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●原発施設と断層、驚きを通り越して呆れる

2013年01月25日 00時00分42秒 | Weblog


東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013011501002282.html。WP『小出裕章(京大助教)非公式まとめ/京大原子炉実験所助教 小出裕章氏による情報』(http://hiroakikoide.wordpress.com/)の記事を二つ(http://hiroakikoide.wordpress.com/2012/12/26/ibaraki_2012dec24/#more-4979http://hiroakikoide.wordpress.com/2013/01/01/mbs1179_2012dec31/#more-5023)。

 「活断層の直上禁止」、当たり前すぎて、何をいまさら言っているのだろう。それに、きっと「直上」の定義をあいまいにするにきまっている。「直上」じゃなければ大丈夫、と言うにきまっている。
 これまでそんな危険なところに原発を建設してきた責任を、自民党と電力会社の一体誰がとったのか? 追求しないマスコミにも責任。騙された人々も責任を自覚しなければ、また、参院選でもきっと騙される。そうなれば、さらなる絶望感が広がる。

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013011501002282.html

活断層の直上禁止、明記へ 原発重要施設で新基準案
2013年1月15日 22時27分

 原子力規制委員会田中俊一委員長)は15日、7月施行予定の原発の新安全基準に、地盤をずらす活断層の直上に原子炉など重要な施設を設置してはならないと明文化する方針を決めた。今月末にまとめる骨子案に盛り込む。
 国はこれまでも活断層上に重要施設の設置は認めていないが、根拠となる2010年改定の「安全審査の手引き」では「設置は想定していない」などと曖昧な記述にとどまっていた。
 電力業界などは「ずれる量を計算して、小さいと予測できれば原子炉などを設置しても問題ない」と主張していたが、予測手法が実用化されていないため採用しない。

(共同)
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[※ブログ主: すいません、勝手に動画を貼らせていただいております]
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http://hiroakikoide.wordpress.com/2012/12/26/ibaraki_2012dec24/#more-4979

12月24日 「豆腐の上の原子力発電所」小出裕章さん講演/第二回 脱原発サミット in 茨城(文字起こし)

2012年12月24日に開催された「第二回 脱原発サミット in 茨城」に小出裕章氏が出演され、その動画がYouTubeに掲載されていましたので、このブログでも共有させていただきます。また、以下の通り文字起こししました。

▼文字起こしは以下。

◆質問者
小出さんにお聞きしたいんですけれども、東海第二原発というのがですね、実は調べてみるっていうと、え〜、あの〜、原子炉自体は、あの〜、非常に強固な岩盤の上に作らなければいけないと、そういう風にまあ決められている、え〜、で、実際にあの〜、え〜、あの〜日本原電が出しているようなあの安全、安心パンフレットを見ますというと、強固な岩盤の上にあるという風に書いてあるんですが、あの〜、ネットなどでですね調べてみたり、学者のあの論文等を読んでみたり、政府の発表物を見たりするっていうと、東海第二原発は、5メートルの、え〜とコンクリートの板に乗っていると、その下に8メートルのコンクリートを更に打って、人工岩盤という風にしてる、更にその下には、あ〜、泥岩というあの岩がある、で、え〜政府事故調などは、暗室岩盤と言って、え〜、既にあの強固な岩盤と言っていないのですが、こういう原発というのは、どういう風になるとお考えでしょうか?

◆小出
今、ちゃんとお話くださったけれども、東海第二原発だって、全然強固な岩盤じゃない、ですよね。でも、そんなこと言ったら、日本中強固な岩盤に建っている原発なんてない、んだろうと私は思います。浜岡だって相楽層とか言ってますけど、ボロボロですよね、あの手で持ったらパリパリと割れるようなところだし。

え〜、東京電力の柏崎刈羽原発、原子力発電所なんていうのは、砂丘の上に建てようとした、いくらなんでも砂丘はマズいだろうと言って何十メートルも穴を堀ったけれども、いくらやってもちゃんとした岩盤が出て来ないというとこで、そこに建ててしまった。
え、昔から「豆腐の上の原子力発電所」と呼ばれていた、そこが地震に襲われ、襲われたら、物凄い揺れになって、あちこちボロボロに壊れてしまったというのが、え〜つい何年か前にあったということで、この世界中の地震の、1割か2割が日本で起きるという、そんな国で安心して原子力発電所を建てられるような場所は元々無かったんです。
無いのに、とにかく建てたいということで、用地さえ買収できてしまえばもうどこでもいいと、あとは地盤が悪ければ人工岩盤だというようなことで、これまでやってきてしまった、という歴史があったと思います。

