Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●FUKUSIMA原発人災、本当に忘却していいのか?

2011年11月15日 00時00分45秒 | Weblog


THE JOURNAL
http://www.the-journal.jp/)での金平茂紀さんの論考(http://www.the-journal.jp/contents/kanehira2010/2011/10/post_11.html)。

 電力会社と国が責任を持って、元の身体に戻し、元の生活に復元したのであれば、忘れもしましょう。元には戻せないし、新たな世界に生きていかなければならないのだけれども(だからこそ、こんなバカげた技術など採用すべきではなかった)、電力会社や国はその努力を何もしていないと表現してもよいだろうし、それどころか、原発の維持・再開、更には、原発輸出まで踏み出そうとしている。要するに、意識的に「忘却」し、意識的に「忘却」させようとしている。マスコミや司法までがそれに加担している。

 例の山下俊一教授の問題や、原発輸出、「密約」公文書破棄の問題、裁判員制度導入時の最高裁やらせ問題など、色々な「忘却」について詰め込まれた論考。

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http://www.the-journal.jp/contents/kanehira2010/2011/10/post_11.html

忘却>ということ

 今年も残すところ2か月だ。2011年という年は、後世の日本の人々にとって、突出した<切断>の年として記憶され記録されるだろう。言うまでもなく、3月11日に起きた東日本大震災と、それにともなう福島第一原発事故によるあまりにも甚大な被害と、社会的、政治的、経済的影響の計り知れなさの一端を知っているからだ。僕らは確かにその思いを共有していたはずだ。こんな理不尽な悲劇があっていいものか、と。大津波による壊滅的な被害で、かけがえのない人を失った人々の悲しみを共有していたはずだ。天災か人災かを問えず、自分が生まれ育った地域から無理やり引き裂かれ、生業としていた農業を、牧畜業を、林業を、漁業を断念せざるを得なかった人々の怒りと悲しみを共有していたはずだ。
 僕らひとりひとりの人間は、あまりにもスケールが巨大な、想像力が容易に追いつけないような極大な事態のなかでは、持続している悲しみや理不尽さを直視し続けるには弱すぎる存在なのかもしれない。だが、類としての人間には、忘れていいことと決して忘れてはならないことがあるだろう。僕はある種の<倫理>のことを言いたいのだ。以前ならば僕が決して口にしなかったような単語=<倫理>について言っているのだ。この僕が? 一番簡単なのは、忘れることだ。<忘却>ということ。3・11なんか、なかったことのようにふるまうこと。3・11以前のように、あれ以前のうまくいっていた時と同じようにふるまうこと。そうすれば、ほら、お客さんだって戻ってきて、売り上げも上がって、企業の業績だって上向いて......。「放射能の影響は、実はニコニコ笑っている人にはきません。クヨクヨしている人に来ます。これは明確な動物実験でわかっています」(山下俊一・長崎大学教授の講演での発言)。3・11以前のようにニコニコして、生きていれば問題ないじゃん。国産・日の丸原発の輸出は3・11以前から決まっていたことだよ。だから、福島第一原発事故のような大惨事が継続中であろうと、その廃炉に数十年かかるという工程が示されようと、輸出しないとニホンケイザイがもたないじゃん! 彼らはそのように考えている。だから3・11以前のようにふるまう。ベトナムやインドネシアやインドで将来、原発事故が起きようが起きまいが、彼らがほしいと言っているんだから、ニコニコ笑って、売ってあげるのが共存共栄のグローバル・スタンダードっちゅうもんだろうが。彼らはそのように考えている。
 3・11によって、地域で生きること、地域の経済・産業がそこに生きる人々の生活の基盤となっていた現実を僕らは今更ながら思い知らされたはずだ。茫然自失している地域の被災者の意見をきちんと聴くこと(ヤラセの公聴会ではなく)もしないで、この際だ、思う存分に大規模化、近代化をやっちまえ、とばかり、机上の学者プランをもとにした復興特区構想が林立する。Naomi Kleinの言うとおり、大災害はそれまで実現困難だった大胆な市場経済プランを実行するのにまたとないチャンスを用意してくれている。ショック・ドクトリン。大惨事便乗型市場資本主義。知事や為政者たちが、現場のことを地域のことをわかっていないのが致命的だ。TPPへの対応も然り。
 沖縄の普天間基地移設問題。3・11のはるか以前、民主党による政権交代以前にまでさかのぼる<忘却>の惨状をみよ。3・11のずうっと以前に決まっていた日米間の約束=合意なんだから、クヨクヨせずにニコニコ笑って、辺野古移設というアメリカ政府の意向を履行しましょうよ、というわけだ。3・11の時、アメリカ軍はトモダチ作戦で日本を助けてくれたじゃないか、沖縄の基地からも多くの支援があったぞ、と。だが、そのようにいう人たちも、グアムの米軍基地から飛び立った無人偵察機グローバルホークや沖縄、横田の米軍基地から飛び立った偵察機によって得られたデータから、米軍当局がとんでもない危険を察知し、原発から50マイル=およそ80キロメートル以内からの避難を早々と在留米国人に一斉通知していたことを語らない。<忘却>は<方便>よりも罪が重い。
 3・11は、さまざまな虚構をあばいた。化けの皮をはがした。あれらの知の権威の化けの皮。僕ら主要メディアのありよう。あれらの政治の水準。一方で、ホンモノが見えてきた。「放射能汚染地図」(NHKのETV特集)。「深海魚」(勝又進)。化けの皮が剥がれているのにダンマリを決め込んでいるセクターがある。司法である。検察不祥事のことを言っているのではない。福島第一原発で起きた事故について、これまで、原発安全神話に多大なるお墨付きを与えてきたのは、司法=裁判所だ。数々の原発の運転差し止め訴訟や、立地許可取り消し請求訴訟を、僕らと同じようなレベルの「原子力のド素人」(原子力の専門家であるあれらの御用学者たちの言い方を援用する)である裁判官たちが、「安全性には問題はない」といってゴーサインを発し続けてきた何が司法だ。3・11は彼らの化けの皮をはがしてくれた。だが彼らもすぐに忘れるだろう。<忘却>は保身のためには最も便利な道だから。さらには、外務省の高級官吏に密約文書の廃棄を「奨励する」ような判決文まで書いた東京高裁の裁判官がいる。今後、ヤバい公文書は廃棄してしまえば情報公開の請求対象にならない。ないものはないんだから開示できない、と。廃棄の当事者である外務省の調査は「網羅的で徹底したもので、その過程で文書を秘匿する理由はなくなっており、信用性が高い」とか。この裁判官は本気でこんな文章を書いているのだろうか。廃棄したのは自分を守るためであり秘匿する理由が大ありだったからやったのだ。それらの外務官僚は今も現役で、当該官庁や他の役所でほぼトップの地位にある。ヤバい文書の引き継ぎがどのような形で密室で行われるかについては、最高裁の事務総局だって身に覚えがあるだろうに。僕は、裁判員制度導入にあたってのヤラセ公聴会についての文書のことを言っているのだが。
 <忘却>はこのようにして僕らの日本を覆い尽くし、僕らのかけがえのない地域は蹂躙されていく。それを僕らは止めなければならない。寒さが身にしみる。

投稿者: 金平茂紀 日時: 20111030 22:52
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●FUKUSIMA原発人災で小出裕章さんが若人に伝えたいこと

2011年11月14日 00時00分59秒 | Weblog

 


WP『
小出裕章(京大助教)非公式まとめ/京大原子炉実験所助教 小出裕章氏による情報』(http://hiroakikoide.wordpress.com/)に出ていた記事http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/11/06/11%e6%9c%88%ef%bc%95%e6%97%a5-%e3%80%8e%e4%ba%ac%e9%83%bd%e5%a4%a7%e5%ad%a6%e5%8e%9f%e5%ad%90%e7%82%89%e5%ae%9f%e9%a8%93%e6%89%80-%e5%b0%8f%e5%87%ba%e8%a3%95%e7%ab%a0%e5%8a%a9%e6%95%99-%e9%ab%98/)。いつも助かります。また、小出裕章さんの精力的な原発廃止に向けてのご活躍、頭が下がるばかりです。

