裁判所の勧告を受け入れて沖縄県と和解する。辺野古への移設が唯一の選択肢であるという国の考え方はいささかも変わらないが、このままでは膠着状態が続くだけだ。しっかりと国と沖縄県で協議していく」と表明。

 ここで、辺野古工事は一応の中止措置がとられたのだ。

 この勧告案について、沖縄県側は「県の主張が一定程度、受け入れられたものと思う。時間をかけて国と話し合っていきたい」と評価した。しかし、工事中止については、「参議院選前の、民意尊重のパフォーマンスに過ぎない。安倍政権は選挙後に折を見て、また強硬手段に出てくるだろう」との見方も強かった。

 残念ながら、その見方のほうが正解だったようだ。

 安倍政権は、7月10日に投開票が行われた参院選での勝利を背景に、翌11日早朝から、沖縄県東村高江での米軍ヘリパッド工事を突如、まるで騙し討ちのように強行開始

 そして、同じ7月22日には、国が福岡高裁那覇支部に「翁長知事の『仲井真前知事の辺野古海域の埋め立て承認取り消し』は違法であること」の確認訴訟を、これも突然提起したのだ。

 3月4日の那覇地裁による和解勧告を、国も沖縄県も受け入れた。そこには「円満解決に向けて協議を行う」と書かれていたはずだった。ところが「協議はほとんど開かれることもなく、国は沖縄県(翁長知事)を訴えるという挙に出たのだ。

 これでは、せっかく和解案を出した多見谷裁判長の顔が丸潰れで、怒っているだろうと思いきや、その後の訴訟指揮は、なんだか首をかしげざるを得ないようなものだった。沖縄県側の証人申請を片っ端から却下。うーん、これは怪しいと、沖縄県側も警戒し始めた。

 そして、今回のなんとも言いようのない判決が、出た…。

 選挙が終わってしまえば、もう沖縄に遠慮する必要はないということまさに、参院選を有利に戦うために、沖縄を弄んだというしかない

 この少し前に、県は「国地方係争処理委員会」に裁定を訴えていた。この委員会は、1999年の地方自治法改正で新たに設置されたもので、国と地方自治体の立場を対等と認め、その上で両者の主張に食い違いがある場合には、委員会が独立した立場で裁定を下す、というもの。

 係争処理委員会の裁定は、残念ながら「門前払い」だった。要するに、ここも「国と沖縄県はよく話し合うように…」と言うだけだった。

 その上で、今回の那覇支部の判決があったわけだ。

 こんな判決がまかり通るなら、国は地方の言い分を無視して何をやってもいいことになる地方自治」「地方分権」が聞いて呆れる

 この判決に関しては、とても分かりやすい解説が、沖縄タイムス(9月18日付)に載っていた。武田真一郎成蹊大学法科大学院教授の意見である。

 余談だが、武田教授が、あの安倍晋三氏の母校の先生であることがなんとも皮肉(笑)。以下、抜粋引用する。


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自治侵害 自覚欠く裁判所
審理対象に重大な誤り

 (略)地方の自己決定を最も重要な目的とする現行地方自治法の下でそのような結果となったのは、本判決には次のような重大な誤りがあるからである。

 本判決は、仲井真弘多前知事のした埋立承認は違法ではないから翁長知事のした埋立承認取消は違法であるとしている。しかし、埋立承認と承認取消は別個の処分であり、国交大臣のした是正の指示の対象は承認取消であるから、本件の審理の対象は承認取消の違法性である。

 本判決は前知事の埋立承認を審理の対象としたため、前知事の承認に裁量権の逸脱・濫用がない限りは適法であるとして、著しく国に有利な結果になっている。

 埋立承認取消が審理の対象であれば、翁長知事が検証委員会の報告書に基づいてした承認取消に裁量権の逸脱・濫用がない限りは適法であることになり、国の勝訴はかなり困難となる。この点は上告審で適切な判断がなされることになろう。