今、敦賀の、え〜、日本原電の、第二原発というところでも、原子炉の下に活断層があると、実はそれだってはじめから分かっていた筈だと私は思います。
でも、とにかくそこに建てるしかないということで、審査をする人たちが、これは活断層ではないと言ってしまえば、もう、そこに建ってしまうという、そういうことだった、と思いますし、え〜、東海第二原発も適地ではないし、日本中原子力発電所の適地はどこにもないのだという風に思っていただきたいと思います。
(拍手)

◆質問者
え〜、そうする…あの〜そのこととちょっと関連致しまして、小出さんにお伺いいたしますが、あの〜、私はあの学生時代に、あのたくさんの大学の学生が入る学生寮におりまして、あの〜、航空工学というものをやっている学生とよく話をしたんですけれども、え〜、その人と話して、工学上非常に重要であるのはフェールセーフであると、え〜、フェールセーフという思想が生きないっていうと、あの〜、そういうものは作ってはいけないんだと、あの〜、彼はすごく理想主義的であった、そういう風におっしゃった。
原子力発電所はいつまで経ってもあの熱が取れない、え〜、で、いつまでも永久に冷やし続けないっていうといけない、そういうのってフェールセーフって言えるのかな、人類の工作物としていいのかな、というのは感じるんですがいかがでしょうか?

◆小出
え〜、原子力発電所の場合には、フェールセーフという言葉、要するに何か間違えたことをやっても安全なんだというフェールセールという言葉もありますし、フールプルーフという言葉もありました。
それは、フール、バカですね、え〜運転員がバカなことをやっても、え〜、きちっと保証出来るような、するという、それが設計思想になっていると、ずうっと彼らは言ってきたわけで、設計思想としてそうするということは、むしろ当たり前のことでもあるのですね。
え〜、人間が間違えたことをするし、何か具合が悪いことが時によっては起きるというのは、当たり前なことなのであって、それに対して設計上対処しておくということは、当然の考えかた、です。
しかし、それが、原子力発電所の場合には成り立たない、のです。

皆さん、クルマで今日ここに来られた方がいらっしゃると思います。
例えば、時速40キロか50キロで、走っていて、走っている途中にタイヤが一つポロリと取れる、落ちてしまったと、といったら、みなさんビックリしてすぐにブレーキを踏んで、ある人はエンジンを切るかもしれない、そしたらまあ何十メートルかは走るかはしれないけれど、そこで時速0キロメートルになりますね。
必ず止まります。

しかし、原子力発電所という、ものは、ウランの核分裂を起こさせて、熱を発生させるわけですが、核分裂を起こさせる、起こさせた途端に、核分裂生成物という放射性物質が原子炉の中に貯まってくる、のです。
放射性物質はそのもの自身が熱を出す、というものが基本的な性質、です。

で〜、今日の原子力発電所は100万キロワットというのが標準になって、いますが、100万キロワットの原子力発電所というのは、電気になるのが100万キロワットと、いう意味です。
原子炉の内部では300万キロワット分の発熱をしていて、わずか3分の1だけが電気になって、3分の2、つまり大半の200万キロワット分は、使うことができないまま、海に捨てているという、そういう馬鹿げた装置、なんです。
で、その上に300万キロワット発熱しているというその熱のうち、7パーセントは、ウランが核分裂しているのではなくて、既に炉心に貯まってしまった核分裂生成物、そのものが出しているんです。

何か事故が起きて、ウランの核分裂反応を止めるということは、かなり比較的容易です。
たぶん福島の事故の場合にも止められたと私は思っています。
しかし、原子炉の中に、核分裂生成物が止まってしまっている限りは、7パーセント分のエネルギーは止めることは出来ないんです。
発熱は。
つまり事故があった、もうここで止まらなければいけないと思って、どんなにブレーキを踏んでも、エンジンを切っても、クルマが止まらないんです。
それが街中の人混みの中であろうと、山の中の崖っぷちであろうと、タイヤが外れたまま走り続けなければ、壊れてしまうというのが、原子力発電所というそういう機械なのです。
え、どんなフェールセールも、どんなフールプルーフも、もう成り立たないという、はじめからそういう基本的な性質を抱えた機械、です。
ですから、まあ設計思想として、フェールセール、フールプルーフということをやることは私は当然だし、いいことだと思いますけれども、(原子力発電所)というのは、それが成り立たない技術であると、思っていただきたいと思います。
(拍手)