 忘却しないために、全く責任はないのに申し訳ないけれども、若人に伝えていかなければならない。
 質疑での、若人に向けて噛んで含めるような口調で小出裕章さんの「過剰な電力消費に向かうのでなく、少ない電力消費でも心豊かな暮らしは出来る」といった発言が印象に残りましました。まさに、松下竜一さんの言うことと合致し、「暗闇の思想」そのものだと思うから。

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http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/11/06/11%e6%9c%88%ef%bc%95%e6%97%a5-%e3%80%8e%e4%ba%ac%e9%83%bd%e5%a4%a7%e5%ad%a6%e5%8e%9f%e5%ad%90%e7%82%89%e5%ae%9f%e9%a8%93%e6%89%80-%e5%b0%8f%e5%87%ba%e8%a3%95%e7%ab%a0%e5%8a%a9%e6%95%99-%e9%ab%98/

11月5日 『京都大学原子炉実験所 小出裕章助教 高校生たちへのメッセージ』(ニコニコ生放送)

2011
年11月5日(土)ニコニコ生放送にて『京都大学原子炉実験所 小出裕章助教 高校生たちへのメッセージ』が放送されました。コメント欄にてKazuo Sugiuraさまより教えていただきました。

録画
http://youtu.be/OoQxkz6lzEI

録画の続きは以下の通り。
http://youtu.be/0U4fDUkSqas
http://youtu.be/2VOPev4eRII
http://youtu.be/AjK1aRxUKFs
http://youtu.be/5G06N5WpO94
http://youtu.be/J9VYjv6O9b0
http://youtu.be/Atxw1x-Mwbk

この中で流された忌野清志郎氏の楽曲
SUMMER TIME BLUES
http://youtu.be/MIbrxhv_s_M

LOVE ME TENDER
http://youtu.be/7E6huKlEjl0
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●書籍紹介: 三宅勝久さん『日本を滅ぼす電力腐敗』

2011年11月13日 00時55分23秒 | Weblog


My News Japanに出ていた記事(http://www.mynewsjapan.com/reports/1518)。

 同WP上で数々の電力会社や電力業界、政治の腐敗を描いてこられた三宅勝久さん。烏賀陽弘道さんのオリコン裁判でその実態が少し知られるようになったけれども、山岡俊介さんとともに、その走りであるサラ金の武富士からのSLAPPSLAPP)にも負けなかった三宅さん。司法との癒着など、独自の視点で、優れた原発批判記事を書いておられます。真にジャーナリストと呼べるお一人。

    『●四国電力伊方原発: 「ユルユル耐震」とまで言われて
    『●電力会社・原発との癒着と呼ばずして
    『●節穴どころか癒着とは・・・
    『●メルトダウンする原発推進党
    『●泊原発推進と献(犬)金

 特に、三宅さんの記事から、松下竜一さん(※1)や小出裕章さん(※2)とも因縁のある、「ユルユル耐震」とまで言われたあの四国電力 伊方原発が大変に心配。

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http://www.mynewsjapan.com/reports/1518

日本を滅ぼす電力腐敗』文庫本で発売
                            MNJ編集部 12:35 11/10 2011

 原発事故後、断続的にMyNewsJapanにて連載していた三宅記者の一連の記事が書籍化され11月9日、発売となった。ツイッターで1万7千超のツイートを集めた注目記事(「原発は安全」判決書いた最高裁判事が東芝に天下り 司法にも広がる原発マネー汚染)をはじめ、北海道電力東北電力中国電力四国電力と、東電以外の地方電力会社の地方議会や行政府とのズブズブの癒着も、地道な調査報道で明らかにしている。戦後日本の、政官業癒着による消費者・生活者を無視して進められてきた経済発展における、歪んだ権力構造とその害悪の仕組みを理解するのに適した一冊。



 二〇一一年三月、東日本大震災の影響で津波が発生すると、これにより東京電力福島第一原発は破壊された。その後、復旧のメドはたっておらず、放射線の放出は今も続いている

 日本には五〇基以上の原発が存在する。地震大国であるこの日本に、どうしてこんなに多くの原発が建設されることになったのか。何か“カラクリ”があるに違いない―そう思った著者は調査を始めた。

 調べていくにつれ、政・官・司法の驚くべき癒着・天下りの実態が浮き彫りになっていく。時代遅れの危険な原発建設を阻止できない日本「電力」という巨大な腐敗権力が、この国を破滅へと導くのか。

     プロローグ 「鬼の第4機動隊」に拘束される!
        第1章 「伊方原発」―巨大活断層と南海地震で暴発の恐怖
        第2章 経産省から電力会社―「天下り」という賄賂
        第3章 東電への天下り1位は東京都幹部
        第4章 東北電力役員ポストに群がった自民県議77人
        第5章 中国電力マネーで潤う山口県幹部と上関原発
        第6章 「原発安全」判決書いた最高裁判事が東芝に
        第7章 杉並区議団が東電丸抱えでインチキ原発ツアー
        第8章 原発が大好きな北海道知事に北電役員が一斉献金
     エピローグ 「大和のための大和」から「原発のための原発」へ


  →日本を滅ぼす電力腐敗』(アマゾン)

著者:三宅勝久[ミヤケカツヒサ]
 ジャーナリスト。1965年岡山県生まれ。フリーカメラマンとしてアフリカ・中南米を取材、「山陽新聞」記者を経て、2002年より再びフリー。「債権回収屋“G”野放しの闇金融」で第12回週刊金曜日ルポルタージュ大賞優秀賞。武富士批判記事をめぐり同社から名誉毀損訴訟を起こされるが勝訴する。
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●原発人災放射性物質汚染地図シミュレーション

2011年11月12日 00時13分56秒 | Weblog


CMLの記事の一部抜粋(http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-October/012726.html)。

 計算は計算にしか過ぎず、風向きや事故の規模等によって大きく変わってくることは分かります。でもこのように具体的に、計算上とはいえ汚染地図を見せられると衝撃的です。職場を含む地域はまるごと・・・、豊かな山と海の幸でブランド化しつつあるほどの地なのに、全てのものが汚染され立ち入ることさえ困難になる予想。職場から離れているとはいえ、住んでいる地域も失わざるを得ない予想。気が滅入ります・・・。
 それでも原発を推進しようという人たち、維持を図ろうとする人たちの気がしれない。

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http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-October/012726.html

[CML 012865] 第193日目報告原発とめよう!九電本店前ひろば

・・・・・・
2011 10 30 () 07:34:09 JST



・・・・・・。
青木(宮崎の自然と未来を守る会)さんから:

みなさまへ

早川由紀夫氏(群馬大学)の許可を得て、川内原発/玄海/伊方原発で大事故が起きたら〈汚染範囲編〉を追加しました。

http://www.miyazaki-catv.ne.jp/~sizenmirai
/index.html

早川由紀夫氏(群馬大学)の「福島第一原発から漏れた放射能の広がり」(四改
訂版2011911日)を利用し、川内・玄海・伊方原発にそれぞれ当てはめてみたものです。
実際に大事故が起きれば、汚染の広がりは、事故の状況・風向き・地形・天候等により大きく違います。あくまで参考図ですが、必要ならダウンロードして自由にご利用ください。

・・・・・・。


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●3.11東京電力福島第一原発人災後にどんな〝文化生活〟を目指すのか?