 もう一つの本判決の重大な誤りは、米軍普天間飛行場の危険性除去のためには辺野古新基地建設以外に方法はないと断定したことである。裁判所はいかなる証拠によってそのような認定に至ったというのだろう沖縄県民はそのような決め付けによって過剰な基地負担を強要されていることに痛みを感じているのである。(略)

 地方自治は基本的人権と同様に憲法が保証する価値であり立憲主義をとる日本では多数決によってもこれらの価値を侵害することは許されない。それをチェックするのが司法の役割であるが、本判決を見る限り裁判所はその自覚を欠いているのではないだろうか。
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 武田教授が指摘しているように、多見谷裁判長は、意図的かどうかは分からないが、取り上げるべき対象を明らかに間違えている。本来なら「翁長知事が行った仲井真前知事の埋立承認の取り消しの是非」が審理対象のはずなのに、その対象を「仲井真前知事の埋立承認の是非すり替えてしまった、というわけだ。このふたつは似て非なるもの。どうも、その混同は故意のようにしか思えない。裏で何があったのか?

 そして問題なのは、ふたつ目の指摘だ。

 ぼくも判決要旨を読んで翁長知事と同じように唖然としたのだが、いったいどんな根拠があって辺野古以外にないと断定したのか。それは、ほとんど多見谷裁判長個人の思い込みでしかない。辺野古新基地建設に関しては、実にさまざまな意見がある。そのうちの「辺野古以外にはないとの国の主張だけを取り上げて、他の意見を考慮しなかったのは、まさに「結論ありきの判決だと思わざるを得ない。

 これほど、あからさまに国の主張にベッタリと跪いた判決は司法そのものの死を意味する三権分立はどこ行ったか違憲立法審査権など期待するのもバカらしい

 司法が死ねば、国の在り方が歪む。いまや、司法が率先して国の歪みにお墨付きを与え始めている原発訴訟などで、危険性を指摘する判決を下すような裁判官もいるけれどそれはやはりごく一部

 国の方向を正すべき司法に「甦ってほしい」と、ぼくは心の底から思う。
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●アベ様による辺野古破壊の「中止」「中断」は「断念」に非ず

2016年03月08日 00時00分02秒 | Weblog


沖縄タイムスの社説【[辺野古訴訟 和解]政治休戦で終わらすな】(http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=157054&f=i)と、
琉球新報の社説【代執行訴訟和解 新基地 根本から問え 「辺野古が唯一」は本当か】(http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-233184.html)と、
東京新聞の金杉貴雄関口克己記者による記事【国と沖縄 仕切り直し 辺野古工事中断 再協議】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016030502000123.html)。

 《なぜそのような混迷状況が生じてしまったのか。原因と結果を取り違えてはいけない》。
 《だが新基地建設という国の頑迷な姿勢はいささかも揺らいでいない沖縄の民意を踏みにじり、あくまで新基地を押し付ける姿勢が民主主義、自治の観点から正しいのか。「辺野古唯一」は本当か。根本から問い直すべきだ》。
 《首相は新基地建設方針は「何ら変わりない」としている。対立の構図は変わっていない》。

   『●まずは、即時、辺野古破壊を止めよ!

 まずは、「中止」「中断」を達成。辺野古破壊に対峙してこられた市民の皆様の「闘争」に頭が下がる。一時的ではあるものの、すばらしい「勝利」だと思う。

   『●アベ様らは何が何でも辺野古破壊、「ヒラメ裁判官が、
          よりによってこのタイミングで那覇支部長」に就任
   『●「政府は沖縄を分断し、苦渋の判断をさせ続けている」: 
               「住民分断」「沖縄差別」を恥じぬアベ様ら
   『●自公支持者の皆さんへ、宮崎駿監督
     「辺野古の海は残しておいた方が絶対沖縄の人のためになる」

 次は、二度と再開させないための「断念」を勝ち取る必要があります。普天間の番犬様には本国へお引き取り頂きましょう。
 アベ様による選挙対策としての「中断」「中止」は「断念」ではありません。引き続きの「闘争」、翁長知事への支持、そして、沖縄だけでなく、日本全国で自公議員・お維議員を落選させ続けること。