▼動画

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[※ブログ主: 膨大な文字お越し作業、有難うございます。
   音声ファイルは同所にありますので、下記アドレスに直接アクセス!]
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http://hiroakikoide.wordpress.com/2013/01/01/mbs1179_2012dec31/#more-5023

12月31日 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生が出演/MBS1179 報道するラジオスペシャル(文字起こし)

2012年12月31日、MBS1179 報道するラジオスペシャルに小出裕章氏が出演され、その動画がYouTubeに掲載されていましたので、このブログでも共有させていただきます。 また、以下の通り放送を文字起こししました。

▼出演者
【パーソナリティ】
水野晶子
近藤勝重(毎日新聞専門編集委員)
【ゲスト】
小出裕章さん(京都大学原子炉実験所)
【テーマ】
「来年」。政権も変わった日本の来年がどうなるのか、どうなってほしいのか。

▼文字起こしは以下。

京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんです。

◆水野
小出さ〜ん。

◆小出
はい。

◆水野
こんにちは、というかこんばんはになってまいりましたがね。

◆小出
はい、こんばんは。

◆水野
どうぞよろしくお願いします。

◆小出
こちらこそ。

◆水野
近藤さんは、お久しぶりとはございませんか。

◆近藤
いや〜ぉ、お久しぶりです、えっ。

◆小出
そうですね。

◆近藤
お元気ですか。

◆小出
はい、何とか生きています。

◆近藤
そうですか。

◆水野
は〜い、あの今日もこの大晦日という日に小出さんとお話させていただく、たいへんお忙しいのに申し訳ないんですが、やはり、どうしても、この、今年2012年にね、原発巡る動きがどうであったのか、そして、来年どうなって行くのか、というのは、何としてでも小出さんに伺いたいという思いがございます。
え〜、そして、小出さんに質問したいというリスナーの方もいろいろと、あの〜、送ってきてくださっているんです〜。
で、まず、一番多くのお声をいただいているのは、何かといいますと、今日、毎日新聞の1面トップ、近藤さん、これ、毎日新聞がドドンと掲げましたね。

◆近藤
えぇ。

◆水野
安倍首相、原発新設に意欲。つまり、新しく作るという意味ですね。
新たに作っていく原発は、40年前の古いもの、事故を起こした福島第一原発のものとは全然違う、何が違うのかについて、国民的理解を得ながら、それは新規に作っていくことになるのだろう、という風に安倍総理がおっしゃったと、つまり新しく作って増やしていくという意味ですね。

◆近藤
うぅ〜ん。

◆水野
で〜、これについてですね〜、聞いてくださっている方が多いんです。
笑顔が一番さんも、大掃除しながら聞いていますけど、え、え、そういうことなんですか、再稼働に向けて、どんどん、あの、動き出しているんですか?とかですねぇ、あの〜、ホンマに前とは違う、福島とは違うものなんでしょうかっていう風に聞いてくださっているんです。
ここのところからまず始めたいと思いますが(はい)、え〜、まず安倍総理の発言について、どうお感じになりますぅ?

◆小出
呆れた人だと思います。

◆水野
呆…、そおぅですか…。

◆小出
はい。

◆水野
あの〜、ジュンジイトイさんというリスナーの方もですね、今の原発は昔のものと全然違うと、お〜、安倍さん言いますが、じゃ具体的にどこがどう違うんですか?小出先生教えてください、とおっしゃっております。
いかがでしょう。

◆小出
え〜、まず日本で原子力というものを進めてきたのは、自民党なんですね(はい)。
え〜、福島第一原子力発電所も含めて、え〜、日本国内に50何基もの原子力発電所を建ててしまったのは、すべて自民党、のせいです(はい)。
福島第一原子力発電所の事故を起こしたのも、自民党のせいです(うぅん)。
え〜、その自民党が、また新しい原子力を作ると、いうようなことを言っているわけですが、福島第一原子力発電所だって、自民党が安全な原子力発電所で運転していいと許可を出した…。