2011年11月11日 00時12分41秒 | Weblog


videonews.comの記事より(http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002121.php)。

 我々は、松下竜一さんの「暗闇の思想論考のいうところの、どんな〝文化生活〟を目指すのか? どんな社会を創ろうとしているのか? 3.11以前の〝文化生活〟に戻すつもりか、だから、原発が必要だとでも云うのか?
 松下センセ曰く「誰かの健康を害してしか成り立たぬような文化生活であるのならば、その文化生活をこそ問い直さなければならぬ」、「いまある電力で成り立つような文化生活をこそ考えよう」。この論考は、3.11以前、はるか39年前の論考です。

 しつこく、以下を再掲させて頂く(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/e1b263002193a77c5f47ca07c54ff5f2)。松下竜一 未刊行著作集4/環境権の過程より。
「電気需要増加は必至ではないかという問いかけ・・・。・・・現在の電力に頼りきった文化生活そのものへの反省と価値転換であり、少数の被害者には目をつぶって成り立つ多数の幸福という暗黙裡の差別的発展への懐疑であり、さらに大きく根本的には、電力をとめどなく食いつぶしてやまぬ高度経済成長政策の拒否である」(p.107)。「・・・だれかの健康を害してしか成り立たぬような文化生活であるのならば、その文化生活をこそ問い直さねばならぬと。/じゃあチョンマゲ時代に帰れというのか、と反論が出る。必ず出る短絡的反論である。・・・今ある電力で成り立つような文化生活をこそ考えようというのである。・・・/・・・ただひたすらに物、物、物の生産に驀進して行き着く果てを、私は鋭くおびえているのだ。/「一体、物をそげえ造っちから、どげえすんのか」という素朴な疑問は、・・・開発を拒否する風成で、志布志で、佐賀関で漁民や住民の発する声なのだ。・・・/・・・都会思考のキャッチフレーズで喧伝されるのなら、それとは逆方向の、むしろふるさとへの回帰、村の暗がりをもなつかしいとする反開発志向の奥底には、〈暗闇の思想〉があらねばなるまい」(pp.116-117)。内橋克人さんの〈浪費なき成長〉につながる〈暗闇の思想〉。

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http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002121.php

ニュース・コメンタリー (2011年10月29日)
エネルギー政策の転換には文明の視点が不可欠

 福島第一原子力発電所の事故を受けて識者による各種の委員会が設置されるなど、日本ではエネルギー政策の新しい基本方針の模索が始まっているが、そうした委員会の中立性問題を横に置いたとしても、ここまでの議論は原発のリスクやコストといった各論レベルでの議論が中心で、エネルギー、ひいてはその前提にあるわれわれの文明がどうあるべきかという基本的な問いをめぐる議論は皆無といっていい状態だ。

 果たしてわれわれは、文明論を避けたまま、エネルギー政策の大転換を図ることが可能なのだろうか

 19世紀の産業革命以降、人類は石炭から石油へ、石油から原子力へとエネルギー革命を繰り返してきたが、その根底にあった価値観は、エネルギー効率を高めることで生産を拡大し、経済成長を続けるところにあった。しかし、今われわれ人類は経済成長の原動力となるエネルギーの潜在的な成長力をほぼ使い果たし、エネルギーの技術革新がこれ以上起こらない「飽和状態」に直面しているかに見える。

 また、その一方で、原発事故を例にとるまでもなく、エネルギー効率の向上による経済の成長は、必ずしもわれわれに幸せばかりをもたらしたとは言えない。人類は200年ぶりに経済が拡大しない未知の局面を迎えているのと同時に、経済の飽くなき量的拡大の負の遺産をいかに処理していくかを考えなければならない事態を迎えている。

 しかし、新しいエネルギー政策を決めるために設置された委員会の人事やここまでの会議の内容を見る限り、そうした認識が共有できているとはとうてい思えない。役所が人選した委員はこれまでの原子力行政に関わってきた識者や原発推進派が多く、原発に異議申立てをしている委員はいずれも少数派にとどまる。コスト等小委員会にいたっては、電力会社の有価証券報告書をもとに、原発のコストが他の電力源よりも割高であることを指摘した立命館大学の大島堅一教授を、他の委員が寄ってたかって吊るし上げているような状態だ。

 日本はこの飽和状態にどう向きあうべきなのか、そして日本にはどのような選択肢があるのかを、ジャーナリストの神保哲生と哲学者の萱野捻人、社会学者の宮台真司が議論した。
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●原発をどうするのかをフェアに議論できる情報提供なのか?

2011年11月10日 00時00分51秒 | Weblog


gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/index/syakai)から。

 まず、リスクの計算の仕方が分かりません。「500年に1回」というのは、日本にある五十数機全体での話でしょうか? 1基当たりの話なんでしょうか?
 いずれにしろ、一度事故が起ればこのような甚大な被害、致命的な被害が起る訳ですから、数百年から数十年に1回でも起ってはならないことです。
 また、数百年か数十年に1回のいずれにしても、このようなコストで収まるように私には思えないのですが、本当なのでしょうか? (ぐっとこらえて)推進派を全否定しようと思いませんが、ちょっと酷過ぎないでしょうか? こういう数字で、推進派・脱原発派・否定派など諸々の考え方の人たちが、どういったエネルギー政策をとるのか、どのような文化生活を考えるのかをフェアに議論できるように思えないのです。

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http://gendai.net/articles/index/syakai

デタラメな 原発事故コストを「割安」と弾いた原子力委員会の驚愕報酬
20111026 掲載

「安全性は管轄外」と開き直り

 原発事故のコストは最大でも1.2円、ほかの燃料よりも安い――。政府が初めて原発事故に関するコストを試算したが、その内容には驚きを通り越してア然だ。
 試算をまとめたのは、内閣府の「原子力委員会」。それによると、日本の原発で深刻な事故が発生した場合、損害賠償や廃炉費用などの被害額は1基当たり3兆8878億円。これに事故の発生頻度を「500年に1回」と仮定して掛けると、発電コストは1キロワット時で最大1.2円上乗せされる計算になるという。
 この上乗せ分を加味しても、原発の発電コストは火力や水力、太陽光を下回り、事故が起きても安いという理屈なのだが、ハァ? ではないか。現実に最悪の原発事故が起こり、数万人が避難生活を余儀なくされているのだ。あまりにノーテンキだし、算定の前提からしてデタラメだ。
 それもそのはず、原子力委員会のメンバーの顔ぶれを見れば、こんな結果になったのも当然なのである。

   「5人の委員のうち、委員長の近藤駿介氏をはじめ、3人が
    東大工学科出身の原子力エリートです。そのうちのひとり、
    尾本彰氏にいたっては東電の顧問も務めている。今回のコスト試算を
    まとめた小委員会には、外部から有識者ら6人が加わったが、
    座長を務めたのは原子力委員会の鈴木達治郎委員長代理です。
    試算には結局、巨額の除染費用や放射性廃棄物の中間処理費用の建設費は
    計上されていません。有識者からは『除染には48兆円かかり、
    コストは最大で16円にもなる』などの異論も出たが、座長の鈴木氏は
    『0.1~1円あたりが妥当』なんて言っていました。わずか3回の会議で
    議論は尽くされていないのに、最初から結論ありきみたいに、コスト試算が
    まとまったかのようにいわれている。これは異常事態ですよ」
    (環境ジャーナリスト)


 経産省の保安院といい、原子力安全委員会といい、ロクなものではなかったが、原子力委員会も同じ穴のムジナだ。国会で原発事故後の怠慢を批判された近藤委員長は、「火事場で火消しの方法を言うのは適切じゃない。それを見て、沈静化してから取り組むのがミッション」と開き直った。鈴木委員長代理は6月に韓国で開かれた原発事故の討論会で、「われわれは原子力政策には責任があるが、原発の安全性には責任がない」とヘラヘラしながら話していた。
 こんな連中にベラボーな税金が使われているのだから許せない。3期6年も君臨している近藤委員長の月給は106万円! 鈴木代理も月額93万円の高給取りなのである。被災者はやりきれないだろう。それでも、原子力委員会の事務局担当者はこう言い切った。