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http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=157054&f=i

社説[辺野古訴訟 和解]政治休戦で終わらすな
2016年3月5日 05:00

     (辺野古訴訟の和解案受け入れ表明を受け、
      安倍首相(右)と握手を交わす沖縄県の
      翁長雄志知事=4日午後、首相官邸)

 国が名護市辺野古への新基地建設をあきらめたわけではないが、それでもなお、沖縄県にとって「地方自治を守り、工事を止める」という2点で、和解の成立は重要な意味を持つ。

 和解条項の中には「円満解決に向けた協議を行う」との文言がある。新たな解決策を模索する第一歩にするよう、国に強く求めたい。

 翁長雄志知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しをめぐる「代執行訴訟」で、県と国は福岡高裁那覇支部が示した和解勧告案を受け入れ、和解が成立した。

 これによって国が県を訴えた「代執行訴訟」、県が国を相手に起こした「係争委不服訴訟」が取り下げられ、県が提訴した「抗告訴訟」も連動して取り下げられる予定だ。

 沖縄防衛局は、行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止申し立てを取り下げることになっている。法律上は、翁長知事が埋め立て承認を取り消した時点に戻り、工事は止まる。

 平たくいえば、工事を中断した上で、県と国が争っている訴訟をいったん取り下げて訴訟を一本化し、その判決には県も国も従う、というのが和解案の内容だ。

 行政事件訴訟で裁判所側が和解勧告を出すのは極めて異例である。なぜ、裁判所は和解案を提示したのか。

 1月29日に提示され、4日に公表された和解案を読むと、国と県の訴訟合戦に対して裁判所が深く憂慮していたことがわかる。

■    ■

 とりわけ注目したいのは、地方自治法改正によって国と地方公共団体が「それぞれ独立の行政主体として役割を分担し、対等・協力の関係となる」ことが期待されたにもかかわらず、「改正の精神にも反する状況になっている」ことを指摘し、国におきゅうを据えている点だ。

 今後も裁判で争うとなると、えんえんと法廷闘争が続き、「知事の広範な裁量が認められて(国が)敗訴するリスクは高い」とも踏み込んで指摘している。裁判所はそのような状態の異常さを強調し、司法の立場から警鐘を鳴らしたのである。

 なぜそのような混迷状況が生じてしまったのか。原因と結果を取り違えてはいけない。

 県外移設を公約に掲げて再選された仲井真弘多前知事は、6月23日の「平和宣言」の中でも、県軍用地転用促進・基地問題協議会会長としての政府要請でも、繰り返し「県外移設」を求めてきた。

 にもかかわらず、国との「密室協議」を経て、県議会にも県民にも何の事前説明もないまま、唯我独尊の手法で埋め立てを承認した

 これが混迷の始まりだ。

 安倍政権は仲井真前知事の埋め立て承認を唯一の根拠に、名護市長選、県知事選、衆院選で示された「辺野古反対」の民意を無視して工事を強行した。

 そのことが訴訟合戦を招き、混迷を深めたのである。

 安倍晋三首相は和解が成立したその日に、記者団に対して「辺野古が唯一の選択肢であるという国の考え方に変わりはない」と語った。あ然として二の句が継げない

■    ■

 6月の「県議選」、夏の「参院選」に配慮し、ソフト路線を演出するだけの、魂の抜けた、権謀術数の和解受け入れであってはならない。

 今後、事態は、翁長知事の埋め立て承認取り消し処分に対する「地方自治法に基づく国による是正指示」→「県による国地方係争処理委員会への審査申し出」→「是正の指示の取り消し訴訟」へと進む可能性が高い。

 仮に新たな訴訟で県が敗訴した場合、埋め立て承認取り消し処分が取り消され、工事が再開される。裁判の結果に従うことは県も明らかにしているが、知事の姿勢が「辺野古容認」に変わるわけではない。どっちみち裁判が避けられないものだとすれば、和解勧告の受け入れがベターな選択だといえる。