◆水野
そうか、そういうことですね〜、自民党政権のときに政府が許可を出したわけですよね。

◆小出
そうです。
日本の原子力は技術が進んでいる、日本だけは事故を起こさないというようなことを、自民党がずうっと言いながら来て、事故を起こしているのです(はい)。
まずその責任というものを、安倍さん自身がきっちりと言わなければいけないし(う〜ぉ)、これから新しい原子力発電所を作ると言うなら、まずそれがどこがどう違っているかを、安倍さん自身が言わなければいけません(はい)。
そして、私から見れば、まったく変わってはいない(ん〜)のです(はい)。
今は、改良型の軽水炉、えぇ、改良型の加圧水型原子炉、改良型の沸騰水型原子炉といういうようなものをこれから造ると言っているわけですけれども…。

◆水野
改良型って名前が付いているんですね?

◆小出
そうです。

◆水野
そうすると、私たちは、素人は、あっ改良されたんだ(はい)、大丈夫なんだというイメージを持つわけです。

◆小出
はい。技術というのは、少しずつ進歩していくわけで(はい)、悪いところを見ながら改良していくというのは、当たり前のことなのであって、1年経てばまた少しずつまた改良されているということは(うふっ)、当たり前のことなんですね(はい)。
はい、特に日本の場合には、その改良ということが、例えば原子炉の大型化であったり(ふぅ〜ん)、経済性の追求であったり(はい)、そういうことで来てしまったわけで、改良というのはむしろ私からみると改悪になってしまっている、のです(はぁ〜)。
で、いかなる原子力発電所も、原子炉というものを使う限りは、放射能を作ってしまいますし、機械である以上は、壊れるということは、ときにはあるということは覚悟をしなければいけないものなのです。
え〜、そういう意味で言えば、まったく変わっていない、旧態依然としたものを、また自民党がやろうとしているという、ことです。

◆水野
うぅ〜ん。近藤さん。

◆近藤
はぁい。

◆水野
自民党、安倍政権は、その〜原発推進シフトで閣僚はかなり固めているんですってねぇ。

◆近藤
う〜ん、そうですよ。甘利さんとかね(はぃ)。
いずれにしても僕は12政党の中で、脱原発に最も消極的だったのが自民党だったわけです、近藤の選挙でも(そうですね)。
で〜、にも関わらず、それが政権政党になっちゃったわけです。
え、そこんところがね、自民党のものの言い方っていうのは、結構いろいろ曖昧な部分があって、原発に依存しなくても良い社会を目指すっちゅう予防線を張ったり、いろんなことを言って、なんとなく争点からボカしていったんですよ。

◆水野
選挙のときになかなか争点になりませんでした。

◆近藤
そう、ですからね、そういう争点外しを意図的にやった上で、今になってですよ、原発新設に意欲を見せるような発言をするっていうのは(うぅん)、それはやっぱり〜、1000年に一度と言われる未曾有の災害、そのことのいろいろな豊かさの本質とかそんなこと問う選挙ででね、原発の問題を本当に問う選挙でね、そういうことを外して、国民に投票させて、そしてその後にですよ、こういうことを言い出すってのはね(はぁ)、僕はある意味そりゃフェアじゃないと思うんだよね。
んん、んだから、ここはやっぱり公明党がね(はい)、一緒に政権作っているわけですけれども(えぇ)、その話にどう反応するのかってことをね、とりあえずそこんところをまぁ見なくちゃいけないなっていう気がしていますけどね。

◆水野
小出さん、今起こっていることのもう一つの側面でね、福島原発事故を巡って、検察当局が東電の幹部から、事情を任意で聞いているっていうそういう事実もあるんですね。
で、あの〜、このポイントがどこかって言いますと、津波の危険性を予測しながら、津波に対する安全対策を怠ったんじゃないか、ここがどうだったんだというのがポイントになっているということなんですよ(はい)。
これ〜について、小出先生、どう見ていらっしゃるか教えていただきたいんですが〜。