   「当委員会は原子力を推進する立場であり、原子力に関する政策を
    つくるための組織です。原発の安全性について考えるのは
    原子力安全委員会の仕事です。われわれは安全性についてはかかわらないし、
    かかわることもできないのです」


 こんな組織がまとめた原発事故のコスト試算なんて、ハナから信用できるわけがないのだ。
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●「裁判員制度」の下での「死刑制度」存置支持

2011年11月09日 00時08分40秒 | Weblog


11月4日付朝日新聞社説(
http://www.asahi.com/paper/editorial.html)と、asahi.comの記事(http://www.asahi.com/national/update/1020/TKY201110200652.html?ref=reca)から。

 「裁判員制度」・「死刑制度」のどちらの制度についても、議論がほとんど盛り上がることがない我国。
 今回の裁判員の方々、「死刑のスイッチ」を押させられ、しかも、死刑制度存置に加担させられてしまった訳で、誠にお気の毒というしかない。私にはとても出来ないし、裁判員を引き受けるつもりもない (← その種明かしはこの本に)。
 どのように裁判員と裁判官の間で話し合いが持たれたのだろうか。裁判官によってどのように「死刑のスイッチ」に〝誘導〟され、死刑制度存置に〝導かれ〟て行ったのか、うかがいしれない。裁判員には語れないから。国が死刑存置なのだから、従えと言わんばかりに。

 どちらの制度も、この国のいつものごとく、淡々と続いていく。最高裁が、裁判員制度を違憲とすることなんてありえないでしょうやらせは、電力会社の特許ではない(こんなやらせや癒着をやっていて違憲なんて出せる訳がいないだろう、天に唾する行為だから)。3.11東京電力福島原発人災後も、政治も含めた全てが何も変わらず、全てこれまで通りに淡々と。そこに少しは何らかの躊躇いや煩悩があっても良いのではないか。

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http://www.asahi.com/paper/editorial.html

2011年11月4日(金)付
裁判員と死刑―情報公開し広く議論を

 パチンコ店で5人が犠牲になった放火殺人事件で、大阪地裁は被告に死刑を言い渡した。
 弁護側が「絞首刑は憲法が禁じる残虐な刑罰にあたる」と主張したことから、裁判員裁判で初めて死刑の違憲性が争われた結論は「合憲」だった
 裁判員法は、憲法判断などの法令解釈は裁判官が担当すると定めている。今回は裁判長が「裁判員の意見を聴きたい」と審理への参加を求めた。
 最高裁は1955年、絞首刑について「他の方法に比べてとくに残虐という理由は認められない」と、合憲の判断をした。
 それから半世紀がたち、情勢は大きく変わった。欧州諸国は死刑を廃止し、続ける国でも絞首刑は減っている。
 今回、オーストリアの法医学者が法廷に立ち、「首が切断されるおそれがある」と話した。元最高検検事は死刑執行に立ち会った体験から「正視に堪えず、残虐な刑罰に限りなく近い」と証言した。
 裁判員の意見を踏まえた判決は「絞首刑には前近代的なところがある」と指摘したうえで、「死刑にある程度のむごたらしさを伴うことは避けがたい」と、合憲の結論を導いた。
 判決後、記者会見した裁判員は、議論に必要な情報が少なかった、と語った。
 裁判長は、受刑者の身体に損傷が生じた事例などについて国に照会したが、法務省は「回答できない」と突っぱねた。
 法務省は以前から、死刑に関する情報開示には極めて消極的だ。刑の執行状況などについても明らかにしてこなかった。
 しかし裁判員制度が始まり、市民は直接、死刑と向き合うことになった。実態をつまびらかにしないまま、究極の刑罰について判断を求めることがあってはならない。法務省は、死刑やその執行をめぐる情報を積極的に公開するべきだ。
 昨夏、当時の千葉景子法相が刑場を公開し、死刑の是非を考える勉強会を省内に立ち上げた。だが相次ぐ法相の交代などで議論は進んでおらず、情報の開示も不十分なままだ。
 個別の事件の法廷は、死刑制度の是非や、執行の合違憲を論じる場としては限界がある。
 ある裁判員は「死刑の存廃を含め、国民的な議論の場が必要と感じた」と話した。「死刑問題への取り組みも職責」という平岡秀夫法相は、議論の場を広げる努力を怠ってはならない。
 判決は「どの執行方法を選択するかは立法裁量の問題」とも指摘した。議論を深めるため、国会も手を尽くす必要がある。
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http://www.asahi.com/national/update/1020/TKY201110200652.html?ref=reca

201110202256
裁判員制度は合憲か違憲か 最高裁、11月16日に判決

 裁判員制度が憲法に違反しないかが争われた刑事裁判の上告審で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允〈ひろのぶ〉長官)は来月16日に判決を言い渡すことを決め、関係者に通知した。裁判員制度について、最高裁が初めての憲法判断を示す。
 主な争点は、裁判員制度が「(地裁や高裁など)下級裁判所の裁判官は最高裁が指名した者の名簿によって、内閣で任命する」と定めた憲法80条に適合するかどうか。弁護側は「くじで偶然選ばれた裁判官以外の者が、裁判官と対等の権利を持って裁判に関与するのは違憲だ」と主張。検察側は「憲法には、裁判官以外の者の関与を禁じる規定はない」と反論している。
 審理の対象は、覚醒剤を密輸したとして一、二審で実刑とされたフィリピン国籍の女性被告(45)。一審から無罪を主張し、弁護側は控訴審から「裁判員制度は違憲だ」と訴えている。
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●放射線管理区域以上に汚れた世界

2011年11月08日 00時00分58秒 | Weblog


WP『小出裕章(京大助教)非公式まとめ/京大原子炉実験所助教 小出裕章氏による情報』(http://hiroakikoide.wordpress.com/)に出ていた記事http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/10/26/koube-oct24/#more-2487)。

 立て続けの同所からの引用、すいません。小出裕章さんのこれだけの情報発信量に頭が下がります。3.11人災以前に小出さんのお話に耳を傾け、原発を1基でも多く停めることができていたらと思います。返す返すも残念です。もう引き返すことができない、新たな世界で生きて行くしかなくなりました。小出さんのおっしゃっているように、放射線管理区域以上に汚れた世界に。

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http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/10/26/koube-oct24/#more-2487

1024 1平方キロ当たり6百億ベクレル以上のセシウムへの警鐘 小出裕章(神戸新聞)

2011
年10月24日(月)、神戸新聞が小出裕章氏のコメントを掲載しました。


以下転載。
=====

原発、もっと学ばないと… 原子炉実験所見学記
 


研究用原子炉。円筒形の建屋は直径28メートル、高さ22メートルもある=京都大学原子炉実験所(画像

「今後は放射性物質が付着したがれきや下水、汚泥の問題も出てくる。国や東電の責任の取り方を考えなければ」と話す小出裕章助教=京都大学原子炉実験所(画像

 放射性セシウム、ストロンチウム…。それまで市民に縁遠かった言葉が、あの日から毎日のように報じられる。関西でも危機感を抱く人は少なくないが、その前に私たちはどこまで原子力のことを知っているだろうか。京都大学原子炉実験所(大阪府熊取町)を見学する母親グループに同行した。

 「原発を学び、子どもたちに伝えたい」と企画したのは、NPO法人「『絵本で子育て』センター」(芦屋市)。参加したのは芦屋市や神戸市などから母親ら28人。九州から駆けつけた人もいた。

 京大原子炉実験所は、1963年に核エネルギーの利用と放射線の研究・教育を目的に、共同利用研究所として設置された。住宅地に隣接する広大な敷地に研究用原子炉、放射性廃棄物処理装置などの設備がある。

 原子炉棟に入る時には靴にビニールカバーをつけ、代表者にはポケット線量計が渡された。二重扉の向こうは「放射線管理区域」(1平方メートル当たり4万ベクレル以上の区域)。減圧された内部は耳がつんとする。中央には最大熱出力5千キロワットの研究用原子炉。熱出力は原発の発電炉の約600分の1程度だ。