 政府が「対話による解決」を望むのであれば、県の考えを取り入れ、計画を見直すことである。それが辺野古問題を着地させる「唯一の選択肢」である
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http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-233184.html

<社説>代執行訴訟和解 新基地 根本から問え 「辺野古が唯一」は本当か
2016年3月5日 06:01

 辺野古新基地の埋め立てをめぐる代執行訴訟で、安倍晋三首相は工事中断を含む暫定的和解案を受け入れた。もともと前向きだった県も応じ、和解が成立した。

 一見、国が柔軟な姿勢に転じたかに見える。だがそれは見せ掛けにすぎない真実は、敗訴間近に追い詰められた国が、やむなく代執行訴訟から退却したのである

 県と国の対立は仕切り直しとなった。だが新基地建設という国の頑迷な姿勢はいささかも揺らいでいない沖縄の民意を踏みにじり、あくまで新基地を押し付ける姿勢が民主主義、自治の観点から正しいのか「辺野古唯一」は本当か。根本から問い直すべきだ。


沖縄側の勝利

 「暫定案」は国が工事を停止して代執行訴訟を取り下げた上で、代執行より強制力の低い手続きを踏んで再度、県に是正を求めるという内容だ。

 福岡高裁那覇支部の多見谷寿郎裁判長がこの和解案を示した時点で、結論は必然だったとも言える。国と県の対立に決着を図る上で最も強権的な手法が代執行だ。他の手段を経ず、いきなり最終手段たる代執行を求めた国に対し、裁判長は代執行以外の手段を勧めたわけである。「このまま行けば国敗訴だ」と警告したのに近い

 一方で裁判長は、県側が申請していた環境や軍事専門家の証人申請を却下していた。前知事の埋め立て承認に瑕疵があったことを立証するのに不可欠な証人たちだ。却下は、翁長雄志知事の承認取り消しの適法性に対する関心の低さの表れとも見える。不適法との心証を抱いていたのかもしれない。

 さらに裁判長は、違法確認訴訟で県が敗訴すれば県は確定判決に従うかと問い、県は「従う」と答え

た。このやりとりを国側にあえて見せたのではないか。代執行訴訟では国が敗訴しそうだが、仕切り直して是正の指示の取り消し訴訟になれば、いずれは国有利での解決もあり得る、とのメッセージを送ったようにも見える。

 だから国は代執行訴訟取り下げという「退却」を選択したのだろう。

 今後、県と国は再び協議の席に着く。溝が埋まらなければ、「是正の指示」、係争処理委員会、是正の指示の取り消し訴訟などの、より強権度の低い手続きへと進むことになる。その間、工事は止まる。いずれにせよ、あれだけ強硬だった政府の工事を暫定的ながら止めたのだから、沖縄側の勝利であり、成果には違いない。


真の仕切り直し

 安倍首相は早速、「辺野古移設が唯一の選択肢という考え方に変わりはない」と述べたこの頑迷ぶりが今日の混迷を招いたという自覚はうかがえないましてや民主主義や地方自治の無視を恥じる姿勢は見当たらなかった

 首相の姿勢が正当化されるなら、どんな危険を強制されても、環境を破壊されても、選挙でどんな意思表示をしても、国がひとたび決めてしまえば地方は奴隷のごとく従うしかないことになるこれで民主国家だと言えるのか。それこそが本質的な問題なのだ。

 是正の指示の取り消し訴訟は国有利だとささやかれる。沖縄側敗訴もあり得るだろう。だが仮に敗訴しても、次は埋め立て承認の「撤回」をすればよい。設計変更は必ずあるからそのたびに知事が承認を下さなければ、工事はできない。いずれにせよ沖縄側が折れない限り、新基地完成は不可能である

 今回、工事は1年以上、止まるだろう。米側もさすがに、日本政府の「移設に問題はない」との説明に疑念を募らせているはずだ。

 真の意味での仕切り直しの好機である。海兵隊は、普天間代替基地は必要か。百歩譲って必要としても、「辺野古が唯一」とする軍事的理由はない。復帰前は海兵隊の航空団と歩兵砲兵は岩国と沖縄に分かれていた。両者が近距離にないといけないというのは虚構なのだ。「沖縄の海兵隊」という思考停止の見直しが必要だ。そこからしか真の解決は見つかるまい。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016030502000123.html

