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●東京新聞コラム『筆洗』: 野田政権は沈みゆく泥船

2012年04月29日 02時35分00秒 | Weblog


東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012041502000099.html)とコラム(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012041502000098.html)。トドメは、gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/136168)。

 東京新聞コラム『筆洗』によると、「野田政権は沈みゆく船」だそうだ。安心神話を喧伝する、無責任なドロ船である。大飯原発再稼働という船で、ともに地獄に沈みゆく「地元」民はたまったものではない。泊原発や玄海原発というトッカカリを与えてしまったが、再稼働や原発輸出を決して許してはならない。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012041502000099.html

【社説】
地元、国民の安全どこへ 政府の大飯再稼働方針
2012年4月15日

 政府の大飯原発3、4号機再稼働の方針は、地元とともに私たち国民もよく考えるべきことである。原発に頼らない、安全で豊かな社会に向かって。
 政治と政府が責任を持つのだという。それならば、野田佳彦首相と関係三閣僚の皆さんは、もう一度福島の事故現場をつぶさに歩き、被災者や避難者の話をよく聞いてみるといい
 福島第一原発は今も、小規模な核反応が止まらずに汚染水を排出し、残骸をさらし続けている帰れない人がいる。その数は十六万人に上る。なりわいを奪われ、健康不安を抱え、地域のきずなは引き裂かれ、美田や美林の荒廃になすすべもなく、海の幸をとることもかなわない。がれきの後始末さえ、めどを付けられないでいる。

責任本当に取れるのか

 その現実にあらためて接したうえで、それぞれの心に問いかけてみてほしい。「本当に、責任など取れるのか」と。
 原子力損害賠償法には免責規定がある。福島第一原発事故後にできた原子力損害賠償支援機構法でも、政府の責任は限定的だ。原発事故の責任を取り切れるものは存在しない
 私たちが繰り返し主張し続けてきたことを、再び述べたい。
 枝野幸男経済産業相はこれまでの評価の過程から「二重、三重、四重に安全性を確認した」と言い切った。だが今は、原発の安全性を確認できる状態からはほど遠い。国民の多くがそう思っているだろう。
 第一に、福島第一原発事故の原因は、まだ分かっていない。
 第二に安全評価(ストレステスト)を実施し、政治判断の根拠となる即席の暫定基準をたった二日で作成したのは、福島事故の原因者ともいうべき、経産省傘下の原子力安全・保安院である。原発推進に偏らず、科学的、中立的な規制機関はまだ存在しない。
 関電が政府の要請に対して示した中長期対策の工程表は、八十五項目中三十三項目が未実施だ。
 事故発生時に“司令塔”となる免震施設や、原子炉の圧力を下げるベント(排気)時に放射性物質を取り除くフィルターも、完成は三年先だ。地震や津波がそれまで来ないと、誰も保証できない。
 地震の揺れでがけ崩れが起こり、非常用電源が使えなくなる恐れ、それと同時に住民の避難路が断たれる可能性、津波による浮遊物が建屋を破壊するケースなど、専門家による多くの指摘が、考慮のうちには入っていない。

安全神話時代の認識

 枝野氏は「電力不足が社会の弱者に深刻な事態をもたらすことを痛感した」とも会見で述べた。
 関電はこのまま再稼働ができないと、一昨年並みの猛暑になったとき、最大約二割の電力不足になると試算した。政府はそれを再稼働を急ぐ理由としているが、その見通しは広く検討されたものではない。節電の効果や電力融通の実態も、国民にはよく分からない。
 そもそも、電力不足の影響が病人や高齢者に及ばないように工夫をするのが、政治本来の仕事ではないのだろうか。
 「原発の地元はどこか」についても、国民的な合意はない。
 福島第一原発事故を受け、防災対策の重点区域は、十キロから三十キロ圏内に拡大される。放射能がその日の風向き次第ではるか遠くへ飛散することを、国民は福島事故から学んでいる。
 福井の原発について、大阪府と大阪市は原発から百キロ圏内の全自治体と原子力安全協定を結ぶよう、関電に求めている。無理をいっているのではない。福島の悲しい教訓なのである。
 藤村修官房長官は「法律で地元同意が義務付けられているわけではない」と言った。安全神話時代の認識ではないか。