 原子炉内部では、核燃料(ウラン235)に中性子を当てて核分裂させており、仕組みは原発の発電炉と同様だが、熱出力の規模が小さいため、冷却水が高温になることはないという。

 核分裂で得られる熱エネルギーでタービンを回す原発に対し、実験所は生じる中性子を実験に利用している。例えば、中性子照射によるがん治療が臨床研究の段階だ。脳腫瘍の患者にとって、頭開手術なしに腫瘍だけを壊すことができ、負担は大きく軽減される。

 気圧が戻る。屋外に出る時には、汚染の有無を調べるため、機器でチェック。線量計はゼロのままだった。

 敷地内には、核分裂後の放射性廃棄物を処理する施設もある。実験・研究に使った器具などは容器に収納され、保管される。放射性廃液はレベルに応じ、蒸気過熱や分離装置を使うなどの過程を経て、細心の注意を払い処理されるが、廃棄物そのものがゼロになることはない。

 見学した森ゆり子さんは「トイレのないマンションのよう。処分が難しいものを生み出す怖さを実感した」と話した。

     ■

 見学後、原発の危険性を訴え続ける同実験所の小出裕章助教から福島の現状と今後を聞いた。

 国による航空機モニタリングの結果、福島県や栃木県北部、群馬県北部で、1平方キロ当たり6百億ベクレル以上のセシウムが確認されている。換算すると、放射線管理区域とほぼ同様の条件だ。

 「本来なら必要な人が短時間だけいることができる場所のはず。にもかかわらず、今も数多くの人が逃げずに生活している」と“矛盾”を訴えた。「子どもをこれ以上被ばくさせてはいけない」

 「関西の人たちにとっては、福島の原発事故は遠く感じるかもしれないが、原発を認めてしまった責任は、社会の一員である私たち大人にもある。どうするかを考えなければならない」と小出助教は訴えた。

 行きと違って、帰りの車中は誰もが言葉少なだった。母親の一人がつぶやいた。

 「これまで原発を見ようとしてこなかった。もっと学ばなければ」
(鈴木久仁子)


引用元:http://www.kobe-np.co.jp/news/kurashi/0004570184.shtml
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●第三報: 福島第一原発に潜入したジャーナリスト

2011年11月07日 00時00分16秒 | Weblog

 
MyNewsJapanaの記事(http://www.mynewsjapan.com/reports/1511および山岡俊介さんのアクセスジャーナルhttp://www.accessjournal.jp/modules/weblog/)の10月23日の記事。

 山岡俊介さんの著書に関する紹介、第3弾。
   『福島第一原発に潜入したジャーナリスト』
      (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/54f85a8b0fde8a28485be4102d646a92
   『続報: 福島第一原発に潜入したジャーナリスト』
      (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/cec1dd6a821dc7db3e2614e2e5e705c2
 

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http://www.mynewsjapan.com/reports/1511

原発テロ「まったく可能、免震棟占拠も簡単」 潜入取材の山岡俊介さんに聞く福島第一原発の現実
佐藤裕一 05:04 10/20 2011

 「テロ?まったく可能ですよ、ホントに。自爆テロならぜんぜんできると思いますよ。まず対策本部がある免震棟の占拠が簡単じゃないですか?」--そう話すのは、爆発後の6月、作業員に扮して福島第一原発に潜入取材したジャーナリストの山岡俊介さんだ。6月のある雨の日の昼頃、崩壊寸前の3号機が目の前に見える地点まで接近、その潜入手口や警備の甘さなどを指摘した『福島第一原発潜入記』を9月末に出版した。防護服を脱いだ作業員たちを見ると、全身入れ墨の人たちが次々と眼に入り、外見は、まるでヤクザ者と多重債務者みたいだったという。「なんだこれ、すごいいるじゃないか」。取材のため暴力団幹部とも交渉した山岡さんに、話を聞いた。



Digest
免震棟の占拠「しようと思えば簡単」
刺青の人、パッと見で3人 「下手したら3桁いる」
暴力団幹部「カネくれ」 元作業員に取材申込みに
テロ「まったく可能、まして自爆テロなら」
潜入時、時間があれば「建屋に近づく予定だった」




『福島第一原発潜入記--高濃度汚染現場と作業員の真実』
著者=山岡俊介、出版=双葉社、20110928日発売、184ページ
ISBN-10: 4575303585
ISBN-13: 978-4575303582


免震棟の占拠「しようと思えば簡単」

--本を読むと、慎重に潜入した感じでしたが、そんなに苦労した感じはしませんね。呼び止められたり、警戒されたりとか、まったくなかったのですか。

 ぜんぜん。拍子抜けっていうか。
なんなんだこれは、と。


--この本をテロの参考書として読んだときに、何がポイントになりますか。

 ポイントは足ですね。ボクらは作業員として行っているわけではないので、作業員の基地であるJビレッジから約20キロ離れた原発まで、定期バスに乗るしかない。それに乗れるか乗れないかだけの話なんで。
 もちろん小さなポイントはあるけど、バスに乗っちゃえば一切チェックがない。そのまま運んでくれるんで。言ってみれば、Jビレッジまでは誰でも行けるんですよ。定期バスの存在さえ知っちゃえば、それに乗ればいいだけ。乗れば少なくとも、対策本部のある免震重要棟(以下、免震棟)までは行けちゃう。

 免震棟とは、1号機から北西に約200メートル離れた2階建ての建物で、対策本部が置かれている。

 免震棟まで行けば、対策本部はドアもついてないし、同じ部屋で作業員に線量計を渡してるんで、入ることもぜんぜんおかしくない。極端な話、占拠しようと思えば簡単。免震棟に入るときに荷物チェックもまったくないんで、ビニール袋の中に入れておけば何でも通っちゃう。


--ポイントはそこだけ?

 細かいことを言うと、本にも書いたように、定期バスに乗るときには事前に申し込みして、名前と企業名を書かないといけないので、それを知らないと絶対できない。ここがバスの申込所だとか分かるように書いてあるわけじゃないので、どこが申込所なのかわからない。ボクは、そこにいた人が顔で教えてくれたから分かったんですけど。

 申込所の机のところに東電の人かどうかわかんないけど人が座ってて、そこで「申し込みますから」って言って、「じゃあ書いてください」と。名前は仮名にして、あんまり人数が少ないと顔とか覚えられてる可能性があるので、実在のそれなりの業者の社名を書いた。それで、定期バスが来るじゃないですか。そしたら乗るときに一人一人、名簿を持っている人が「誰ですか」って言うので名前と所属を言って、係の人が名簿に横線を入れて。

 申し込みはバスが出る30分くらい前までにやるっていうことになっているらしいので、申し込んでからバスが出るまでのあいだに業者に身分照会をしてたら、もうアウト。それだけが心配だったけど、乗れたということはしてないということ。

 バスはマイクロじゃなくて普通の路線バスみたいな大きさで、50〜60人は乗れるのかな・・・・・・。
・・・・・・。
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http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/

2011/10/23
<記事紹介>原発テロ「まったく可能、免震棟占拠も簡単」 潜入取材の山岡俊介さんに聞く(「My News Japan」。佐藤裕一)
執筆者: Yamaoka (7:19 pm)

 東電の会見に頻繁に出て質問するなど、「回答する記者団の運営を行っている佐藤裕一氏から、9月末に出した著書『福島第一原発潜入記』について、本紙・山岡は1時間以上に渡りインタビューを受けた。
 その記事が、インターネットニュースウェブサイト「My News Japan」に1020日から掲載されている。
 どうしても書名などから、対テロの問題が注目されてしまうが、同記事では、現場の作業員の実態やその供給といった闇の部分についてもそれなりに紙面が割かれているので、興味のある方は是非ご覧いただきたい。
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●小出裕章さん、核=原子力は「違憲」という視点