国と沖縄 仕切り直し 辺野古工事中断 再協議
2016年3月5日 朝刊

     (安倍首相(右)と会談する沖縄県の翁長雄志知事
      =4日午後4時50分、首相官邸で(小平哲章撮影))

 米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う名護市辺野古(へのこ)の新基地建設をめぐる代執行訴訟で、安倍晋三首相は四日、福岡高裁那覇支部が示した和解案の受け入れを表明した。この後、首相は翁長雄志(おながたけし)知事と官邸で会談し、和解が成立した。国による工事は中断する。国と県の協議は仕切り直しとなるが、首相は新基地建設方針は「何ら変わりない」としている。対立の構図は変わっていない。 (金杉貴雄

 和解条項に基づき、辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消しの撤回を国が求めた代執行訴訟など、国と県は互いに提訴した三訴訟をすべて取り下げる。首相は埋め立て工事の「中止」を指示した。

 今後、国は翁長氏に対して埋め立て承認取り消しの是正を指示することから手続きをやり直す。県は国地方係争処理委員会に審査を申し出て、その後に訴訟を提訴できるが、訴訟が確定するまで双方は「円満解決に向けて協議」することが和解に盛り込まれた。

 首相は翁長氏との会談で「訴訟合戦を続けていけば膠着(こうちゃく)状態となり、現状が固定化されてしまう恐れがあり決断に至った」と説明。翁長氏は「和解成立は大変意義がある」と評価し、「(昨年夏の国と県による)集中協議は形式的だった。皆さんの思いもしっかり聞きたい」と述べた。

 国と県による今後の協議で双方の主張が変わらなければ、再び法廷で争われることになる。和解条項はこれを想定し、双方が「確定した判決には従う」とした。

 ただ「仮に最高裁まで争えば一年程度」(与党幹部)とも指摘される再訴訟の間、工事は行われないことになった。

 日米両政府は二〇二二年度にも移設を完了することで合意していた。政府は和解内容を米側にも説明。菅義偉(すがよしひで)官房長官は記者会見で、移設計画が遅れる可能性を認めて「(スケジュールに影響が)出ないと言えばうそになる」と述べた。


◆近づく参院選 民意に迫られ

<解説> 米軍普天間飛行場の移設をめぐる国と沖縄県による異例の「訴訟合戦」は、安倍政権が民意に押され、政権内で想定されていなかった譲歩を迫られる結果に至った

 防衛省幹部は和解について「一日も早い工事完成と言ってきたが、少なくともその方向ではない。全く予想していなかった」と不満を漏らした。和解案の受け入れは、官邸による政治判断といえる。

 新基地建設については、二〇一四年十一月の沖縄県知事選で、辺野古埋め立てを承認した前知事を破り、翁長雄志知事が当選。同十二月の衆院選では沖縄の全四小選挙区で、新基地建設の反対を訴えた候補が与党を破った。沖縄の民意が新基地建設に反対していることが鮮明になった

 普天間飛行場を抱える宜野湾市で今年一月に行われた市長選では、新基地反対を訴えた候補が敗れたことで、政権内には沖縄の民意が変わりつつあるとの見方もある。だが、当選した現職は新基地建設問題を争点化しておらず、その見方は必ずしも妥当ではない。

 和解案に対しては、沖縄側が受け入れを早々に表明した一方、政府は工事中止が盛り込まれていることを理由に受け入れに消極的だった。それでも最終的に和解に応じたのは、沖縄の民意に変化の兆しがないまま夏の参院選に臨めば悪影響が及ぶと懸念。対立を一時棚上げするのが得策との判断もあったとみられる。

 首相はこの日「県との協議」を再び強調した。だが「辺野古が唯一の選択肢」という政権の基本方針まで変えたわけではない。 (関口克己
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