◆小出
もちろん津波に対しての対策を怠っていた、のですね(はい)。
で〜、それだけでなくて、原子力発電所が機械であって、え〜、さまざまな要因でその機械が壊れるということについて、十分な対策を取らないまま来てしまった、わけです(えっえっ)。
もちろん地震という出来事で、原子力発電所の一部が壊れたかもしれないということは、え〜、福島第一原子力発電所の国会事故調査委員会すらが指摘している、わけで、え〜、東京電力の責任は私は猛烈に重いと(ん〜)、思います。
え〜、例えば、皆さん考えていただきたいのですが、どこかの小ちゃな町の工場が、毒物を回りに何か漏らしてしまって、周辺の人に迷惑をかけた、というようなことをすれば、すぐに警察が踏み込んで、え〜、某かの法的な手続きを取る筈だと思いますけれども、福島第一原子力発電所の事故の場合には、何十万人もの人が家を奪われる(え〜)、そして、その中で命を落としていくというようなことが進行してきている、今でも進行しているわけですし(う〜ん)、何百万人もの人が、放射線の管理区域に指定しなければいけないようなところで、生活を強いられてしまっていると、いう事実があるのです(はい、はい)。
それなのに、東京電力の会長、社長以下、誰も責任をと、問われていないという、この国はいったいどういう国なのかと私は思います。

◆近藤
あの〜、刑事責任のレベルで言うと〜(はい)、やっぱり津波の高さをね、そのどの程度彼らが想定してたかが大きなポイントになる(ポイントになるんですね)。ん〜、だから、所謂6メートル説、15メートル説、いろいろあるけども、東電の現場では、例えば15メートルと見ていたとすればね、その〜そんなら対策をとってたかとってないっていうことになると大きな違いがあるわけですよね(はぁ〜)。
あの、地検が関心を持っているのは、まずとりあえず津波の高さをどの程度想定できてたかと…。

◆水野
あぁそこになるんですか、ただ…。

◆近藤
だから、出来てない…。

◆水野
ってことであれば次の問えなくなるわけですね。

◆近藤
所謂予見可能性の問題だよね。

◆水野
でも、そうしますとね、ある意味、津波の危険性をどう捉えていたかっていうポイントの、訴訟だからそれはしょうがないんでしょうけれども、告訴、告発になってのことだからしょうがないのかもしれないけども、じゃ、津波が無かったら、原発は安全なんだと、いう話にも繋がっていきやすい論理じゃないですか?

◆近藤
それはまたその話の別個の性格として出て来ますよね(ねぇ)。
とりあえず起きた事故は、その津波と無縁じゃないわけで(もちろんね)多いに関係あるわけだから、あのそこで過失を問えるか問えないかっていううのはやっぱそこのところは大きいって判断をあると思うんです…

◆水野
しかし、問えないって可能性もあるってことですよね。

◆近藤
あるでしょうね。
あの〜、刑事事件的に言えばね(ん〜)。そういう性格のもんでしょうね。

◆水野
小出さ〜ん、今年というのは、5月5日に、全ての原発がストップしたんですよね。

◆近藤
そうでしたね。

◆水野
あのときの小出さんの、その言葉、あたし覚えているんですよね。

◆小出
はい。

◆水野
あ〜、こんな日がやってくるんだと、いう、非常に感慨深いものがおありだったと思うんですが〜。

◆小出
嬉しかったです。

◆水野
ねっ、そうおっしゃった。
しかし、続きませんでしたね、その状況は。

◆小出
そうでしたね。

◆水野
その後、2ヶ月弱で、え〜、大飯の3号機が再稼働するという形、7月1日に再稼働しましたので、2ヶ月弱で、全ての原発が停止している状況は、日本から消えました。

◆小出
はい。

◆水野
で、その間ね、何があってそういう風になったのかっていろいろ見ていくと、例えば大飯の再稼働に反対していた関西広域連合が、ま、限定的だったら再稼働は認めざるを得ないという風に態度を変えたと、いうようなこともあります。
え〜、そしてどんどんどんどん雰囲気が変わっていったんじゃないかと思うんですけれども、小出さんはその辺り、どんな風に日本の人たちの気持ちの変化を見ていらっしゃいますか?