2011年11月06日 00時24分43秒 | Weblog


WP『小出裕章(京大助教)非公式まとめ/京大原子炉実験所助教 小出裕章氏による情報』(http://hiroakikoide.wordpress.com/)に出ていた記事http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/10/05/jul23/)の一部のみコピペ。全文はリンク先でどうぞ。

 原子力=核はこれまで良く聞いてきた小出裕章さんの主張。違憲という主張はあまり記憶になかったのですが、ニーメラー牧師の文脈でかつても語られていたような気がします。考えてみるとうなずけます。原発=原爆という兵器(につながる可能性のあるもの)なのですから、に反していますし、その他、FUKUSIMA原発人災によって、原発が色々な条文に反していたこと、反するようになったことが理解できるのではないでしょうか。様々な訴えがあったにもかかわらず、法律に準じて判決を下すべき裁判所憲法の番人であるべき最高裁は一体何をやっていたのでしょうか。

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http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/10/05/jul23/

723 原爆も原発も同じ! 憲法九条違反だ! 小出裕章(機関誌「救援」)

救援連絡センターの機関誌「救援」に掲載されていた小出氏の文章のようです。コメント欄にてちたりたさまより教えていただきました。


ちきりたさんによる、このエントリーの紹介
原爆も原発も同じ!憲法九条違反だ! 小出裕章」という表題の救援連絡センターの機関誌「救援」を読んでおりましたら、後ろから今井一氏が「えっなんやそれ?小出さんすごい内容やないか!」と覗きこんでこられ、7月23日、堅田九条の会例会・大津市での「原爆・原発と憲法九条」についての講演だと説明しました。
タイトルだけ見ますと、とても過激でびっくりします。
動画の配信は7月に載っておりましたが、ここではテキスト表示はなかったですね。



以下転載。
=====

「原爆も原発も同じ!憲法九条違反だ! 小出裕章」


1発の原爆で町がなくなった

つい何十年か前まで世界は悲惨な戦争をずっと続けていた。ナチスドイツという国がユダヤ人を中心に何百万人も虐殺したという歴史がある。ナチスはビルケナウ強制収容所にたくさんの人を収容し、虐殺した。そのことを戦後のドイツはずっと背負って自分たちがやったことを問い続けている。1985年に当時のヴァイツゼッカー大統領が、ドイツの国会で「荒れ野の40年」という有名な演説を行った。彼が何を言いたかったかというと、「歴史に目を閉ざしてはいけない。自分たちがやってきた過去をしっかりと見つめておかないと、現在をまた間違える、未来のことをまた間違える」ということ。



・・・・・・。

憲法違反の原爆・原発をなくそう

原発推進の理由は核兵器

2011
年3月11日、東電・福島原発で事故が起きた。4つある原子炉の既に3つまでが爆発してしまい、2号機だけは形はあるが、中身は原子炉が溶け落ちるという大変悲惨なことになっている。こんな原子力を何で進めるのか。未だに日本は原子力発電を続けようと言っているし、1兆円もの金をどぶに捨てて、高速増殖炉もやり続けると言っている。なぜこんなことをいつまでもやり続けるのか。

そのことをどうしても諦めきれない本当の理由は「核兵器」だ。普通の原子力発電所の稼動時にプルトニウムが出来ていて、それをイギリスとフランスに送って再処理し、日本がプルトニウムを懐に入れている。そのプルトニウムの組成は、ウランに燃えるウランと燃えないウランがあるように、プルトニウムにも燃えるプルトニウムと燃えないプルトニウムがある。普通の原子力発電所で出来てくるプルトニウムは、約7割しか核分裂をしない。残りの3割は核分裂をしないプルトニウム。


原爆を作る時、燃えるプルトニウムが90%、或いは93%くらいはほしいというのが常識。このプルトニウムでも原爆は出来ると実験で確かめられているが、やはり高性能の原爆は作りにくい。そこで日本は、これで4000発は確かに作れるが、「これではやっぱり嫌だ。もっと高性能な原爆を作りたい。」ということで高速増殖炉を作った。これを動かしブランケット=炉心を取り巻く部分に燃えないウランを入れていくと、プルトニウムに変わっていく。そこにはなんと98%の燃えるプルトニウム、超優秀な原爆材料が出来てくるのである。とにかく1基でも2基でも高速増殖炉を動かして、核分裂性のプルトニウム98%という途方も無い超優秀な核兵器材料を手に入れたいと彼らは思っている。だから、高速増殖炉を諦めないでやっていこうとしているということだ。



憲法とニーメラー牧師

日本国憲法9条は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。第二項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」 と書いてある。ものすごい明確な文章。これをどうやって解釈できるかなんて、解釈の余地もない。軍隊なんて持たない。戦争も一切しないと書いてある。日本が平和国家で、軍隊を持っていないなんて誰がどういう面をして言えるのかと私は思う。

「ナチスがコミュニストを弾圧したとき、私はとても不安だった。が、コミュニストではなかったから、何の行動も私は行わなかった。その次、ナチスはソシアリストを弾圧した。私はソシアリストではないので、何の抗議もしなかった。それからナチスは学生・新聞・ユダヤ人と順次弾圧の輪を広げていき、その度に私の不安は増大した。が、それでも私は行動しなかった。ある日、ついにナチスは教会を弾圧して来た。そして私は牧師だった。が、その時はすべてがあまりにも遅すぎた。」ドイツ福音主義教会のマルチン・ニーメラーという牧師の言葉である。
ニーメラー牧師という人は、先の戦争の時に初めは戦争に加担していた一人。それでも途中で戦争反対の活動を始めた。ニーメラー牧師はナチスに捕らえられて強制収容所に入れられ、危うく死ぬところだったが、戦争が終わる時にようやく救出されて生き延びた。彼は「収容所に入れられていたから何もできなかった」と言うとことはできる。だが、人が焼き殺されている時に、ニーメラー牧師はまだ自由な人間としてドイツにいた。弾圧のことをどこまで知っていたかは別にしても、ドイツで自由な人間として彼は生きていた。



歴史に眼を閉ざすな

歴史というものは、しっかり見つめ、現在そして未来につなげていかなければいけないと思う。原発事故として起きている問題も同じだと思う。私は今、全く自由な人間として生きている。警察から拘束されているわけでもない。刑務所にいれられているわけでもない。今、日本では原子力というものが進められ、大変な悲劇が福島で進行している。そんな悲劇をものともしないで、日本が原子力を進めるということは、要するに核兵器を持ちたいということだ私は思っている。それに何の抵抗もしないまま生きるということは、ニーメラー牧師が後悔したように、いずれ私自身も後悔しなければいけないと思う。私は、なんとか原子力の真の姿を多くの人たち伝えることで、今の原子力を止めたいと願うものです。


(2011年7月23日、堅田九条の会例会・大津市での「原爆・原発と憲法九条」についての講演より)

http://qc.sanpal.co.jp/info/1339/
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●まともな要求、遅すぎた対応

2011年11月05日 00時01分00秒 | Weblog


東京新聞から(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011101101000640.html)。

 3.11東京電力福島第一原発人災の教訓を受けてのまともな要求だったのでしょう。3.11よりずっと以前に要求がなされて、まともな対応がなされていれば、日本の原発の哀しい状況も少しは変わっていたでしょうに。
 村長さんの発言の立地条件として不適切」というのは、適切な場所がこの国のどこかにあると云うことが前提になっている訳だけれども、大いなる幻想ではないかな? そんな場所この狭くて、地震大国の国に、ある訳がない。「東京から近いことも踏まえ」っていうのも、どういう意味なのだろう?

