東京新聞のコラム「筆洗」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2011110302000023.html)より。
東京電力 福島原発周辺で被爆し、被災し、今も避難を続けておられる方々には、このような「本当に何もかも奇妙な国」の現実を見せつけられて、御気の毒である。本当に救いようのない国、と目に映っていることと思う。
TPPも同様だけれども、もっと声を張り上げないと、国や東電などの大企業には届かないし、「本当に何もかもが奇妙な国」から脱却することは難しい。また、多くの市民がすでに忘却を始め、無関心でいようとしていることも止められない。「本当に何もかもが奇妙な国」のままでいれば、第2、第3の破滅的な原発人災が起き、TPPや消費税率アップで自殺者続出、「死の町」ならぬ「死の国」という結末が目に見えている。
日本という〝原子炉〟がメルトダウンし、スルーし、いま再臨界しようとしており、チャイナシンドロームならぬ世界を道連れにする崩壊へと導こうとしていることに気づけぬ「本当に何もかもが奇妙な国」ニッポン。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2011110302000023.html】
筆洗
2011年11月3日
北朝鮮などの地下核実験を監視する日本原子力研究開発機構の観測所(群馬県高崎市)では、福島第一原発事故の影響で検知に支障がある状態が続いた▼核実験で放散する放射性希ガスのキセノンを測定する高精度の装置が、原発から地球規模に拡散したキセノンを検知、核実験の観測が正確にできなくなったからだ。通常に戻ったのは事故の三カ月後だ▼核分裂の直後に生成されるその放射性物質が、福島第一原発2号機で検出された。核分裂反応が連鎖的に続く「臨界」が局所的に起きた可能性もあるという▼政府と東電は収束の目標となる原子炉の冷温停止の達成時期を「年内」と明記する工程表を発表していた。微量とはいえ長くても半減期が五日間しかない放射性物質の検出で、いまも核分裂が続いている疑念はぬぐえない▼そもそも、メルトダウン(炉心溶融)を起こして、核燃料が溶け出し、圧力容器の底が抜けている状態であるのに「冷温停止」という言葉を使うことを疑問視する専門家の声もあった。収束ムードの演出はあまりに早すぎた▼キセノンは「奇妙な」「見知らぬ」などを意味するギリシャ語に由来する。人為ミスが原因で止まった原発を住民の意見も聞かずに強引に再稼働させようとする電力会社、事故の検証もおぼつかないのに原発の輸出に踏み切ろうとする政府…。どちらも奇妙に映る。
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