Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「広告の会社、作りました」

2022-01-24 09:06:21 | 読書
中村 航「広告の会社、作りました」ポプラ社 (2021/3).

自由研究には向かない殺人」がぼくには読み応えがありすぎたので,読み応えのなさそうなのを図書館で選択した.

しかし
「いい人生ってなんだろう」「いい仕事ってなんだろう」「いい会社ってなんだろう」「いい相棒ってなんだろう」「いい未来ってなんだろう」
という目次を見たら,図書館で借りなかっただろう.早い話がヤングアダルト (YA) 向きのお仕事小説で,めでたしめでたしで終わる.もともと児童書専門であったポプラ社の本だから当然だったかも.時間潰しにはなったわけだから,ま・いいかというところ.

しかしイギリスの児童文学対象のカーネギー賞となった「自由研究には...」に比べると,いかにも不甲斐ない.YA 向きのエンタメ小説 (ブンガクとは言わないが) で見る限り,日本の青少年はイギリス (一般化すれば欧米) より幼稚か ? あるいは幼稚な読者と扱われているのか ?

honto の商品説明*****
突然会社の倒産を告げられ、いきなり無職になってしまったデザイナーの遠山健一。
安定した転職先を求めたはずが、飛び込んだ職場はコピーライター・天津孔明の個人事務所――まさかのフリーランスだった。
「じゃあまずは、フリーでばんばん仕事してさ、そのうち法人化も考えていこうよ。晴れて法人化したら、Youは“遠山副社長”ってことで」
「えええ?」
変わり者の天津とコンビを組む事になった健一。そしてやってきた仕事は、大企業とカタログのデザインをかけた“出来レース”のコンペで・・・・・・!?*****

最初のページ,無職の主人公が,街にいる人のうち,何者でもないのは自分だけだと感じるくだり.「自分のことを,どこの誰だと説明できない,そういう自分の行く末だけが,ろうそくの炎のように,ゆらゆらと頼りなく揺らめいている」に,自分にもそういう時代があったことを思い出した.

大企業のおろかな上司たちがみな禿頭という設定は,ある種のハラスメントだ.

コメント
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