◆小出
え〜、大飯の再稼働ということは、再稼働をしないと停電になるぞと(えぇ)、脅しをかけられたのですね。
で〜、橋下さんなどは、コロリと再稼働反対から容認に変わってしまうと、いうことになりました。
しかし、事実で言うのであれば、大飯なんか再稼働させなくても、電気は十分足りたのです(えぇ)。
それを、国民が皆さん、騙された。
橋下さんも騙されたフリをして結局認めていくということになりました。
私は日本の電力需給の状況というのを、もっと皆さんがしっかり知らなければいけないと思いますし、国と電力会社が正直に現在の状況というものを説明すべきだと私は思います。

◆水野
実際、再稼働無しでもこの夏電力不足にならなかったというのは、まぁ、後で検証してみたら、はっきりしたんですよねぇ。

◆小出
もちろん後でしてもはっきりとしましたし、はじめから分かっていたことなのです。
◆水野
小出先生は、始めから分かっているとおっしゃって(そうです)、そのベースになるデータは、国が出しているとおっしゃていますよねぇ。

◆小出
あの、国がデータ、どこの原子力発電所が何万キロワット、火力発電所が何万キロワットというデータを公表していますし(う〜ん)、え〜、そのデータを見る限りは、現時点で、原子力発電所を即刻全て止めたところで、いついかなるときも停電にはならないのです。
そのことを皆さんどうして分かってくれないか、私はたいへん不思議です。

◆近藤
そこのところがね、あれなんでね〜、あの選挙の間、そこのところが浸透してたらまた話が変わっていたんだよねぇ。

◆小出
そう思います。

◆近藤
それとね、僕ね(はい)、先ほどあの自民党の責任案あんぬんかんぬんの話で、そうしても今日付け加えて、先生のことに付け加えて言いたいんだけど、その東通原発の問題で、学者の方全員でしょ、全員が活断層の危険を言うてますよね(はい)。
にも関わらず、東北電力はそれを豊潤だ地下水を吸ってんだということで、要するに安全なんだということでまかり通ったわけでしょ(はい)。
で、まかり通らしたのはそしたら誰の政権のときだったのかと考えれば、これは自民党ですよね(そうです)。
そうすると、この手の活断層を巡るいい加減な、ある意味いい加減な処理のしかた、あるいはそのとき何がどうでOKになったのかというその経過、ここらあたりをもう一回やることがですね、あの、すごく大事なことなんじゃないかと、僕、最近よく思うんですよ。

◆小出
はい。

◆近藤
こんないい加減な形でぼんぼんぼんぼん原発が出来ていったのかと、今ゾッとするような感じの所謂原発、原子力ムラというものはこういうことだったのかというのがね、実態すら何か私そこに感じるんですけどね。

◆小出
そうですね(ん〜)、マスコミの方、報道の方にもっとしっかりとそういう事実をキチッと調べて報道して欲しいと願います。

◆近藤
本当に、今になってねぇ、え〜、何かそういうことを言ってもむなしさあるんだけども、でも、追求する側として遅くない気はするんですよね。

◆小出
そうですね、はい。

◆水野
う〜ん、やらねばやらないことですよね。
そして、あたし、返す返すもあのとき何やったんやろと思い出すのは、民主党がね、2030年代原発ゼロって言っておきながら、閣議決定しませんでしたよね。

◆小出
はい。

◆水野
あの辺りのことを小出先生、どう見ていらっしゃいますか?

◆小出
情けないことだと思いました。
え〜、元々民主党政権が、国民にパブリックコメントというのを求めて、2030年に0にするのか15にするのか25にするのかといって意見を求めたのですね。

◆水野
何%原発に依存するのかって話ですね。

◆小出
そうですね。
え〜、その政権の求めに応じて、多くの国民が意見を寄せました。
そして、その大部分はゼロにせよと、そして、2030年ではなくて、即刻ゼロにしろという意見が多かった、のです。

◆水野
そうでしたね、はい。

◆小出
それを受けて、民主党政権は、今度は30年代という、一つ代という言葉を付け加えて…。

◆水野
最初、2030年まででしたよねぇ。

◆小出
そうです。
2030年にと言っていたのですが。

◆水野
いや〜、まに〜もゼロにすると言ったら切ろと言ったら2030年代に10年も増えていましたよね。

◆小出
そうです、そうです。
2039年12月31日まで延ばしてしまった。
つまり10年そこでパッとさばを読んでしまった(えぇ)、わけで、それでもまあ一応はゼロと、を目指すと言ったのですね。
ただ、その閣議決定すらが出来ないという状態で、情けない政権だなと私は思いました。

◆近藤
これはあのすごく大きかったんですよ。僕は民主党政権の普天間の問題もおかしかった、そして、八ッ場ダムもおかしかった、そこに持って来て30年代でボヤケてしまって閣議決定しなかったでしょ(はい)。
こういう連続の中で民主党に対するイメージって言いますかね(はい)、ん〜、何かボヤけちゃったですね〜。

