Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「商業美術家の逆襲 : もうひとつの日本美術史」

2022-01-28 10:51:12 | 読書
山下 裕二,NHK出版 (出版新書 2021/12).

Amazon の紹介*****
破格の作家たちを軸に、浮世絵からマンガまでを一望する新・日本美術史!

浮世絵から新版画、そしてイラストレーション、マンガまで。商業美術こそが、日本美術の伝統を継承し、次代の表現を生み出す原動力となってきた。河鍋暁斎、小村雪岱、渡辺省亭、横尾忠則、つげ義春……。従来の日本美術史の枠をはみ出した破格の才能をオールカラーで紹介するとともに、彼らが近年注目を集める理由を明らかにする。*****

目次*****
1 商業美術の到達点(花鳥画の名手はなぜ忘れられたか;美人画の巨匠と知られざる名工;江戸の美意識はいかに受け継がれたか)
2 浮世絵から新版画まで(浮世絵というターニングポイント;「芳」の絵師たちから美術史を見る;維新後になぜ挿絵文化が花開いたか;大正期の新版画は何を目指していたのか)
3 戦後の商業美術へ(デザイン・イラストの革命児たち;つげ義春の原画は、将来国宝になる;自分の「眼」で見るということ)*****

タイトルの「商業美術家」の文字に違和感.Sunnyside of the Street を歩かなかった画家たちの美術史とでもするのが適当だろう.
商業美術という概念が確立する以前の記述が半分以上を占める.しかし渡辺省亭,小村雪岱といった画家に対する著者の熱い思いは十分伝わってくる.
それに対して第3章は駆け足で物足りない.白土三平,和田誠,佐々木マキなど,ぼくが好きな人たちが無視されているのが不満だ.本が薄すぎ,ページが少なすぎたのかもしれない.
新書版だから図版は小さい.ウェブ上で好きな部分を拡大して閲覧できるようにする,なんて,NHK にはできないこと ?

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