 この人災を目の当たりにしても、即刻の廃炉やその後の膨大な放射性廃棄物問題に対する対策へと向かって行かないこの国っていったい何なのだろう。

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011101101000640.html

村長が東海第2原発の廃炉要望 細野原発相に
20111011 1905

 運転開始から30年以上たつ日本原子力発電 東海第2原発(茨城県東海村、沸騰水型、110万キロワット)について、地元東海村の村上達也村長は11日、都内で細野豪志 原発事故担当相に対し、廃炉を求める考えを伝えた。

 村上村長は、第2原発から30キロ圏内の人口は100万人に上り「立地条件として不適切」と強調。老朽化や、東京から近いことも踏まえ「廃炉にすべきではないか」と指摘した。

 村長によると、細野氏は「貴重な具体的な提言をいただいた。考えさせていただく」と答えたという。

 東海第2原発は、1978年に運転を開始。3月11日の地震では、原子炉が自動停止した。

(共同)
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●あ~、またしても原発廃止・脱原発の外堀が埋められていく

2011年11月04日 00時00分43秒 | Weblog


asahi.comの社説(http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1)。珍しく。

 原子力ムラを維持するためならば何でもやる、ということでしょうか。インド、ベトナム、トルコ。こんなことをやっていて本当に大丈夫なのでしょうかね。大地を汚し、海を汚しても、まだ懲りていない訳です。彼らにとってどうでもよいことなのでしょう。不完全な技術、高濃度放射性廃棄物の処理・処分技術さへ確立できていないものを平気で金儲けのために外国に売ろうとしている訳です。

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http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1

2011年11月2日(水)付
ベトナム支援―原発輸出は考え直せ

 野田首相が福島第一原発事故で停滞していた原発輸出の「解禁」に大きくかじを切った。
 来日したベトナムのズン首相との間で、日本政府が原発2基の建設に協力することを約束した共同声明に署名したのだ。
 実現すれば、日本初の原発輸出となる。
 私たちは、史上最大級の事故を起こし、原発への依存度を減らすべき日本政府が、原発売り込みの先頭に立つのは、筋が通らないと主張してきた。
 ベトナムが電力不足解消への協力を求めたとしても、その答えが原発である必要はない
 近年、日本とベトナムは急速に緊密さを増している。
 今回のズン首相の訪日では、レアアースの共同開発のほか、ベトナムからの看護師・介護福祉士候補者の受け入れ、高速道路建設などへの計930億円の円借款供与でも合意した。
 経済成長が著しく、今世紀半ばには人口が1億人に達するベトナムは、投資先としても市場としても魅力がある。
 日本政府としては、軍事力の近代化や海洋進出を強める中国をにらんで、関係を強化しておきたい思惑もあろう。
 ベトナムも南シナ海で中国との紛争を抱える。日本は資金、技術の提供元というだけではなく、安全保障上も協力を深めたい存在だ。
 だからこそ両国は、政府レベルでお互いを「戦略的パートナー」と位置づけ、日本は最大規模の途上国援助(ODA)の供与を続けている。
 ベトナムとの友好を進め、発展を手助けすることに異議はない。しかしその方法は、いまの日本にふさわしいものであるべきだ。インフラ整備や自然エネルギーの開発、人の交流など、多くの分野で協力できる。
 日本政府は最近、インドとの間でも原発輸出の前提となる原子力協定交渉を進展させることで合意した。トルコとの協定交渉も再開をめざしている。
 原発事故がいまだに収束せず、検証作業も終わっていない。政府の姿勢はあまりに前のめり過ぎるのではないか。
 原発輸出のために技術水準を維持する必要があると、「脱原発依存」の歩みを遅らせる口実にも使われかねない。輸出先で原発管理の責任を長期間、背負うおそれもある。
 民主党政権は原発輸出を成長戦略の目玉に据えていた。しかし実際に事故が発生し、巨大な被害を目の当たりにしたいま、何ごともなかったかのように既定路線を走ることは決して許されない。
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●こうしてどんどんと原発廃止・脱原発の外堀が埋められていく

2011年11月03日 00時00分06秒 | Weblog

 
asahi.comの記事(http://www.asahi.com/national/update/1102/SEB201111010072.html)と東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011110202000056.html)。嫌になるニュース、
恥ずかしくなるニュースばかりです。

 12月には定期点検のために停止するものを、ミスによる停止ややらせメール問題、仕込み質問第三者委員会の報告でごたついている中、強引に運転再開するというのは、原発維持・推進に向けての原子力ムラの本部や支部の強い意志なのでしょう。原発廃止派や脱原発派に対する強い牽制だと思われます。ほんとに困った人たちですし、心ある諸外国の人たちから見るとあきれ果て、蔑んでおられることでしょう。FUKUSIMA原発人災で苦しむ人たちはどのように思われていることでしょう。顔向けできない思いです。こうやって既成事実を積み上げて行き、外堀を埋めていくつもりです。今回の九電の言い分を見て下さい。佐賀県知事や玄海町長の行動も。
 政治もダメ、裁判もダメ、マスコミもダメ、原発廃止への世論もいまひとつ盛り上がらず・・・・・・日本・日本人に、希望が見えてきません。

 〝節電非協力〟とは言いませんが、「そげえ電気ば作って、どげいするとな?」とでも聞きたくなる。

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http://www.asahi.com/national/update/1102/SEB201111010072.html

2011112046
九電「地元の了解、ある意味必要ない」 玄海4号機再開

 トラブルで停止していた佐賀県玄海町の九州電力 玄海原発4号機の運転が、1日深夜に再開された。「やらせメール」問題も収束しない中、「説明不足」と批判されながらの再開。慌ただしさの背景には、経済性を優先して再開を急いだ九電の姿勢がくっきりと浮かぶ
 「地元の了解は、ある意味必要ない」。午後7時半から急きょ始まった九州電力の会見。原子炉の運転再開に「地元の理解を得た」としながら根拠は示せず、「なぜ地元の理解が得られたと言えるのか」と再三問いただされた原子力発電本部の豊嶋直幸部長は、つい、こう漏らした
 原子力への見方をがらりと変えた東京電力福島第一原発事故の後、止まっている原発が運転再開するのは初めて。それなのに役員クラスは会見に姿を見せず、出席した原子力部門の2人は「定期検査中の原発とは違う」「扱いは運転中の原発と同様」と繰り返した。
 だが、質問は地元との信頼関係に集中。やらせメール問題の決着も見通せないなか、なぜもっと丁寧な説明をしないのか問われても「メール問題と4号機再開の話は別」。石川伸一グループ長も「逆にこのまま止めておく理由もない」と話した。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011110202000056.html

玄海原発再開 不信はまた深まった
2011112

 九州電力という会社は、よほど世情にうといのか、それとも聞く耳を持たぬのか。人為ミスは機械の故障以上に恐ろしい。なのに拙速な再稼働。原発に対する不安と不信はまた一層深まった
 九州電力は、定期検査で運転停止中の玄海原発2、3号機の再稼働をめぐり、第三者を装った社員らが再稼働の希望を寄せた「やらせメール」問題で、「原発再開のためなら何でもするのかと指弾を受けたばかりである。
 その後、この問題について自ら設置した第三者委員会と、佐賀県知事の関与をめぐって対立したが、最終報告書の再提出にも応じていない。経営トップの進退問題も、うやむやにしたままだ。
 その上、今度は検査ルールのすき間をつくような、4号機の強引な再稼働である。
 4号機の自動停止は先月四日。運転中の部品交換作業の手順に誤りがあったため、異常を検知した発電タービンが止まり、それを受けて原子炉も停止した。運転中の作業を考慮に入れていなかった手順書の不備が原因だった。
 今回は幸い大事には至らなかったが、人為的なミスこそ恐ろしい。どんなに安全に設計された機械も、人がその操作や扱いを誤れば、致命的な事態を引き起こす。
 今回の自動停止は、結果が出るまで数カ月間の停止を余儀なくされるストレステスト(耐性評価)の対象外ではあるだろう。だが、人為的ミス、あるいは手順書の不備といった初歩的ミスを軽く見るかのように再稼働を急ぐ様子は、経済産業省や地元首長らの動向も含めて、市民感覚とは、かけ離れたものといわざるをえない。
 政府は一日、九電管内にこの冬、前年比5%以上の節電を求めることを決めた。それに呼応するかのような再稼働の強行は、国民の不安より政府の意向安全よりも経営の安定を優先させる消費者不在の企業風土をあらわにしてはいないだろうか。
 4号機は、来月すぐに定期検査に入る。引き続き停止させたまま、機械だけでなく手順書を隅々まで点検し、現場の作業員から本社の管理部門に至るまで、ミス防止の再教育に十分な時間を費やすのが筋ではないか
 そして、その経過と結果を地元首長だけでなく、国民全体に正しく説明すべきだった。これでは、原発だけでなく、この国のエネルギー行政に対する不信がますます募るだけだ。
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●FUKUSIMA後をどう生きるか?