◆小出
そうでしょうね。こんな政権はやはり支持を失うと私は思います。

◆水野
その間ですね、株式市場で何が起こったか、東京電力の株価はですね、まぁ、あの事故後ずうっと落ちて行ったわけですけれども、ま、今やですね、一番低かった夏場の株価の倍以上に跳ね上がりました。
え〜、安倍さんたち自民党が圧勝と伝えられた直後の株式市場、東京電力はもうこれ以上値が付けれませんというストップ高にまでなるという、跳ね上がったんですよね。
で、小出先生ね、えっと更にこんなこと安倍さん言ってます。
福島第一原発の廃炉の作業を政府が全面支援すると、いう風にまぁ言っているんですねぇ(はい)。まあ、政府としてそれはやって貰わなあかんという気持ちもする一方で、ということは、東電が廃炉にしていく費用を、税金、つまり私らのお金で、負担していくってことになるんじゃ違うんですかね?

◆小出
そうですね。
え〜、私らのと水野さんのお金もある(みんながね)、私のお金、近藤さんのお金でもあるわけだし、何よりも、福島原子力発電所の事故で今家を奪われて(はい)、流浪化している人たちとして汚染地帯に捨てられてしまった人たち、そういう人たちのお金を使って、東京電力を救済すると…。

◆水野
そういうことになりますよね〜。

◆小出
いうことをやるのです。

◆水野
はぁ〜。
廃炉に、あのこの福島についてもね、廃炉にほんまにできるんですかと、これは和田さんという方も聞いてらっしゃいますけど、それぐらい思うような廃炉って、お金どのぐらいかかるんですか?

◆小出
分からないのです。要するに、人間が初めて遭遇したことなのですね、今、一度に4基もの原子炉が溶け落ちて、しまって、放射能がそこから吹き出してきていると、いう状況になってしまっているわけで、いったいどうやれば廃炉に出来るのか、そのこと自身が分からない、のです。
え〜、もちろん東京電力が自分でやろうとすれば簡単に倒産するという、それほど難しいことであって、日本の国家がなにがしかの財政負担をやらなければならないということは、当然なことなのですけれども、え〜、こんなことを引き起こした責任というものをまず、東京電力も、そして自民党という政党も、自覚をしなければいけないと思いますし、その全ての負担を国民、そして今苦しめられている人たちにまた負わせようとしている、のです。

◆水野
え〜、コマーシャル挟んでも少しお話聞かせてください。

☆☆☆

◆水野
今日は、京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんにお話を伺っております。
小出さ〜ん、引き続き伺いたいんですけれども、あの〜、多くの方たちが脱原発を望んだという事実がまぁあります。
しかしながら、今になったらですね、え〜、ま、選挙で大勝した政権のリーダーは、新しく造って行くということに意欲を示しているという、これが今日本の実情なんですよね。

◆小出
そうですね。

◆水野
何でこんなことになるのかと、いうこと、ま、いろんな見かたがあると思いますけれども、小出さんはどう思われます?

◆小出
また、騙された、ですね。

◆水野
また騙されたですか?

◆小出
要するに、近藤さん、先ほどキチッとおっしゃってくださったけれども、え〜、選挙のときには、自民党が明白に自分たちは進めるということは言わなかった。

◆水野
10年でいろいろ考えますの話でしたね。

◆小出
はい、でも始めから明白に進めるということは彼ら腹をくくっていたわけ、ですし、それを言わないまま選挙というものは行われて、国民がまた騙されたということです。

◆水野
あの〜、この、騙されたという感覚ね。
ん〜、確かにそれは騙されたかもしれないけど、あたしは〜こういう風に原発政策を自民党は考えているだろうということを、安倍さんがはっきりおっしゃらなくても、感じてましたよ。

◆小出
そうですね。

◆水野
小出先生ももちろん、小出先生はもちろんですけれども、感じている人は私だけじゃなくって、あっ、自民党はたぶんこうするんだろなって、感じてたんじゃないですか〜?

◆近藤
騙されたっていうかね、あの〜、要するに優先度が下がったんですよ。
国民の意識の中で。
自民党のものの言いかたで。
も、う〜ん。

◆水野
今すぐ株上げてほしい、自分の暮らしを良くしてほしいのが、上がったっていうことですか?