消費者も協調できる

 私たちは「原発に頼らない国へ」という主張を続けている。
 そこには、原発のリスクを過疎地に押しつけ、電力の大きな恩恵を受けながら、その使用量を右肩上がりに増やし続けてきた、消費者としての自戒が込められている。私たち消費者こそ、原発頼みの電力浪費社会を改める必要に迫られている。
 立地地域の人々も、心は揺れているのではないか。原発が危険なことは重々分かっている。原発交付金が、いつまでも続くわけではない。
 長年の苦衷を国民全体でくみ取って、共有すべきときである。国策の犠牲者である立地地域だけを、これ以上苦しめ続けていいわけがない。原発に代わる地域経済の新たな柱を用意し、地元に安心をもたらすことも、政府の責務ではないか。消費地から立地地域へ呼びかけたい。ともに原発依存から脱却し、持続可能な日本を築こう。協調しよう。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012041502000098.html

【コラム】
筆洗
2012年4月15日

 北アイルランドのベルファスト市を訪れたのは、三千人を超える死者を出したキリスト教宗派の対立が和平合意に達し、政党指導者にノーベル平和賞が贈られた一九九八年だった。宗派が違う人が住む地域を隔てる高い壁は、まだ残っていた▼不況に沈んでいたその港町が今、空前のブームに沸いている。豪華客船タイタニック号が沈んでからちょうど百年。建造地のベルファストには博物館がオープン、高級ホテルも数多く開業し雇用が生まれているという▼氷山に衝突した背景には蜃気楼(しんきろう)の影響があった、という新説も唱えられている。悲劇の事故への関心が薄れないのは、沈没することなどは想像できない巨大客船だったからだろう▼「絶対安全」と専門家が太鼓判を押した日本の原発も、取り返しのつかない事故を起こした。その収束も見えない中、政府が出した関西電力大飯原発の再稼働へのゴーサイン。ここまで国民の声を無視した「見切り発車」は珍しいつい先日まで再稼働反対を公言していた枝野幸男経済産業相はきのう、福井県を訪れ、知事とおおい町長に協力を要請した。結論が決まっているのに、世論への配慮をにじませた芝居は演技賞ものだ▼「原発ゼロ」を阻止したいという理由で、電力需要や供給能力の精査もせず、国民の声という「制御棒」まで吹き飛ばした野田政権は、沈みゆく船である
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http://gendai.net/articles/view/syakai/136168

大飯原発再稼動でドジョウ政権ご臨終
2012年4月14日 掲載

もはやマトモな判断力なし
 野田首相と枝野経産相ら3閣僚は13日、関西電力大飯原発の運転再開を「妥当」と判断した。枝野は会見で「(安全性を)最終的に確認した」とか言っていたが、本当によく言う。最初から「再稼働ありき」で動いていたのは歴然なのだ。野田の支持率はおそらく、これで決定的に下がるだろう。「再稼働」で野田はオシマイ。それがいよいよ、ハッキリした。
 今度の決定がムチャクチャなのは、福島第1原発事故のA級戦犯、原子力保安院が「安全性」のチェックをしたことだ。環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏はこう言っていた。

   「原子力保安院はまだ誰も責任を取っていない汚れた手のまま次の原発を
    動かすという、非常におかしなことが行われているのです」

 原発を動かしたくてしょうがない関西電力が提出した安全対策の「工程表」もひどい中身だ。
「防潮堤」の拡幅や「フィルター付きのベント設備」などが並んでいるが、完成するのは来年度以降だ。それまでに地震や津波が来たらどうなるのか。関電は「今でも安全だ。念のためにする工事だ」みたいな言い方をするが、大阪市特別顧問の古賀茂明氏は「だったら、工事をやるのは無駄だろう」と切り返していた。

   「政府が再稼働の理由にしている電力不足の予測もデタラメです。
    経済産業省出身の日下部聡・内閣審議官が去年の夏に作った数字を
    ベースにしているが、これは恣意的なデータです。電力需要を近年
    最大値にしているし、供給量から自家発電や再生可能エネルギーを
    外している。同じ頃、民間出身の梶山恵司・内閣審議官(当時)も
    電力需給の予測を計算していますが、こちらは再生可能エネルギーを加味して、
    逆に2%の余力があると結論付けた。しかし、こんな数字が出てきたら
    原発再稼働ができないので、お蔵入りにしたのです。政府は電力需要の
    ピーク時を基に足りない足りないと言うが、そんなものは知恵と工夫で
    どうにでもなる」(ジャーナリスト・横田一氏)

 つまり、最初から原発は動かすつもりで、この間の検証、検討はやらせのポーズだったことになる。すべては経産省の振り付けなのだが、実は政府内には「いやいや、最終的に野田首相は再稼働させないだろう。それがマトモな判断だし、小泉流のサプライズになる」と言う幹部がいた。ところが、最終結論はサプライズなし。国民や関係自治体を敵に回して、暴走した。
 こうなると、野田に政権浮揚の目はない。北朝鮮のミサイルでも危機対応のまずさを露呈したし、ご臨終のカウントダウンが始まった。
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コメント
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