2011年11月02日 00時13分27秒 | Weblog


CMLに出ていた投稿の一部(http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-October/012650.html)。

 毎日放送(MBS)のドキュメンタリー。ディレクターは津村健夫氏。WP『小出裕章(京大助教)非公式まとめ/京大原子炉実験所助教 小出裕章氏による情報』(http://hiroakikoide.wordpress.com/)にも記事(http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/10/25/mbs-oct23/)があり。映像もそこに。

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http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-October/012650.html

[CML 012789] ドキュメンタリー「放射能汚染の時代を生きる~京大原子炉実験所・“異端”の研究者たち~

・・・・・・・・・
2011 10 26 () 05:11:43 JST



みなさまへ   (BCCにて)松元

小出先生の生の声が収録されている「小出裕章非公式まとめ」に、23日に放映された毎日放送テレビのドキュメンタリー「放射能汚染の時代を生きる~京大原子炉実験所・“異端”の研究者たち~」が紹介されています。

京大原子炉実験所・“異端”の研究者たち」とともに、福島に残る人、避難した人の、ともに痛々しい声が映されています。どうぞ、ビデオ(50分)をご覧ください。


=====以下転送======

10月23日 「放射能汚染の時代を生きる~京大原子炉実験所・“異端”の研究者たち~小出裕章(MBS)

     http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/10/25/mbs-oct23/#more-2479

2011
年10月25日



2011年10月23日(日) 、毎日放送テレビでドキュメンタリー「放射能汚染の時代を生きる~京大原子炉実験所・“異端”の研究者たち~」が放送されました。京都大学原子炉実験所の反原発の研究者たちを取材しています。


番組内容

技術先進国の日本では、決して起こることはないとされてきた原子力発電所の重大事故。3月11日の東京電力福島第一原発の事故で、それが現実のものとなった。京都大学原子炉実験所の助教、小出裕章さんと今中哲二さんは、原子力の専門家の立場で、重大事故の危険に警告を発してきた。原子力の世界で“異端”視されてきた彼らはいま、何を思い「フクシマ」後の世界をどのように生きようとしているのかを追う。

録画(50分)
       http://youtu.be/hvi6GaecKM8



関連する報道は以下の通り。


=====(2011年10月21日(金)の朝日新聞夕刊)

放射能汚染 研究者たちの苦悩
毎日放送がドキュメンタリー

私たちはこれから放射能汚染とどう向き合っていくべきか。毎日放送(MBS)が、3月の東京電力福島第一原発の事故が突きつけた問題を取り上げ、ドキュメンタリー「映像’11 放射能汚染の時代を生きる 京大原子炉実験所・”異端”の研究者たち」を制作した。24日午前1~2時に放送する。

熊取6人組」と呼ばれた京大原子炉実験所(大阪府熊取町)の研究者たちは、原発の「安全神話」が主流だった時代から、約40年にわたって原発の危険性を訴え続けてきた。番組は、彼らに焦点を当て、現在も実験所に勤める小出裕章助教と今中哲二助教の事故後の半年間に密着した。

2人は3・11後、それまでと一変して脚光を浴びるようになった。福島市での講演で「残れば健康被害、逃げれば心が崩壊する」と苦悩しながらもリスクを率直に説明した小出助教。福島県で放射線量を測定し、住民に情報を提供する今中助教。それぞれの、危険性を指摘していながら事故を止められなかった痛恨の思いが浮き彫りになる。

津村健夫ディレクターは「被災地を思うと今も心苦しいが、原発についてフラットに議論をできるのは今しかない」と話す。「日本は、原発に関してこれからどう歩んでいけばいいのか、その判断材料にしてほしい」  (向井大輔)

・・・・・・。
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●原発事故ハザードマップを知らしめてはいけない!?

2011年11月01日 00時01分04秒 | Weblog


WP『小出裕章(京大助教)非公式まとめ/京大原子炉実験所助教 小出裕章氏による情報』(http://hiroakikoide.wordpress.com/)に出ていた記事http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/10/22/kansai-oct20/)。

 短い映像資料ですが、一見の価値があります。色々な問題が凝縮されていて、大変にためになりました。小出裕章さんや嘉田由紀子 滋賀県知事も出演されています。関西のテレビ番組ですので、具体的には美浜原発の事故を想定した番組になっています。
 なかでも、原発20キロ圏外にはハザードマップは必要はないといった点や、実際のFUKUSIMA原発人災の際に、それが公表されなかったために、むしろ汚染された地域に避難してしまったといった点です。100億円以上を湯水のごとく費やした(何か、東京都知事による東京オリンピック誘致の際の宣伝ビデオを思い出しました)SPEEDIを有効に使わず、パニックを恐れるといった理由でその結果の公表をほとんどしようとしなかった態度。自治体にとっては防災計画を立てる上で重要であり、それ以上に、原発事故において、住民にとって避難すべき先の選択をする上でもっとも重要になる情報を公開しようとしないこの態度は非常に大きな問題で、世界も呆れていることでしょう。滋賀県はSPEEDIの使用を文科省に申し出たが、その使用は拒否されたそうだ!! 結局、原発から同心円状に数十キロ離れていれば安全だという主張をいまだに続けている訳だ。これだけホットスポットが騒がれているのに。3.11当初から分かっていたはずなのに、メルトダウンさへも隠す国であり、企業体質であることを忘れてはいけない。
 「宝(かどうかは別にして)の持ち腐れ」。このソフトも湯水のごとくカネ(マネー)をつぎ込み誰かに金儲けさせることが目的だった訳ね。人命なんてどうでも良い訳だ。人の命までも「マネー」でやり取りしましょうという、新自由主義のどうしようもなさの一つの証左ではないのか。

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http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/10/22/kansai-oct20/

1020 未だにSPEEDIデータを隠そうとする理由 小出裕章(かんさい情報ネットten!)
2011
1022

2011年10月20日(木)放送の、読売テレビ「かんさい情報ネットten!」の中の特集「ゲキ追」にて小出裕章氏のコメントがVTRで紹介された。

SPEEDIの今後の利用に関する重要な報道です。


録画
http://youtu.be/ScfEFUePEYw



小出裕章氏のコメント


小出裕章「30キロ圏内の南相馬市の人たちは避難をしろと言われて飯舘村に逃げた人達もいるのですけれども。そうするとむしろ沢山の被曝をしてしまったと、いうことが起きたわけで。やはり風向きによって、放射能の汚染が広まるということを大前提にしながら、どういう防災措置が取れるかとういことをはじめから考えて置かなければいけません」


小出裕章「様々なシミュレーションをしながら防災計画をしていく必要が必ずあるだろうと私は思います。ただしそれは、今の原子力を進めてきた日本というこの国にとっては、それをやれば命取りになると。そんなことを住民に知らせてしまったら、もうみんな嫌だと言うに決まってるから。え……住民に対しては安全だ安全だと言い続けてきたわけだし、これからも彼らはそう言いたいだろうし。その範囲を超えて何十キロにもわたって被害が及ぶということは出来れば隠しておきたいと思いつづけている筈だと思います。」

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