◆近藤
うぅ、そっちのほうがむしろ、ううん、所謂生活者レベルの感覚のほうが上へ上がっちゃったんだよね。
そやけど本当を言うと、主権者、主権者としての感覚が一番優先されなければならない総選挙だったんだわ。

◆水野
本当はね(うん)。
そこのところ、騙された、騙されてしまう私たちっていう、ところ小出さんは、どう見てらっしゃるのか、小出先生もね、子どもの頃は、騙されたっておっしゃっていたじゃないですか(はい)。
戦後間もない時代にね、子ども時代を迎えられて、あの戦争の話と原発の話って似てるとこありませんか?

◆小出
はい、私はずうっとそう言って来ましたし、え〜、私が関わり続けてきた原子力の歴史というものを見ると、戦争のときとそっくりだなと(え〜)、思い続けてきましたし、今でもそう思います。

◆水野
どういうことでしょう?

◆小出
え〜、要するに国家という存在が、戦争をやると決める、あるいは原子力をやると決めて、え〜、体制というものが全部でそれにのめり込んで行くという、そういう流れだった(う〜ん)、だと思います。
え、戦争はもちろんそうでしたし(はい)、原子力もそうでした。
えぇ、マスコミも含めて、みんなが原子力こそ夢のエネルギーで、事故など決して起こさないというような宣伝、流れを作ってしまって、国民の多くはそれをただただ信じて、きてしまったという流れだったと思います。
でも、少なくとも、原子力に関しては、福島第一原子力発電所の事故というものが起こって、今現在進行しているのです(そうですね〜)。
え、苦しみが何も軽減されないまま、人々の苦しみが続いているわけで、せめてしっかりと目を見開いて見てくださいと私はお願いしたいと思います。

◆水野
何で私たちは騙されてしまうのでしょうか?

◆小出
今まあ近藤さんおっしゃってくださったけれども、やはり生活、日々の生活、もっと景気が良くならないかとか、そうしたものにやはりどうしても引きずられてしまうということが一番大きな要因だと思います。

◆水野
う〜ん、あの〜、戦争についても近藤さん、あれですね、こう、責任をちゃんと取れているのかと、いうことをずっと問われ続けて来た日本ですよねぇ。

◆近藤
で〜、広島、長崎を見て、そして福島を見たわけですよ。
これはまさに核と原子力の負の連鎖です
よね。
こんな国ないですよ(んん)。
ないときに選挙があったんだけど、その答えが出なかった。

◆水野
私たちは出せなかった。

◆近藤
んん、そうですね。
そこがね、辛いところです。

◆水野
はぁ〜、自民党の得票率が、ね、決して上がっているわけではないという事実がそこにあるわけですね。
え〜、小出さん。

◆小出
はい。

◆水野
この番組は来年どうなっていくのかという話をまぁ皆さんに伺っているんですが、小出さんはこの原発問題に関して、どう見ていらっしゃいますか?

◆小出
まぁ少なくとも自民党が政権を取ったわけですから、え〜、脱原発、あるいはその原子力をゼロに目指して行くという流れは、大きく変えられてしまうだろうと、私は思います。
ただし、このまま、反省のないまま、また新しい、再稼働どころじゃないんですね、自民党の場合は。

◆水野
新しく造るですから。

◆小出
そうです。再稼働なんか当たり前で、更にまた新しく造ろうということを自民党という政党は言っているわけですね。
私はそんなことを到底させたくないと思いますし、え〜、次のまた次の参議院選挙があるわけですから、え、キチッと皆さん考えていただきたいと思います。

◆水野
そうですね。
また来年7月に、私たちが問われる段階がやってくるんですね。

◆小出
そうですね。

◆水野
でも、そのとき、またこの原発の問題、隠れるかもしれませんね。

◆小出
え、また、自民党はたぶん参議院選挙までは、あまり明確に進める進めると言わない作戦に出るんだろうなと思っています。
そして、また国民が騙されて、自民党を支持してしまうようなことになれば、もうそれで終わりということになると思います

◆水野
はぁ〜、小出さん、またん〜来年希望のある話を聞かせてください、なんて簡単に言えないんですけれど、何とか希望のある話が出来ればという風に願っております。

◆小出
はい、思います。

◆水野
はい、どうもありがとうございました。

◆小出
ありがとうございました。

◆水野
京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんにお話をいただきました。
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